慢心王の踏み台生活 作:匿名希望の金ピカ王
前回の内容はカオスだった……反省しています。
なので今回は割と真面目にしてみました。
割と 真面目に してみました(大事なことなので
「……今朝もまた清々しい。この我のスポットライトたる太陽もよく輝いておる! ……我を見下しているように見えるのは些か許しがたい事態だが、貴様も我の所有物の一つに過ぎん。寛容な我が貴様を許してやろうではないか(おはよう、今日も太陽が眩しいZE☆)」
たまにはと思って朝の挨拶した結果がこれだぜ。この体は碌におはようも言えんのか。
ボロボロの神社の中で俺は目を覚ます。
またどこからか拾ってきたのか、赤いソファをベッド代わりに使っている。
それでまあ、朝起きてすることと言えば、洗顔と髪の手入れだ。
洗顔は外に出て行うため、まずは髪の手入れ。
それにはまず、鏡が必要である。
そのために俺は、この部屋の奥の方にあった御神体らしき鏡を使用するなどという、とんでもなくバチ当りなことを平然とやってのける訳なのだが……。
この日も例に違わず、真っ直ぐその鏡に向かって歩く俺。
だが、今日はいつもとは少し違う朝だった。
「……ん? これは……見事に割れているな」
そう言う俺の視線の先。そこには、円形の小さな鏡が、綺麗に真っ二つに割れてしまった無残な姿があった。
昨日まではヒビすら入ってなかったというのに、不思議な話である。
「……このオンボロ神社の神が死んだか。ふん、人に忘れられながら死にゆくとは、なんと無様なことか。生きる意味を、生きる術を他人に委ねるなど……なんと脆弱。こんなモノが世界を創造し、管理しているなど、到底信じられぬことだな。……だが安心せよ。この世界、全ては我の庭だ。貴様はもう必要ない。何故なら全ては我が物だからだ」
御神体が割れた……ってことは、この神社が祀っていた神が……って事か。
一応、この神社に世話になっていた身として、少しばかり思うところがあるな。
「……ちっ、これでは鏡が使えんではないか。死んでなおこの我に面倒をかけるとは……やはり神は目障りでしかないな」
あ、はい。思うところはないと……。
「……また新たな鏡が必要か」
……そう言えば。前にいたあの廃ビル、鏡が置いてあったよな。
あれ? あそこ取り壊されたんだっけ? 持ってくりゃ良かったなぁ……。
あ、そう言えば、2番目に住んだビルの方、あそこにも幾つか鏡が置いてあったような……。
「退屈凌ぎには丁度いいな。……では、行くとしよう」
今日の目的が決まったところで、俺は神社を後にした。
「来たぞ雑種。さあ、我のリンゴを献上せよ」
「また性懲りもなく……てめえに食わせるリンゴはねえ!」
「なんだ、仕入れておらんのか。まったく、商人の風上にも置けん」
「あんだとぉ!? ほら見ろ! ここにうち自慢のリンゴがあるだろうがァ!」
「なんだ、あるではないか」
「しまったぁあああ!!!」
ま、どっちにせよ最初に来るのは
ところ変わって廃ビルの近所。
「ふん、流石にこの辺りは活気もないか」
海鳴市の中でも端の方に位置するこの場所では、人通りはかなり少ない。
だからこそ、俺はここを根城にしてたんだけどな。
「確か……あそこか」
辺りを見渡し、見覚えのあるビルを見つける。
……確か、アリサに勧められて一泊だけしたんだったな。……暑さに負けて出て行ったけどな。
早めに用事を済ませてしまおう。そう思い俺は、ビルに向かうのだった。
……その用事が、鏡をくすねるだけだという事がなんか遣る瀬無いが。
「……ほう、思った通り、丁度良い大きさの鏡もあるな。これなら我の部屋に置くにも邪魔にならんで良い」
俺の判断基準がだんだん庶民寄りになっている件。
「こんな所で至高の品を見つけるという方が無理のある話。我は聞き分けの良い王だからな。ならば次いで優先すべきは利便性であろう」
満面のドヤ顔で言い放つ俺に、心底呆れる。
お前の求める至高ってどんなだよ……。
自分の発言に自分でツッコミを入れるという、もう既に慣れた事をしながら歩き続ける。
落書きだらけの壁や、割られた窓ガラスを見ていると、いつか見た心霊番組の廃ビル探索を思い出す。
3分毎に怪奇現象が起こって、最近のバラエティはヤラセを隠すのを諦めたな……と呆れたのはいい思い出だ。
まあ、折角来たんだ、ちょっと肝試し気分で歩き回っても面白そうだ。
……そう思ったその時だった。
「…………ゥァァ」
どこかから、得体の知れぬ呻き声が響いた。
「……なんだ? この不愉快な雑音は」
よく耳を澄ましてみる。……こんな廃ビルに人がいるとは思えないんだが、また前みたいにどっかの誰かが誘拐されてるんじゃなかろうな。
「……コ…………ス……」
声が近い。ここは一階だから、いるとしたらこの階か、二階だな。
「……タ……ケ……テ…………」
この声、小さな子供? いや……それにしては若干低い……。
一体、どこから聞こえるんだ……。
「…………ハハ……ハハハ……」
……なんか笑ってやがる。
マジで不気味だなー、と思いつつ、辺りをブラブラする。……ん? この辺りで声が大きくなった。
近いのか?
