さて、旧都へと向かう響也達。
しばらく歩くと何やら賑やかになってきた。
「あそこが旧都だよ〜」
「結構賑わってるんだな」
「そりゃそうだよ、なんせ地底の妖怪達の集う場所だからね!地上で言う人里だと思ってくれればいいよ」
「なるほど」
みんなで話をしながら旧都へと入って行く。
まず響也が驚いたのはその活気だった。
人里の何倍もの賑わいで各々楽しそうにしている妖怪達の姿を見て響也はほっとしていた。
「おや、誰かと思えばパルスィじゃないか!珍しいなぁ、お前がここに来るのは」
「うるさいわね、好きで来てるんじゃないわよ‥‥彼を地霊殿へ連れていくのにこいしだけじゃ心配だと思ったから付き添いしてるだけよ」
目の前に現れてパルスィと仲良く話をしているのは鬼の四天王の一人星熊勇儀だった。
「へぇ、てことはあんたが響也ってのかい?」
「はじめまして」
「まぁ、そんなに固くならないでいいよ、気楽に行こうよ」
響也は思った。
地底に地上の人間って来ちゃいけないはずなのになんでこんなに歓迎ムードなんだろうと。
「まさかあんた男のくせにビビってんじゃないだろうね?」
「勇儀!あんた何失礼な事言ってんのよ!」
「あ、いや、パルスィそんなに怒らなくても‥‥」
「響也はちょっと黙ってて!」
「うっす‥‥」
響也はパルスィの怒号にしゅんとしてしまった。
そこへキスメがフォローする。
「響也、パルスィは君のことを思ってあぁ言ったんだよ。だから気にすることないよ」
「お、おぅ」
しばらくパルスィと勇儀が言い合いをしている風景を響也とキスメとこいしは眺めていた。
「いやぁ悪かったね見苦しいところを見せたよ」
「あぁ、気にしないで大丈夫」
なにはともあれ言い合いも収まったので勇儀と別れ再び地霊殿へと足を進める。
にしてもやはり鬼は理解が難しいと響也は思った。
旧都を抜けてさらに歩くこと数十分。
ついに彼らは目的地に到着した。そう地霊殿である。
「ここが地霊殿か、紅魔館と同じくらい大きな建物だな」
「さぁ、私達は道案内終わったから戻るわね」
「ありがとうパルスィ、キスメ」
「礼には及ばないよ〜また会ったら話しようね」
という事でパルスィとキスメは再び旧都の方へと戻って行った。
そして響也とこいしは地霊殿の中へ入っていく。
中へ入ると一匹の黒猫が響也達の前に現れた。
それは普通の黒猫ではなく尻尾が二又になっていた。
「この猫普通の猫と違うんだな」
響也がそう言った矢先猫は姿をかえて人型に変わった。
「うおっ!びっくりした」
「こいし様おかえりにゃさい、さとり様が帰ってきたら顔を出すようにって言ってましたよ、あら隣の人は噂の響也さんですか?」
「ありがとうお燐、そうだよ〜ちょっとお姉ちゃんに紹介したくて連れてきたんだ〜♪」
「そうだったんですね、響也さんどうぞゆっくりしていってくださいね〜」
「あぁ、歓迎ありがとう」
「それじゃお姉ちゃんの所へ行こっか♪」
「そうだな」
響也はこいしに手を引かれてこいしの姉であるさとりの部屋へと向かう。
さとりの部屋には案外早く着いた二人だがこの先なにが待ち受けているのか知る由もない響也であった。