やはり私の青春ラブコメはまちがっている。(俺ガイル全キャラ性転換) 作:Wiiが欲しいと思わない。
職場見学当日。
「それでは解散」
が、終了して、私は帰ろうとしていると――
「おい、ヒッキー!」
――由比ヶ浜が話しかけてきた。
「なに?」
「なに、じゃなくて、どこ行くんだよ?」
「解散って言われたでしょ? 帰るのよ……」
「はぁ? 終わったら皆でファミレスとカラオケ行こって話になってただろ?」
「その『皆』の中に私が入ってると思わないでよ。私は誘われてないからね……」
「え? あー、なら俺が誘うから行こーぜ」
………。
「……由比ヶ浜。あんたさ、いい加減にしてよ」
「え?」
「事故ったのは、私の不注意だし、犬のリード離しちゃったのは不可抗力だし、私は気にしてないよ……」
「え!? ヒッキー……気づいて……」
「秋太が教えてくれた。……私は事故があろうとなかろうとボッチだっただろうし……もうそんな罪滅ぼしみたいな気づかいしなくていいよ……」
「あ、あはは、そ、そんなつもりはねーんだけど……」
私は由比ヶ浜に背を向けて行く。
「………………ばか」
この職場見学の後から、由比ヶ浜は奉仕部部室に来なくなった。
……。
…………。
………………。
数日後。部室にて……
「比企谷。お前、由比ヶ浜と何かあったのか?」
「……別に、何もないわよ」
「……なにもなかったら来なくなったりしないだろ、喧嘩でもしたのか?」
「別に……」
「喧嘩というより、すれ違いか?」
「そんなとこかしらね? まああれよ一期一会。出会いがあれば別れもあるわ」
「……そうかもな、人と人の繋がりなど簡単に壊れてしまう……」
すると……
「邪魔するぞ!」
平塚先生登場。
「なんだ? このしけた空気は? まあ由比ヶ浜が来なくなって一週間。流石のお前らも寂しくなったか?」
「で? 今日はなんのようですか?」
「ああ、例の勝負の中間報告に来たんだよ」
勝負? ああ、あれね……
「あれな、やっぱり三つ巴の戦いにしたいと思う」
三つ巴?
「お前らは考え方こそ違うが、どちらもコミュニケーション能力にかけるのは数回の依頼でわかった。由比ヶ浜のようなその辺の能力のある奴も入れた方が依頼の解決法に幅が出るかつ勝負も面白くなる」
勝負に面白さを求めるのはどうかと思いますが?
「……しかし、由比ヶ浜は……」
「ああ、そうか、来なくなったんだったな、困った。これでは三つ巴の戦いが出来ない……」
「由比ヶ浜は辞めたわけでは……」
「……来ないなら辞めたと同じ扱いだ。まあ、ならお前らに部員補充の課題を出そう。期限は来週の火曜!」
来週の火曜……今日が金曜日だから……
「……実質勧誘期間が月曜日しかありませんが?」
「俺だって暇じゃない。それにここは道楽でやらせている訳じゃない。やる気がないものは去れ」
「――では」
ゴキゴキッ!
