さぁ、地霊殿の中一際目立つ大きな扉の前。
響也とこいしはついにさとりの部屋へと到着する。
「ここがお姉ちゃんのお部屋だよ〜」
「なんかレミリアの部屋と大して変わらない大きな扉だな」
「そうなんだ〜それじゃぁ入ろっか〜」
こいしは先にさとりの部屋に入っていく。響也も続いてはいるとこいしは既に姉であるさとりの横で話を始めていた。
「あ、お兄ちゃんこっちだよ〜」
「こいし、もう少し落ち着きなさい」
「だって早くお姉ちゃんに紹介したいんだも〜ん」
「それはさっきも聞いたでしょう、とりあえず響也さんそちらにかけてください」
「ちょっと失礼しますね」
こうして面と向き合って話をすることになった響也だがふと思い出したことがあった、それはさとりの能力の事だ。
彼女の能力は心の中が見れることだ。彼女の懐にあるサードアイには心のうちの全てが見えるという。
そう、響也が気をつけなければいけないのは決してやましいことを考えてはいけないことである。
「響也さんはご存知かも知れませんが軽く自己紹介させていただきます。こいしの姉でこの地霊殿の主、古明地さとりです」
「俺は夢乃響也です、さとりさんが心で見てわかる通り外来人です」
「あら、私が心を読んでいるのがよく分かりましたね」
「なんとなくですよ〜」
「面白い方ですね、ちょっとふたりで話がしたくなりました、こいし少し席を外してくれますか?」
「うー、わかったよ」
そう言うとこいしは部屋を出ていってしまった。
響也はふたりきりになってしまったことで緊張の色を隠せずにいた。
「そんなに緊張なさらずに楽にしてください。常に心を読んでいる訳では無いのですから」
「そうなんですね、わかりました。それでふたりで話をしたいというのは?」
「えぇ、実はお願いしたいことがありまして」
「ほうほう」
「私はこの通り能力のせいでここに引きこもってるわけなのですが、こいしみたいに外の世界に目を向けていけるようになりたいのです。それであなたに私の案内役として外へ連れて行って欲しいのです」
響也は驚いた。あのさとりがまさかの脱引きこもり宣言をしたんだから無理もない。
「なるほど、俺でよければいいですよ。その代わり俺もひとつお願いがあります」
「ふむ、交換条件という感じですか?」
「いや、単純にお願いしたいなと思ってますので、俺の方は断っても構いませんよ」
「わかりました、聞きましょう」
「さとりさんを外へ連れていった時についでに家に来て欲しいんですわ」
「それはどういう?」
「簡単に言えばさとりさんを紹介したいのですよ、俺の仲間にね」
なるほどと手を叩き納得した様子を見せたさとり。その表情をみて響也は安心した。
その後は段取りを話しその日は地霊殿へと泊まるのだが‥‥予期せぬ出来事が起こってしまうのだった。