さて、目の前でこの建物の唯一の出入り口を塞いでいる化け物熊。あれをどうにかしないと、この壊れかけの建物からは出られないだろう。というか、段々と皹が広がっている。早く脱出しないと、不味いことになるだろう。
・・・上手くいくかは分からないけど、ここは蠍らしくいくか。
「ギギッ!!」
「グギャッ!?」
とりあえず、成功。
別に、大したことはしてない。ただ、小さな体を利用して見つからないように接近して、尾針で一撃を加えただけ。問題は、これだけ大きな相手にどの程度蠍の毒が効「ドサッ!」・・・へ?
熊が、倒れた。ついでに、若干痙攣してる。
「ギギギ?ギ、ギギ。(毒を盛られ続けた成果?まぁ、いいや。)」
とにかく、大物を倒せたんだから。・・・折角だし、こいつの血も浴びていくか。
思い立ったら吉日、とは少し違うけど、早速僕は熊の体に噛み付いて穴を空け、そこから体内に侵入していく。溢れ出た血を浴びてもいいけど、こうした方が効率がいい。血を浴びて鎧を強化するついでに、完全に熊の息の根も止められるし、同時にその肉も食える。・・・どうでもいいけど、食事のスピードが、もはや蠍のものじゃないと思う。
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さて、熊の血でより強固な鎧ができた。とりあえずは、もう少し高いところへ行こうか。上から見渡せば、状況が把握しやすそうだし。何処に何がいるのかとか。
カチッカチッカチッカチッ・・・
僕は、建物の壁を伝って上へ行くことにした。けど、一々壁に足を突き刺して移動してたら疲れる。だから一旦足に付いた血液を液体に戻し、壁に足が着いた瞬間に結晶化させ、足を離すときはまた液体にし・・・を繰り返して、一歩ずつ進んでいる。血晶を接着剤の代わりに使う日が来るなんて思わなかった。
「・・・ギギ?(・・・あれは?)」
建物の一番高いところへ来ると、色々なものが見えた。
下のほうで戦っている人間と化け物は見なかったことにして、僕はそれを眺める。
・・・永琳達が月に行くために使うであろう、ロケットらしきものを。