さてさて、ここは地底への入口の穴の前。
こいしに連れてこられた響也はマジマジとその穴を見ていた。
「すげー深い穴だな、大体どれくらいあるんだ?」
「ざっと五百メートルはあるかな?さぁ、行こう♪」
こいしはそう言って響也の手を引き穴へと飛び込む。
「ちょっ!?こいしちゃん!?これ五百メートルはあるんでしょ!?下に着くまで時間にして一分無いくらいだろうけど衝撃回避は出来ないんだけど〜!」
「大丈夫だよお兄ちゃん、私が居るんだから心配する必要無いよ〜♪」
「やばい、もう地面が見えそうだ‥‥」
響也がそう思って目を閉じる。すると二人の体は落下スピードが一気に緩みなんの負担もなく自然に着地出来た。
「もうお兄ちゃん怖がりすぎ〜♪もう着いたんだし目開けたら〜?」
「‥‥ん?あれ、なんともない。こいしちゃんが何かしたの?」
「私は何も〜、強いて言うなら風の力だよ〜」
「人の体を浮かせるほどの風か。まぁいずれにしろ俺みたいな人間でも地底に降りてこれることが分かったから良しとしよう」
「さぁ、旧都経由で地霊殿へ行こう♪」
「そうだな」
こいしに手を引かれ旧都の方へと歩みを進める響也だったが気がかりなことが何個かあった。
それは地底の妖怪や鬼の存在である。旧都にはかつて地上で名を馳せた妖怪や鬼の四天王が居ると聞いていたから近づかないようにしていたがこいしが誘いに流され自ら危険区域に足を踏み入れてしまった。
響也は旧都に近づくにつれ緊張が高まってきていたがそんな所にある妖怪達が現れる。
場所はちょうど旧都に向かってかかる橋の上、そして橋の手摺に寄りかかりながら横目で見ている金髪の少女とその奥に上から吊るされた桶に入っている緑髪の少女はじーっとこちらを見ていた。
「やっぱり居ますよね〜‥‥なんか殺気立ってるような気もするんだけど気の所為‥‥?」
「大丈夫だよ〜」
こいしはそのまま橋を渡り始めたので響也も後を着いていく。
橋の真ん中辺りまで来て妖怪の二人の近くまで来た頃響也を横目に見ていた金髪少女が口を開く。
「こいし、どうして人間を連れてきたの?」
「え〜?それは私が気に入ったから〜♪」
「あんたのお姉さんに怒られるんじゃないの?」
「そこはなんとかなるよ〜」
そんなことを話してる二人だが響也は少し戸惑っていた。なんとも気まずい空気になってしまったからだ。
しかし響也の隣に桶に入っている緑髪の少女がやってきた。
「やぁ、はじめまして♪そんなに固くならなくていいよ、とって食いやしないからね」
「あ、はじめまして、自分夢乃響也って言います」
「君が噂の響也君なんだね〜♪私のことは知ってると思うけどキスメだよ」
「へぇ、あんたが響也か、自己紹介が遅れたわ、水橋パルスィよ」
「俺の噂ってもう幻想郷全てに広まってるんだ」
ちょっと和んだ事で響也も緊張がほぐれた。
ここへ来た理由を二人に説明すると旧都の方は一緒について行ってあげると言われたのでみんなで行くことになった。