デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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なんとなく二日連続投稿。理由はなんとなく?ゴールデンウィークだから?
その為昨日投稿した『戦いと襲撃』を読んでない方はそちらからですのであしからず。



9話 過去と新たな精霊

「前回のデート・ア・ライブ

確認。狂三と対峙している真那は、新しいCRユニット<リエサル>により狂三に対して善戦しましたが、<刻々帝>の能力と千花から借りパクした霊力剣によってピンチに陥り、さらに霊力遮断機によって<リエサル>が機能しなくなり、真那は集中砲火を浴びました。しかし、そんな中真那は大鎌を手にして何故か攻撃を全て弾いていました。

疑問。あれは一体?

一方。私たちの方にはDEMの魔術師が現れ、千花の作ったバンダー君とマスター折紙のCRユニットにより私たちはショッピングモールから近くの広場に退避し、士道が氷の柱を作って攻撃を限定し<鏖殺公>を振るって・・・琴里をかばってアルテミシアに斬られてしまいました」

 

 

 

~~~~~

 

 

 

時は少し戻って、真那と狂三の方は、突然握られた真那の謎の大鎌に狂三は困惑の表情を作って距離をとると、狂三は距離を取った状態で、真那の恰好を見て疑問顔をする。

 

「真那さん、あなたいつから精霊でしたの?」

 

真那は、はて?と首を傾げる。そして、大鎌を肩に担ぐ。

 

「てっきり、あなたは気づいてると思ってましたけど?千花さんの話だと未封印の精霊に対しては隠しきれないはずですけど?」

「ええ、わたくしもあなたが天使を出す今まで気づきませんでしたわ。まぁ、なにかあるとは思ってましたけども」

「なるほど、じゃぁ、真那のこれについてはほとんどの人にばれてねーようですね……まぁ、未封印状態で会ったのは二亜さんと六喰ぐらいですけども」

 

真那は頭の中の記憶から引き出してそう言い、一応はほとんどの人に精霊だということがばれておらず安堵する。

そして、真那は精霊の力が目覚めた日のことを思い出す。

 

 

 

~☆~

 

 

 

真那が精霊の力に目覚めたのは、真那に施されたDEMによる魔力処理を除去した日でした。

その日の朝、真那は千花さんに呼ばれて精霊荘の空き部屋に押し込まれ、部屋を見渡すと、大量の機械が置かれていて、足の踏み場がありませんでした。

てか、よく一日でこの量を搬入できましたね……ところでどうやって魔力処理を除去するのでしょうか?

 

「真那ちゃん、魔力処理を失くしたらもう普通のCRユニットは使えなくなるからねぇ」

「はぁ、やっぱりそうでしたか。まぁ、魔力処理があったからあそこまでやれたわけですし、仕方ないですね。それに、真那が約束を破ったせいですし」

 

千花さんはいつもの調子でそう言って、機械の操作をしているんですけど、どうやって治すのか聞いてねーんですよね。

私自身、魔力処理が身体を蝕んでいるのは知っているので、そのうち治そうとは思ってましたからね。できれば、精霊の封印が全員終わったらにしたかったところですけど。

すると、千花さんは何か言うことを思い出したのかモニターから目を離し、真那の方を向きました。

 

「そう言えば、治療プランが二つあるんだったよぉ」

「ん?二つもあるんですか?」

「うん、完全に機械任せで治す方法と、私のとっておきで人間を辞めてもらうことで治す方法ねぇ」

 

やっぱりいつもの調子で、二つの方法を言いましたけど、人間辞めるって治したって言えんでしょうか?あと、千花さんのとっておきって何なのでしょうか?まさか、治すことが出来る代わりに副作用で人ならざる力が備わってしまう植物でもあるのでしょうか?

あっ、考えるだけでも何パターンも想像できますね。この人の場合本当にありそうですし。

 

「ちなみに、前者は治しても侵食がすごいせいで寿命はあと三・四十年になるのに対して、後者は寿命という概念が無いよぉ。まぁ、不死って訳ではないけどぉ……」

「寿命がないけど不死って訳でもなくて、人間辞めてる……って、まさか?」

 

千花さんが言ったことを反復して考えると、一つだけ思い浮かぶものがあった。しかし、それで治るのかが謎ですね。

しかし、私の表情を見て千花さんは私が至った答えを分かっているような顔をしてますね。まぁ、この人は心を読めるんであれですけど。

 

「あの……私を精霊にでもする気ですか?」

「やっぱり、分かっちゃうよねぇ。答えはイエスだよぉ」

 

当たってほしくなかったが、私の予想は当たってしまった。というか、精霊になったら兄様に攻略されるのでしょうか?妹に迫る兄……。

 

「ちなみに、精霊になったら隣界に飛ばされたりするのでしょうか?」

「さぁ?オリちゃんは隣界に行った記憶ないって言ってたけどぉ?それに私も最初の一回以降はずっとこっちにいたから、平気じゃないのかなぁ?あれも、どっちかって言えば呼ばれた感じだったしねぇ」

「そこはわかんねーんですか……」

 

精霊化した後のことは千花さん自身知らねーみたいなので困りました。もし、隣界に飛ぶようなら、空間震起こすことになりそうですし。

まぁ、二人が隣界に飛んでないなら、真那も飛ぶことはねーでしょうけど……。

 

「そうですね。真那的には後者の方がいいですね。精霊化すれば他の精霊の皆さんも護れますし」

「それに、士道君とデートできるしねぇ」

「いえ、そっちは真那的に遠慮したいです。正直兄様は、兄としてしか見れねーわけで、封印できるような好感度には成れそうにねーですし」

 

確かに兄様のことは好きですけど、それは兄妹として好きって意味であって、ラブじゃなくてライクの方の意味の好きな訳ですからね。

と言う訳で結局は精霊になる方が手っ取り早そうですよね。というか、今更ながら私を精霊にするって、この人が前の世界で琴里と美九さん、折紙さんを精霊にしたっていう“ファントム”なんじゃ……?

 

「あのー、つかぬこと聞きますけど、千花さんってファントムなんですか?」

「ん?ふぁんとむ?ああ、前の世界のモザイクさんのことねぇ。違うよぉ。大体真那ちゃんも私の記憶の一部見たでしょぉ?精霊の力を得たのは二人に会った半年前なんだからぁ」

 

千花さんは椅子に座ったまま足をパタパタさせてそう言いますけど、ファントムではないとなると、どうして精霊化の方法を持っているのでしょうか?

疑問が尽きねーですね。

 

「まぁ、おしゃべりはこれくらいにして、さっさか始めちゃおっかぁ」

「はい!お願いします。それでベッドに横になればいいんですか?」

「ん?あぁ、その必要は無いよぉ。えっと、この辺にぃ~」

 

ベッドに腰を下ろして聞いていたんで、とりあえず寝転がっとけばいいのかと思いましたけど、その必要ないんですか……。

すると、千花さんはなんか机の下に頭を突っ込んで、出てきたら宝箱を持っていました。

そして、その箱を開けると中から金色のリンゴが出てきました。宝箱から果実って悪魔の実でしょうか?

 

「悪魔の実じゃないからねぇ」

「さらっと心を読まないでください!」

「と言う訳で、これ食べてぇ」

「……はぁ。これ食べたら精霊になるって訳ですか。いただきますね」

 

渡されたリンゴは触れた感じは本当にリンゴのようで、とりあえず食べてみる。

……本当にリンゴの味がするんですけど?……あれ?なんだか急に眠気が?

そして、私はそのまま意識を手放しました。

 

 

