異世界転生の特典はメガンテでした   作:連鎖爆撃
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たすけてください勇者様!(後)

Side 兵隊長

―――――野郎共、王女の愛が欲しいか!

「「「「「ウオォォォォ!」」」」」

今、ローラ姫、いや、女僧侶は囚われの身だ!
竜王のクソ野郎の手の内にある。



俺達は、紳士として彼女に接してきた、そうだな!

「「「「「そうだぁぁぁぁ!」」」」」

それを、いけ好かないぽっと出のクソ野郎に茶茶を入れられた気分はどうだ!

「「「「「最悪に決まってんだろぉぉぉぉ!」」」」」

我々は、奴を100回殺しても殺し足りない!

だが、奴に好き勝手させてしまっている自分の事はどうなんだ!

「「「「「1億回殺しても!」」」」」

「「「「「殺したりねぇぇぇぇ!」」」」」

今より、特別()強化期間に入る!

死ぬ覚悟のあるやつだけ残って、あとはテメェの田舎に帰れ!

「「「「「誰が!」」」」」

「「「「「帰るっつうんだ!」」」」」

必ずや、我々は女僧侶を奪還する!

これは、前哨戦に過ぎんぞ!
ここで死んだら、貴様らは一生童貞だ!

「「「「「婚約者のいる奴は今すぐ死ねぇぇぇ!!!」」」」」

………フッ、行くぞ!

「「「「「ウオォォォォ!」」」」」



兵隊長率いる特別部隊が、ドムドーラの廃墟に雪崩れ込んだ。

 ◆ ◆  ◆   ◆

………ここは?

意識を取り戻したら、ベッドに寝かされていた。

「おお、目が覚めたか勇者さんよ!」

俺に声をかけてきたのは、恰幅のいい男だった。



「あんた、勇者なんだろ?」



「いやぁ、ゴーレムを倒しちまったのはあんたで3人目だよ」

 ◆ ◆  ◆   ◆

城塞都市メルキド。
強力なモンスターが闊歩する地帯に存在しながら、番兵のゴーレムの存在により侵略を免れている。
勿論のこと、ここに存在する武器防具の類もモンスターのレベルに合わせてかなり強力なものが多い。
城塞都市の名に恥じない堅牢さを誇る。

「ってのに、こんなボロボロの優男に入り口を破られるんじゃあ城塞都市の名も返却だなぁ」

……いや、その必要は無いと思う。



俺を介抱してくれたメルキドの顔役。

その後ろに控える、何十体という()()のゴーレムを見て、俺は青くならざるを得なかった。



簡単な話である。

これが、初代勇者、つまりロトの子孫、つまりは竜王に唯一傷をつけた転生チート野郎。
その好き勝手の結果、というわけである。



「いやぁ、ロトの勇者にゴーレムを破壊された時はどうなるかと思ったけど、こんなもの作ってもらったら、文句が言えんわな!」

 ◆ ◆  ◆   ◆

ロトの勇者がこの世界に持ち込んだ特典は2つ。

一つ目は、自身のチートスペック。

もう一つが。

「いやぁ、『たくさんの光が集められる場所が必要だ』って言ってね?ここの南東の山岳地帯があるだろ?工房をそこに作ったらしいんだが、街の外をうろつける奴が居なくてね。彼も帰ってこないし。今はどうなっているか見当もつかんよ」

「スゴいだろ!彼はコイツラを魔物の“配合?”かね、よくわからん方法で作り上げちまったんだよ!」

「ああ、あんたも腕が立つみたいだがやめた方がいい。工房の近くは見たことも無い魔物が溢れ帰っていてね。ラダトームの兵隊長さんがしばらく調査したが結局何もわからず終いでね。行くだけ命の無駄ってもんさね」

「結局、木組みの祠しかなかったって話さ」

ロトの勇者が持ち込んだ2つの特典。
もう一つが“星降の祠”である。



……いや、アレフガルドで何好き勝手やってんのさ、初代勇者さんよ。

 ◆ ◆  ◆   ◆

フラグヒント回収終了。

《ロトのしるし》の在処を知っている賢者がとっくの昔に逝っていたと聞いた時は一瞬立ち眩みがしたが、そこは賢者、ちゃんと遺言を残していた。

「勇者が来たら渡してくれってね。ホイ、この手紙。は、文字が読めない?外国から来た?何で勇者に選ばれてんの?」

俺に聞くな。

「まぁ、いいか。読むぞ。……ラダトームまで北に70西に40……何のことやら?ああ、地図か。このグリッドを数えるわけさね……あれ、毒の沼地しか無いけど、この遺言あってるのかねぇ」

ああ……

これで合っているんだよ。

 ◆ ◆  ◆   ◆

合っているけど合ってなかった!
1グリッドって広すぎんよ!

俺は毒の沼地のど真ん中で、スコップ片手に項垂れていた。
時間が無いのに………クソッ!

