AC FA ~女性リンクスがヤンデレだったら~   作:トクサン

2 / 5
イタリアからコンニチハ


共謀

 喉から悲鳴が出かかる、視界一杯に広がる誘導弾頭と弾丸が次々とPA、ひいては装甲板を強かに叩く。右に左に機体が揺れて爆炎が周囲を包み込んだ。

『AP六十%減少!』

 耳に届くセレンの声、いつも通り冷静かと思いきやその声色は若干焦りを含んでいる、どうにか集中砲火の中を抜け出せば、機体は酷いモノだ。何とか無事ではあるものの、攻撃は全て脚部や腕部、頭部に集中している。どうやら意地でもコックピット周りは狙わないらしい、次々と現れる被害報告を素早く確認する。

― 機体中破 破損部位確認……

表面装甲板融解 右脚部内部機構破損 ―回路切替 完了

機動力低下 KP減少 再展開(まで)30秒

 戦闘継続可能

 

『動かないで、そうすればすぐ終わるわ』

 メリーゲートからの公開通信、その声が届くと同時に視界一杯に弾丸が広がった。それをQBで躱しつつ俺は思考を加速させる。

 

― 永久婚姻契約

 

 それはとどのつまり、結婚という奴だ。

 

 あの二人と結婚、結婚、結婚……

うん、悪くない、いや悪くないどころかそれはつまり合法的にprpr出来ると言う事なのだろう? 悪いどころか良いじゃないか。

 

 あれ、何で俺戦ってるんだっけ?

 

『どうせ放っておいても誰かに盗られてしまうんです、なら、力で奪い取るしかありません、それがこの世界の常なのですから』

 ヴェーロノークから放たれる第三波、ミサイル発射管が火を噴き無数の煙を上げて弾頭が迫り来る。それらを見た瞬間、条件反射でQBを繰り出す。断続的に続く噴出音は俺の思考に反して刃の様に鋭くミサイルの間を縫った。背後で爆音が鳴り響き、神経接続している俺の背に疑似的な熱を感じた。

 あっ、ちょ、何で避けたし俺! そのまま食らって撃墜されれば甘いハーレム生活ががが。

『……やはり、ランク1は伊達ではありませんか』

 再度弾薬を装填しながら言葉を吐くヴェーロノーク、そこに重火器を乱射しながらメリーゲートが答えた。

『分かっていた事でしょう、ヴェーロノーク、FCS(火器管制装置)が機能しない状態で此処まで戦えるのが彼なのよ』

 ロックオン出来ない状態で飛び回る俺はその会話を聞きながら、いや俺はさっさと撃墜されて甘いハーレム生活を送りたいんですけどとか思っていた。しかし長年培ってきたネクスト乘りとしての(さが)か、迫り来る攻撃を見ると勝手に機体が回避してしまう。神経接続とはつまり、考えて動かすというより自分の体を動かしているに近い。熱いモノに触れたら思わず手を引っ込めてしまう様に、弾丸が迫ってきたら避ける、と言う行為が当たり前になっていた。

 まさかこんな所で神経接続が仇になろうとは。

『っ……やはり識別信号が回復しなければ戦えんか……仕方ない、撤退しろ! イチかバチかだ、包囲網を一点突破する!』

 えっ、マジっすか姉さん、や、あの、俺此処で撃墜されて甘いハーレム生活をー

 なんて事を口にしそうになるが、待っていましたとばかりに機体が急反転、OB(オーバーブースト)が起動し大量の空気を取り込みながら機体が急加速した。アカン、思考と行動が全く一致してない。

OBは時速凡そ3800㎞を叩き出しメリーゲート、ヴェーロノークの機体が後方に流れる。そして遅れて射出された誘導弾頭が俺を追尾するが速度で言えば若干こちらの方が早い。 

『っ、逃げるつもり!?』

『逃がしません、防衛部隊、お願いします』

 そのまま作戦エリア限界までOBを吹かし、離脱寸前、あぁハーレムが遠ざかっていく、とか考えている所に。

『高熱源反応、これは……避けろッ』

 声に従ってOBを緊急停止、QBでその場から退避した瞬間水色のプラズマ球体が鮮やかに咲いた。空の一角を占める光、この色は見た事がある、いつかのミッションで見た砲台の攻撃、確か……。

『メガリスの高射砲だと!? ラインアークの防衛砲台が何故こんなところに!』

 そうだ、確かラインアーク襲撃依頼を受けた時に設置されていた砲台群、VOBを木っ端微塵にしかけた鬼畜プラズマ砲。見れば海上に幾つもの軍艦が浮かび、その背には高射砲を載せていた。

