やはり私の青春ラブコメはまちがっている。(俺ガイル全キャラ性転換)   作:Wiiが欲しいと思わない。

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チェーンメール編です。


葉山早美

職場見学希望調査書

 

2年F組 比企谷 八千代

 

希望する職業 専業主婦

 

希望する職場 自宅

 

希望理由

“古人云く、働いたら負けである。

労働とはリスクを払い、リターンを得る行為である。

労働の最大の目的は少しのリスクで多くのリターンを得ることである。

人は皆結婚しようとしなかろうと絶対に家事をできるようにしなければならない、いわば業務の様なものだ。

専業主婦という仕事は結婚相手を家で楽できるように家事をする仕事だ。

つまり専業主婦という仕事は人としての義務をするだけで仕事をしている事になる最高の仕事だ。

よって私の『働かずに家庭に入る』という選択肢は合理的で尚且つ全くもって正当なもの。

したがって今回の職場見学において専業主婦の職場である自宅を希望する。”

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

「何が言いたいかはわかるな?」

私の職場見学希望調査書を読み上げながら平塚先生は私に言う。私は……

「いいえ、全くわかりません」

と答えると……

「はぁ、奉仕部に入って少しはマシになったと思った矢先にこれか……」

「私のモットーは初志貫徹ですしね」

「まあいい、このふざけた調査書はなんだ?」

「そのままですよ。専業主婦の何が悪いんです? 結婚は女の子の夢じゃないですか? からといって『お嫁さん』と書くよりはまだ全うに働こうという意志がありますよ。家もそうですが共働きが当たり前のこの時代でしっかりと主婦業について相手を支えたいと思うのに何が問題なんですか?」

すると平塚先生は……

「本気で誰かを支えたいならそんなことは言わん。というかこれは『将来の夢』の作文ではなく、職場見学の希望調査書だ。お前が本気で主婦になりたいなら料理がうまくなるように料亭系か掃除や洗濯技術を高めようと清掃会社かクリーニング店を希望するだろ? 結局お前は楽したいからこう書いたのだろう?」

く、ごまかせなかった……

「まあいい、希望調査書は再提出だ。あと今回の職場見学は三人一組だ」

「うわぁ、他に二人が家に来るなんて嫌ですよ……」

「だから自宅は駄目だ! それにお前は『好きな人と組め』を嫌がると思ったがな……」

私は希望調査書を受け取り部室へ行った。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

私は部室に入る。すると雪ノ下が本を読んでいた……

「会わなかったか?」

誰に? すると……

「(ガラッ)おー! ヒッキー居た! 探したぞ? 誰に聞いても『比企谷?誰?』とか答えられるし、ヒッキーどんだけ存在感ねーんだよ」

失礼な。てかなんで探してるわけ?

「ヒッキーのケータイアドレス教えて」

「は? なんで?」

「いや、なんでって、同じ部なら連絡するときとか必要になるかもだし?」

「ならないでしょ?」

「ついさっきなってたんだよ!」

まあいいや。

「はい」

私はスマホを由比ヶ浜に渡す。

「え!? いや、見ていいのか?」

「見られて困るような物は無いよ。基本的に弟かアマゾンからしかメール来ないし」

「はあ? いやいや、花の女子高校生がそんなわけ――うっわ!? マジだ! しかも殆どアマゾンだ!?」

由比ヶ浜は自分のケータイを出す。ストラップがめちゃくちゃついている。

「んだよ? このアドレス……」

「買ってもらったとき近くにあったローマ字の文章を適当に入れたから」

「はあ!? 普通は名前をローマ字にして最後に誕生日入れるとかだろ!?」

そうなの? 私は知らないけど……

「まあいいや、ふう、これで登録完了」

私はとりあえず確認した。

 

~☆★You★☆~

 

よう? いや英語のyouかい……てかこれ検索じゃ何に入るの?