小さな物置部屋に入り、声が一番聞こえる地点を探り当てた。
音の発生源は……なんと意外なところだった。
「下……か?」
このビルに地下があるなんて知らなかった。というか、地下に降りる階段なんてなかったと思うんだが……。
……ん? これは……。
「なんとも幼稚なものよ。これで隠したつもりとは……」
床の一部、明らかに他のタイルよりも新しいものがある。
……テンプレな地下への入口だな。わざとか?
胡散臭くて、怪しくもある仕掛けだが、ここまで来たんだし、気になったままじゃ余り気持ち良くないしな。取り敢えず地下に潜ってみるか。
声の正体を確認してから帰ってもいいだろう。
「……ふん!」
新品のタイルを(わざわざ)踏み抜き、奥に進む。
不気味な笑い声は……まるで侵入者を歓迎するかのように、俺の頬を撫で付けた。
………………。
「フゥウーーーハハハハハハ!!」
……俺は、地下に繫がる長い階段を降り、最下部までやってきた。
「これは……なんと素晴らしい! ついに完成したぞ!」
すると、そこはテレビでしか見たこともないような、研究所というかなんというか……そんな場所だった。
「ただ一つ欠点があるとすれば、使用する度に摂氏200°の蒸気が操作モニター……つまり使用者を全力で焼き尽くそうと吹き付けることだが……うーむ、これは改善する必要があるか」
……そして、いくつも並んでいる巨大な機械のうちの一つを眺めながら、意味深に両腕を掲げている、白衣を着た一人の子供がいた。
「だが! これで一歩前進したことに変わりはない! フゥーハハハハハハハ!!!」
……その子供は、聞いているだけで不愉快になる高笑いを上げ……。
「……フゥーハハハハハ! フゥーーハハハハハハハハハ!! フゥーーーハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
…………ブチッ。
「ええい! 喧しいわ! 雑種ゥ!!」
「ヌッ!? 何奴! ……まさか機関のェェエィジェンツッ!! くっ、もう嗅ぎつけられたか! ……俺だ。機関の人間と接触した。これより施設の……なんだと? これも計画のうち? シュタインズ・ゲートの選択だと言うのか?」
……俺の存在に気付き、焦りだしたと思ったら、悠長に電話を手に取り通話をはじめる始末。……コイツ、何がしたいんだ?
「貴様ぁ……この我を前に随分と無礼な態度ではないか? どうやらこの科学者は頭と胴を別れさせたいらしいな」
「ちょ、ちょっと待つのだ! 貴様、それ以上近づくとこの俺の発明品が火を噴くことになるぞ!」
俺が一歩近づくと、途端に慌てて後退りする白衣。
発明品? この子供、発明家か何かの真似事をしているようだ。
室内を見ても、確かに奇っ怪なものばかりが並べられている。これら全てがこいつの作ったものなのか?
……だが、結局は子供の悪ふざけだろう。
「ふん、その様な戯言でこの王が臆すると思ったか? 愚か者め」
「ち、違うぞ! ほんとにそれ以上進んだら……アアッ!!」
「……なんだ?」
ツカツカと進んでいくと、細い緑色の光線が俺の胸に当たり、その瞬間……「ピーピー」と、ブザーの様な音が聞こえた。
音の発生源を見ると、そこにはガスボンベと、ライターがくっついたような機械が、監視カメラのようにぶら下がっていた。……いや、実際にカメラもついていた。
「なんだと!? 何だあれは!」
「フゥーハハハ! あれは俺が開発した侵入者迎撃装置! 『【未来ガジェット063】ヒィ! っと驚け! 余所者はかえんな! カメラ』だ!」
ネーミングセンスよ。
「そのカメラには顔認証装置がついていて、この俺以外の顔を認識すると、付属しているガスボンベとライターが起動し、簡易火炎放射器として侵入者を焼き尽くす仕組みとなっているのだ」
思ったよりハイテクだな。確かにそれなら侵入者の撃退に有効な……って、それって!
