デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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7話 十香と六喰

「前回のデート・ア・ライブ

士道篭絡作戦も折り返し、前半は二亜が士道とレースゲームで対決をしていた。結果はテコ入れで二亜の勝利。二亜は士道の耳元で囁くように言うと、士道はドキッとしたのだった。

後半は美九のターンで、美九が士道に抱きついただけで終わってしまったが、美九は何もしていないからと鳴っていないことにして、カラオケを始めてしまった。美九の一人ミニコンサートに士織とのデュエットをしたのち、士織に抱きついて「大好き」と囁いたらデレた。

士道は耳が弱いのかな?

その間に真那の方も狂三の本体を見つけて遂に因縁の対決が幕を開けた。

こんな感じでいいはず。さて、これより士道の尾行を再開する」

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「んと、指定されたのはここだよな?見当たらないけど……」

「おお、シドー来たか。意外と早かったな。ほっ、てっきり美九に捕まって時間がかかるかと思っていたのだが」

 

美九と別れた士道は、続いて指定された場所、二階の飲食店が連なる場所にきて、十香を探して辺りを見回すと、士道の後ろから十香に声をかけられ、振り返ると十香はどこで買ったのか肉まんを食べていた。ちなみに士道は結局昼をあまり食べずに出てきたので、お腹が空いている。

 

「ああ、流石に俺の状態を考えて引いてくれたよ」

「そうか。まぁ、あれでもその辺のことはちゃんと考えているからな」

「それで、結局ここに呼び出して何するんだ?まだ夕飯って時間でもないけど」

 

士道はそろそろと思い本第に移る。まだ、六喰と千花の番も残っているので。

(てか、千花って戻って来たのかな?)

十香は士道の言葉に、そう言えば言ってなかったな、みたいなことを思った顔をする。

 

「そうだな。時間もないことだし、そろそろ始めるとするか」

 

十香はそう言って肉まんを一気に口に含むと士道の手を取って、近くにあったファミレスに向かって行く。結局説明はされなかったが、なんとなくここに来た目的が分かった気がした。

ファミレスの中に入ると、席に案内されて二人は席に座るとメニューを見る。

 

「で、なにをするんだ?」

「ふむ、ハンバーグにするか定食にするか……」

「おーい」

「……ああ、ただ単にお腹が空いたから来ただけだ。ちょうどおやつにいい頃合いの時間だしな。それに、シドーもお腹が空いているのだろう?」

 

十香はメニューを見ながらそんなことを言う。なんで十香に気付かれているのか?と士道は疑問に思うが、そこは勘なのだと思うことにする。

 

「別にお腹は空いて――」

グゥー

「るようだな」

 

そして、士道は強がろうとするが、お腹の音が鳴り、十香は呆れた顔をする。士道はそっぽを向くと、メニューを広げて見る。そうして士道はショートケーキを十香はジャンボパフェを注文する。

 

「それで俺をドキッとさせる方法は思いついているのか?」

「うむ、全くだ。前のメンバーのまねをすればすぐに済むだろうけど、それでは負けな気もするしな」

「ノープランなのか。てっきり何かしら考えてるのかと思ってたんだけど」

 

注文品が来るまでの待ち時間に士道は十香に聞くとそう返された。士道が言った通り、何か考えてのファミレスだと思われたが、本当に食べに来ただけのようでどうしたものかと思う。

 

「まぁ、それに関してはおいおい考えるとして、シドーは今体調が悪いとかあるのか?」

「いや、まだこれといったのは無いな。狂三の<時喰みの城>を喰らってからは、頭痛もないし」

「なるほど、今はまだ完全暴走状態じゃないんだな。良かったぞ。これで悪化してたら皆の頑張りが無駄だったことになるからな」

 

十香の質問に答えると、ちょうどそのタイミングで注文した品が運ばれてきて各々の前に置かれる。士道が頼んだケーキはごくごく普通な感じだが、十香の頼んだジャンボパフェは、シリアルの上にヨーグルト、その上に生クリームを乗せ、苺、キウイ、バナナ、メロン、オレンジなどの様々な果物が乗っていた。そして、ポッキーみたいなのが三つ刺さっていた。

 

「なんか、想像以上にでかいな。食べきれるのか?」

「うむ、余裕だな。それより士道はそんな量でいいのか?もっと食べてもいいだろうに」

「べつにおやつなんだから、そんなに量は食べないよ。一応出てくる前に適当に食べて来て、少し小腹がすいただけだから」

「まっ、シドーがそれでいいのならいいのだけどな。ハムッ」

 

十香はそう言って、パフェをスプーンですくって食べ始める。士道も食べ始め、二人で雑談をしていると、唐突に十香は何か思いついたような顔をして士道を見る。

そして、パフェをスプーンですくうと士道の方に向ける。

 

「少し食べてみるか?せっかく二人きりなのだから、これくらいはしてみたいんだが?」

「ああ、貰っていいなら、厚意に甘えて貰おうかな」

「うむ、あーん」

 

差し出されたパフェを士道が食べると、十香は当てが外れたのか首を傾げる。

(あれ?もしかしてあーんすれば行けるとか思ったのかな?)

