異世界転生の特典はメガンテでした   作:連鎖爆撃

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Side 神様

【それを売るなんて】ヒキヲタをドラクエの世界に転生させたら太陽の石を売り払いやがったwww【とんでもない】

1 名前:以下、名無しにかわりまして神様がお送りします
金が無いからって最重要アイテムの一つを売りやがったwww
どうすんだよゲームクリアできないじゃんwww

2 名前:以下、名無しにかわりまして神様がお送りします
ワロタ

3 名前:以下、名無しにかわりまして神様がお送りします
ドユコト?

4 名前:以下、名無しにかわりまして神様がお送りします
スレタイで草



「スレ伸びねぇな……」


あるだけください。

「勇者さん、勇者さん。《聖水》入荷しました!」

「……マジで?」

「フフ、マジです!」

 

ラダトームの城下町、いつも《魔法の聖水》を売ってくれている店で、そこの看板娘さんが声をかけてくれた。

 

《聖水》とはこのアイテムの効果が生きている間、モンスターが近寄ってこないアイテムである。

 

これがあるのと無いのとで、俺の生存率は大きく変わる。俺はコイツを喉から手が出るほど欲しがっていたのだ。

 

ゲームからリアルになったこの世界にはちゃんと物流というものが存在するらしく、俺がこの世界に来た時点では《聖水》は品切れしていた。

 

「……箱でください」

「……プッ、オカシイの。敬語になっちゃってますよ。それにそんなに持てませんから」

「とりあえず、持てるだけください」

「ハイわかりました!えっと、これも小型瓶でたくさん持てるようにしましたから!」

「いつもありがとうございます」

 

思わず深々と頭を下げる。

《魔法の聖水》を大量に持ち運べるようにしたいと話したところ、濃縮して小型瓶化することを考えだしたのは何を隠そう彼女である。

彼女抜きに俺のレベリングライフは語ることができないのだ。

《聖水》も可能なら小型化してほしいと頼もうと考えていた矢先のこの発言。え、もしかして神様ですか?いや、こんな言い方したら失礼だな。彼女に対して失礼だ。

 

「そんな、こちらこそ、です。それに勇者さんがいてくれるから私たちは希望が持てるんです。頭をあげてください」

 

涙が出そうだ。こんなに優しい言葉をかけてくれる娘は他にいない。

 

……女僧侶さんも見習ってくんないだろうか。

 

勇者 Lv.18 ♂

HP/MP:81/45

現在装備 

頭:なし

胴:布の服の上に鋲のついた皮の鎧

武器:ポイズンダガー

盾:なし

特技:《ギラ》《メガンテ》《ホイミ》

特典スキル:

ザオラルガード(ザオラル系の呪文への完全耐性、蘇生アイテムも効かない)

メガンテマスター:メガンテを使っても必ず一回瀕死になる。

 

この世界に転生してから実に4ヶ月。

 

……考えてみたら《聖水》ナシでよく4ヶ月も生き延びたな、俺。

 

 ◆ ◆  ◆   ◆

 

1週間前の朝のことである、ラダトーム城がひっくり返らんばかりの大騒ぎになっていた。

 

「……何があったの?」

 

フィールドでは気を張ってる分、城の中での俺は気が抜けまくっている。寝間着のまま部屋から出て、廊下をただならぬ様子で駆けていた女僧侶に声をかけてみた。

 

「大変なんですよ勇者様、《太陽の石》が見つかったんです!」

「……え?」

 

……え?

 

 

 

あとで聞いた話によると、《太陽の石》を持て余した道具屋のおやじが結局これをラダトーム城の王様に献上したらしい。とうの昔に失われたと考えられていた国の秘宝を前に王様はひっくり返り、家来たちは慌てるばかり。

とりあえず道具屋のおやじは500000Gの報奨金、およびラダトームにおける税の免除を生涯保障されたらしい。

 

……えー。

マジで?ゲーム内では特に反応を示してくれないから皆どうでもいいんだと思ってたわ。

 

 

 

話を聞いた後おやじの顔を見に行ったら、滅茶苦茶いい笑顔で、「ガッハハハ、おう!あんちゃん、アレ(・・)を売ってくれてありがとよ!お陰で大儲けだ!全く勇者様様だぜ!ガッハッハッハ!」って言われた。喜んでくれてくれて何よりです。とりあえず一発殴らせろ。

 

何も知らない女僧侶からは「よかったですね。これでりゅうまおう討伐に一歩近づきましたよ。道具屋さんに感謝しなきゃですね」と言われる始末。胃がいてぇ。

 

そんなこんなで目の前に転がっていた安定した収入源を見逃していた俺といえば……

 

「メガンテェェェェェ!」

「「「ウガァァァァ!」」」

 

ここ一週間、よりよい収入のためにゴールドマンを探し、《キメラの翼》を握ってフィールドを駆けていた。

 

 

 

《聖水》を買って、早速実戦投入する。

 

スゲェ、全然モンスター達に気づかれてねぇ。これならゴールドマン狩りも安定するな。

 

一旦城に戻り、色々と準備してゴールドマン狩りに出掛ける。

よっしゃ、これでやっと収入源を確保できる!

出かける際に思わずニヤけているところを女僧侶に目撃され、「どうしたんですか?いつもにまして気色が悪いです」と言われたが今の俺には気にならねぇ。

 

気にならないと言ったら気にならねぇ!




本編で触れられない設定

08.主人公の持つ特技について
レベリングしたら自動的に特技が増えていくのがドラクエの特徴であるが、リアル化しているこの世界ではその限りではない。
あくまで元々の才能というものがなければレベリングしても特技を修得することはできない。
主人公には《ギラ》の才能しか無かったようである。主人公はいくらレベリングしても特技が増えないため女僧侶に相談したところ「そんなことも知らなかったんですか?」と呆れ顔で言われた。
才能は無くとも修行によって特技を修得することは可能で、「私も忙しいから、見てあげるのは少しだけですからね。あんまり時間を取らせないでください」と女僧侶さんに修行をつけてもらっているところである。

09.ゲームと主人公を取り巻く状況が違うことについて
10年間で色々あった。

10.ゴールドマン
ゴーレム型のモンスター。高い体力と物理攻撃力を持つ。体力のわりに得られるEXPは少ないが代わりに大量のゴールドを吐き出すATMみたいなやつ。主人公の金策として選ばれた。

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