「こいつ、我を……」
「フゥーハハハハハハ! 機関の企みもこれでオシマイだ!」
「貴様ぁああああ!」
「フゥーハハハハハハハハ!!」
くっ! 俺の人生はここで終わってしまうのか…………!
悔やんでいる間にもブザーは無慈悲に鳴り続ける。
いつ来るともしれぬ火炎から身を守るため、腕を頭の前で交差する。
……こんなことが意味をなすとも思えんが、多少は生き残る可能性も…………。
「あ、顔を隠すと『顔認証システム』が動かなくなってしまうのだ」
「…………貴様、舐めているのか?」
普通侵入者は覆面か何かで顔を隠しているものだろう……。
「あー、その……な。顔を認証してから、俺かそうでない人かを見極めるのにも、2分程の時間を有するし、たまに俺に対して火を噴くこともあるんだが……」
「欠陥品ではないか!」
「欠陥品ではない! 未来ガジェットは世界の支配構造を変革させるのに必要なのだ!」
あぁ、今更気付いたが……こいつ、あれだ。頭が残念なタイプだ。
誰しもが患った事のある不治の病的なアレだ。
「世界の支配構造? ハッ! 安心せよ。この世界は全てこの我の物! 世界を支配しているのは我だ! こんな完璧な王が統辞しているのだ。変革など必要あるまい?」
「なんだと!? やはり貴様が機関の……まさか黒幕自らお出ましとは、この俺も有名になったものだ。……俺だ、ついに機関のボスと対面した。ああ、大丈夫だ、問題ない。ここは俺の研究所だ。奴に勝つ手段など、3458通りは考えつくさ。生き残って、また酒を飲みかわそうじゃないか。エル・プサイ・コングルゥ……」
またどこかとの通信をしだした。
……マジで、何なんだよこいつ。
「……どうやら死にたいらしいな、雑種」
「ふふん、そう偉そうな口を叩いていられるのも今のうちだぁ……。未来ガジェットの恐ろしさをその身で味うがいい!」
そう言って、科学者もどきが白衣の裏から取り出したのは……拳銃!?
「これは『【未来ガジェット037】下手な鉄砲数打ちゃ当たる』だ! これは銃弾をコンパクトに収縮させ、銃の内部をくり抜くことにより、装弾数を元の100倍にまで増やしたものだ! まあ、火薬を抜いてしまったため力が弱く、飛距離を出すために弾はプラスチック製にして軽量化することにより……」
「ただのモデルガンではないか!」
取り出した弾丸は、オレンジ色のBB弾だった。
「ぬぅ……ならこれだ! 『【未来ガジェット023】超光学迷彩装置』!」
科学者が指し示すのは、とても巨大な機械。
「これに触れるだけで、俺の体はどんなレーダーでも発見できなくなるステルス迷彩を纏う!」
「なんだ、いきなりスケールが変わったな」
「ただし、効力は俺がこの装置に触れている間のみ。さらに一回きりの使い捨てで、電気代も洒落にならんくらい掛かる」
「なんだ、ただの粗大ゴミではないか」
「ぐぬぬ…………」
……こいつ、怪しいが、悪い奴でもないんじゃないか?
「……貴様如きを処刑するために体力を使うのが面倒になってきたな」
「あまり俺を甘く見るなよ! 俺にはまだ、切り札が残っている!」
「なんだと!? この期に及んで、一体何を隠しているというのだ!?」
あ、これ完全に遊びだしたわ。
だって俺の口、今にも笑いだしそうなくらい引き吊ってるし。
「『【未来ガジェット204】FG204 2nd EDITION Ver231』! ついさっき完成したばかりのタイムマシンだ!」
「タイムマシン……だと?」
なんか、予想外のモノが出た!
「フゥーハハハハハハ! どうだ、恐れおののけぇ……この狂気のマァッドサイエンティスト! 鳳凰院 凶真の頭脳の前に!!!!」
両手を広げ、胸を張ってそう名乗る科学者……ほうおういん きょうま(なんて書くん?)
タイムマシンか……それが本当なら確かにすごいな。
「……で?」
「……へ?」
「……で、そのたいむましんとやらで、この我をどうやって倒すつもりだ?」
「…………投げる?」
「そのデカブツを投げてみろ! できれば我が褒めてやるぞ!?」
なんとも馬鹿らしい……。こいつ、本当にタイムマシンなんて作ったのか?
