IF~転生先で、私は鬼子を拾いました。   作:ゆう☆彡

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たくさんのお気に入り、そして感想をくれた方、ありがとうございます!
さて、新シリーズ!『現代編』!!
私が存在するまで、楽しんでいただければ、幸いです。

後書きの方に、急投稿の理由を書きました。
よければお読みください。



現代篇
吉田葵と周囲のその後【坂田銀時】


 

吉田葵が転生した、この時空の『銀魂』という世界。

 

彼女の動きによって様々なもの達が、運命を歪めて生きた。

 

 

父は失われるはずだった命を生き、

弟は本来存在しない世界を生き、

 

門下たちは……対立することをせず、共に生き続けた。

 

 

そんな世界での、

 

一見平和に見える世界での、

 

―――そんな話。

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「あっちぃなぁ……今日は。」

 

かつては自由な空だった江戸の空も、今ではその空に似合わぬ大きいばかりの機械が浮く空。

 

その空を見上げているのは、銀色の天パが特徴。万年金欠、甘党&無鉄砲『万事屋』社長、坂田銀時。

15年程前、突如宇宙から舞い降りた天人と戦った攘夷戦争で、“白夜叉”の名を掲げた、侍。

廃刀令のこのご時世に、侍魂を忘れぬ男。

 

その信念は、折れない武士道は、昔から変わらないものだった。

 

 

 

「おはようございまーす!起きてくださいっ!!……って、銀さん起きてたんですか。珍しいですね。」

 

今来たのは、メガ……じゃなくて志村新八。

そんな万年金欠の万事屋の従業員で、社長から侍魂を学ぶために働き出したら眼鏡かけ機……じゃなくて、侍。

 

「色々と突っ込みたいところがあるんですけども……。」

「ほっとけ新八。突っ込んだ方が負けだぞ。」

「……そうですか。」

「おはよう!銀ちゃん!新八!」

 

最後の1人、夜兎の神楽。現在、万事屋従業員兼居候。大食い&馬鹿力娘。

 

 

「おはよう。神楽ちゃんも、今日は早いんだね。」

「銀ちゃんに明日は早いからな、って言われたアル!」

「銀さん、依頼ですか?」

 

 

尋ねられた銀時は振り向かないまま、

空を見上げたまま、言った。

 

「今日さ、万事屋休みにして俺と一緒に行ってほしい所があるんだけど。」

「「……。」」

 

普段ならぶん殴る所である。金欠が当たり前の万事屋は、1日たりとも休んでいる暇などない。

……が、今日の銀時は少し違うと、2人も感じ取った。

 

「いいですよ。たまにはいいんじゃないですか?」

「そうネ。それに、銀ちゃんにそんな顔されたら断れないアル。」

「……俺どんな顔してた?」

「子どもみたいな顔でしたよ。」

「泣きべそかいてるお子ちゃまみたいネ。」

 

自分よりもいくらも年下である2人にいわれるほど。それくらいの顔をしているのだろうと、銀時は思った。

 

「そっか、わりぃな。」

「それで、どこに行くんですか?」

「俺の故郷。」

 

 

新八も神楽も本当に驚いた。

いつもヘラヘラしていたり、たまに真剣な顔をしたり、一緒にいる期間はまだ少ないとはいえ、たくさんの表情を見てきているつもりだった。

 

 

でも、今、二人の目の前の坂田銀時の顔は、悲しみと苦しみと絶望と……

 

それは、故郷に行きたいと言ったくらいでは、見られないような、本当にたくさんのマイナスな感情が渦巻いている表情だった。

 

 

「銀ちゃん……。」

「……すまねぇ、お前らにそんな顔させたら俺が怒られるな。やっぱりまだ早ぇよな……。」

「「そんなことない(ネ)!!」」

「!?」

「行きますよ、僕たちも!その代わり、ちょっとでいいので、教えてくださいね。」

「銀ちゃんの大事な所に挨拶しなきゃだめアル。」

「あぁ。

ありがとな、2人とも。」

 

 

 

 

 

―――万事屋、本日臨時休業

 

社長の故郷に行きます。

 