~~~

 

 

『士道、真那。そろそろ帰るよー』

『うん、お姉ちゃん』

「わかった~。姉さま!」

 

 

 

「……ん、ん~。ふわぁ」

「ん、おはよぉ……って時間でもないかぁ。なんか体に異常あるぅ?」

「体に異常はねーんですけど、なんだかやたらと長い夢を見た気がします」

 

目に当たった太陽の光が眩しくて目を覚まして時計を見ると、三・四時間ほど時間が経っていました。というか、なんだか長い夢を見たんですけど、本当に夢なんでしょか?やたらとリアルな気がしたんですけど……。

そして、寝る前に千花さんが座っていた場所に千花さんは座っており、コンピュータをいじっていたようですけど、起きたのに気づいてそう声をかけました。

言われた通り身体の調子を確認しますが特にこれといったことは無さそうですね。

 

「いえ、特に無いですね。逆に何も無さ過ぎてちゃんと魔力処理が無くなったのか疑問なんですけど?」

「モニタリングしてる範囲じゃ無事魔力処理は無くなったみたいだよぉ。いやぁ、良かったよぉ、ちゃんと効果があってぇ」

「ん?まるで、成功しない可能性もあるような言い方ですね」

 

千花さんの言い方に違和感があってそう聞くと、千花さんは頬を掻いて言いづらそうにとんでもないことを言った。

 

「うんとねぇ。実のところ精霊の力を得られるかは五十パーセントの確率だったんだよねぇ。これ、ただ単に封じてた霊力を解放するって効能を持ったリンゴであって、別に人を精霊にするものじゃないもん!」

「え?精霊にするものじゃない?」

「うん。どうやら真那ちゃん、他の皆と違って完全に霊力を封じてたみたいだねぇ。でさっきのリンゴ食べたら封印が解かれた的なやつだよぉ。士道君が特殊だから、真那ちゃんも何かないかなぁ的な気持ちでやったしぃ」

 

私が元々精霊だった?あと、なんで霊力が封印されていたんでしょうか?というか、千花さんにほとんど気分でやられたみたいなんですけど!

