東方晶蠍記   作:天翔青雷

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第五話 血晶

「ギギギ!?(うわぁ!?)」

 

 びっくりした。飼い主がいなくなったところで虫の死体に食いついたら、体液が結晶化して飛び出してきた。・・・後ろに飛び退くのがもう少し送れてたら、貫かれてたぞ。

 

「ギギギギ?ギ、ギギギ。(死骸に残ってた防衛反応?いや、僕の能力の暴走か。)」

 

 血晶、というのはよく分からないけど、字のままの意味ならば「血の結晶」だ。ということは恐らく、僕の能力は体液を操って結晶化させる能力。 毒に抗体ができたのは血を操ったからだろうし、今のは無意識に相手の体液を結晶化させたんだろう。

 自分の血を武器とするだけじゃなく、相手の血液ですら結晶化させる。ある意味、とんでもなく恐ろしい力だと思う。ただ、それ以前に・・・。

 

「『体液を結晶化させる』『蠍』って・・・。」

 

 生前・・・というか、前世というべきか?その頃やっていたゲームに、そんなモンスターがいた。あれは自分の体液しか操れなかったけど、今の僕の存在は、あれに限りなく近い。

 

‘尾晶蠍’アクラ・ヴァシム

 

 蠍なのに足が二本しかないとか、どうして蟹が行えない咆哮をできるのかとか、色々と分からない点の多い蠍のモンスター。

 

 ・・・もしかしてこの世界には、そんな化け物が溢れてる?

 

「ギギギ・・・。(勘弁してよ・・・。)」

 

 今の僕は、普通のサソリのサイズしかない。今化け物に襲われたら、一瞬でThe・Endだよ。

 ・・・毒入りの餌はいやだけど、やっぱりここで暮らすしかないみたい。まぁそもそも、出たくてもこの籠からの脱出なんて不可能なんだけど。


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