やはり俺が炎術士なのはまちがっている。   作:世間で言うジョージさん

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今回はあまりテニス詳しくなかったので、
多少のご都合主義はいってます。


不勉強ですみません!

密かに修正入れてます。


第19話 テニスを通して

 

 

天気は快晴。南からの風少々。うん、いい昼寝日和だ。こんな日は昼休みいっぱいまで寝ていたいと思う。捻った足がズキズキと痛む。現実に戻される痛みを感じながら、空からテニスコートへと視線を移した。

 

 

「テニスの細かいルールはわからないからさ。素人って事で単純なルールでも構わないかな?」

 

 

「うん、僕もそれでいいと思う。由比ヶ浜さんもそれでいい?」

 

 

「うん。サイちゃんがいいならいいよ。」

 

 

「あーしも隼人がいいなら、それでいーし。」

 

 

ちなみに審判役は俺である。あの高い台にいつか座ってみたかったから、密かに願いが叶って嬉しかったりする。俺はニヤけるのを我慢出来ずに審判台へと上がっていった。

単純に3セットして、2セット先取した方の勝ちだ。何故か戸塚、由比ヶ浜チームにサーブ権をくれた。炎の女王からのお情けらしい。

 

 

「僕がサーブを打ったら、由比ヶ浜さんは前に出てもらってもいいかな?」

 

 

「うん。了解だよ。」

 

 

 

戸塚からサーブが放たれる。前衛に由比ヶ浜が出る。三浦、葉山ペアは横並びのままだ。葉山がサーブを返すが少し浮かしてしまい、

前衛の由比ヶ浜に敢えなくスマッシュを叩き込まれる。由比ヶ浜の動きにポカーンとする二人。

そりゃそうだろう。ここ最近は、ずっと俺と訓練を積んでいたんだ。基礎身体能力は格段に上がっている。戸塚もそれを見越しての采配なのだろう。

 

 

「赤っ!一本っ!!」

 

 

「ヒキタニくん、それは剣道の試合の時じゃないかな?」

 

 

 

まさかの葉山にツッコまれた。だ、だって、言いたかったんだもん!しかも華麗に腕をビシッ!と挙げた。もう大満足だ。

 

結果で言うと、1セット目は戸塚、由比ヶ浜ペアが取った。ダブルスが不慣れなのだろうか、葉山、三浦ペアは動きがぎこちなく、されるがままだったからだ。それとは反対に、由比ヶ浜は周囲に合わせる事が上手い。巧いと言ってもいい。

 

そして、2セット目が始まった。

 

 

「結衣、あーしもマジでやるから。」

 

 

今までは本気ではなかったのだろうか?苦し紛れの嘘とも考えられたが、始まってすぐにわかった。三浦のサーブがプレイヤーに向かって跳ねてきた。何を言ってるのかわからないかもしれないが、襲いかかるようにボールが跳ねたのだ。よし、この魔球にドルフィンサーブと名付けよう。

 

 

 

「白っ!一本っ!!」

 

 

「ははっ、ヒキタニくんはソレ好きだね。」

 

 

 

またもや葉山しか反応してくれなかったが、それでも俺はやる!由比ヶ浜からの視線が痛い。戸塚も「真面目にやってよ?」的な視線を俺に送る。残念だが、言葉にしなきゃ伝わらないんだぜ?贈る言葉って言うだろ?チョイスが古いな。うん、やめとこう。

 

 

「あーし、こう見えてもテニス少女だったんだから。もう手加減しないよ!」

 

 

「ハハハッ。楽しそうだね、優美子。」

 

 

 

本気になった炎の女王は、魔球をガンガン使って得点を重ねていった。横で葉山はずっと笑ってた。その佇まいは穏やかだった。コイツの前世はきっと名のある高僧だったのだろう。そんな事を考えていたら2セット目は葉山、三浦ペアの勝利となった。

 

 

 

「あの技をなんとかしないと…僕、初めてあんなサーブ見たよ。」

 

 

「サイちゃん…あたしに考えがあるよ。」

 

 

 

由比ヶ浜と戸塚が何やらゴニョゴニョやっていた。作戦会議というやつだろう。あ、そういえば俺空気じゃね?主人公だったはずなんだけど?と、メタ発言は置いといて。姫、遅いなぁとか暇なので考えてみる。俺、ホント空気。

 

 

 

 

「このセットもあーしらが貰うから。」

 

 

「優美子…まだあたし諦めてないからね!」

 

 

「ハハハっ。二人は仲が良いなぁ。ヒキタニくんもアレやらないのかい?…一本っ!!」

 

 

 

由比ヶ浜と三浦は熱血スポコンやってるのに、葉山は一人マイペースだ。あれこそが、リア充の中でも真のリア充が持つ奥義、『ザ・ゾーン』なのか??