 

「ちなみに、もし何も無かったら普通に機械で治療する予定だったよぉ」

「はぁ。まぁ、私が精霊化の方で頼んだわけだからいいですけど……それで、本当に兄様に封印されないといけないんでしょうか?」

 

とりあえず、本当に精霊になった事実を受け入れると、今後の話として、まずその疑問を聞いた。これでだいぶ今後のことが決まりますからね。

千花さんは、あぁ、と声を漏らすと、私のそばに寄るってノートパソコンを見せる。

最初は上昇していて、途中から下降して一番下に達してからは、真横に進んでいるグラフや真那の基本情報などなどが映っていた。

 

「えっと、これは?」

「うん、色々分かったんだけどねぇ。やっぱり、真那ちゃんは士道君の妹だなぁって思っちゃったよぉ」

「ん?と言いますと?」

 

そこから、やたらと長い説明がなされ、要約すると、真那は隣界に飛ぶことは無さそうで、精霊の力も自由に扱え、使用時以外はなんか検知されないなどなど。

 

「つまり、結局はほとんど人間と変わんねーってことでいいんですか?」

「んとぉ、士道君と同じってことだねぇ」

「なるほど、中間な状態ってことですか」

「うん、私の見立てだと、たぶん未封印状態の精霊ぐらいしか感知できないと思うよぉ」

 

私の状態は分かった訳で、これからどうしようかと思い、ベッドから立ち上がると、少し立ちくらみがして机に手をつきました。すると、バコッという音を鳴らして机が真那の触れた場所から壊れてしまいました。

千花さんはそんな様子を見ると、どこか遠い目をしてそっぽを向いていました。

 

「これは、真那ちゃん絶対安静ねぇ。どうやら、上手く力がコントロールできてないみたいだしぃ。下手に外に出たら物壊しちゃいそうかなぁ?」

「ということは?」

「うん、一か月ぐらい精霊荘の敷地から出るのは禁止だよぉ。精霊荘にある物なら壊しても直せるからぁ。あと極力秘密にしとこっかぁ。ある種真那ちゃんは切り札になるからねぇ」

 

こうして、一か月程療養ということになって、精霊荘に監禁されることになりました。

 

「監禁じゃないよぉ!」

 

それからは、精霊荘に誰もいない時に天使の能力の確認やら千花さんが作り始めた霊力を動力にしたCRユニットの作成などが行われました。

 

 

 

~☆~

 

 

 

(やっぱり、リンゴ食べて寝るって、完全に白雪姫じゃねーですか!)

あの日のことを思い出すと、やはりそう思えてきた真那だったが、今は戦闘中であるので、狂三(分身)の一人は刃を形成し直すと真那に向かってくる。

 

「はぁ、真那的には私が精霊なのだと知って、戦意を喪失してくれたら楽だったんですけどね。<月華狩人(サリエル)>!」

 

真那はそんな狂三に対してため息をつくと、天使の名を言う。すると、大鎌型の天使<月華狩人>の刃に霊力が纏われ、大鎌を一振りして霊力の斬撃を飛ばす。狂三はギリギリで回避すると、斬撃はそのまま待機していた狂三たちの方へ飛んでいき、分身体たちが銃で応戦するが止まること無く、一人目同様回避するのだった。その際に魔力遮断装置を落し、真那に拾われると、電源を切られ、外套のポケットにしまわれた。

 

「この威力、喰らったらまずそうですわね」

「これは返してもらいますよ。いつの間に精霊荘にあった試作機を持ちだしたんですか?あと、だったら降参してくださいよ」

「それとこれとは話は別ですわ。わたくしの悲願がかかっているのですから。それは六喰さんを追って宇宙に行く際に精霊荘で拝借しておきましたの。便利そうでしたので。ちゃんと置き手紙は書いておきましたし、千花さんからは何も言われませんでしたよ」

「はぁ、あの人は何を考えてるのやら。まぁ、いいです。じゃ、狩らせてもらいますね」

 