 

「京都で会った時にもクレープを食べさせあったからなー。だから、慣れたというか、まぁ、そんな感じだからな」

「確かにそうだったな。それに誰かともやってる可能性もあるから、免疫が出来てしまったか……予想外だな」

 

十香は次の手を考えながら、パフェを見ていると、再び思いついたのかハッとする。残り三分の一といったところのパフェを士道も見るがこれといった物は無い気もした。

 

「シドーよ、お願いがあるのだがいいか?」

「ん?俺にできる範囲ならな」

「……ふむ、ならいけるか」

 

十香は士道の返答を聞いて、顎に手を当てて少し考えると、何かを決意する。

そして、十香はパフェに刺さっている残り一本のポッキー的なものを取ると、

 

「では、ポッキーゲームをするぞ!」

「……へ?」

 

士道の前に出してそう言った。士道は聞き違いだと思いながら、首を傾げると十香はもう一度言う。

 

「だから、ポッキーゲームだ!」

「……聴き違いじゃなかったか。てか、なんでポッキーゲーム?」

「まぁ……気にするな。それよりできる範囲なはずだから、やるぞ」

 

十香は若干自棄になっているようで、口にくわえると急かす。

士道は十香の勢いに押され、まぁすぐに折れるだろ?みたいなことを考えてもう片方を加える。

長さが十五センチほどの為、想像以上に十香との距離が近くて、士道はどぎまぎするが、そこは男の意地で頑張って平静を装う。そして、次第に近づき、残り六、七センチほどのところで、二人ともそろそろ限界になって、真ん中でポキッと折れた。

 

「んー、どうせならキスしようと思ったのだがな……やはり、恥ずかしい物は恥ずかしいか」

 

十香は折れた片方を口に含んで、しゅんとしてそう言うと、ポッキーゲームでだいぶどぎまぎしていたところからの十香の恥ずかしそうにしている顔を見て士道はドキッとした。

 

ぱんぱかぱーん

 

そして、成功のファンファーレが鳴ると、次の手段を考えようとしていた十香は、えっ?と驚いた顔をしていた。どうやら、失敗に終わったと思っていたところからのこれで意外だったようだった。

 

「成功したのか?」

「あぁ、十香のしゅんとした顔を見るのは珍しいからかな。可愛かったからドキッとしちゃったな」

 

士道は途中から言っていて恥ずかしくなって、視線を外して頬を掻いてそう言う。十香はパァーと顔を明るくすると、うんうん頷いて、満足したようだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「ガウッ」

 

十香の番が終わると、おやつを食べに来たのか七罪たちがやってきて六喰が待っている場所を聞いて、次に指定された書店の前に着くと、いきなりライオンに襲われた。ライオンは士道の顔に飛びつき、その重量で士道バランスを崩し尻餅をつく。

それに続いて、とてとてと走って来る足音が聞こえた。しかし、顔にライオンがくっついているので見えなかった。

 

「勝手にどこかに行くのは止めるのじゃ……主様何をしているのじゃ?」

「ん?六喰か。てか、ネルに引っ付かれてるんだけど助けてくれ」

 

声で六喰だと分かり、士道の顔に引っ付いているネルを離すように頼むと、六喰の姿は見えないが、近づいてくる足音は聞こえて来て、そばまで来て止まる。何故か士道の後ろで。

 

「えーと、六喰。なにしてるんだ?」

「ふむん、抱きついているのじゃ」

「いや、なんで抱きついてるんだ?」

「ネルだけ主様に抱きつくのはずるいのじゃ。だからむくも抱きつくのじゃ」

 

六喰は士道の背中に抱きついていた。士道は顔にネルを引っ付けながら半眼を向ける(ネルによって六喰からは見えない)。仕方なくネルの胴を掴んで降ろすと、六喰も離れる。

 

「……まぁ、いいや。で、何するんだ?」

「最近主様のメンタルが強くなっている気がするのじゃ……ネル、どうする?」

 

士道が問うと、六喰はネルを抱き上げて、話しかけていた。どうやら、抱きつけば士道はドキッとすると考えての行動のようだった。しかし、さっき美九に抱きつかれたせいか二度目はそんなにドキッとしなかった。

 

「まぁ、むくには主様をドキッとさせる方法も分からないからゆっくりやるのじゃ。と言う訳で、主様一緒に行くのじゃ」

 

六喰はネルを頭に乗せると、そう言って士道の手を引っ張って、書店に連れ込む。

まだオープンしているわけではないので、八割程度の本が棚に置かれている状態だった。結局何をするのかはわからないまま士道はついて行く。

六喰は棚を見ながら歩き、漫画コーナーの前で止まる。

 