『GAにインテリオル、それにラインアークまで噛んでるのか、この件はッ!?』

 しかし、連中の用意はそれだけでは無かったらしい。何か背に氷柱を突っ込まれた様な感覚に陥り、慌てて高度を下げた瞬間、頭上を緑色の光が過ぎ去った。同時に展開中だったPAが消滅しKP値が急激に下がっていく、この現象は今まで飽きるほど見て来た。

 ゆっくり振り向けば、其処には黒い球体が宙に浮かんでいた。

 中央にくりぬかれた円型の窪、緑に光る一つ目。

『ソルディオス・オービット……』

 最早言葉は無い、AF(アームズフォート)ランドクラブに搭載されている自律飛行型砲台は、その搭載AF無しで稼働していた。それが六基、俺を囲う様に廃墟ビルの中から姿を現す。

『トーラスの変態共まで……』

 流石にこの戦力には俺も驚きを隠せない。ネクスト一機に用意する戦力じゃないだろう、それも企業間兵器のオンパレードだ。これは何か、俺はあの英雄野郎に売られたのだろうか? ふざけんなお前のバカンスの為にホワイト・グリントと死闘を演じるなんてミッション受けてやったのに恩を仇で返しやがって!

『ソルディオス、メガリス高射砲、おまけにネクスト二機とは、GA、インテリオル、ラインアーク……一体何を考えているっ!』

 それは俺にもわかりまてん。

 

 前後左右から眩い光、それはコジマ砲を放つ前兆。ソルディオス・オービットから放たれるコジマ砲をギリギリで避け、上下左右から迫る高射砲の連射も続けて逃れる。殆ど空間制圧攻撃となっているそれらは、例え燃費の良い近接機体と言えど大量のEN消費を強いた。

 流石に長時間の回避行動は命取り、QBを駆使して何とかエリアからの離脱を図ろうとするが、それをプラズマ球体とソルディオス・オービットが阻止する。ソルディオス・オービットは過去のモノから改良を加えられているのか、ネクストのQBよりも数段大きい火を噴いてその巨体を瞬間移動の様に掻き消した。

 そして次現れるとき、そいつは俺の退路を塞いでいるのだ。

 邪魔くせぇ、そして死ぬほど硬ぇ

 僚機信号は無い為、普通に遠距離での銃火器が使用出来るのだが、連射砲を撃ち込んでも然程効果があるとは言い難かった。銃弾が表面装甲で弾かれているのか火花が散っているのだ、それだけの重装甲で瞬間移動するコジマ砲台とか頭湧いてるんじゃねぇの?

 おまけに数も揃っている、下からはメガリス高射砲が俺の回避行動を制限し、ソルディオス・オービットが連携してコジマ砲を放って来る。何かの拍子に直撃を許せば即撃破、コジマ粒子は空間にあるだけでKP減少へと繋がる。六基のソルディオス・オービットは性能向上と引き換えに汚染レベルを引き上げたのか、砲撃を掠めるだけで再展開しかけていたPAが崩壊した。

 間隙を縫っては何度かブレードでオービットを斬り付けるも、一撃では堕ちない。高射砲の被弾覚悟でプラズマ球体に突っ込み、すれ違いざま二度ブレードを突き入れて漸く一基堕ちた、呆れたタフさである、一基落とすのにブレード三振りとか笑えない。

『AP八十%減少っ!』

 いや、これどう考えても詰みですって。

 MAPを素早く確認すれば、背後からは僚機信号が二つ迫ってきている。他でも無い、ヴェーロノークとメリーゲートの二機である。この状況で更に二機の増援が現れたら勝利は絶望的である。

 もう一基のオービットを何とか撃墜し、流石に機体の危険信号(アラート)がうるさくなって来た頃、セレンが叫んだ。

『もう良い! 離脱しろ! 機体は最悪大破しても構わんッ、作戦エリアからの脱出を最優先するんだ!』

 そうは言っても離脱すら難しい。二基減ったとは言えソルディオス・オービットは未だ四基健在、俺がエリアから逃れる素振りを見せれば(たちま)ち退路へと球体を差し込んでくる。

 

 まぁ、それにほら、撃墜されたらヴェロたんと嫁のメリーゲートとハアハア出来る訳ですしー

 

 なんて考えるけど動く機体は生存本能に正直。咲いたプラズマの華を上手く躱し、エリア外へとQBで逃れようとする。その前方にソルディオス・オービットが体を割り込ませるが、それを少しばかり《勿体ない》方法で退かす。使用できるENは殆ど無い、だからこそENを節約出来て、尚且つ機体を軽量化できる方法だ。

