やはり俺が炎術士なのはまちがっている。   作:世間で言うジョージさん

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少し夜なべをして作製、コインランドリーで回してる間に作製、投下(笑)

いつもスマホでの投稿なので、早ければこのペース!



第5話 火影

 

 

 

そんなこんなで平塚先生の家に到着した。見た目は美人教師なだけに少しドキドキニヤニヤしたが、横から刺すような雪ノ下の視線を感じる……のは、気のせいだろう。

 

 

「さあ、何もない家だがあがりたまえ。」

 

 

安アパートらしき二階建ての階段を上ると、平塚という表札があった。先生の家に俺達は入っていく。

 

 

「お邪魔します。」

 

「お邪魔します。」

 

「そこに座ってくれたまえ。今、お茶を入れる。」

 

 

 

周りには、掛け軸、何かの忍術書や、巻物、各種手裏剣に、忍具等、色々と飾ってあった。こんなにテンションが上がる事もない!デスティニーランドなんかよりも、よっぽど魅力的な部屋だったのだ。

周りのビールの空き缶や、ゴミにさえ目を瞑ればだが。

 

 

「さて、どちらの話から始めようか。」

 

「私は後から来たので、先に比企谷くんの話から始めていただいて構いません。」

 

「フム、わかった。それでは、比企谷。お前に先程の続きを話してやろう。」

 

「例の歴史に埋もれた忍の里の話っすね。」

 

 

雪ノ下は全く興味が無さそうな顔をしていたが、我々の域に来るには10年早いわ!

 

 

「比企谷、『火影』と言う名を知っているか?」

 

「聞いた事ないですね。」

 

 

忍者大好きな俺は、図書館に置いてある類いの大抵の本は調べ尽くしていたのだ。

そんな俺でも聞いたことがない。

 

 

 

「火影は特殊な忍の一族でな。彼らは『魔導具』と呼ばれる不思議な能力を有する武器を使っていたらしい。」

 

「不思議な能力?」

 

「そうだ。文献によると、彼らはその魔導具で風を操ったり、石を堅固な鎧に変えたりしたそうだ。」

 

 

なんだそりゃ。なんかの怪談物の文献でも間違えて読んでたんじゃねえか?忍術なら全てに種も仕掛けもある。オーバーに言ってるのか?しかし魔導具か、気になる言葉だ。

 

 

 

「普通の忍術と呼べるものではない、と?」

 

「うむ。しかも歴代の当主と呼ばれる者は皆、炎を自在に操る者がなっていたそうだ。」

 

 

一瞬、俺の秘密を知ってるのかと思った。あまりにもその一点だけは無視できない言葉だ。だが、偶然や想像の類いのものかもしれない。

 

 

「けど、そんなラノベの能力バトルみたいなもんが存在していたら、歴史に残るものなんじゃ!…ないんですか?」

 

「滅ぼされたんだよ。織田信長によってな。火影の能力を恐れた織田信長によって、火影の歴史は幕を閉じたとされているのだよ。この文献を見たまえ。」

 

 

そこに出されたのは古く、歴史を感じさせるボロボロの巻物だった。

 

 

「これは歴史的にも価値のある文献だ。真偽はわからん。だが、私はこれは実在したと思っているのだよ。」

 

 

平塚先生は目をキラキラ輝かせながら、少年のような顔で語りかける。

 

 

「そうですね。俺も真実かはわかりませんが、これは実在した忍の話だと思います……。」

 

 

俺はある確信をした。

これは真実なのだろうと。

俺しか確信を得る事はないだろう。

俺が隠し続けている秘密。それこそが、火影の当主との共通点であるのだから。驚きを隠しながら俺は冷静に話を聞いていた。

 

「実は、この文献を譲って欲しいと、さる筋から大金を積まれているんだ。それほどの価値ある物なら、信憑性の裏付けになるとは思わないかね?」

 

 

トクン!胸を打つ何かがある。

もしかしたら、俺は胸が高鳴っていたのかもしれない。だってさ、そこに自分のルーツを辿る手懸かりがあるんだぜ。炎を操る忍がいる。俺はその末裔かもしれない。

 

 

その日は、逸る気持ちを抑えられずに、平塚先生と火影についてずっと話していた。

雪ノ下が空気になってるのは、また別の話だ。

 

 

 




展開は少しずつですが、進んでいきます。
少しだけ自身のルーツを見つけた八幡。
そして空気になってる雪乃さん(笑)

次回もお楽しみに!

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