やはり私の青春ラブコメはまちがっている。(俺ガイル全キャラ性転換) 作:Wiiが欲しいと思わない。
この話を書いてて本当に仕事に終わりはないと思いました。
リアルの仕事は大変です。
「みんなに聞いて欲しいんだ」
相模が言い出す。
「文化祭を最大限に楽しむためにはクラスの方も大事だと思う。だから実行委員の仕事のペースを落としてクラスの方も手伝えるようにしたい」
この相模のとんでもない提案について雪ノ下兄弟は――
「それは不可能――「良いねぇ! 文化祭は楽しんでナンボだ。そういう大胆な提案は良いよ~」――だ……」
弟の発言に対して兄が被せてきた。
雪ノ下は兄の登場ですっかり発言権を失った。
そして翌日。実行委員の仕事をサボる人間が増えた。つまりは人が減った。
「あの……君、いいかな?」
私のすぐ後ろで何かいう男子がいるが無視する。
「なぁ、聞いてるか?」
ち、肩を叩いてきた……
「忙しいので他を当たって下さい」
「いや、記録ならこれもお願いしたいんだけど……」
こいつは話を聞いてないのだろうか?
「忙しいので他を当たって下さい」
「それが終わってからでいいから! 仕事ってそういう物だから! 助け合わないと!」
男子は無理矢理私に押し付けてきた。全く……
すると……
「有志の申し込み、だしに来たんだけど……人、足りてるの?」
葉山が来た。私は事実を伝える。
「さあね、私は自分の仕事で手一杯よで」
「貴方の仕事って?」
「記録雑務」
「似合うわね」
喧嘩を売ってるの? 買わないわよ?
「雪ノ下君が一人でやってるように見えるけど……」
「それでなんとか回ってるわね」
「それだとすぐに破綻するんじゃない?」
「それ以外に方法が無いのよ」
「破綻する前に人を頼った方がいいと思うけど……」
「その頼る人がいないのよ」
「あはは、そうなんだよねぇ~」
私と葉山の会話に城廻会長が入ってきた。
「各委員にちゃんとくるように伝えはしたから明日からは増えると思うけど」
いや、ここからどんどん減ると思いますけど?
「有志代表って形で私も手伝います。良いですよね?」
「助かるよ~、雪ノ下君も、やっぱり皆で助け合わないと!」
「助けてもらう事しか考えてない人の方が多いですけどね」
私の発言に空気が固まった。
「人に助け合わないとと言いますが、その発言をした人は誰も助けていません。それは助け合うではなく一方的に押し付けるって言います。そういう人ばかりなんですよね、さっき私が『忙しいので他を当たって下さい』って言ったのにも関わらず押し付けてきた人なんてまさにそれですよね……」
「比企谷さん……」
「……君、サイテーだな……」
葉山、城廻会長が揃って言う……いや、事実ですし……
「……あ、あの……やっぱり、他の人に頼むわ……」
さっき私に仕事を押し付けてきた男子は期限悪そうに押し付けた仕事を持っていった。
……。
…………。
………………。
さらに数日後。仕事は減らずに人は減る。
「2F代表、企画申請の書類が出ていないぞ」
それは相模の仕事では? しかし、いない。
「葉山さん、私書くから教えて」
「ごめん、全部は把握できてないわ」
「それでいいわ、あとはテキトーに書くから」
「いや、ダメでしょ」
「……聞こえているぞ」
「クラスに残ってる人に聞いた方がいいわ」
「そう、なら相模か海老名君、呼んできてくれない?」
「ごめん、私今手が話せないの」
とはいっても私も自分の仕事しないといけないから離れるわけにはいかないし……仕方ない……
私は携帯で由比ヶ浜を呼んだ。
「だからここはそうじゃなくてな、もっとこうばーんと!」
「わかんないから自分で書いてよ……」
「いや、これは代表の仕事だろ……」
できない言い訳でしょう?