平塚先生の拳がなった。どうやら私には去る権利がないらしい……
「部員補充を行えば良いんですね?」
「そうだ。まあ出来なかったら出来なかったで罰くらいは用意するから頑張れよ」
平塚先生は去っていった。
「……どうすんの?」
「言われた通り、部員補充をすればいい」
「誰を誘うの? 戸塚? 戸塚だよね?」
「……確かに彼女なら入ってはくれそうだが、違う。由比ヶ浜だ。辞めるのならもう一度入ってもらう」
「はあ?」
「俺はな、以外とこの数日が気に入っていたようでな、できることなら彼には戻ってきてほしい……」
ほぉ、雪ノ下がここまで言うとは……
「それに、良いタイミングかも知れんしな……」
「良いタイミング? 何が?」
「次の月曜、6月18日が何の日かわかるか?」
6月18日? 6月には祝日なんてないし……
「たぶん由比ヶ浜の誕生日だ」
「……たぶんって……確信無いのになんでそう思うの?」
「あいつ本人が言っていただろ?『メアドは普通ローマ字の名前に最後に誕生日』って、あいつのメアドに0618と入っていた。ほぼ間違いないだろ」
私は見てみると、確かに入っていた。
「俺はあいつが戻って来なくとも、祝ってはやりたい。だからな……」
雪ノ下は言う。
「……付き合ってはもらえないか? プレゼント選びに」
私は渋々承諾した。
……。
…………。
………………。
日曜日。私と雪ノ下、そして秋太がショッピングモールに来ていた。
「すまないな、わざわざ付き合ってもらって……秋太君」
「いえいえ! 優さんの誕プレなら俺も選びたいですし!」
雪ノ下は、秋太に付き合ってもらいたかったので私に頼んだだけなのだ。
「ところで! 雪斗さん! ねーちゃんの私服! どすか!?」
何を聞いているんだ、秋太は……どうせ『ふん、馬子にも衣装の馬子にすらなれていないな』とか罵倒してくるに決まってるでしょうが……
「ふん、馬子にも衣装とは言うな。てっきりジャージかなにかで来るかと思ったぞ」
違った。罵倒にはかわりないけど私が家じゃほぼジャージ姿だと思われてる。その通りだけど……
「フッフッフ! ねーちゃんにはきちんとコーディネートを学ばせてますからね! 俺の教育で私服センスはバッチリですよ!」
そんなことは良いでしょ……
「しかし、ここは広いな……」
「手分けしましょう、私はこっち、雪ノ下はそっちね」
「はい、ねーちゃん待てい!」
秋太が言い出す。何よ?
「単独行動禁止! せっかくだからみんなでまわろう」
「それだと全部見れないけど?」
「優さんの好みを予想するとこの辺りは除外すればOKだ! そいじゃあしゅっぱーつ!」
秋太の提案で三人で行動することになった。
……。
…………。
………………。
数分後。
「あれ? 秋太は?」
「なに? 居ないのか?」
「全く……」
私は秋太の携帯に電話をかけた。
『んあ~、ねーちゃん?』
「秋太。あんた今どこにいるの?」
『あ~、俺さちょっと友達と偶然あってさ、そいつと遊んで適当に帰るから二人で何とかして』
なにさそれ? 適当すぎるでしょ……
秋太は電話をきった。
「友達とあったからあとは私たちでどうにかしろと……」
「全く、秋太君は何を勘違いしているんだ……」
全くよ……
ともあれ、私と雪ノ下は由比ヶ浜の誕プレ探しに入った。
……。
…………。
………………。
「んで、どう言ったものが良いのだろうか?」
「……由比ヶ浜の趣味とか好みとかよくわかんないしね」
「だから秋太君に期待したのだがな……」
本当に家の愚弟がすみませんね……
「だからってあんたや私の趣味や好みであわせてもね……」
「……ああ、由比ヶ浜がドライバーセットや電動工具をもらって嬉しいとは思えん」
むしろそれ、あんたでも嬉しいの?
「とりあえず、日常的に使うものにしたら? 文具とか……」
「うーむ、しかし、地味だからな……ん? そういえば……」
雪ノ下が近くのポスターを見て言う。
「そういえばこのブランドをかっこいいと言っていたな……このTシャツなんてどうだ?」
「いいんじゃない? 由比ヶ浜、ファッションセンスよくないし、そういう欠点をつくのも良い方法かもね」
私たちは服屋さんへ移動した。
「どうだ?」
雪ノ下が例のTシャツを試着している。
「いいんじゃない? 似合ってるよ」
「俺に似合っていても意味が無いが?」
「わかってるわよ、あー、でも由比ヶ浜はあんたより身長高いからもう少しサイズ大きめの方がよくない?」
「なるほど? 店員に聞いてくる」
「私は店の外で待ってるわよ~……ふ~」
私は壁に背中をつけて休む。すると……
「ねーねー、かーのじょ。なに? 憂鬱な顔しちゃって、彼氏にフラれた?」
見知らぬ男がそんなことを言っていた。
「ちょっとちょっとぉ~、流石に無視って酷くない?」
「ん?」
私は振り向いた。どうやら私にいっていたようだった。なんのようだろう?
