デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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2話から連日投稿中。
それ故、話数注意です。


3話 ゲーム

精霊たちは四つのグループに別れて行動していた。四グループに別れたのは、澪が言ったゲームに際し、別れないことにはどうにもならなかったから。

そして、琴里・四糸乃・よしのん・折紙は目的地のアメリカに降り立つ。というか、穴から出てきただけだが。

 

「はぁー。まさか、ここまでとはね」

「はい……相当大きいですね」

「そっちもだけど、唐突に現れた方ね。それと今回はそうとう厄介な戦いになりそうね」

『だねぇ。これをあの子がねー』

 

四人?がそう呟くと、その視界には、大きく抉られた空間震の跡が広がっていた。

そして、

 

「やぁ、来たね。待ってたよ」

「数秒前に見た気がするけど?」

 

その中心には澪が立っていた。

 

 

 

~☆~

 

 

 

つい二十分ほど前にさかのぼる。

 

「わかったわ。受けて立とうじゃない。それで、何をするの?」

 

澪の問いに琴里は、皆に視線を向けて、皆の目を見る。その目にはやる気に満ちており、それで琴里は決心した。

澪は琴里の言葉を聞いて何故かほっとすると、ではではとばかりにゲーム説明を始める。

 

『私はこれから人類殲滅の準備をするから準備が終わるまでに私のもとにたどり着いたらそっちの勝ちってのでどう?』

「「「いや、無理でしょ」」」

『あっ、即答しちゃうんだ』

 

澪の提案するゲーム内容を聞き、精霊達は即答で否定した。理由としては、いつ準備が終わるのか分からないこと、地球上の何処かだろうから範囲が広すぎることなどなど。

澪は即答されたことに驚いていた。

 

『まぁ、流石にノーヒントじゃきついだろうから、ちゃんとヒントはあげるよ』

「あっ、ヒントくれるんだ」

『うん、ワンサイドゲームはゲームじゃないからね。ゲームは面白さがあってなんぼでしょ?』

 

澪はさも当然のようにそう言うと、何故か立ち上がる。

 

『まぁ、タダではあげないけどね』

ウゥゥゥゥゥゥ――――

「えっ?空間震警報?」

 

そうして、突然空間震警報が鳴り響いた。タイミング的に考えて澪が関わっているのはその場のメンバーが察したのだが……。

 

「……そんな」

 

コンピュータを操作していた箕輪が小さく呟き、その声は震えていた。そして、すぐに大型モニターに映されると、それは世界地図なのだが、いたる場所に赤い点が打たれていた。それも大小さまざまな。

 

「ん?なにこれ?」

「さぁ?」

「えっ?これって」

「まさか……」

 

精霊たちはそれを見てもピンと来ないが、他のクルーと琴里、折紙はそれだけで理解したようだった。

 

「これは一体何なのだ?」

「この赤い点一つ一つが、空間震が起こる兆候のある場所を示しているの」

「ってことは……」

「そう。もしも、表示されている場所すべてに空間震が起きれば、それだけで相当な被害が出ることになる」

 

折紙は、冷静だが内心は動揺しながらそう口にして説明した。すると、それを聞いた精霊達にも動揺が広がる。

(まさか、この空間震が人類殲滅の方法なの?)

しかし、そんな琴里の考えとは裏腹に、澪はソファーに座ると、足をパタパタさせる。

 

『というわけで、コンピュータをいじってやたらと多くの場所に空間震警報を鳴らしたけど、本当に起きる空間震は四つだけ。そこに私の分身が現れるから、倒すたびにヒントをあげるよ。で、全員倒せたら私の居場所が分かる仕掛けだよ』

「なるほどね。それにわざわざ警報を鳴らして人払いまでしてくれるなんてね」

『まぁ、私としては人がいる中でドンパチして恐怖を煽るのも面白そうだけどね』

「それは私的に遠慮したいところね」

『そっか。じゃぁ、そろそろ始めようかな?他に聞いときたいことはある?』

 

澪はそろそろゲームを始めようと言って、一応質問が無いかと確認をする。

すると、七罪が手を上げて口を開く。

 