「いやぁ、遅れてすまん。お、葉山さんここにいたのか」
相模がやって来た。
「相模、ここに決裁印を頼む。書類上の問題はない」
「おー、ほいほい、てかハンコ渡しとくから押しといてくれ」
「おい、それは良くないぞ、職務放棄だ」
「いやいや、その方が効率いいだろ? 大事なのは形式じゃなくて中身だろ? これは委任だ」
雪ノ下は城廻会長に視線を送ると……
「雪ノ下君がいいなら……」
「……わかりました。今後は俺が決裁します」
こうして相模は自身の最後の仕事さえも放棄したのだった。
……。
…………。
………………。
さらに数日後。今日は雪ノ下までいなかった。
ちょっと! あんたまで職務放棄する気!?
そんなことを思っていると……平塚先生が?
「比企谷。雪ノ下は今日は体調不良で欠席だ。学校には連絡が来ているが文実には来ていないだろうからな」
え? そうなの? ありゃぁ、あいつ一人暮らしだよね? 大丈夫なの?
隣の葉山も思ったようで……
「雪ノ下君、一人暮らしだから誰か様子見に行った方が」
「そうなのか……なら誰か様子見に行ってくれないか? こっちは任せてくれ」
城廻会長は私と葉山に向かって言う。
「先輩達だけで大丈夫ですか?」
「む~、うん、自分でわかることなら対処はできると思う」
といった矢先に……
「会長! スローガンの事で問い合わせが来てまして……」
「ゲッ! こんなときに!」
さっそく問題発生。会議室を出てしまった。
「……どうするの? 私は行っても良いけど」
ん? なんで私を見るのかしら?
「気が利いて役に立つ人が残った方がいいかと思うけど……」
ああ、なるほど……
「あー、はいはい、役立たずが行けって言いたいのね」
「……念のために言うけど貴方が無能なんて思ってないわ。雑務として全ての役職に触れて文句は言いつつも仕事は全てしっかりとしている貴方を役立たずなんて誰も思えないわよ」
「あんたのすぐ後ろに思っている人がいるようですが?」
「……え?」
葉山が振り向くとその男子は目をそらす。
「……こほん、一部そんな非道な人もいるけど少なくと多くは貴方を無能とは言えないわ。それで、どうするの?」
もう一度葉山は確かめる。
比企谷 八千代では葉山 早美には勝てない。実際に勝ってる部分なんて胸の大きさくらいだし、そんなものは誇れる事じゃない。
前に雪ノ下が言ってたけど有能で優しい人間ほど思う通りに生きられない。誰かに何時も頼られてそれに応えなければならない。
「……私が行くわ。誰がどう考えてもあんたの方が優秀だしね、一部とはいえ私は役立たず扱いみたいだし」
さっきの男子が周りから見られる。
「というわけで、ちょっと行ってきます」
「そうか……教師の手前、生徒の住所を教えたりは出来ないのだが……」
「ああ、大丈夫ですよ。由比ヶ浜が夏休み中に泊まったとか聞いたので、教えてもらいます」
「じゃあ、お願い。陽斗さんには私から言っておくから」
「助かるわ……」
私は会議室を出て由比ヶ浜に電話をかける。
『ヒッキーどうした?』
「雪ノ下が今日休んでるのよ」
『え!? マジか!?』
「体調不良らしいわ、だから雪ノ下の家の場所教えてくれない?」
『俺もいく! 校門で待っててくれ!』
え? あんたも行くの?