 

~~~~~~~~~~~

 

「その故郷で、俺はたくさんの大事な奴らと出会ったんだ。例えば、……家族、、とかな。」

「家族ですか?」

「まぁ、実際に血が繋がってるわけじゃねぇけど。

そこで俺は、出会ったんだ。」

 

 

銀時は話した。

 

出会った時のこと。

初めて守られた時のこと。

松下村塾でのこと。

毎日、返り討ちにされたこと。

それでも毎日楽しかった日々のことを。

 

そして、自分たちを守るために連れていかれてしまったこと。

 

 

 

 

―――“吉田葵”のことを。

 

「銀さんのお姉さんですか。」

「葵姉ちゃん強かったアルカ?」

「そうだな。松下村塾の中では一番強かったと思う。」

「その人、今どうしてるアルカ?」

「……分かんねぇ。」

「「えっ?」」

 

 

銀時は再び話した。

 

葵と再会した、最悪の日のことを。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

―攘夷戦争―

 

侍が国のために、いや、自分の武士道と守りたい者を守るために剣を奮った戦い。

最も激しかったと後に言われるその時代で、銀時は戦っていた。

ただ1人の人を助けるために。

 

 

 

「銀時、きたぞ、新しい情報が。」

「なんだ!」

「偵察に行った俺の部下が、その存在を確認したらしい。」

「場所は!」

「ここからまっすぐ行ったところに、高い崖があるだろう。その最上部だそうだ。」

 

 

―――そんなにも近くに、

 

誰もが思った。これは敵の罠だと。

 

誰もが気づいた。これに行ってはならぬと。

 

 

「行くだろ、銀時。」

「ったりめーだ。」

 

それでも誰も止めることは出来ない。

先陣を切っていく3人の意思と、戦う意味を聞いてきた。

この3人の戦意を止めることなど、出来るのは彼らの師かこれから助けにゆく姉しかいない。

全員が分かっていた。

だから誰も止めない。

 

 

 

 

誰の制止も聞かず、3人の英雄たちは走り出した。

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 

「来たか、吉田松陽の弟子たち。」

「!てめぇは……!!」

 

到着した場所にいたのは、あの日大切な人を連れていったやつだった。

 

「銀時、こいつが葵殿を……?」

「あぁ。あの日から一度たりとも忘れたことのねぇ顔だ。」

 

 

その言葉を聞ければ充分。

そう言わんとばかりに、3人はその言葉を合図にその敵に向かって走り出した。

 

 

 

―――キーンッッッ!!!

 

3人の体重がかかった刀を1人で、1つの刀で受け止めた。

 

「っ!てめぇ、葵姉はどこだっ!」

「……。」

「何とか言いやがれぇっ!!」

 

 

 

しばらく斬りあいが続いたところで、ようやく開いた口から聞かされた事実は、受け止めがたいものだった。

 

「貴様らの言う吉田葵は、既に死んだ。」

「「「!」」」

「お前らの知る吉田葵はもういない。」

「なっ……!?」

 

全員の動きが止まった。

そしてそれを狙っていたかのように、先ほどまで戦っていた奈落の後ろから、もう1人、

 

 

「がっ……!」「なっ……!?」

 

飛び出してきた人物は、一瞬にして桂と高杉の動きを封じた。そして、

 

 

 

 

 

 

「……。」

「……あお……い……姉、、、?」

 

銀時の前に立ったのは、ずっと探していた、助けたいと思っていた人だった。

 

 

「なんで……、何やってんだよ葵姉っ!」

「話しかけても無駄だ。そいつには何も届かない。」

「ふざけんなよ。葵姉はそんな弱いやつじゃねぇ、吉田葵はそんな簡単に死なねぇ!」

「ではお前らの前にいるのはなんだ。」

「……っ!」

 

 

「っ!……ハァハァハァ、ハァハァハァ……」

「ヅラ!高杉!」

「なに惑わされてやがる。てめぇの目はいかれてんのか。

目の前の人が誰かわからねぇなんて、言わせねぇぞ。」

 

 

一瞬。

 

高杉の言葉で、全員の目に一瞬だけ生気が戻った。

 

しかし、それは一瞬に過ぎなかった。

 

 

 

―――ガンッ!!!!

 

「なっ!?」

 

その信じたかった相手によって、3人は倒された。そして、銀時に刀を向けて、言い放った。

 

「こんな無駄なことはやめなさい。

君たちの力は弱すぎる。国を相手取るなど無謀以外の何ものでもない。

これ以上戦っても、君たちのせいでたくさんの人が無駄死にするだけです。」

 

 

決定的に、3人から戦う意味がなくなった瞬間だった。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「想像以上に暗ぇ話で悪かったな。」

「大丈夫ネ!それに、銀ちゃんのことを知れたのは嬉しいアルヨ?」

「そうですよ。銀さんが謝ることじゃありません。」

「でも、不思議な話アル。葵姉ちゃんはどこで変わってしまったアル?

どっちかと言うと、まだ銀ちゃんたちのこと守ってるようにしか見えないネ。」

「そうだですね。僕も、裏切っているように見えますけど、最後も捉え方によっては、みんなを傷つけないようにするため、って考えることも出来るよね。」

「……!」

 

 

銀時は嬉しかった。

 

 

 

自分たち以外にも、

 

自分たちの大切なひとを信じてくれる人がいることが。

 

 

 

「わわっ!」

「銀さん?どうかしましたか?」

 

銀時は2人を抱きしめた。

 

「ありがとな、2人とも。

 

 

実はな、この話には続きがあるんだ。」

 

 

話すのをためらった続きの話。

でも、この2人なら受け止めてくれるかもしれない。

自分よりも若いけれども、命の危険のそばで働く父を持つ者と、侍の心を持つ2人であるならば。

 

「ドンと来いネ!銀ちゃん!!」

 

 

 

話すことにした。

 

攘夷戦争のその後の話を……。




《急投稿のわけ》

『IF~転生先で私は、鬼子を拾いました。』をお読みいただき、ありがとうございます。ここ最近の急投稿の理由をここに書きたいと思います。

私、優菜は四月から受験生となります。
そこで1年間、受験が終了する来年の三月まで、全ての小説の投稿を停止しようと考えております。
読んでくださる皆様には、大変ご迷惑な話かとは思いますが、来年の三月末には必ず戻ってこようと思っております……受かれば(笑)

この小説は、一旦途切れてももやもやしない状態までは投稿します。というか、それを3月31日に間に合うように頑張っていました。
1年間、更新を停止することをお詫びすると同時に、再び帰ってきた時には、またこの小説を読んでいただければ、と思います。
突然のご報告で申し訳ありませんでした。後、1週間ほど、よろしくお願いします。

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