デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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2話から連日投稿中。
それ故、話数注意です。


5話 VS澪2

オーストラリアで行われている八舞姉妹&六喰対澪の戦いは八舞姉妹がそのスピードで澪をかく乱しながら隙を見て天使で攻撃し、さらに六喰が空間に穴を開けまくって車やら木片やらと色々な物を飛ばしていた。

 

「ただの物体じゃ私には届かないよ」

 

澪はそんな三人に対し一歩も動いておらず、その場で周囲に風の結界を張って三人の攻撃を全て弾いていた。その間澪は一切攻撃をしておらず、つまらなそうな顔をしていた。

六喰はそんな澪にムッとすると、口を開く。

 

「知ってるのじゃ。だからむくにはむくの考えがあるのじゃ!」

「ぜひともその考えを聞きたいんだけど?」

「秘密なのじゃ!」

「疑問。随分余裕そうですね。夕弦たちを舐めているんですか?」

「ならば、押し切るまでだ!」

 

三人とも澪が完全にタイムアップ狙いにきている為、攻撃の手を上げるが風の結界を破れる気配が無かった。

ならばと、耶倶矢は夕弦に目配せをする。それで夕弦は理解し頷く。

 

「行くよ、夕弦。<颶風騎士(ラファエル)>――」

「呼応。【天を駆ける者(エル・カナフ)】!」

 

二人は天使を合わせ弓形態に変え、弦を引く。それで、澪もさすがに風の結界じゃ防ぎきれないと思ったのか、邪魔しようと<封解主>を出して二人の周囲に空間の穴を繋げる。穴から<封解主>が出て来て弓の機能を閉じようとする。

 

「させないのじゃ!<封解主(ミカエル)>――【(セグヴァ)】」

 

しかし、弓に届く直前に六喰が自身の<封解主>で澪の<封解主>を突き刺し能力を閉じて、<封解主>をただの棒にする。

 

「あっ、やばっ!」

 

そして、矢が澪目掛けて放たれる。矢は一直線に澪のもとに飛ぶが、澪はさして慌てること無く風の結界を解いて回避する。

 

「威力は申し分ないけど、見え見えだから当たらないよ」

「分かっておるわ。風よ囲め!」

「宣告。まだ、夕弦たちの攻撃は終わっていません!」

 

澪は回避してその場に滞空すると、二人にそう言い、耶倶矢と夕弦は澪の周囲に風を集めて澪の行動範囲を制限する。

澪は二人が何をする気なのかと警戒すると、

 

「<封解主>――【(ラータイブ)】!」

 

澪の真上に六喰が移動しており空間に穴を開いた。動きを封じた所にまた車などを落とすつもりなのかと思い呆れていると、穴から先ほど放たれた【天を駆ける者】の矢が出てくる。

 

「あれ?これはまずいかな?でも、私にはまだまだ天使があるよ!」

 

澪はさすがに風に囲まれて回避先が無くて、ちょっと困るがすぐに行動に移し、【穿つ者】を顕現させて、無理やり風の包囲を突き破って脱出する。直後、矢が澪のいた場所を通過し、地面に落下していった。

澪は「三人の作戦は悪くなかったが、相手が悪かったねぇ」と呟いてドヤ顔をする。しかし、そこで気づいた。

 

「あれ?三人ともどこ行った?」

 

いつの間にか三人の姿が無く、辺りを見回し、

 

ドッカーン

 

いきなり澪の真下の地面から大爆発が起こり、澪は爆発に巻き込まれた。そして、爆発による炎で連鎖的に爆発し、普通ならただでは済まない威力と炎になっていた。

 

「確認。これでだいぶダメージが入ればいいのですが……」

「むん、想定外の攻撃なはずなのじゃ」

「うむ、綺麗に入ったはずだ」

 

それを少し離れた位置に移動して三人は見ていた。この大爆発も三人の作戦であり、六喰が車やら木片といったよく燃える物に紛らせてどこから持ち出したのかダイナマイト等の発火物も飛ばしていた為、こんなことになった。本来なら矢をガードして地面に突っ込んだところで爆発させたかったところだったりするが。

 

「というか、爆発物入れ過ぎじゃない?煙がすごくてどれくらいダメージが入ったかわからないんだけど」

「むくは悪くないのじゃ!もっと派手に行きたかったのじゃ!」

「指摘。六喰言ってることがおかしいですよ」

「うんうん、そうだよ。あと、あんなに爆発させたら環境に悪いよ。と言う訳で<氷結傀儡(ザドキエル)>!」

 

