AC FA ~女性リンクスがヤンデレだったら~ 作:トクサン
シリエジオ 没すー
この情報は瞬く間に企業間を駆け巡った。セレンヘイズ、霞スミカの後継者であり類稀な戦闘センスと高いAMS適正を持つカラードランク1の存在は、企業連にとっても小さくない戦力だった。そしてその彼の戦闘能力の高さは皆評価しており、彼の人物が撃墜されたという事実に驚きを隠せなかったのである。すぐさま各グループは情報収集を開始し、誰がランク1を討ち取ったのかという確認を行う。
そしてそのランク1 シリエジオを撃破した存在が明らかになると、企業連は大いに困惑した。
メイ・グリンフィールド
エイ=プール
リリウム・ウォルコット
計三名の女性リンクス。このリンクス達とシリエジオの間にはそれなりの友好があり、それは企業連も知るところである。そんな彼女達がランク1を襲撃したという事実、それに加えソルディオス・オービットとメガリス高射砲、GAのハイエンド部隊まで戦線に加わっていたというではないか。完全に討ち取る為の布陣、企業連、特にGAグループとインテリオルグループから除け者にされたオーメルはこの情報を掴むや否や両グループを糾弾した。
BFF GA ラインアーク インテリオル・ユニオン 四つの企業、正確に言うのであればGA傘下のBFFを除いたとしても、三つの企業が手を組んだ。しかもラインアークに至っては反企業勢力である。
【ラインアーク】 ー 過去、ランク1ステイシスとシリエジオ参戦、ラインアーク襲撃戦にてランク9、ホワイト・グリントという最高戦力を失った彼の勢力は衰退の一途を辿っている。だが一ヵ月程前からホワイト・グリントに代わる新たなネクストを招き入れ、その力を取り戻しつつあった。ラインアーク襲撃戦にてホワイト・グリント搭乗者であるリンクスの死亡は確認されておらず企業連としてはラインアークの崩れない姿勢を鑑みて仕留め切れなかったという結論を出していた。首長のブロック・セラノも未だ反企業勢力として存在し続ける事を明言している。
この三企業の協力が各勢力に大きな波紋を起こす。
シリエジオは確かにどの企業にも所属しないフリーの傭兵ではあったが、その依頼達成率、戦力共にランク1に相応しい英傑であった。故にどの企業にとっても失くすには惜しい人材だったのである、でなければカラードシステムのトップになど立つ事は出来ない。
ただの依頼で命を落とすのならばまだ良い、それは彼自身の能力不足であり、この世界では珍しい事では無いから。
問題は、彼を屠る方法にあった。
偽の依頼でシリエジオを呼び出し、僚機信号で反撃を封じ、ハイエンドで包囲網を築く、そこにソルディオス・オービットとメガリス高射砲で動きを制限させネクスト三機で仕留める。
ランク1を仕留めると言っても余りにも惨い、そして卑劣な戦いであった。この戦いに掛かった費用だけでも裕に兆は超える。
そこまでして彼を消す理由は何か? 彼はオッツダルヴァの様に一企業に属してる訳でも無く、どこの企業から恨みを買っているという訳でも無かった。確かに彼は今まで多くの企業と戦ったが、それ以上に多くの企業へ利益を齎して来た。だからこそ彼は企業連より重宝され、今の地位に就いたのである。
だからこそ解せない、なぜ彼を騙す様な真似までして屠ったのか?