その時、戸塚はどちらかに混ざりたそうにしてたのは別の話だ。

 

最後はラリーの応酬は無かった。三浦がサーブで決めるか、戸塚のサーブを返した球を由比ヶ浜が決めるからだ。何故か由比ヶ浜が頼りがいのある女に見える。あぁ、もう俺から教える事は何もない。何も教えてないけど。

 

 

 

よくある展開だが、勝負は拮抗していた。どちらもあと一本っ!!と、決めれば勝利とまでいくのだが、また返されてしまう。そして、昼休みも終わろうとしてた時にそれは起こった。

 

 

「あと、2ゲームで決着をつけるよ!」

 

 

「はぁ?あーしが決めて終わりにするし!」

 

 

「ヒキタニくん、俺もその台に乗ってみてもいいかな?」

 

 

 

葉山のザ・ゾーンは健在だ!違った。由比ヶ浜が思わぬ台詞を言ったのである。そして語らねばならない。この学校はこの時間、海側から吹く風が変わり、海へと帰るように風向きが変わる。由比ヶ浜がその事を知っていた?まさか…!

 

 

 

由比ヶ浜のサーブが上空へと飲まれていく。バウンドしたボールを三浦が追い掛けるもそれは勢いを増し、ボールの着地点を狂わせた。

 

 

 

「一本っ!!それまでっ!!」

 

 

「いや、ヒキタニくん。まだあと一本残ってるから。」

 

 

 

くぅ!!俺の渾身のジャッジも功を成さず、由比ヶ浜はしたり顔、三浦は苦渋の表情を浮かべた。そして、葉山は相変わらずだった。コイツはいい奴だな。

 

 

「もう、理解したし。同じ手は効かないからね。」

 

 

「じゃあ、試してみる?いくよ!」

 

 

 

すでに男性陣は空気である。

由比ヶ浜がポーンッとサーブを打つ。三浦はバウンド時を狙って決めるつもりだろう。俺でもそうする。しかし、俺達の予想は大きく外れる事になる。

 

 

 

「風神ちゃん!バッビューン☆」

 

 

「へ?」

「え?」

「は?」

「ハハハ。」

 

 

 

球は有り得ない軌跡を描き、三浦を避ける形でもう一度浮き上がり、三浦の後ろへと決まった。マクド○ルドのマークみたいな動きかたをしていたと言えば解るだろうか。

一人驚いてなかったのが驚きだったのは内緒だ。

 

 

「最後のはなんなのよ…あんなの無理だし…」

 

 

「や、風のイタズラってことかな?たはは。」

 

 

いや、絶対に誤魔化せないだろ。お前、絶対風神使ってただろ。もう名前言ってたじゃん!

いつの間にか三浦と由比ヶ浜は握手をしていた。何故か葉山と戸塚もしていた。…あれ?俺は?

 

 

 

「結衣、変わったね。あーしは今の結衣のほーがいいと思う。」

 

 

「うん。あたしもう決めたんだ。色々とあってさ。だから、もう遠慮しないの。」

 

 

 

そう言った由比ヶ浜の笑顔に不覚にもドキリとしたが、これはこれで忠義が試されているのだろうか?あ、そういえば姫は??

 

 

 

結果として、戸塚の依頼は解決したと思う。たぶん。そして、姫は保健室までいけずに迷子になっていたというオチでした。チャンチャン。

そして、由比ヶ浜は魔球マクド○ルドとクラスで暫く呼ばれたのは別の話。

 

 

 

 




風神が卑怯だとかそーゆーのは無しで
お願いします(笑)

最初から使わなかったのは、
バレるとマズイからです。


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