三人が話していると、澪の声が響き、直後爆発した辺り一面が凍り付き、炎すらも凍りついていた。そして、煙が晴れると、土埃と煙で汚れた澪が立っており、パタパタと叩いていた。見た感じはあまりダメージが無さそうだった。そして、恰好が四糸乃のようなウサギのレインコートが羽織られていた。

 

「ふむん。あれでダメージが無いじゃな」

「なかなかに危なかったよ。まさか本命が爆発だったなんてね。まぁ、私の場合は風で弾いたり、凍らせたりできるからね」

 

澪はぴょんと跳ねて、風を起こして一気に三人に向かって【穿つ者】を出して突撃し、耶倶矢も【穿つ者】を顕現させて迎え撃つ。

互いの槍の先端が触れて鍔迫り合い、夕弦が澪の背後から【縛める者】で澪の身体を拘束し、六喰が<封解主>を澪の身体に突き刺す。

 

「これで終わりなのじゃ。<封解主(ミカエル)>――【(セグヴァ)】」

 

そして、澪の能力を完全に閉じた。澪は能力が閉じられたことでポカーンとし、三人は澪の前に立つと、澪の能力を完全に封じたことで勝利を確信した。澪は天使を顕現させようとするが、能力を閉じられたので顕現されることは無かった。

 

「さて、これでお主はもう力が使えまい。ということで我らの勝ちでよいな」

「うーん。そうだね、流石に能力が封じられちゃったら何にもできないもんね」

 

耶倶矢がそう問うと澪は苦笑いを浮かべ、ポケットに手を突っ込む。

 

「だから、能力が使えるようにしようかな?」

 

そして、澪がポケットから銃を引き抜いた瞬間、耶倶矢と夕弦はそこから生じるであろう行動を読み、阻止しようとする。しかし、澪の行動の方が一歩早く、澪は自身の身体に撃った。撃ったのは【四の弾】だったので、天使が閉じられる前の状態に戻り、【穿つ者】が澪の身体を貫いたのだが、澪は気にせず<鏖殺公>を顕現させて耶倶矢に向かって振るう。それを夕弦が【縛める者】で<鏖殺公>に巻き付かせることで止め、耶倶矢は【穿つ者】を引き抜いて距離を取る。澪は巻かれたまま力任せに振るって夕弦を地面に叩き付けようとすると、夕弦は放られる前に解いて、地面に叩き付けられるのを回避する。そして、澪の身体にできた傷から炎が噴き出し、傷口を癒し塞ぐ。

 

「さて、じゃぁ私もそろそろ本気で行くよ。さっきまでは基本的に攻撃は君たちの天使ばっか使ってたけどここからは他も使うからね」

「ほう、ならば我らも本気を出すとしようか」

「確認。あれをやるんですね?」

「うむ、それしか無かろう」

「了解。では行きましょう――」

「「<颶風騎士(ラファエル)>――【重ね合わせし者(エル・ラッド)】」」

「むくも行くのじゃぁ。<封解主(ミカエル)>――【(シフルール)】」

 

八舞姉妹がそう言って手を重ねると、二人の周囲に風が渦巻き二人を包み込む。六喰も自身に<封解主>を突き立てて霊装と天使の形状を変える。

そして、八舞姉妹を包んでいた風が四散すると、そこには二人が合わさった姿――八舞になっていた。その右手には【穿つ者】、左手には【縛める者】を携えていて、【穿つ者】を澪に向けて言い放った。

 

「覚悟。我が颶風の力に平伏すがいい」

 

 

 

~☆~

 

 

 

「そんな……」

「くっ、まさかここまでとは……」

「いや、別にシリアス要素皆無だからね」

 

七罪と二亜の発言に澪がツッコミ、澪は辺りに転がったモノを見たのだった。そこに転がっているモノは澪に斬り裂かれ、焼き払われたドラゴンの残骸だった。

澪が嘆いた後、澪はさっさか二人を倒すことにして右手に<鏖殺公>左手に<灼爛殲鬼>を握り、二人に襲い掛かり、二人は対抗策が無いまま回避していった。なので、二亜は事前に描いていたページを千切って宙に放り、七罪が<贋造魔女>の光を当てて【召喚】を行った。その結果、ドラゴンが召喚され、澪に襲い掛かったのだが、澪は多少驚いた後、何のためらいもなく<鏖殺公>で切り裂き、<灼爛殲鬼>で焼き払ったことでドラゴンは瞬殺されたのだった。で、冒頭の発言を二人がしたのだった。

 

「せっかくの自信作だったのに……」

「そうだぁ、空想上の生物なんだからねー」

「なんで私怒られてるんだろ?」

 