フリーの傭兵を撃破してはいけないなどとルールは無い、それは誰も得をしないからされないだけであって、実行したからと言ってお咎めがある訳でもない。
しかし、今回の一件でこの四勢力の立場は確実に悪化した。
特にGAグループ、インテリオルグループの中枢が手を組み、自身のみが除け者であるオーメルグループは良い顔をしない。それは確実に企業連を蝕み、内部から腐食させる
『終わった……のよね』
メリーゲートから公開通信が飛ぶ、それに対してヴェーロノークは『恐らく』と返答した。ブースターごと背部を狙撃されたシリエジオは海に没し、水没した機体を引き揚げる為海上ではハイエンド部隊と回収艦が水没地点へ集まっている。
それを空中に浮いたまま二機のネクストが見つめていた。
『予定通り……これで良いのですね、共謀者』
二人の間に割って入る様に、廃ビルから一機のネクストが浮上してくる。それは最後まで自身のネクストをシリエジオに感知させず、見事に彼を仕留めたBFFの切り札。
アンビエント ―
『流石の腕前ですね、コックピットを避けブースターと供給ラインを的確に撃ち抜くなんて』
ヴェーロノークは今しがたランク1を撃ち抜いた射撃の技量に称賛を送る、対してアンビエントは素っ気なく返した。
『OB前は反動制御の為機体が一時的に硬直します、止まった機体ならば的と大差ありません』
もしこちらの存在が露呈していたら、避けられていました と。
そこには彼に対する確かな尊敬と、不意打ちに近い攻撃をした後悔が滲み出ていた。アンビエントは今回の作戦で如何に存在を悟られないかに賭けていた、現在のアンビエントは
しかし、彼女の内面に渦巻く感情は複雑だ。
作戦成功を素直に喜びたい気持ちと、彼に対する申し訳無さ、懺悔の気持ちが溢れ絡み合っていた。
『……今更、やめるなんて言わないわよね』
じっとシリエジオの撃墜地点を眺めるアンビエントに、メリーゲートが問いかける。アンビエントの内面を察したメリーゲート、その声には確かな気迫が籠り半ば強制させる迫力があった。
『勿論です、でなければ……王大人のご信頼に背く事など』
どこか切羽詰まった声でアンビエントは肯定する。その返答を聞きながら『そう』とメリーゲートは何か思案気な声を上げた。
『王小龍……あの老人に仕える価値なんて無いと思うけど……』
『私にとっては恩人なのです、メイ・グリンフィールド、王大人を貶める発言は許容出来ません』
そう言ってアンビエントはメリーゲートに怒気を向ける。しかしソレは、中身の無い装飾の怒りであった。
言葉でこそ王小龍を擁護している、だがアンビエントが実際に動く事は無い。それは既に彼女の第一優先が王小龍から、シリエジオに変わっている事を示していた。その様子を見てメリーゲートは肩を竦め、僅かに二人へ機体を寄せた。
『恩人よりも愛する人を取る……私は、良いと思います、こんな世界なのですから、成したい事も成せず死んでしまうのが、私は何より恐ろしい』
ヴェーロノークは自分の感情を吐露しつつ、彼に想いを馳せる。この計画を仕上げたのはメリーゲートだが、元々の発案者はヴェーロノークであった。彼女は想うだけでは飽き足らず、彼を独占する計画を二人に持ちかけたのである。
王大人に仕えながら、彼の事しか考えられなくなった【リリウム・ウォルコット】
彼と幾多の戦場を潜り抜けていく内に、一方的な好意を抱いてしまった【メイ・グリンフィールド】
殺伐としたこの世界で、唯一人の優しさを知った【エイ=プール】
理由は異なれど、彼を求めると言う部分だけは一緒だった。
けれど彼はカラードの頂点に立つ男、そう易々と独占出来る筈が無い。企業連はそんな関係を許すとは思えないし、強奪するだけの力や権力を持っている訳でも無かった。
既に戦場の尖兵と成り下がったネクスト、例え単機で
けれど一人では無く、二人ならば、三人ならばどうだ?
