IF~転生先で、私は鬼子を拾いました。   作:ゆう☆彡

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今日という日が与えるもの

 

 

《銀時side》

 

 

―――カチャ

 

葵姉ちゃんが刀に手をかけて…、捕まっちゃった子たちの親たちに何か話して……、

 

「うっ…うっぅぅぅ…、ねーね……。」

「蒼汰……。」

 

その間にも蒼汰は壊れそうだった。

 

 

 

 

 

怖かった

 

 

 

 

 

なんでそう思ったのかは、自分でもわかんない。

 

―自分が捕まっているからか

―蒼汰が捕まっているからか

―その両方か

 

 

 

でもそんな怖さも……、無くなった。

 

―――スーーーッ

 

「「「「「「「!?!?」」」」」」」

「葵……姉ちゃん、、、?」

 

 

そう言った瞬間に顔を上げた葵姉ちゃんの目が…、蒼汰と僕を見た瞳が

『絶対に助ける』『心配しないで』って、言ってるみたいだった。

 

さっきと……全然違う目をした葵姉ちゃんが、そこにいた。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

初めて抜いたはずの刀。

 

初めて向けるはずの刃。

 

初めてのはずの闘い。

 

 

それなのに、私の心は気持ち悪いぐらいに落ち着いていた。

本当なら、どうやって戦えばいいのかすら分からないはずなのに…、それなのに、どうすればいいのか、身体がわかってるようだった。

 

最後の特典はサービスいいらしい。

 

「貴様、子ども(こいつ)らがどうなってもよいのか。」

 

そう言って、天人は捕まえてる1人の子どもに刀を突きつける。

それは……銀さんだった。

 

「うっ…………ハァハァハァハァ、、、。」

「銀時。」

「!!」

 

銀さんの目は確かに怖がってるようだったけど、裾をつかんでなかった。不安に思ってない…?

 

「大丈夫。すぐ助けるから。」

 

 

一体、何を根拠にそんな事言ったのか、自分でもわからない。でも、自信はあった。

 

 

 

 

一歩前に出る。向こうから出てきたのは、子どもを連れてない天人が2人。

 

「いきなり、一対二だなんて、ずるいですね…。」

 

そんな挑発に簡単に乗ってくる敵さん。一対一……にするのではなく、増えました。―――ありゃ?

 

結果的に一対五。さっきまで、ただの一般市民だった女の子一人に、これは大人気ないなあ……。

 

 

 

―――ザッ!!!

 

「葵姉ちゃんっっ!!」

 

天人が一人、突っ込んできた。あっやばい、かわさなきゃ。それとも、斬る?

戦わなきゃ、……………………………守らなきゃ。

 

 

 

 

 

―――シュンっ!!

 

 

 

 

 

私と天人が、交差する形で交わる。…次の瞬間、吹き出すのは赤い液体。

 

「なっ……!?!?……くそっ!!」

 

斬られたのは天人、斬ったのは私。

 

「殺れぇっっっ!!!」

 

リーダー格と思われる天人の声で、影に隠れていたのであろう天人が、一斉に全員出てきた。数は15ほど。

 

 

 

「……。」

 

刀についた血。さっきまで、生きていた奴のモノ。

その事実に怯えることなく、受け止めることが出来てしまった私は、変だと思う。でも……

 

「コツは……つかめた。」

 

 

天人の集団に突っ込む。

先頭の天人の心臓をつらぬく。うばった槍を投げて、違う天人の心臓へ。後方から襲ってきた天人のみぞおちに蹴りを入れて、斜めに斬り捨てる。そのまま、そいつを足場にして跳び、上から天人を斬る。

 

 

「いいもの見っけ。」

 

天人が持っていたのは“銃”。普通なら使い方はわからないけど、転生者の私には関係なし。

 

―――パーンっっ!!

 

撃ちぬいた先に、人がいないことを確認して撃つ。うん、結構いい腕前だ。驚く天人と間合いを一気に詰め、そのまま周りにいた5人ほどを斬る。

そのまま銃を構えて、残りの5人を撃つ。私のいた世界と同じく、銃の弾は6発らしい。

 

 

刀を振って、返り血を飛ばす。うわぁ、汚い……。

 

「なっ……!?!?どういう………、貴様……っっ、一体、何者だ!!」

 

何者……ね、、、。

 

「ただの弟好きの姉ですってば。」

 

 

そう言うと、残り5人の天人の真ん中まで間合いを詰める。

多分傍から見たら、瞬間移動したように見えると思う。……ちゃんと自分の足で動きましたよ?

 

「さようなら、人の大切な者に手を出したこと、悔いてください。」

 

突然の出来事に、全く動けなくなる天人たち。

 

「「「「ウワァァァ!!!」」」」

 

目の前で振り回される刀に、悲鳴をあげる子どもたち。まぁ、無理もないか。

……うん、銀さんはすごいな。

 

 

器用に腕だけを斬り落として刀を鞘にしまう。

捕らわれた子どもたちの中で、一番幼いであろう蒼汰と、蒼汰と同い年くらいの女の子を抱き止める。

他の子たちは、なんとか自分で歩けるみたい……よかった、、、。

 

「銀時、大丈夫?」

「うっ……うん。」

 

絶命させた天人に背を向けて歩く。

 

 

……が、

「人間風情がァァ……!!」

 

絶命させたと思っていた天人の1人が立ち上がった。

それを見て震え出す子どもたちと、その親たち。

 

 

―――やばい

 

 

すぐに子どもたちと天人の間に立った。しかし、

 

「貴様も…必ず……っっ!!」

「「「「「「「……??」」」」」」」

「……、、、。」

 

…………も?

 

謎の言葉を言い残して、その天人は消えた。

 

 

 

 

 

結局、誰も死ぬことなくおさまった。

 

逃がした天人も、たった(・・・)1人。見ていた村の人たちは、すごく喜んでくれた。私も子どもたちが助かったことに、喜んでいた。

 

 

 

 

……本当なら喜んでる場合なんかじゃなかったんだ。

すぐにても逃がした天人を追うべきだった、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの村には、とんでもない娘()います。……弱み付きで。』

そんな情報が、逃がした1人の天人の口から伝えられる前に。

 

 

たった1人でも、逃しちゃだめだったけど……、

もしかしたらこれが……

 

“転生した私がなるもの”だったのかも。


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