七罪は落ち込み、二亜は怒り、澪は怒られたことに釈然としなかった。澪は首を傾げるが「まぁいいか」と割り切ると、二人に攻撃をすることにする。七罪は<贋造魔女>を構えると、

 

「<贋造魔女(ハニエル)>――【千変万化鏡(カリドスクーペ)】」

「<囁告篇帙(ラジエル)>――【具現(サモン)】」

 

<鏖殺公>の形状を模倣して握り、澪の<鏖殺公>による攻撃を弾き、二亜はさっと<灼爛殲鬼>を描いて、具現化させて握って澪の<灼爛殲鬼>にぶつける。

 

「あれ?その技って天使も可能なんだ」

「うん。と言っても目の前に描く対象があるから、よりリアルに描けるんだよね」

「なるほどね。でも、慣れない天使をどれだけ扱えるかな?」

 

澪は他人の天使を扱う二人にそう言葉をかけると、攻めの姿勢で攻撃を繰り出していく。二人は攻撃をしのいでチャンスをうかがうが、全くと言っていいほどチャンスは巡ってこなかった。そうして何度も繰り返していると、

 

「え?何で、精霊同士で戦ってる訳?」

 

かなり遅れてASTが集まってきたのだった。七罪と二亜からすればただただ迷惑なだけで、澪の場合はそもそも興味を示してすらおらず、二人に攻撃を続けていた。そして、AST達はデータベースに照合でもしたのか、スキャナーと七罪たちを何度も見比べていた。七罪と二亜は扱っている天使の形状が他の精霊の物なので、澪の場合はそもそも誰?という疑問から始まるので仕方がないことだった。

(さて、あの人たちはどう出るんだろ?正直帰ってくれたらいいんだけど……一番やめてほしいのはあっち側になることよね)

七罪がそんなことを思うと、ASTが動きを見せる。具体的には離れた位置からの射撃。霊装を纏っているのでダメージは無いのだが、ただでさえ澪の攻撃をしのぐのに神経を使う為邪魔だった。

澪もムッとした顔をすると、一瞬ASTの方を見て、

 

「邪魔」

 

ボソッと呟くと、周囲に風を起こして飛んでくる弾全てを逆方向、つまりASTの方に飛ばす。ASTは随意領域でガードするが、いとも簡単に貫通し、スラスターやユニットを砕き、AST達は落下していった。

 

「よし、邪魔物の排除完了!」

「それでいいの?」

「ん?だって邪魔じゃん」

「いや、生かしてる理由が気になってね」

 

澪が落下していくASTを見てそう言ってガッツポーズをすると、七罪が半眼を向けるが澪はさして気にしておらず、二亜が七罪の疑問を理解しているのかそう問う。澪は首を傾げていた。二人は澪がASTを生かしておく理由が一切思いつかず、そんなこと疑問を思うと、澪は「あぁ」と何かを納得してポンッと手を打つ。

 

「気分!」

「「……」」

 

澪は真顔で言い切った。その場に沈黙が流れるが、二人は口をつぐんでおり、澪はドヤ顔、ASTは墜落したので誰もツッコミをしない。澪はせっかく答えたのに二人とも反応が無くてムッとする。

 

「なんで、無言なのー?」

「いや、特に理由が無いって言ったから、ちょっと予想外で」

「うん、てっきり計画の為に何かあるのかと思ったし」

「なんでもかんでも理由があると思ったら大間違いだよ」

 

澪は言って、両手に宿している天使を消す。澪が何かをしようとしているのを二人は感じると、状況が悪化する前にと澪に接近する。二人は澪に攻撃をするが全て回避して距離を取り、直後澪は強風を起こして二人の接近を防ぐ。

 

「そろそろ、私の天使も慣れてきたから見せてあげる。私のとっておきをね」

 

澪は言って、<鏖殺公>と<刻々帝>を顕現させる。そして、<鏖殺公>を<刻々帝>に突き刺す。

 

「<鏖殺公(サンダルフォン)>――<刻々帝(ザフキエル)>――【複合(コネクト)】」

 

すると、二つの天使が輝き出し、光が収まると澪の手には一振りの剣が握られていた。<鏖殺公>より一回り大きくなり、剣の腹には<刻々帝>の時計が埋め込まれていた。

 

「なにあれ?」

「なんか嫌な予感がするんだけど?」

「ん?これは……複合天使とでも言っておこうかな?」

 

二人は澪の手にした剣に嫌な予感を感じ、警戒しながら今一度天使を握りしめる。

澪が剣の正体を口にすると、複合天使と呼ばれる剣で自身の腕をさっと斬り付け、

 

「やっほー」

 