すると由比ヶ浜のケータイが鳴った。

「うお!? うわー」

「どうした?」

「いや、なんか変なメール来てよ~」

「……比企谷。迷惑メールなんて陰湿な事は辞めろ」

「なんで私って真っ先に疑われるのよ、証拠見せなさい証拠」

「その台詞が証拠と言っていいな、それは犯人の台詞だ。『証拠見せなさい』『たいした推理じゃないか』『俺を疑っているのか?』『殺人鬼と同じ部屋にいられるか!』とな」

「最後のは被害者の台詞よ。つまりあんたは私が証拠見せなさいと発言しただけで犯人扱いなわけ? そんなあんたは『私が白と言えばからすも白くなる』とか言うインチキ弁護士と一緒よ」

雪ノ下が睨んでくる。すると由比ヶ浜は……

「いんや、ヒッキーは違うな。クラスに関する事だし」

「そうか、なら違うな」

私も同じクラスですが? とは私は言わない。

すると……

「すみません、奉仕部ってここですか?」

ストレートヘアの女子生徒が部室を訪れた。葉山さんだった。

すると雪ノ下は嫌そうな顔をして言う。

「……依頼か?」

「ええ、まあね、これなのよね」

葉山さんはそう言って、スマホのメールを見せる。そこには――

 

『戸部は万引きグループの仲間でマツキヨ等で三万近く万引き』

『大和は三又かけてるヤリマンビッチ』

『大岡は敵チームに下剤入り弁当を差し入れエースを食あたりにした』

 

――という内容のチェーンメールだった。

「最近出回り始めたの」

「あ、俺もさっき来たぞ?」

由比ヶ浜のケータイにも同じメールが届いていた。

「これが出回ってからクラスの雰囲気が悪くて……友達を悪く言われるのも嫌だし……なんとか穏便に止めたいのよ」

穏便に、ねぇ……

「あ、でも犯人探しをしたいわけじゃ無いのよ。ただ、穏便に収集できないかなって……」

「そうか……つまり事態の収拾か……なら犯人を探すしかない」

「うん、ありが――って、え? いや、犯人探しは……」

「チェーンメール……それは人の人権や名誉を毀損させる最低行為だ。犯人を根絶やしてつるし上げねば止まらん、ソースは俺」

「……また経験談なわけね」

「とにかく俺は犯人を探し出す。そのあとは葉山さんに任せる。いいな?」

「え、ええ……」

葉山さんはしぶしぶ納得した。

「それで、そのメール編いつから流れた?」

「たしか先週末ね。そうよね? 優」

「おう」

先週末ねえ……

「その前日か当日になにかあったか?」

由比ヶ浜と葉山さんは……

「いいえ、なにも」

「だよな? 特に……」

雪ノ下は……

「……一応聞くが、お前は?」

聞く順番がおかしくない? まあいいや、えっと先週末……

「……職場見学?」

「それだ!?」

え? そんなことで?

