やはり俺が炎術士なのはまちがっている。 作:世間で言うジョージさん
いつもスマホでの投稿なので、早ければこのペース!
そんなこんなで平塚先生の家に到着した。見た目は美人教師なだけに少しドキドキニヤニヤしたが、横から刺すような雪ノ下の視線を感じる……のは、気のせいだろう。
「さあ、何もない家だがあがりたまえ。」
安アパートらしき二階建ての階段を上ると、平塚という表札があった。先生の家に俺達は入っていく。
「お邪魔します。」
「お邪魔します。」
「そこに座ってくれたまえ。今、お茶を入れる。」
周りには、掛け軸、何かの忍術書や、巻物、各種手裏剣に、忍具等、色々と飾ってあった。こんなにテンションが上がる事もない!デスティニーランドなんかよりも、よっぽど魅力的な部屋だったのだ。
周りのビールの空き缶や、ゴミにさえ目を瞑ればだが。
「さて、どちらの話から始めようか。」
「私は後から来たので、先に比企谷くんの話から始めていただいて構いません。」
「フム、わかった。それでは、比企谷。お前に先程の続きを話してやろう。」
「例の歴史に埋もれた忍の里の話っすね。」
雪ノ下は全く興味が無さそうな顔をしていたが、我々の域に来るには10年早いわ!
「比企谷、『火影』と言う名を知っているか?」
「聞いた事ないですね。」
忍者大好きな俺は、図書館に置いてある類いの大抵の本は調べ尽くしていたのだ。
そんな俺でも聞いたことがない。
「火影は特殊な忍の一族でな。彼らは『魔導具』と呼ばれる不思議な能力を有する武器を使っていたらしい。」
「不思議な能力?」
「そうだ。文献によると、彼らはその魔導具で風を操ったり、石を堅固な鎧に変えたりしたそうだ。」
なんだそりゃ。なんかの怪談物の文献でも間違えて読んでたんじゃねえか?忍術なら全てに種も仕掛けもある。オーバーに言ってるのか?しかし魔導具か、気になる言葉だ。
「普通の忍術と呼べるものではない、と?」
「うむ。しかも歴代の当主と呼ばれる者は皆、炎を自在に操る者がなっていたそうだ。」
一瞬、俺の秘密を知ってるのかと思った。あまりにもその一点だけは無視できない言葉だ。だが、偶然や想像の類いのものかもしれない。
「けど、そんなラノベの能力バトルみたいなもんが存在していたら、歴史に残るものなんじゃ!…ないんですか?」
「滅ぼされたんだよ。織田信長によってな。火影の能力を恐れた織田信長によって、火影の歴史は幕を閉じたとされているのだよ。この文献を見たまえ。」
そこに出されたのは古く、歴史を感じさせるボロボロの巻物だった。
「これは歴史的にも価値のある文献だ。真偽はわからん。だが、私はこれは実在したと思っているのだよ。」
平塚先生は目をキラキラ輝かせながら、少年のような顔で語りかける。
「そうですね。俺も真実かはわかりませんが、これは実在した忍の話だと思います……。」
俺はある確信をした。
これは真実なのだろうと。
俺しか確信を得る事はないだろう。
俺が隠し続けている秘密。それこそが、火影の当主との共通点であるのだから。驚きを隠しながら俺は冷静に話を聞いていた。
「実は、この文献を譲って欲しいと、さる筋から大金を積まれているんだ。それほどの価値ある物なら、信憑性の裏付けになるとは思わないかね?」
トクン!胸を打つ何かがある。
もしかしたら、俺は胸が高鳴っていたのかもしれない。だってさ、そこに自分のルーツを辿る手懸かりがあるんだぜ。炎を操る忍がいる。俺はその末裔かもしれない。
その日は、逸る気持ちを抑えられずに、平塚先生と火影についてずっと話していた。
雪ノ下が空気になってるのは、また別の話だ。
展開は少しずつですが、進んでいきます。
少しだけ自身のルーツを見つけた八幡。
そして空気になってる雪乃さん(笑)
次回もお楽しみに!