 

― AMS部分停止、EN供給回路切断、右脚部緊急分離

 

 俺のネクストの右足、それを振り抜く勢いで蹴り上げる。虚空でハイキックする様なモノだ、ネクストに四肢を使った格闘戦など想定されていない。

だから砲弾の代わりとする。

機体補修代金、機体バランサーの再調整、使用後のミッションへの弊害、全部度外視した荒業。

 蹴りを放った瞬間に右足が分離され、そのまま残留したENがブースターを吹かせたまま高速でソルディオス・オービットに激突した。膝部が装甲に食い込み派手な火花を散らしている、有澤隆文の雷電搭載、老神なんて目じゃない、それこそ超大口径の特大砲弾だ。QBの勢いも加わってソルディオス・オービットごと脚部は海へと落ちていく。

 そして俺はそのまま最高速度を保ってエリアを飛び抜けた。

 景色が背後へと流れる、次の瞬間にはOBの準備が整い、大きく背部が空気を吸い出した。このまま最高速度でぶっちぎれば作戦エリアからの離脱は叶う。

 

 あぁあぁあ俺のハーレムが遠ざかって行く……グッバイ桃源郷

 

『ッ、そんな』

 あと少しで加勢出来たヴェーロノークが悲嘆の声を上げる、しかし追従するメリーゲートは何も言わず、不気味な沈黙を守った。

そして俺の機体が大きく反り、OBを開始する寸前に ー 小さく呟いた。

 

『今』

 

 結果。

 ボン、と機体の背で爆炎が上がった。

 

 接続されたAMSから情報が流れて来る、OBの不発、背部ブースター全損、EN回路使用不可能、供給量減少、機体高度維持不可能、一体何が起きたのか。一瞬の混乱が虚を突き、そして公開無線が新たな敵の来訪を伝えた。

 

 

『お許し下さい、亲爱的(愛しい人)、リリウムが貴方を愛す事を……』

 

 

 素早く発信源を特定、視界が拡大され目の前にとある機体が映し出される。

 

― アンビエント

 

 十数キロ先の廃ビルの屋上に膝を着き、ライフルの銃口を此方に向けながら佇む純白のネクスト。

 BFFの切り札、カラードランク2 

リンクス【リリウム・ウォルコット】

彼女に背部のブースターを狙撃されたのだ、そう理解した瞬間に機体は海面へ向かって落下を始めた。KP EN共に残量はゼロ、そして狙撃によって内部機構にまで損害を加えられた機体は小爆発を繰り返し、煙を上げていた。

『馬鹿野郎が……ッ』

声が聞こえる、悲しみと、後悔の声だ。

 オペレーターである彼女にせめて一言、何かを告げようとして、けれど機体を飲み込む水流と警告音に掻き消された。

 

― AP 0

 

 最後に俺が思った事はー

 

 

 

 リリウムたんペロペロしたい。

 

 

― ミッション内容の変更を確認

 ミッション目標 【メイ・グリンフィールド エイ=プール 両名との永久婚姻契約】

 

 目標変更― 【メイ・グリンフィールド エイ=プール リリウム・ウォルコット 三名との永久婚姻契約】

 






------以下 小説とは本当に何の関係も無い話--------


 ぼんじょーるの(ヤケクソ)

 日本のセブンイレブンのおにぎり食べたい。
外国のご飯美味しくない、スパムおにぎりなんてあんなの固めたコメの何かだ!

 イタリアからコンニチハ、私です(´・ω・`)
出先でPC無いので苦労しましたが、やっとこさ投稿出来ました。
freeWi-Fiって便利、とても嬉しい。
今回は携帯でポチポチ書きました、とても大変でした、こんな事なら携帯に接続できるキーボードでも買っておくんだった……。

 ところで皆さん、活動報告でも書きましたが、ワテクシ、イタリアでヤンデレ探しに性を出しております。ヴェネツィア、ローマ、バチカン、フィレンツェ、あと何処だっけ、あの最初ウで始まった気がしたんですけど、一番最初に行った場所……忘れてしまった。まぁ兎に角細かい街の名前は結構忘れてますが、有名どころは覚えています!
 前回のフランスでは見つけられなかったので、読者様に「イタリアは情熱の国って言う位だから、いるのでは?」的なアドバイスを貰ったので探し回っております。