「ゲームとは関係ないんだけどさ、あなたは真那のお姉ちゃんなんだよね?」

『ん?うん、そうだけど?それがどうしたの?』

「真那はどこ行ったの?もしかして士道と一緒に居るの?」

『……あぁ、そっか。真那ならこっちにいないよ。今どこいるのかなぁ』

「……そう。わかったわ」

 

澪は何故かそっぽを見てそう言い、七罪はそれだけ聞くと話を終える。七罪は何か得たのか、そこまで残念そうな顔をしていなかった。これで、終わりかと思うと続いて狂三が口を開く。

 

「ところで、先ほど分身とおっしゃいましたけど、あなたはもしかして……」

『あっ、私の情報も少しあげとかないと不公平だね。そっちの情報は結構知ってるし。私は君たちの天使全部使えるからそれなりの気持ちで来てね。分身も私の時間の一部だからさ』

「はぁ、やはりそうなのですわね。では、もう一つ。あなたが最初の精霊ですの?」

 

全ての天使が使えると聞き、皆が声を出せずに驚いている中、先にその結論に至っていたのか、狂三にはそこまで動揺が無く、改めてそう問う。澪は少しも考える素振りをせず口を開く。

 

『私はただの二人のお姉ちゃんだよ。精霊だけど……』

「はぁ、そうですのね。ならわたくしの質問も終わりでいいですわ」

『そう。私としては知ってる情報で話せる範囲なら話してあげるのに』

 

澪はつまらなそうにそう言うと、もう質問が無いかと見回す。そして、誰も質問しないのを見届けると、

 

『ちゃんとしたルールをまとめたのを追ってそっちに送るから。じゃぁ、十五分後に起こすからそれまでは作戦会議とかしてていいよー。じゃっ、始めよっか。人類の未来をかけたゲームをね』

 

澪がそう言って話を締めると、通信が切れたのだった。そうして部屋にはしばしの沈黙が流れる。

 

「さて、大変なことになったけど。このゲームに降りたかったら降りていいわよ。強制はしないから」

 

琴里としては、このゲームは相当危険を伴うと思われるので、精霊の皆に無理させたくは無かった。

だからそう言ったが、皆士道のことが心配だから、危険は承知の上でやるという意思があり、降りようとはしなかった。

琴里は誰も降りなかったことに安堵しながらも、危険に巻き込むことに不安もあった。が、皆がそう決心しているのならとこれ以上は言わない。

 

「かか、琴里よ。勘違いするでないぞ。我らは無理しているわけではない」

「指摘。夕弦たちは士道を、人類を救って平穏を取り戻したいんです」

「そう。じゃぁ、時間がどれだけあるかわからないけど、作戦を決めましょうか。全員で一人ずつ倒していくか、グループに別けるか」

「まぁ、普通に考えれば制限時間があるから同時攻略だろうけど、相手が相手なだけに全員で行かないと厳しそうだよね」

「うん、私もそう思う。まぁ、なんにせよ、ちゃんとしたルールをまとめたものが来ないことには始まらない」

「というか、このまま送られてこない可能性は無いのか?」

「あっ、そういえばそうね。律儀に守る理由が向こうにないわね」

「え?でも、そんなことしますか?あの人、ああは言っても、質問には答えてくれましたし……」

「そうですよ、あんな美少女が嘘つくわけありません!」

「どういう理屈なのじゃ?それと七罪、さっきの質問で何かわかったのか?」

「え?あ、うん。ちょっとね――」

 

各々がそんなことを言い、六喰が七罪に話を振ると、七罪は考え込んでいたのか若干の間があった。そして、七罪が考えていたことを口にしようとすると、

 

『澪からのルールをまとめたものが送られてきました』

「早くない?」

 

澪が言っていたまとめたものが送られてきて、鞠亜がモニターに表示させる。

 

 

【 ― ゲーム名“私を見つけて” ―

・参加資格 澪による人類殲滅を止めたいと思う者

 