原作でも、何の目印もない場所に《ロトのしるし》は埋まっていた。
で、この世界。
ゲームの一マスが、大きく拡大されている。ざっと、数km四方。いや、そう感じるだけでもっと小さいかもしれないが、要は全部一人で掘り返すには無理な広さなわけだ。

うん、《ロトのしるし》って、メダル状のアイテムだろ?この広さから探し出すのはまず無理かな。



あのゴーレム軍団でも借りるか?なんて無茶ことを考えながら、目印でもないかとウロチョロしていると………



「来たか!ここで待っていれば必ず来ると思っていたぞ!」

変な魔物が目の前に現れる。

「父の敵!この魔界童子がロクな装備を持たぬ勇者を襲うことを!よもや貴様は卑怯とは言うまいな!」










黙って《スコップ》の《魔人斬り》で切り捨てた。

俺もそろそろイライラが限界だったのである。

勇者 Lv.34 ♂
HP/MP:141/139
現在装備 
頭:なし
胴:洋服の上に鋲のついた皮の鎧
武器:どくばり&スコップ
盾:なし
特技:《ギラ》《メガンテ》《ホイミ》《レミーラ》《リレミト》《疾風突き》《トラマナ》《燕返し》《ゾンビ斬り》《ベギラマ》《連続攻撃》《雄叫び》《魔人斬り》


おら、メルキド製の《スコップ》だ。
ロクな装備じゃないだと?

人間様をナメんじゃねぇ。



灰になり、経験値とゴールドを残して消える魔界童子。

けっ、偉そうな口を利いておいてこの程度(経験値とゴールド)かよ。しけてやがる。

でも、まぁ許してやるよ。

ワザワザ『なんかありますよ!』的な登場してくれたからな。



変な魔物が現れたあたりを掘り返すとはたして………



異世界転生してから12ヶ月。
女僧侶の婚礼まで、あと1ヶ月。

俺は《ロトのしるし》を片手に雄叫びをあげていた。



俺はやったぞ、おっさん!



おっさんの方の首尾はどうなっているんだ?



 ◆ ◆  ◆   ◆

Side 兵隊長

部下たちの戦う姿を見て、兵隊長は思わず笑んでしまった。

勇者のボウズ、俺はお前に剣の才能があるといったな。
スマン、あれは勘違いだったかもしれん。



少なくとも、コイツラのほうがよっぽど才能があるからな。



「《ドラゴン斬り》!」
「《ドラゴン斬り》!」
「「「「「《ドラゴン斬り!》」」」」」

兵隊A Lv.26 ♂
HP/MP:125/0
現在装備 
頭:鉄の兜
胴:鉄の鎧
武器:鋼の剣
盾:なし
特技:《ドラゴン斬り》《疾風突き》《魔人斬り》《刃の防御》

兵隊B Lv.25 ♂
HP/MP:127/0
現在装備 
頭:鉄の兜
胴:鉄の鎧
武器:鋼の剣
盾:なし
特技:《ドラゴン斬り》《疾風突き》《魔人斬り》

兵隊C Lv.29 ♂
HP/MP:140/0
現在装備 
頭:鉄の兜
胴:鉄の鎧
武器:鋼の剣
盾:なし
特技:《ドラゴン斬り》《皆殺し》

兵隊長の視線の先には、次々にドラゴンを狩る部下の姿があった。



さて、俺も自分の仕事をしますかね。

兵隊長は、()()()の前に立って、剣を構えた。

確信する。



コイツは、俺が本気を出して戦わなければいけない相手だ。



「……」

無言で相対する悪魔の騎士。



兵隊長が剣気を放った瞬間。



悪魔の騎士が斧を抜き放って攻撃を仕掛けてきた。




本編で触れられない設定

25.メダパニ
初出はⅢ。相手を混乱させる呪文。
この世界では、精神支配・記憶操作など多彩かつ応用の効く呪文である。

26.竜王六魔将
完全なゲスト出演。小説版より。
喋るスターキメラ、喋るだいまどう(部下の魔界童子)、あと悪魔の騎士。

27.兵士たち
兵隊長の部下。平均Lv.20→28。
一般人、かつ魔法を使えない者が大半だが、《銅の剣》一本あれば、ゴールドマンをタイマンで狩る程度の実力は元々あった。
性格はキツイながらも、思いやり深く治療を施してくれる女僧侶に惹かれるものが多かったが、周りの目が怖くてちょっかいを出すことができずにいたらしい。
勇者に殺意を抱くものも多かったが、竜王の襲撃によりその殺意がようやく正しい方向へと向き始めた。

28.ゴーレムの倒し方
一人目:ロトの勇者
「ああ、あんたと一緒でね。よくわからん爆発の魔法でね。たった一撃でゴーレムを吹き飛ばしちまったのさ。彼はそれを山を削るのにもよく使っておったなぁ」
二人目:おっさん
「カカカ!兵隊長さんはまだ若くてな!まぁ、25かね?鬼気迫る様子でやって来てね。薬草を何回も噛みながら三日三晩、強化版ゴーレムと泥仕合さ!見ているこっちが熱くなっちまってね。剣が折れた時にはもう駄目だと思ったんだがね。ゴーレムが倒された時には、年甲斐もなく叫んじまったよ!でな、介抱してやったら、開口一番に『水……』ってな。カカ、どこまでも期待を裏切らない男だったな」
三人目:主人公
「おお、あんたも爆発の魔法が使えんのかい。あれはスゴいな。ゴーレムの耐久は3体の中では最高だったてのに。彼の話によると、HPかね?3000あったんだがなぁ。良ければ、その魔法を教えてくれんかね?山を削るのに使いたいんだがね。え?魔物相手にしか使えない?はぁ、あんたも未熟だねぇ。使う度に薬を飲むところは変わらんかったが、彼は何にでも使っておったぞ?」