そして今回の話は、とてもとても凄いことになっています(いい意味でも、悪い意味でも……笑)
感想・評価、お待ちしております。
―――サーーー
「二人は寝ましたか?」
襖を開けた先では、松陽先生が静かにお茶を飲んでいた。
「っ、、、。」
もう“父上”とは呼べない。
確か松陽先生は、元々天照院奈落の先代首領・虚だった人。
突然、奈落を抜けて身分を隠し、ここで子供たちを相手に手習いを教えることを選んだ。
理由は…「奪うことしかしてこなかった自分でも何か与えられるのではと考え、自身に抗ったため」。
私は今日『奪った』。
奪うことをやめた松陽先生の下で、奪うという行為を働いた。
なぜだか分からないけど、それは父上に対する“裏切り”みたいで、すごく嫌だった。
「葵?立ってないで、座っていいですよ。」
いつも通りの優しい声。今はそれが、逆に苦しい。
「それでどうしたのですか?」
――あぁ、だめだ。
無理だとは思ってたけど、やっぱり無理だった。この目に隠し事なんてできない、絶対に。
私なんかの頭で考えた嘘なんて、すぐに見破られる。
「………。」
言うしかないのだ、残された道は…、それがどんな結末であっても。
うん、最悪、神様に“私”という存在ごと消してもらおう。この世界に生じた歪みを消してもらえるように頼んでみよう。
「……今日、ですね、、、。」
松陽先生に、……父上に話した。
《松陽side》
『やはり、葵にも…。』
葵の話を聞いて、私が最初に思ったことです。
葵は、間違いなく晴香と私の子ども。葵も蒼汰も生まれた時から、いつかこんな日がくるんではないかとは思っていましたが…
“できればきて欲しくなかった”
これが正直な気持ちですね。
「ごめんなさい、父上。」
葵が謝ってきました。
この子はいい子だから…。きっと、天人とはいえ、斬ったことに対して何も思っていない自分が、悪いと思っているのでしょう。
違いますよ、葵。
あなたは何も悪くない。
悪いのは、私の方です。
あなたにまで、この業を背負わせてしまった、私の責任です。
あなたには話しましょう、葵。
その事実は、あなたを傷つけてしまうかも知れませんが。
そしてありがとう。
私を信じて話してくれて。
娘に頼られてもなお、その娘を傷つけてしまうダメな父親を、許してください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「葵、私からも話があります。」
私が、今日の出来事をすべて話し終えた後、今度は松陽先生が口を開きました。
「……あなたは“何も感じてない”ことに謝罪しましたが、そんなことはありませんよ。」
「……?」
「銀時が、あなたに言ったんですよね?『悲しそう』と…。それは、感じたことには含まれませんか?」
―――確かにそうだ、そうだけど……
「でも……、あの時“悲しい”と感じる場面はありませんでした。」
天人から銀時や蒼汰たちを助け、普通は喜ぶべきだ。
天人に向けるべきは、“悲しみ”ではなく、銀時や蒼汰を襲ったことに対する“恨み”だ。
悲しみ…、それを向けた相手は、、、
「きっと、天人に対してですね。」
天人……?
斬って
「葵。」
私が一人で混乱していると、松陽先生が落ち着いた声で話しかけてきた。
そして……抱きしめられた。
「あなたは私の子です。
私のせいで、あなたの人生を狂わせてしまうことを許してください。」
何も言っているのか、理解出来ない。とにかく、松陽先生の抱きしめる力が強くて、ただ事ではないことだけはわかった。
私のことを離して、しっかりと目を見て言われた。
「私の本当の名前は、天照院奈落の先代首領・虚。今、この国を襲っている天人のトップのような存在の者です。」
「えっ……、、、。」
その事実にではない。暴露されたことに驚いた。
「突然のことで申し訳ありません。
ですが、葵の悲しいという気持ちを解決するには、伝えるのが一番だと思ったのです。
私から見れば、例え今は憎むべき相手でも天人は、仲間のような者。今の私が拒否しても、内側の自分の心まで偽ることは出来ません。
そして、娘であるあなたにもそれが遺伝として、受け継がれたとしたら……」
「………。」
「葵が、“悲しい”と思うことに何ら不思議はないんですよ。ありがたい話ではないと思いますが…ね。」
……私は、、、松陽先生の…父上の血を受け継いでる、吉田家の子ども??
普通はそこに焦点を当てるべきではないのかもしれない。それでもその事実は、私が喜ぶのには充分すぎる話だった。
台本形式をやめさせていただきました。
読者様からするとどちらの方が読みやすいのでしょうか?
活動報告でも質問しているので、答えていただけると、嬉しいです
(^人^)