一話
いつからだろう、俺が現実世界から居なくなって幻想郷へ行きたいと思うようになったのは‥‥
幻想郷、東方Projectと呼ばれる弾幕ゲームの中での世界で普通考えれば行けるはずもない。
俺は中学生の頃に東方Projectを知り、魅力に惹かれ好きになりパソコンを買って全ての作品をプレイした。そのせいもありとてつもなく幻想郷へ行きたいという衝動に駆られ続けた。
来る日も来る日も学校が終わればすぐに家に帰りひたすら東方にのめり込む。少しずつ1日のプレイ時間は増えていき最初は一時間で止めていたものが今ではオールしてまで熱中する程になった。
当然そんな事になれば学校の成績は落ちてくる。
担任からもう少し頑張れと、親からはゲームなんか止めてしまえと言われる毎日。
挙げ句の果てには学校の仲間には学校辞めろとかキモオタ死ねなどといじめの対象にまでされてしまった。
一週間が過ぎた頃俺はもうクラスメイトのいじめに耐えられずに部屋に篭るようになった。完全なるニートになってしまったのだ。
「なんで現実ってこんなにつまらないんだろうな。東方の世界、幻想郷に行ければこんな辛い毎日なんか無くなるのに‥‥」
内心無理だと分かっているがどうしても考えちゃう。
現実を見るのはもう嫌になった。
そんな事を考えてるうちに時間は昼を回っていた。
お腹も空いてきたのでコンビニでも行こうと思い支度をして家を後にした。
コンビニまでは歩いて十分程で着くところにある。
俺は少し早足で歩いていた。
「ニートになってから一回も家から出なかったから久しぶりの外だが‥‥まさかこんなに土砂降りになるとは‥‥」
久しぶりの外、でも天気は最悪。家を出た頃は霧雨程度だったが大通りに近くなるにつれて段々雨足は強くなっていって今は土砂降りの雨が降っていた。視界もあまり良くなく、大通りはかなり危険な気がした。
大通りは車通りも多く信号待ちをしてる間途切れず走ってる。
「あと少しで信号が変わる。走ってコンビニまで行こう」
歩行者信号が点滅し赤になる。その後自動車用信号が黄色から赤に変わる。
俺の方が青になったので急いで渡ろうと道へ飛び出した瞬間‥‥
「キキーーー!!!!」
耳を劈くブレーキのスキール音と共にクラクションが聞こえたのが最後、俺の記憶はそこで途切れてた。
次に目を覚ましたのは見たことのない世界、とりあえず言えるのはド田舎という表現かな。
「ここ、どこだ‥‥」
周りには田んぼと畑、緑の豊富な丘に木々が生き生きと育ってる山々。
後は‥‥何も無いな。
とりあえず散策して誰かに会わないと何も解決しないよな。
そう考え俺は見知らぬ土地を散策する事にした。