パァン!
実付きの実が破裂した。それを理解するのに10秒かかった。その間にぞろぞろとリトルペネントが集まり出した。なんで?僕もキリトも実付きには触れてすら無いのに!僕とキリトは背中合わせになりリトルペネントの大群に構える。
「ジャック!不味いぞ囲まれた!数は20はいる!」
20ぅ!?馬鹿なの!?死ぬの!?
「実付きって時間で割るなんて聞いてないぞ!?」
「原因を考えるのはあと!体力と武器の状態は!」
「体力は60%、武器はそう長くは持たない!」
キリトはギリギリみたいだ。今全力で戦えるのは僕だけ!
「キリトは回避を優先して!僕がやる!あとこれ使え!」
初期装備のブロンズダガーを投げ渡す。いくらかマシなはずだ。
「いくらお前でもこの数相手に1人は無茶だ!」
「数減らすだけさ!僕より早く死ぬなよ!」
「ああもう!そっちこそ俺より早く死ぬんじゃないぞ!」
リトルペネントは僕のほうに14体、キリトのほうに7体か。この数で止まったらゲームオーバーだ、ソードスキルは使えない・・・
「やってやる、やってやる殺ってやる!」
14体がなんだ、リアルじゃ
「データの塊ごときが僕を殺せると思うなよ!」
僕を必要としてくれた人を殺させるわけにはいかないんだ!ジャック・ザ・リッパーを握り締めリトルペネントの群れに突撃した。
「ラス・・・トォォォォ!」
あれからどれくらい時間がたったのだろう。何体倒したかも覚えてないけど僕らは生きている。
「はぁ、はぁ・・・まだ残ってる?」
「フゥ・・・全部倒したよ」
キリトの索敵スキルに引っかからないなら全部倒したんだろう。
「ヤバイ、かなりしんどい」
「ジャックってどうゆう反射神経してんだよ。あの数の攻撃全部避けるとか人間の動きじゃないよ」
「・・・キリトも僕の学校へ来なよ自然と身に付くから」
「遠慮しとく、それより気付いた事がある、あの実付きをやったのはプレイヤーだ」
マジで?
「さっきの実付きがいた辺りに投擲用の短剣が落ちてた。もう耐久値の限界でポリゴンに戻ったけど」
そっか、じゃあ
「・・・早くクエスト報酬貰いに行きなよ。あれだけ狩ればしばらくはポップしないはずだし」
「ジャックは来ないのか?」
「ちょっと疲れちゃってさ、少し休んでから行くよ」
「それなら待ってからでも」
「キリトの武器もう無いんだから万が一ポップしたら今度こそゲームオーバーだよ?」
「・・・分かった。すぐ来いよ」
はいはーいと手をヒラヒラして見送る。さて・・・
「そこの茂みに隠れてるやつ、出てこいよ」
「アレぇ?隠蔽スキルは発動してるんですけどぉ?」
フードケープを着た男の子、声色からして中学3年くらいかな?が出てきた。
「殺気がダダ漏れだよ。って言っても殆ど勘みたいなもんだけど」
「ぃみ分かんないンですけど」
「目的はなに?MPKまでして何が欲しいの?」
「何が欲しいってそれに決まってンじゃないですかぁ」
そう言ってジャック・ザ・リッパーを指さす。
「間違いなくそれはユニーク武器ですからねぇ。同じ短剣使いとしては喉から手が出るほどほしいンですよ」
なるほど狙いはこれか。
「だからMPKしてドロップするのを狙っていたということか」
「流石にあのキリトさんを相手に真正面から挑んで勝てると思う程自惚れてはいませンから」
キリトの名前が出るって事はコイツもベータテスターってことか、やっかいだな。
「なら諦めて帰ってくれないかな、疲れてるんだ」
「でもですよぉ?キリトさんがいなくて今のコンディションのあなたならァ勝てると思うんですよねぇ」
「PKする気?カルマクエストは5層まで無かったと思うけど」
「ベータの時はPK専門だったんですよ。まあ
ああ・・・あの目はマジだ、本気で殺しに来る。勘弁して欲しいよぉ。デスゲーム始まってまだ一週間経ってないのにMPKとPKにあうとかリアルもゲームも難易度ルナティックだよ。
「アレぇ、ヤル気無しですか?疲れました?そりゃ疲れますよねぇ、いくら弱いとはいえリトルペネントをかれこれ600体は倒してますもんね」
リアルでもほぼ毎日殺されかけてるのにゲームでも殺されそうになるなんて鬱だよ鬱。
「ボロボロのあなたになら勝てちゃうと思うんですよねぇ」
にしてもうるさいなぁ殺る気あるのかな。
「でもオレンジにはなりたくないんで・・・ホイ」
yujiさんからデュエルを挑まれました
完全決着モード
yes/no
「受けてくれますよねぇ?」
ニヤニヤと笑いながら催促してくる。うわぁ・・・めちゃめちゃムカつく顔してるなぁ。これはもう選択肢は1つしかない!
「当然」
no
「受けるわけ無いじゃん馬鹿なの?」