……いや、無いな。
「ふん、少し遊んでやれば、もっと愉快なモノが見れると思ったのだが……期待外れか。まさかありもしないたいむましんなどを自称するなど……ネタ切れがあまりに早すぎやしないか?」
「に、偽物ではない! これは本物のタイムマシンだ! ……っ!? ……そうか、そこまで疑うのなら、今から証拠を見せてやる」
「……なんだと?」
ん? いきなり雰囲気が変わった……? なんか、達観しているというか……「計画通り」みたいな表情になりやがった。
「……ギルガメッシュ」
「っ!? ……ほう、我を知っているか」
あいつ、俺の名前を? ……まだ名乗ってないはずだよな? 一体何故……。
「最古にして唯一の英雄王……か。随分と大きく出たものだ。過去から未来までの尽くを支配? この世全ては貴様の庭? なんとも面白いやつだな」
「……貴様、雑種の分際で我を語るか。……面白い。その今更ながらの褒め言葉はどこで学んだ?」
それら、鳳凰院(この漢字だよな?)の口から出てきた言葉は、如何にも俺が言いそうな……というか、言った事ばかりだ。
……どこで知ったんだ? 俺のことを……。
「ふん、貴様自身に教えてもらった事だぞ? ウルクの王…………まあ、貴様は覚えていまい。……何せ、“未来”での出来事だからな!!」
「未来……?」
未来……確かにそう言った。
まさか、な。
「未来を支配しているのは貴様だけではないという事だ。ン残念だったなぁ、キンンングよ!」
「ビシィ!」と指を突きつけ、カッコいいポーズをキメた鳳凰院が叫ぶ。
……なんだ、キングって。
「……ほう? 未来の我を見てきた、ということか。面白い」
「ふん、それはこっちのセリフだ。 貴様とは気が合いそうだ。……よし、今からキングを、ラボメンナンバー002に任命する!」
「ラボメン? なんだそれは」
「この、『未来ガジェット研究所』で俺の相棒を務める者の称号だ。ありがたく受け取れ! キングよ!」
「……その無礼な態度は、愉快なものを見せてもらった褒美として大目に見てやろう。まあ、我は王だからな。貴様が献上するというのであれば、貰ってやろう。ありがたく思えよ? ……狂人」
……あれ? いつの間にか、仲良くなってるんだが。
「狂人……そう! 俺こそ、狂気のマァアアッドサイエンティスト! 鳳 凰 院 !! キョォオオオオオオ…………マだ!!」
「キング……。この我が! 最古にして唯一絶対の英雄王! この世全てを己の財とし、現在過去未来、あらゆる時空の頂点に君臨する、ギルガメッシュだ!!」
「「フゥーーーーハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!」」
……お前らが喋ると、どっちがどっちだか分かんねえよ!
そんな俺のツッコミは、膨張し続ける高笑いにかき消されたのだった……。
……鳳凰院凶真が仲間になった!
「……なんだと? 身分がないから家に住めない?」
「ふん、馬鹿なことを言うな。この世の全ては我の庭だ。我はもう世界に住んでいる。身分など、我が“王”であるということ以外に必要ない」
「……ふむ、少し待て(カタカタ……タタンッ)」
「……何をしている?」
「今、日本政府のサーバーにハッキングを仕掛け、キングの経歴を偽造した。これで銀行口座も住民票も好きなだけ発行できるぞ」
「マジか。やるではないか」
「この俺に……不可能はない(ドヤァ」
あれ、ホームレス終了のお知らせ?
真面目にしたと二回も言ったな?
……あれは嘘だ。
おかしいな、なんで私は真面目に書こうとすると必ずカオスになるんだ?
いや、今回の話は、登場人物的にこうなることは分かりきっていたではないか。
という訳で、ついに登場、4人目の転生者です。
……一体何人いるんだ…………。
まあ、見ての通り、非戦闘員です。
未来から謎電波を受信します。
踏み台は怪しい科学者に拾われて謎強化されるもの(テンプレ)
これでまた踏み台要素バッチシですね!
……しかし、展開を無理矢理にしたために、ギル様のキャラが……。
普通のギル様なら(普通ってなんだっけ?)、オカリンと対峙したらまずブッコロしますね。……許しちゃうとかありえませんよね。
……申し訳ございません。ギル様の性格を歪めるしか、オカリン生存ルートを確立できなかった私の力不足をお許し下さい……。
今回、またギル様陣営が強化されてしまいましたが………。
次回は『オリ主回』行くか(奥さん! 特ダネですよ! オリ主回ですって!)