・勝利条件 

一、世界中の何処かに配置された四人の分身をそれぞれ撃破するごとに送られるヒントをもとに澪の本体を見つけてたどり着けば、参加者側の勝利とする。

二、澪が人類殲滅に対するやる気が無くなった場合。

 

・敗北条件

一、人類殲滅の準備が整うまでに見つからなければ、参加者側は負けとする。

二、澪の分身によって参加者側が全滅した場合も、参加者側の負けとする。

三、降参した場合。

 

・追加事項

一、時間内であれば、参加者側の人数増員は許可される。

二、もし敗北条件『二』が満たされた後に、追加事項『一』がなされた場合は、増員は許可されない。

三、手が空いている分身は暇なので準備を進める手伝いをするため、放置すると制限時間が減る。

 

宣誓 上記のゲームが公正に行われることを<雷霆聖堂>が保証します 】

 

 

「随分簡単に纏められてますね~。それにしても<雷霆聖堂>ってなんでしょうか?」

「さぁ?それっぽくしたかったんじゃないの?」

「確認。それより、勝利条件の“やる気をなくす”はツッコまなくていいんですか?」

「いえ、もう気にしたらダメな気がしましたわ。大体あの人のやる気をなくすってどうやるのですのよ」

 

精霊たちはルールに目を通すと各々そう言う。

(というか、ざっくりし過ぎじゃないかしら?)

 

「それより困ったね。この追加事項『三』ってやつ。これあるから、絶対に別れてやるしかないね」

「そうね。同時にやらないと早まっちゃうわけだし……」

「こっちが十一人で、向こうが四だから二人か三人……か」

「全部の天使が使えるの相手にその人数ってきつくない?」

「ですわね。おそらく同じ天使で対処して来て時間稼げば向こうはいい訳ですし」

「勝てっこない敵の出現。つまり……修行の時か!」

「いや、時間的にそんなことしてる時間無いでしょ」

「というか、今回はみんなフルで行くの?」

「ええ、そうしないと勝ち目はゼロだろうし、終わったら士道にまた封印してもらうしかないわね」

 

追加事項『三』が問題となり、仕方なく四グループ作ることとなったのだった。

そして、パワーバランスだの、チームワークなどなど色々考慮してグループを組み、組んでは心配だとか言ってなかなか決まらず、かれこれ十分が経った。

 

『ふぅ、空間震が本当に起きる地点を絞り込み終えましたよ』

「それで、何処なの?」

『はい、ここです』

 

鞠亜はその間に、空間震の起きる位置を絞り上げ、モニターに表示する。表示された場所は、日本、アメリカ、イギリス、オーストラリアの四ヶ所だった。

場所がバラバラなので、仮に早く倒せても助けに行くのは困難な場所だったので、それぞれ困った顔をする。

 

「ちなみに他の場所には空間震は起きないのよね?」

『えぇ、おそらく彼女の考える殲滅方法は空間震ではないと思います。だから、この四か所かと』

「ふーん、ちなみに根拠は?」

 

鞠亜がそう言うと、二亜は鞠亜に視線を向けてそう問う。二亜としてはどうして鞠亜がそう思ったのか分からなかったからだった。

 

『それは、ゲームの内容が人類殲滅になったらゲームにならないと思うからですよ』

「なるほどね。じゃぁさ、どうして戻ってこれたの?」

『それは、澪が通信したがったからですよ』

「ふーん、ちなみに彼女のいう殲滅方法とか知らないの?」

『残念ながら知らないですね。それで、二亜は何が聞きたいんですか?さっきから回りくどいですけど』

 

鞠亜は二亜の目を見ると、二亜は「ばれたか」と呟き真面目な顔をする。精霊達は二亜がどうして鞠亜に質問しまくるのか謎だった。

 

「いやさ、鞠亜ちゃんが戻ってこれたのが疑問でさ。別に通信するだけなら戻ってこなくても、向こうからできるじゃん?だったら余計なことが出来ないように人質にしないのかなって思ってさ」

『……そういうことですか。確かにそうですね。まぁ、私が戻って来たのはある役割があるからですよ』

「というと?」

『澪とこことの情報共有です。私は電子の世界から澪のいる場所のコンピュータに行けますので、何か疑問があれば随時確認に行けるんです』

 