「こういうイベントは今後のグループに影響するんだよ。三人一組だから四人以上のグループは……あっ! そうか! 犯人わかったかも知れねえ!」

「……つまり葉山さんのグループは四人だからハブれないようにその三人のうち誰かがメールを送ったってわけね……」

「そう!」

「ち、ちょっと待って!? メールは三人を悪く言うものよ!? 三人は違うでしょ?」

「そんなの自分が疑われないようにするためのブラフに決まってるでしょ。まあ、私ならあえて私以外の誰かを悪く言わないでその子に罪をきせるけどね」

すると由比ヶ浜は……

「うわー、ヒッキーサイテーだー」

「知能犯と言いなさい」

雪ノ下は……

「まあ容疑者には変わりないな、三人の特徴を教えてくれ」

「え、ええ……まず戸部は私と同じ女バスで明るくてお祭り事の大好きな皆のムードメーカーで良い娘よ」

「騒ぐことしか能のないお調子者……っと」

雪ノ下の評価は間違っていない。だけど言い方が違うだけでここまで印象が変わるとは……

「どうした? 次は大和さんだ」

「え、ええ、大和は茶道部で、のんびり屋でおっとりとして落ち着いただけど話はちゃんと聞いてくれる良い娘よ」

「反応が鈍い優柔不断……」

葉山さんの顔が少しひきつった顔になる。そして最後に大岡……

「お、大岡は、野球部マネージャーでいつも周りを気づかって応援や差し入れを一生懸命考えてる……良い娘よ」

「いつも様子を伺う風見鶏……どいつが犯人でもおかしくないな?」

あんたが一番犯人っぽいよ……

「やはり情報が少ないな……」

「なら、私がクラスで少し見てみるわ」

「あ! なら俺も!」

私と由比ヶ浜でクラス情報を集めることにした。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

クラス。由比ヶ浜は忘れているのか情報収集が出来ていない。

葉山さんはその例の三人と話している。まあまああんなメールがまわってもよく全員まああんなに楽しそうに……

「比企谷さん」

「うわっ!?」

戸塚さんが声をかけてきた。

「び、びっくりした……」

「ご、ごめん……」

「ああ、いや、私もボケッとしてたから……んでなにかよう?」

「ああ、うん、比企谷さんは職場見学どこへいくか決めた?」

「いや、特に……本来なら友達どうしとかで組んで決めるんでしょうけど、私は同姓の知り合いすら皆無だしね」

材木座は除外。クラスも違うしね~。

「いやいや、比企谷さん? あたしは女だよ?」

はて、私と戸塚さんは友達なのだろうか……?

「そうだ、彩希……ああ、ごめん」

すると……

「いやいや! めっちゃ嬉しい! じゃああたしもヒッキーって呼んでいい?」

「いや、ヒッキーはやめて……」

「なら八千代」

ズキューンっと、イケメンスマイルにやられかけた……

そんなことをしているといつの間にか葉山さんのグループから葉山さんがいなくなっていた。お手洗いでも行ったのかな?

………ん?

なるほど、そういうことか……

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

「一つわかったことがあるわ」

「え? なに?」

放課後の部室。私、由比ヶ浜、雪ノ下、葉山の全員が揃い、私は言う。

「あのグループは葉山さんのグループで葉山以外の三人は葉山さん以外とは特に仲良くないって事よ」

「え? そんなことは……」

「ああ、そうか! 話まわしてる中心人物いなくなると話がなくなってケータイとか見ちまうもんな……」

「……そう、私は教室で葉山さんのいないときの三人をみたけど会話なんて殆どしていなかった。つまりあの三人にとっては葉山さんは友達だけど他の二人は友達の友達なのよ」

「そ、そうなの?」

葉山さんは納得していないけどいいか……雪ノ下が言う。

「だがそうだとしても関係はない。犯人が誰かわかっていないからな」

「いや、それなら犯人を探さずに依頼をクリアできる方法があるわ」

私は葉山さんに教えた。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

数日後の放課後。職場見学のグループ決め、黒板には……

 

『戸部』『大和』『大岡』

 

――のグループが出来ていた。あの三人の内の誰かは葉山さんと組みたくてメールをまわしたんだからその葉山さんをグループから外してしまえば余った三人で組むしかないってわけね。

「ヒキタニさん」

誰よ、ヒキタニさん。葉山が私に声をかけてきた。

「お陰で雰囲気も戻ったし助かったわ」

「……私は調べただけよ」

「あはは、でも三人にグループ組ませるのは少し大変だったわよ? 私が三人と組まないって言うのはちょっと気が引けたし……でもこれで見学後も特にグループに影響は無さそうね」

そりゃ、葉山さんみたいなリア充にはちょっとグループを外れたからってハブられる事はないわよね 。

「んで、私、あの三人とグループ組めなくなって今フリーなのよ……責任とか言うつもりはないけど、組んでもらえないかな?」

うわー、私と葉山さんとか……すると……

「あー! なら私も!」

戸塚さんも来た。

 

『葉山』『戸塚』『比企谷』

 

――のグループが誕生した。次に見学先の――

「おっ、早美そこいくの? なら俺らのグループもそこな!」

同じ見学先に――

 

『三浦』『海老名』『由比ヶ浜』

 

――のグループが行く。

『ならうちも!』『じゃあうちも!』

次々と同じ見学先へ希望する。

結局、うちのクラスはほぼ全員が同じ職場を見学することになったのだった。

私のしたことの意味って……




次回は川崎編です。

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