ネクストが尖兵に成り下がったからと言って、その戦闘能力まで失われた訳では無い。元よりこの兵器は、個で群を磨り潰す為のモノ。それが三機、到底無視は出来まい。そうして手を組み水面下で事を進め、達成した依頼の報酬を少しずつ出し合って、何度も計画を練り直し、何度も交渉を重ねながら。BFF GA インテリオル・ユニオン これだけの大企業を納得させ動かす為の下準備、それだけで二年の月日を掛けた。
そうして三人は今、此処に揃ったのである。
『……彼と逢ったら、まず何を話そうかしら』
メリーゲートが二人に問う、その言葉にヴェーロノークとアンビエントは言葉を詰まらせた。
意外な事にこの三人はシリエジオの搭乗者、リンクスの顔を見た事が無かった。しかしそれはある意味当然と言えば当然で、寧ろリンクス同士で顔見知りという方が珍しい。
ネクストは通常兵器で撃墜する事は難しく、ほぼ不可能と言って良い、それこそ例外はAFのみ。戦場の尖兵と成り果てたとは言え、ネクストの脅威は去っていなかった。
しかし大多数の凡人で操縦するAFとは違い、ネクストはたった一人のリンクスで稼働する。つまりそれは、そのリンクスを殺害すればネクスト単体を無効化できるという事。リンクスと言えど機体に搭乗していなければ人と変わらない、それはどれほど優れたネクスト乘りでも同じ。
だからこそ、傭兵たちは自身の存在を秘匿する。
例え戦場で背を預ける僚機でも、顔を晒すなど論外だった。
故に三人はそれぞれ脳内で理想の彼を作り上げる、最も既に彼の内面を知る彼女達にとって外見など些末な問題ではあったが。
『取り敢えず……最初は謝罪、でしょうか』
『私も、背後から撃った非礼を詫びます』
ヴェーロノークとアンビエントから発せられる通信が重なる、二人は同じ趣旨の言葉を口にした。それを聞いてメリーゲートはコックピットで一人、口元に笑みを浮かべる。
『そう、じゃあ私は一番乘りで告白させて貰うわ』
『なっ』
『それはっ』
メリーゲートの言葉にヴェーロノーク、アンビエント両者から非難めいた声が上がる。しかしそれを遮る様にGAのハイエンド水上部隊からシリエジオのサルベージ成功の報が届いた。
幸いコックピットの浸水もそれほど進行しておらず、リンクスの生存も確認できたそうだ。
『サルベージが成功したわ、このまま予定通りビッグボックスへ搬入しましょう』
そう言って他の二機より早く降下を始めるメリーゲート。その後ろを、二機が慌てて追従した。
『待って下さい、メイさん! 先ほどの発言の撤回を要求します!』
『リリウムは見過ごせません、抜け駆けは無しです』
先に想いを伝えるのは私だと、各々が叫びながら。
---以下小説に関係ある話---
携帯投稿とんてもなく辛いです、素早く文字が打てないってかなりストレスですね……4000字書き上げるのにこんな苦労したのは初めてです(´・ω・`)
更新が中々来ないときは「あっ、携帯で苦戦してなぁ」と思って頂ければ大体あってます。何か文章おかしかったらソイツのせいです、許して下さい何でも(ry
さて漸くヤンデレの入り口に立ちました、その内ヤンデレヤンデレし始めるの少しお待ちを。今回は物語の導入部分みたいなものなので……。
主人公を監禁してからが本番よね(白目
----以下小説に何も関係ない話---
おむすび食べたい、あとフォミチキ、イタリアにファミマって無いんですよね悲しい。
イタリアの生活にも段々と慣れて来た私です、突然ですがイタリア人というのは中々どうして働かない人達みたいです。
イタリア人は月曜日は働きません。
「えぇ、月曜かよ、いやだぁ~休み終わった~、うわぁ働きたくねぇ~」と言いながらやっとこさ布団から出て来ます。けれど彼らは「眠いよ~、めんどいよ~」と言って中々仕事をせず、結構うだうだして一日を過ごします。
火曜日になると少し頑張ります。
「火曜日か~、はぁまだ火曜日だよ、やだなぁ」と言いつつウダウダと仕事をします。あまり効率は良くありません、まだエンジンが掛からず殆どだらだらやっています。
水曜日になると大体の人は通常に戻ります。
流石に三日目になると朝も起きられて、おめめすっきり、取り敢えず頑張るか~と一日を過ごし始めます。この頃から効率的な仕事が出来る様に。
木曜日がイタリアにとっては一番効率的に仕事が出来る日です。
仕事するサイクルが出来上がり、公務員なんかも比較的テキパキ仕事をします。これくらいのが毎日続いたら最高なんですが、そうはいかないのがイタリア。
金曜日は殆ど仕事が手に尽きません。
「えへぇ、明日休みだ~、イヤッホゥィ! なにしようかなぁ~」と上の空。挙句の果てにはデートの約束を取り付けるべく昼間からナンパを始めたり。大体仕事にならないので半分休み気分。
それで土日をパーッと遊ぶ。ちなみに休日出勤とかイタリア人大嫌い、休日の空港とか受付の方、とてもイライラしていらっしゃいます。「何で休日に働かなくちゃならいないの! プンプン!」とかそんな事思っています、たぶん。対応が雑とか、ちゃんとしてくれ、なんてクレーム入れた日なんかもう大変。
「私の仕事が気に入らないなら結構です!」とか怒って拗ねちゃう、んで帰る、凄い。
ジョバンニに「これ本当?」と聞いたら、「大体あってる」と言われました。
イタリア凄い。