……。
…………。
………………。
移動中、私達は無言だった。
雪ノ下の住んでるマンションは高級そうなタワーマンションだった。
オートロックのパネルから部屋番号を入力して呼び出しをする。
『……はい』
「雪斗! 俺だ! 優だ! 大丈夫か!」
『……寝起きにその大声はキツい……大丈夫だ』
「ちょっと、開けてくれない?」
『……待てなぜいる』
来ているのが由比ヶ浜だけだと思ったようですね……
「話あるの、なんならお粥でも作るわよ?」
『……10分待て』
私達は待つことにした。
……10分後……
ガコンッとオートロックの扉が開く。入ってこいと言う事らしい。エレベーターを上がり、由比ヶ浜を追いかけるようについていく。
そして由比ヶ浜が止まり、部屋を確認してインターフォンを押す。そして数秒後。
「どうぞ」
私達は部屋に上がる。一人暮らしで広い部屋に住んでるなと思いながらリビングへいく。
「その辺に掛けろ。で、話とは」
「今日休んでるって聞いて心配になって」
「1日休んだだけで大袈裟だ」
「まだ顔色悪いぞ? 疲れてるんじゃ……」
「多少はな、それくらいは問題ない」
「それが問題なんだろ? 雪斗が一人でしょいこむ事はねーだろ、他に人もいるわけだし」
「わかっている。先日言われて仕事は割り振った」
「出来てねーだろ?」
さっきから由比ヶ浜は雪ノ下の言葉の痛いところをついてくる。
「俺、ちょっと怒ってるからな。ヒッキーにも、助けるって言ったのに……」
「自分の仕事で手一杯なのよ。さらに別の人から押し付けられてるし……」
「記録雑務に役職以上の事を望んではいない。役目は果たしてくれているから助かってはいる」
「だけど……」
「誰かを頼ってみんなで助け合う、支え合う。一般的には正しいわ。模範的よでも理想論よ、それで世界は回っていないわ。必ず誰かが貧乏くじを引き押し付けられて泥を被る。それが現実よ。だから人を頼れなんて言う気は無いわ。でも雪ノ下、あんたのやり方はまちがっているわ」
「なら、正しいやり方を知っているのか?」
雪ノ下の声は震えていた。
「知らないわ。でも今までのあんたのやり方とは違うでしょ」
「…………」
沈黙が続く。
「すまん、茶も出さずに」
「いいよ、俺――いや、ヒッキーがやるから」
「は? なんでよ?」
「さっきなんならお粥でも作るって言ってただろ? お茶入れるついでに作ってやれよ」
「いや、別にいいけど……あんたが許可することじゃ……」
私は雪ノ下が『お前が作ったものなど食えるか、ふざけるのも大概にしろ』等とでも言われると思うと……雪ノ下は意外にも……
「あるものは勝手に使って構わない……」
「え? いいの?」
「今さらお前の料理の腕を疑うほど俺は捻くれてはいない」
意外にも信用はされているようだ。私の料理の腕は。
「わかったわよ、ちょっと待ってて」
私はキッチンへ向かう。冷蔵庫の中身は……む、以外とずぼら……なんでソースやしょうゆまで入れるかな~、入れるイメージあるけど実は要冷蔵とは書いて無いんだよ?
「雪斗。少し考えたんだが……俺とヒッキーを頼ってくれよ。誰かとかみんなじゃなくて……俺達を頼ってくれよ。俺は、その、何か出来るわけじゃねーけど、ヒッキーは……」
……冷蔵庫のなかには野菜は少しある、卵は結構ある、海苔の佃煮もある、なめ茸もある、魚や肉はない。戸棚には米ある。海苔もある。
「麦茶でいいか?」
調理器具は……包丁はある、ピーラーない、オタマある、炊飯器ある、ザルある、ボウルある、土鍋無い、フライパンある、ヤカンある、小さい鍋はある。これで作るか……
「……今すぐには難しいが、きっといつか、君を頼る。だから、ありがとう」
私は米を洗い、お粥を作る。秋太にもよく作ったっけ?
溶いた卵を入れ、付け合わせになめ茸や海苔の佃煮を別皿に盛る。
そんなこんなで数分後。
「できたわよ」
「おー、うまそ~」
「余ってるからあんたも食べたら?」
「え? いや、それは……」
「あたしは帰るわ」
「え? なら俺も」
「由比ヶ浜」
「え? あ、おう!?」
由比ヶ浜は何か覚ったのか……
「あ、い、いただきます」
「じゃ、あとよろしく」
「え? おい」
私は由比ヶ浜に任せて出た。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「く、少なくとも俺が作るより旨い」
「うん、ヒッキーって専業主婦向いてるかも……」
次回は何時になるかわかりませんがスローガンです。