やはり俺が炎術士なのはまちがっている。   作:世間で言うジョージさん

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日曜なので少し書けたので投稿。
にしても、話が進まないw



加筆、修正しました。


第3話 長い昼休み

 

 

 

 

どこかデジャヴを感じながら見惚れてしまう。

その長い黒髪は見覚えがある。

その憂いを帯びた眼は見覚えがある。

雪のように透き通る白い肌も見覚えがある。

まるで絵画をそこに1枚貼り付けたように佇む彼女と、ふと目が合った。

 

 

 

「こんにちは。依頼者の方かしら?」

 

 

彼女は凜とした空間に透き通るような声でそう言った。

 

 

「いや、静かな場所を探していただけだ。落ち着いて飯を食べたいからさ。」

 

 

「そう。ならちょうどいいわ。」

 

 

彼女は長机へと、どうぞ。と、手振りする。

 

 

「いや。先客がいたのならいい。他を探すだけだ、じゃあな。」

 

 

颯爽と立ち去ろうとしたら、声をかけられる。

 

 

「待ちなさい。私は今から昼食なのだけれど、良かったら御一緒にいかがかしら?」

 

 

俺の持っているコンビニの袋を見ながら優しく微笑む。どこか不思議な誘引力があり、俺は普段なら発揮しないコミュ力を発揮していた。

 

 

「そうか。それじゃお言葉に甘えさせてもらいます。」

 

 

ペコリと頭を下げると、満足そうに彼女は自分の弁当を広げる。

俺も教室の後ろに積まれてあるイスをガタガタと取り出すと、長机の端っこに置いて座りパンと愛飲のマッカンを取り出す。

 

 

「「いただきます。」」

 

 

軽くハモってしまった。こ、これは少し恥ずかしい!女子とご飯なんて小学生の時以来だ。あの時のトラウマを少し思い出し、眼を腐らせてしまう。慌てて、俺はつい疑問に思った事を質問してしまった。

 

 

「ところで、質問なんだが。」

 

「何かしら?」

 

「ここで何をやってたんだ?依頼とか言ってたが。」

 

 

少し小首を傾け、可愛い……いや、悪戯な顔を見せると彼女は言った。

 

 

「そうね。答えるのは簡単なのだけれど、少しゲームでもしない?私が何をやっていたのか?それを当てるゲームよ。」

 

 

俺は頭をフル回転させて考える。忍(ボッチ)の状況把握能力(空気を読む)を舐めるなよ?

彼女は依頼と言った。依頼と言えば、探偵であったり、スケット団的なものか?学生の出来そうな部活動だろうか?ならば…

 

 

「ここはお悩み相談室だろ?」

 

「その心は?」

 

「お前は俺が入ってきた時に『依頼』というワードを出した。加えて今は昼休み。そうすると、運動部でもない。生徒会や委員会でもない。何かしらの機材もない。」

 

 

これで、チェックメイトだ!

 

 

「よって、依頼という言葉から導き出せるのは学生専門のお悩み相談室的なものだろう。」

 

 

少しドヤッとしながら答える。

 

 

「半分は正解で、半分ハズレよ。」

 

 

な、何ぃっ!?

俺のドヤ顔返してっ!!

 

 

「わっかんねぇ。正解は?」

 

 

「正解は奉仕部よ。魚を欲しい人に与えるのではなくて、魚の捕り方を教える。本人の自立を促す、そういう理念よ。」

 

 

少女は淡々とそう述べた。

 

 

「それと、『お前』ではないわ。私の名前は雪ノ下雪乃。貴方のお名前は?」

 

 

得意気にそう語ると、彼女は俺の名前を聞いてくる。名前を聞かれるのは職質か、ゲームのキャラネーム設定ぐらいの俺は浮かれそうになるのを必死で堪える。やべぇ、焦った。訓練されたエリート忍(ボッチ)の性能を甘くみるな!危うく惚れちゃうところだったぜ!

 

 

「これは失礼。俺の名前は比企谷八幡です。」

 

「比企谷君ね。私はこの奉仕部で部長をしているわ。といってもまだ2日目だけれど。」

 

 

そりゃそうだ。昨日は入学式だ。彼女は1年生のリボンをしているしな。

 

 

「こんな事を貴方に言うのも変なのだけれども。」

 

 

雪ノ下は凛とした姿勢で話し出した。

 

 

「私はこの世界を変えようと思っているわ。」

 

 

そう答えると彼女は俯きながら悲しみと慈しみが混ざりあった顔をしていた。

中二病かな?とも思ったが、真剣な雰囲気に飲まれた俺は話を黙って聞くことにする。

 

「あら?貴方は引かないのね。大抵の人はこの台詞を聞くと軽く流すか、適当な世辞を言うものなのだけれど。」

 

 

「女の子の話はマジメに聞けって躾られてるからな。それと、まだ続きもあるんだろ?」

 

 

彼女は少し驚いた表情を見せるが、すぐに凜とした顔つきに戻ると話し始めた…。

 

 

昼休みを終える鐘が鳴り響く頃には、彼女の話は終わった。要約するとこうだ。

世の中は理不尽な事が多くあり、それらに対して解決、改善したいと。常に正しくありたいと。

 

 

俺は上っ面だけの正論をかざす奴は嫌いだ。そんなものは偽物で欺瞞で、中身も何もない。ただの偽善。しかし彼女を推し量る情報も無いのも事実であり、容易には判断しかねる。

ん?なんだ?この思考は。俺はもしかして、また希望を持とうと考えているのか?何故これほどこの女の事を考えている?

 

 

中学の頃の歴史(黒歴史)がフラッシュバックする。

 

 

俺は頭を少し振ってから、その部屋を出た。出る時に後ろから何か言われたが、別れの挨拶か何かだと思い、「じゃ」とだけ返事をして教室に戻った。

 

 

 

…にしても女子とあれだけ喋ったのは初めてだったな。

(小町除く)

 

 

 

 




次回は、これまた不定期更新(笑)

なるたけ早く書いてみたい。
同時に睡眠もとりたい。

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