真那は空を蹴って狂三に接近すると、大鎌を振るう。狂三は霊力剣で大鎌に対抗しようとするも、霊力剣の刃はいとも簡単に斬られ、そのまま狂三の身体を斬り裂く。斬り裂かれた狂三は分身体だったのだが、狂三は地に落下すること無くその場で霊力となって消えたのだった。

普通、やられた狂三はその場に倒れたり、地面に落下したりしてその亡骸は残るはずなのに、消えたことで狂三は動揺する。

前の世界のように、分身体とはいえ狂三を殺めることに抵抗が無いのかと狂三は思うが、そんな狂三の表情を見て真那は『ふぅー』と息を吐く。

 

「べつに分身体だと分かっていればそこまで抵抗はねーですよ。分身体はあなたの過去の残滓であって、それ以上でもそれ以下でもねーんですから」

 

真那の言葉を聞いて、どうやら真那には本体と分身体の区別がついているようで、これは厄介だと狂三は思った。これでは分身体と入れ替わっての身代わりも意味をなさなくなってしまう。

そして、どうゆう訳か霊力剣では大鎌を防ぐことが出来ないと判断すると、狂三は霊力剣をしまい、歩兵銃と短銃といういつものスタンスに戻る。

分身体による銃撃をすると、真那は大鎌を体の前で回転させて銃弾を全て弾く。弾かれた弾丸は消滅することは無かったが刃に当たったものは斬り裂かれていた。

ならばと、狂三たちは再び銃を乱射して弾幕を張るが、真那は大鎌を振って斬撃を飛ばして弾幕の中にできた隙間を通って分身体たちに接近すると、そのまま大鎌で狩っていく。斬られた狂三はまた消滅していく。

しかし、分身体の数が圧倒的に多いことで、死角から分身体が飛びつき真那の行動の阻害をすると、そこからさらに何人か取り付いて真那の動きを止める。狂三は動けなくなった真那に歩兵銃を向け、真那はジタバタして抜け出そうとするが

 

「<刻々帝>――【七の弾(ザイン)】」

 

【七の弾】が放たれると真那に着弾し、真那の動きが完全に止まる。

真那の周囲に狂三達が集まると、

 

「止めてしまえばただの的ですわね」

 

そう言って、真那の身体に向けて銃弾を何発も放ち蜂の巣にする。そして、真那の身体は落下していった。

 

「はぁ、結局わたくしは殺しでしか物事を進められないのですわね。真那さん、わたくしが精霊のいない平和にしますので、それまで待っていてくださいまし」

 

呆気ないものだったと思いながら、落下していく真那の身体を見送り、そう狂三は口にする。今の真那は生かしておけば、障害になるから仕方なかったのだと割り切るが、やはり特に悪いことをしたわけでもない真那を殺したのは後味が悪いモノだった。

 

「だったら、真那を蜂の巣にしないでほしいんですけど……蜂の巣になった自分を見るのはあれなんで」

「え?」

 

狂三の上からそんなツッコミが入り、驚いて声がした方を見ると、大鎌の持ち手の上に腰を下ろして足をパタパタさせている真那が浮いていた。

では、落下した真那さんは?と思い狂三が視線を向けると、落下中の真那は霊子になって四散する。

狂三はもう一度真那の方を向き直ると、

 

「お化けですか?」

「ちげーですよ」

 

狂三が確認の意味を込めて首を傾げてそう言ったが、真那は即答で否定したのだった。




さて、真那を精霊にしちゃったわけですけど、これはお気に入りが一気に減る気がしている今日この頃。(今更だねぇ)
一応、真那を精霊にするのは初期の段階で決めてはいました。三話で、二亜が真那のいる中「あ、少年……はうん、精霊じゃないか」と言っていたり、九章で、霊力で動く顕現装置を出したりと、伏線といえるのか分からない伏線は出していましたし。(わかるわけがないよぉ!)
ついでに言えば、真那のCRユニット<リエサル>もアナグラムで“サリエル”になっています。(普通考えないでしょぉ!)
と、ここまで真那を精霊にした言い訳。裏話を言えば、実は真那を精霊化させず、鞠亜の疑似霊装を模したCRユニットを装備するという案もありましたが、止めておきました。士道が特殊な人間なら、真那も特殊な方がいい気がしたので。あと、或守編をやってませんしね。
あと、だいぶ書き溜めているため、今更真那を精霊じゃなかったことにできませぬ。やったら大改修が必要になって、来週投稿できなくなる恐れありです。

そう言う訳で(どういう訳ぇ?)何事も無ければ、また土曜日と日曜日の狭間の時間に。

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