「なにか?」
「だからさ~、君暇でしょ~、だったらさ~」
「どうした? 比企谷」
雪ノ下が店から出てきた。
「ん? なんだよ、男連れかよ……たっく」
見知らぬ男は去っていく。なんだったのだろうか?
「……ふむ、お前でもナンパされることはあるんだな」
「あ、今のナンパだったんだ?」
「気が付いて居なかったのか?」
「私をナンパするとは……どれだけ失敗してきたんだか……」
「失礼だぞ、ナンパしていたあの男に」
「私にもね、んで買えたの?」
「ああ、なんとかな……」
「んじゃ、次は私のを買いにいくよ」
「まて、その前に言っておくことがある」
「なによ?」
「歩く距離をつめろ。さっきのような物好きなやからが他にいないとも限らん。光栄に思え、彼氏のように振る舞ってやる」
何を偉そうに……とりあえず言う通りにした。
……。
…………。
………………。
私の目当ての物はあっさりと見つかり、とりあえず休憩……
「これでOKだな」
「んで、どうやって由比ヶ浜を部室に連れてくるの?」
「ああ、一応考えてはいるが――」
すると……
「おや? おや? おや? おんや~? 雪斗君が、デートをしているぞ~?」
雪ノ下に少し顔が似た、年上の男性が近くにやって来た。
「……兄貴……」
兄貴……お兄さん!?
「ヤッホー、雪斗君久しぶりだね~、いやー、雪斗君もすみにおけないな~何時の間に彼女作ったのさ~」
「……彼女じゃない」
「またまた~、それは彼女に失礼だよ? んで、彼女さんのお名前は?」
「へ? あー、比企谷 八千代……です。あと、本当にか彼女じゃないですから」
「ふぅん、比企谷ちゃんか~、ああ、俺は雪斗君の兄の雪ノ下陽斗(ゆきのしたハルト)。よろしくね」
「はぁ」
「いやぁ、なるほど雪斗君はこういう娘が好みかぁ~、意外だね~」
「しつこいぞ、彼女じゃないと言っているだろうが!」
雪ノ下が怒った。
「ははは、まあ、デートを邪魔するのも何だしあったのも良いタイミングだから言うがよ雪斗君。親父、まだ一人暮し許してねーぞ」
「!」
「まあ、近いうちに実家顔出せよ~、じゃーな」
雪ノ下の兄、陽斗さんは去っていった。
「……なんか……すごい人ね」
「ああ、成績優秀、運動神経ばつぐん、品行旺盛。とつかみどころのない兄だ」
「は? んなのあんたと変わんないでしょ? 私がすごいって言ったのはあの心の裏が見えそうで見えない完璧な外面の事よ」
雪ノ下は目を丸くしていた。
「元々容姿は良いんでしょうけど、それでいてあのニコニコ顔で一定以上に自分を語らない」
「ふん、お前でも……いや、お前だからこそわかるわけか……ああ、兄貴は昔から社交の場に連れられ続けいつしかああなった。そして俺はあの兄貴に何一つ勝てない」
「まあ、いいわ、帰りましょう」
「あ、ああ……」
すると――
『わん!』
――犬が向かってきた。
「うおあっ!」
私は倒れた。
そしてその犬は、私を舐め回す。
「ちょっ!? なつきすぎじゃないの!?」
そして飼い主も来た。
「すいませーん!? 家の犬が……って、ヒッキー!?」
「……由比ヶ浜……」
「え!? なんでヒッキーが雪斗と?」
「あー、それは……」
私が言い訳しようとすると……
「あ! いや、いい、皆まで言うな! わかってる、わかってるからな!?」
あ、これ、絶対にわかってないな……
「んじゃ、俺はこれで……」
「由比ヶ浜、待ってくれ」
「な、なんだよ?」
「月曜日、部室に来てくれないか? 話したいことがある」
「え!? あー、えっと……わかった」
いいの?
こうして私たちは月曜日の部室に集まることとなった。
今回はここまで。次回は少し短くなるかも知れません。