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第四話 その身に宿るは怪物の力
・・・ふぅ、死ぬかと思った。一体、何の毒を混ぜられてたんだろう?しかし、それにしても、よく生きてるなぁ、僕。
―――『血晶を操る程度の能力』―――
何コレ?突然、頭に思い浮かんだんだけど。もしかして、この力(仮)のおかげで生き延びられたのかな?そもそも血晶っていうのがよく分からないけど、とりあえず血清か抗体か、そんな感じなものを創ったんだろう。たぶん。
「ギギ、ギギギギ?(さて、これらはどうするのかね?)」
僕の周りで横たわる、たくさんの虫の死骸。これ、飼い主が処分するのだろうか?それとも、僕達が食ったほうがいいのだろうか?まだ、毒の成分が残ってそうで怖いんだけど。
「ありゃりゃ、三分の一は死んじゃいましたね。これ、どう報告しましょうか。こんなに殺したなんていったら、あの人に怒られちゃいます。」
あ、まだいたんだ。飼い主。
虫の死骸の処理方法について聞きたいけど、生憎と今の僕は人の言葉を喋れない。聞いて理解することはできるんだけど。
「まぁ、きっと大丈夫ですよね。ここの虫が死体を食べて、増殖すればバレないはずです。」
・・・よく分からないけど、とりあえず死体は食ったほうがいいらしい。残念ながら、僕は増殖しないけど。サソリは僕一匹しかいないし。さすがに、他種族との交配とか勘弁して欲しいし。
ところで、もう、死体に毒の成分は残っていないよね?たぶん死ぬことは無いだろうけど、苦しいのは嫌だよ?