一瞬で七罪の目の前に現れた。

(え?なにこれ……今のって)

七罪は慌てて斬り付けられる直前に<鏖殺公>を滑り込ませてガードするが、勢いがあり過ぎて地面に叩き付けられる。

 

「なっつん!」

「人の心配してる余裕はないよ」

「このッ!」

 

二亜が七罪に向かって叫ぶと、澪が目の前に現れ、二亜は<灼爛殲鬼>を振るう。澪は慌てること無く、剣でガードすると、剣に触れた瞬間二亜の<灼爛殲鬼>が消滅した。まるで、<灼爛殲鬼>が元から存在していなかったかのように。澪は手ぶらになった二亜の身体に剣の腹で殴打して、二亜は地面に叩き付けられた。

二亜が落下した地点は七罪が落下した地点のそばだった。

 

「いたた。二亜無事?」

「うん、なんとかね。なっつんの方は?」

「こっちもなんとか。で、あれってやっぱり」

「うん、たぶん考えている通りだと思うよ」

 

七罪は地面に打ち付けた場所をさすりながら体を起こし、二亜も体を起こし互いの無事を確認する。

(今の高速移動が【一の弾】に似てるし、二亜の【灼爛殲鬼】の消滅が【四の弾】で戻されたと考えれば、あの剣に触れると<刻々帝>の能力が付加されているって考えられるわね)

七罪はその考えに至り、接近戦は危険と考え【千変万化鏡】を解いて<贋造魔女>を元に戻す。

二亜も七罪と同じことに至ったのか、どうしたものかと困っていた。

 

「さて、律儀に考えをまとめる時間はあげないよ」

 

そんな二人に構わず、澪は空を蹴って接近し、二亜への追撃を行う。高速移動では無かったので効果が切れたようだが、武器が無い二亜はぴょんと後方にジャンプして回避すると、七罪は<贋造魔女>を掲げてもう一度【千変万化鏡】を行い遠距離に向いている天使――<絶滅天使>に形を変える。<絶滅天使>を澪に向けると、光線を放って二亜への追撃を止める。澪は「はぁー」と息を吐くと、光線を斬り裂き、そのまま斬撃を飛ばす。

七罪は一瞬後ろに視線を向けた後、背を低くして回避すると、カウンターとばかりに光線を撃ちまくる。

 

「いくぜ!<囁告篇帙(ラジエル)>――【具現(サモン)】」

 

そして、七罪が澪を引き付けている隙に、二亜は<囁告篇帙>に描いて【具現】を発動させると、二亜の右手に【砲】状態の<灼爛殲鬼>を纏い、霊力を収束させて澪に向けて炎を放つ。澪は振り返り様に斬撃を飛ばす。飛んできた斬撃は炎を斬り裂いて進み、二亜が<灼爛殲鬼>でガードすると<灼爛殲鬼>が消滅した。

 

「さてと、この光線とか天使模倣とかめんどくさいなー」

 

澪は光線を捌きながらそう言うと、再び剣先に触れて自身の動きを加速させ、一瞬で二亜の後ろに回って斬り裂き、直後に七罪の背後に移動して七罪の背を斬った。

斬り裂かれた二人は傷口からおびただしい量の血が……出ていなかった。そして、二人ともその場から一歩も動けなかった。

(え?確かに切り裂かれたのに……って、身体が動かない?)

 

「確か【七の弾(ザイン)】だったっけ?触れたモノの時を止めるのって?じゃぁね」

 

澪は剣を振りかぶると、そのまま振り抜いて斬撃を飛ばした。それを立て続けに何発も行い、身動きがとれない二人は斬撃の数々に包まれたのだった。

 

 

 

~~~~~

 

「「地味」」

「あっ、うん」

「六喰!」

「なに……これ」

「じゃぁね」

「はい、面倒そうですね~」

「ありゃ?皆こっちに来ちゃダメだよぉ」

 

次回 “<複合天使>”




重ね合わし者(エル・ラッド)
八舞姉妹が一時的に一つの姿になる技。完全状態だからできることであり、限定霊装状態では使用できない。イメージは龍の球の合体?

複合(コネクト)
複数の天使を合わせて一つの天使(武器)にして使う。澪が複数の天使を使えるからできた技?というか思い付き?

澪がポケットに銃を忍ばせていたのはレインコートを纏った時だったので、能力を閉じられても使えた感じと解釈してください。六喰が閉じたのは天使を顕現させる辺りだったので、すでに顕現させていた銃は効果範囲外だったってことで。

八舞姉妹が一つになりましたが、パラレルIFだと八舞編で一度なってますし問題ない・・・はず?

では、また明日。ノシ

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