IF~転生先で、私は鬼子を拾いました。   作:ゆう☆彡

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こんにちは。今回は少し短いです。
そして、銀魂をアニメで見ている方には、若干ネタバレ(?)かもしれません。
直接、ネタバレをしている訳では無いですが、察しの良い人なら気づいてしまうかも。
なるべく間を開けず、なおかつこの話は読まなくても理解できる内容の次の話を投稿するので、アニメ派の人は少々お待ちください。

もし、この話がネタバレで規定に反するなどありましたら、教えていただけると幸いです。

そして流血表現、注意です。


それが合図だと気づくには、私はあまりに無知だった。

 

手に持っていたのは、見飽きたと言ってもいいほど見てきた、奈落が持っている杖。

 

頭にかぶっているのも、それと同じもの。

 

 

一目でわかった、『敵だ』と。

 

でも何かが違った。

 

何が違うのかはわからなかったけど、今まで戦った奈落たちとは、明らかに違ったのだ。

 

そして、

 

 

「一瞬とはいえ、私の背後をとるとは。」

「!?」

 

――キーンッッ!!

 

―――ザァァッッ!!!

 

 

 

刀を交えてすぐに分かった、何が違うのか。

それは、“オーラ”だ、と。

 

 

「ほお、私の一撃を刀で防ぎもしたか。」

「いえいえ、おかげで腕は痺れてしまいましたよ。」

 

震える声を抑えて、平常心で話す。

正直、うまく出来ているか不安だった。

 

 

「……貴様、何者だ。」

「人に名前を尋ねる時は、まず自分から名乗るものですよ。」

「そうか、ならば自ら名乗らせてやろう。」

 

―ザッ!!

 

―バッ!!

 

 

―――キーンッッ!!!!

 

 

 

傍から見れば、切りあっている瞬間も見えないのだろう。

正直、相手の動きについていけてることに一番驚いているのは、私自身だ。

 

―――松陽先生のお陰かな、、、

 

 

斬りあっていても私に勝ち目はない。

私の目的はただ一つだった。

 

「!!」

「ちぇっ。」

 

それは顔を確認すること。

 

顔がわかれば、次から気をつけることが出来る。……変装でもしてたらどうにもならないけど。

 

 

「くっ……」

「どうした、動きが既に鈍くなってるぞ。」

 

こっちは、あんたとやる前に、散々戦ってきたんだよ!既に体力、底つきかけてんだよ!!

 

なんて悪態ついてても、どうしょうもない。

こんなところで死ぬわけにはいかない、でも、相手さんを殺すわけにもいかない。

 

そんな神経を使いながらの防戦一方の中で、一瞬だけ見つけた隙。

 

 

 

 

 

―――ザンッッッッ!!!!

 

「ほお。」

 

……隙をついたのにかわされた。

でも、目的は果たせた。

 

「私の身体ではないとはいえ、傷をつけるとはな。」

「っ!」

 

 

―――どうして、あなたが…

 

「さすが吉田松陽の娘と言ったところか。

“鬼子拾い”など、大層な名前がつけられたものだ」

 

―――でも確かに、あなたなら……

 

 

「顔を見て、ただで帰れると思うな。」

「っ!!!」

 

―――キーンッッ!!!!!!

 

 

 

何度目かもわからない刀の音。

その数に反比例するように減る体力。

長期戦にする訳にはいかなかった。

 

 

―――ザンッッッッ!!!!

 

「!?」

 

私が最も得意とする剣技。それは、“受け流す”こと。

父上に頼んで覚えた技。それのレベルだけは、並大抵のものではない。

 

「ほお、受け流すとはな。」

「すいません。まだあなたを殺すわけにはいかないんです。」

 

受け流し、距離をとってから息を整える。

そして再び刀を構えた。

 

「まるでいつでも私を殺せるような言い方をするな。」

「そう言ってるんです。」

 

 

―バッ!!

 

――ザッッ!!

 

同じタイミングで地面をける。

向かってきた敵に私は……

 

 

 

 

刀をおろした。

 

 

―――グサッッ!!

 

「っっ!!!!」

 

刀をおろしたため、防ぐことも出来ない。

敵さんの刀は、私の腹部を貫いた。

 

痛い

苦しい

 

この感情だけが頭を占める。

 

「どういうつもりだ。」

 

でも……

 

「もう一度……隙を作るつもりです…よ。」

「!!!」

 

私は、下ろしていた刀をそのまま振り上げた。私にたてていた刀を持つ右手を斬るように。

 

 

―――シュンッッ!!

 

……まぁ、そりゃあかわされるよね。

 

私の振り上げた一撃は、私が受けた傷の代償に全く見合わなかった。

 

「ゲホッ!!……ゲホッゲホッ、、、!!」

 

これが血を吐くという感覚なのか……、って、感心してる場合じゃないよね!?

 

仕留めに来るであろう敵に構えた。……が、

 

 

「なるほど。お前は使えそうだ。それに吉田松陽の娘とくれば、使い道は多岐に渡る。」

「……??」

 

何を言っているの、この人は??

 

「質問に答えろ。」

「……。」

「近頃、この付近の奈落どもを大量に殺しているのはお前か。」

「……そうだと言ったら、どうしますか?」

「最後まで減らず口だな。だが、その答えを聞ければ十分だ。」

 

そう言って、敵さんは刀をおろした。

 

「貴様は、殺すには惜しい。

近いうち、貴様自身に、選択させてやろう。それまで力を蓄えることだ。」

 

そしてどこかに去って行った。

 

 

 

「……っはぁ!!……はぁ、はぁ……」

 

やばい。血、失いすぎ?視界、クラクラするかも……って、あれ?

 

「……止まりかけてる??」

 

ん?どういうこと??……まぁ、血を失ったことに変わりはないから、視界は相変わらずクラクラしてるけど。

 

 

「随分、遅くなってしまいましたね……。」

 

色々突っ込まれるかもしれないけど、とりあえず帰ろう。

そして……、父上に聞きたいことも、伝えたいこともたくさん出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時よく考えればよかったのだ、と

 

後になって私は後悔する。

 

 

それと同時に、

 

自分が無知であったためになった未来を

 

よかった、と

 

感じることになった。

 

 

 

それが合図だと気づくには、私はあまりに無知だった。




マンガ派の人には、もう分かったかも知れませんね。

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