鞠亜の言葉を聞き、「なるほど」と二亜は呟く。二亜はそれで納得すると、そろそろ空間震の予想ポイントに行くことにする。空間震が起きた後に行かないと巻き込まれるリスクがあるからまだいけないのだが……。

 

『空間震来ます!』

 

そして、それから五分経つと四ヶ所同時に空間震が起きた。モニターに移された空間震跡は四ヶ所とも大きさはバラバラだが、それなりの規模だった。そして、空間震による被害範囲が出るが、何故か避難者のシェルターにはどこも入っていなかった。

(人的被害がゼロみたいだけど、人類殲滅を謳っている割に人的被害がゼロなのが謎ね)

 

「気になることがありましょうけど、そろそろグループごとに予測ポイントに行きましょうか。距離もありますし」

「むん、むくが目的地まで空間を繋げるのじゃ」

 

琴里が考えを巡らせていると、狂三は琴里に視線を向けてから全員にそう言い、六喰が手を上げてそう言うと、

 

「主様を救うためにいくのじゃ!<神威霊装・六番(エロハ)>!」

 

六喰は意思を瞳に宿してそう言うと、六喰の周囲に霊力が集まり、チャイナドレスのような形状の六喰本来の霊装が纏われる。さも、ちゃんと完全形態の霊装が纏えることが分かっていたかのように。

 

「ちょっ、さっきはフルじゃなきゃ厳しいっていったけど、そんな簡単にできるモノなの?千花はやり方知らないとか言ってたけど」

「むん?元々むくの力なのじゃから、できるのじゃ。それに、むくは主様を助けたいのじゃ。だから、できると思ったらできたのじゃ。千花の場合は単にフルをしたら主様に後々面倒をかけると思ったのじゃろ?」

「はぁー。千花のことはまぁおいといて」

「おいとくの?」

「時間があるんだから仕方ないでしょ。終わったら、全て聞けばいいんだから」

「じゃぁ、行くのじゃ」

 

折紙が肩を窄めると、六喰は空間に四つ穴を開ける。色々と疑問があるが、折紙が言った通り時間が無いので、琴里は疑問を一度隅に置いて気持ちを切り替える。しかし、未だにグループ分けが完了していない状況にある

 

「じゃぁ、グループはどうしようかしらね」

「さっさか始めるよぉ。それじゃぁ、レッツゴー」

「「「え?」」」

 

そして、いつの間にか部屋に現れた澪が突風を起こして、適当に参加メンバーを穴に突っ込んだのだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「回想長すぎなのじゃ!」

「はいはい、ツッコまない。それよりも向こうはやる気満々みたいね」

「指摘。言いたいことは終わったらにしましょう」

 

オーストラリアに着くと、そうそうにツッコむ六喰を耶倶矢があやす。そして、三人は空間震跡に目を向ける。そこには澪が待っていた。

と思ったら、いきなり岩が三人のもとに飛んでくる。

 

「ちょっ!」

 

耶倶矢は慌てて周囲に風を起こして岩を弾く。まさかの先制攻撃に驚き、澪を睨むと、澪は全く気にしておらず、悪びる気も無いようだった。

 

「ん?どうしたの?ゲームはすでに始まってるんだよ」

「ふん、分かっておるわ。いきなり来たから驚いただけだ」

「覚悟。夕弦たちがあなたの計画を砕きます」

「主様を返してもらうのじゃぁ」

 

そして、澪との戦いが始まったのだった。

 

 

 

~~~~~

 

「先手必勝!」

「……やったか」

「人選ミスでしょ!ここは!」

「なっつんがツッコんだ!」

「もうやだ、完全にこの人選ミスった」

「あっそ、じゃぁあんたを倒させてもらうわ」

「じゃぁ、そんな私に勝つ気満々な三人の希望を砕いてあげようかな?」

 

次回 “VS澪”




突風を起こした澪は分身体なので、ルール上勝利にはなりませぬ。ツッコまれるかもだから、先に書いておきます。
では、また明日。ノシ

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