 それでですね、それなりには出会いがあるものなんです、あの読者様の言った通りですね! いやはや何とも話しかけて来る人が多い事多い事。多分これは国柄とか文化とか、そういうモノなのでしょうけど、と言うかイタリア人陽気すぎます。あと物価高い。閉鎖的で保守的な人も多いですが、結構オープンな人も居るっちゃいますね。

 結構あちこち行く途中、郊外の町なんかで一休みするのですが、あまり観光客などが居ない場所だとじろじろ見られたりします。それで好奇心旺盛な人がたまに話しかけて来たりするのですが、英語が通じないと、さあ大変、イタリア語なんてさっぱりですもの。
 ありがとう、ごめんなさい、こんにちは、位しか知りませんし、けれどもまぁ何とかなるものです、大体ボディーランゲージかGoogle先生が何とかしてくれます。

「此処にはなにをしに来たの?」
「ちょっとヤンデレを探しに」
「yanndere? 何だいそれは?」
「自分をとても愛してくれる人さ」
「なんてこった! とても情熱的だね!」

※かなりの補正が含まれております
 大体こんな会話をしました、彼はジョバンニと名乗ってくれました。町のレストランでピッツァ食べてたら話しかけてきました。
というかちゃんと伝わったかとても不安です、ヤンデレの意味が難しくって難しくって、日本語でなら語れるのですが、英語とかイタリア語では語り尽くせん!
けどまぁとても大げさなリアクション取っていたから、多分伝わったでしょう。

 そのまま彼とはヴェネツィアまで一緒に行きました、丁度休日だったので。
いや~、イタリア人の同行者がいると言うのは何とも心強いもので‥‥というか紅茶たっけぇの、一杯約1000円とか(10ユーロ)、アホちゃうかと。
 正確に言うと1300円位?
まあ兎に角、ヴェネツィアやばい、あと公衆トイレって有料なんですよ、使うなら130円(1ユーロ)払ってね! そのくせ日本のトイレの方が綺麗だし機能が良いっていう。

(´・ω・`)パネェ 

 ホテルのトイレはウォシュレットみたいな何かが付いています、便座が二つあってお尻を洗うそうです、こんなの付けるのならウォシュレットを素直に付けてくれイタリア。

 話を戻して、ヴェネツィアでジョバンニとふらふらした日です。
 ジョバンニが結構ナンパとかするので、ホイホイついって行った私も結局一緒に声を掛ける事に……。や、私ナンパとかした事無いし、ここ観光客多いし恥ずかしいのだけれど。
 とか言ってたらジョバンニが「ナンパは恥ずかしい事じゃない! 美人に対する礼儀だ!」的な事を主張していました。その熱を別なところに向ければイタリアはもっと発展するんじゃないかな、ジョバンニ。

 まぁ何故か存外上手く行って(外国人の観光客はスルーして)、イタリア人の女性と接点が出来たり、ほんとびっくりです、ジョバンニのナンパテクニックが凄いのですかね? あ、私は特に何もしてないです、その辺でカッコイイルネサンスっぽいマスク買ってました。
 
 色々話したり、一緒に行動してみた結果‥‥イタリア女性コワスギィ(;゚Д゚)

 というかアレは猛獣ですよ、猛獣、日本の「私、肉食系だしぃ?」とか言ってる女性が居たらそれはなんちゃって肉食系です。連中は骨まで喰おうとします、末恐ろしい。
遠慮ってものが無いです、良く言えば大胆……いや、大胆? 何か言葉が違う気がする。

 こう、何だろう、自分の生きたいように生きてる感が凄いです。
名前は? 歳は? どこの国から来たの? どうしてイタリアに? とか怒涛の質問です。あと19歳ですって答えたら何故かジョバンニの方が驚いていたので腹立ちました。どうりでやたらと酒をすすめてくると思ったら、成人していると思っていたみたいです。一応日本では20歳が成人でお酒は20を超えてから! と釘を刺しておきました、けどそのニ十分後には「ワイン飲もうぜ!」とか言ってました。
 話を聞けジョバンニ。

 まぁその日は特に何も無く終わり、ジョバンニとはFacebookで友達登録し、イタリア女性とは特に何も無く別れました。

 まだまだヤンデレ探しは始まったばかりですが、確かになんというか、ヤンデレの様な苛烈さはありそうな気がしてきます。
 けれどその奥底にある「相手のため」と言う行動原理はどうにも、ここの国民性には合わない気がしますね。

 まぁ所詮、私の主観ですかね!(`・ω・´)

 4月からは学校が始まりますし、少しはイタリア語勉強しておきます。
 

ではでは皆さま、次の投稿はいつになるやら‥‥それまでお元気で!
 ヤンデレッ!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。