「むん、主様、主様。面白そうな本があったのじゃ」

「なにかいい本があった……のか?」

 

六喰は何か本を見つけて士道に表紙を見せる。そこに描かれているのは少女と龍が描かれているのだが、六喰の手にしている本はおかしかった。

(あれ?なんかおかしくないか?表紙の右上にある“R18”って文字は見間違いだよな?きっと、あれは違う意味の“R18”なんだよな?リターンの略とかそんな感じの)

 

「えっと、六喰がその本が気になるのか?」

「むん?絵がいいと思うのじゃが」

 

士道は一応確認するが、六喰はそういうのが好きなのかたいして気にしておらず、士道はどうしたものかと頬を掻く。

 

「でも、“R18”って書いてないか?」

「むん?ここは一般向けの本がある場所じゃろう?この辺のは普通の本なのじゃ。主様は勘違いしているのじゃ……ほれ!」

 

六喰は棚に陳列されている本を指差し、そこには確かに一般の本しかなかった。六喰はさらにと、手に取っていた本の見開きのページを開いて見せた。そこに描かれているのは女の子同士が抱き合っている絵だった。いわゆるレズと呼ばれるものにしか見えず、まさか六喰がレズだったということになるのかと困惑すると、六喰は士道の反応に首を傾げて、開いたページを自分で見る。六喰は一気に顔を赤くして、バッと本を閉じた。

 

「主様これは違うのじゃ!むくは知らなかったのじゃ!」

 

そして、六喰は慌てて士道にそう言う。おそらくは、六喰の趣味を勘違いされて士道に嫌われるのではないかと焦っていた。

(んと、六喰は単純に表紙の絵を見て興味を持っただけで、そっちの方向の趣味は無いってことでいいのか?)

 

「ああ、六喰にそんな趣味は無いよな……いや、まさかあるのか?」

「ないのじゃー」

 

六喰は本を戻すと、ぶんぶん手を振って否定する。六喰の必死さからして本当に知らずに手に取ったのだと士道は分かった。

 

「分かってるよ。単純に表紙絵で勘違いしただけだ」

 

士道は六喰の頭を撫でながら、六喰を落ち着かせる。すると、六喰はだいぶ落ち着き、士道の身体に寄りかかる。

 

「ところで、主様的にはむくはそっち方面に興味があってほしかったのか?」

 

で、そんな発言をする。士道はなんで六喰がそんなことを聴いたのか謎だったが、士道が確認の質問をしたせいだった。

 

「いや、別にそんなことは無いけど……あっ、別にそっちの気があっても嫌わないからな。美九もそっち方向だし……」

「ふむん、主様は相変わらずなのじゃ。どっちでも気にしないのじゃな……」

 

六喰は何か考え、そして、戻した本を手に取る。

六喰の行動からして何か嫌な予感がしたので、士道は六喰に声をかけようとすると、六喰が先に口を開く。

 

「主様はこういう本にあるようなことをむくとしたいのか?」

「……え?六喰急にどうしたんだ?」

 

六喰の発言に疑問を持ち、首を傾げると、六喰はうまく伝わらなかったと判断したのか、さっきのページをバッと開いた。

(やばい、なんか六喰が変な方向に考え始めたし)

 

「いや……別にそう言う訳じゃ」

「ふむん?むくに女としての魅力が足りないのじゃ?」

「そう言う訳じゃ無くてだな。六喰は十分女子として魅力はあるからな」

 

士道は慌てて六喰にそう言うと、六喰はおもむろに羽織っていたコートを脱ぐ。

唐突な六喰の行動に困惑を隠せないでいると、六喰はのんびり口調で言う。

 

「主様、主様。今からむくとするのじゃ~」

「いや、なんでだよ!」

「ネル、主様を止めるのじゃ」

「ガウッ」

 

士道がツッコミを入れて六喰を止めさせようとすると、頭に乗っていたネルが飛びついて士道の行動を阻害する。そして、六喰は士道のツッコミを無視して服をまくり肌が徐々に見えてきた。

(ちょっ、六喰正気なのか!?)

士道は六喰の行動にパ二くり、あと六喰のお腹が見えたりと色んなことにどぎまぎした。

その結果……

 

パンパカパーン

 

六喰とのパスが確保された音が鳴り響くのだった。

 

「はい、そこまでねー。むっくはもう少し恥じらいを持たないとダメだよー」

「まさか、こんなところで服を脱ぎだすなんて思わなかったわ。ちょっと、一般教養を叩きこまないとダメね」

 

そして、六喰は二亜と琴里に確保され、服装を整えられていた。

六喰のことを二亜に任せると、琴里は士道の方に歩み寄ってくる。ちなみにネルは六喰の方に戻って行った。

 

「で、士道は六喰のへそを見て興奮したと……とんだ変態ね」

「いや、別にそれだけって訳じゃないんだけどな。てか、どぎまぎした結果音鳴ったんだけど、本当にパスの確保できたのか?」

 

開口一番変態と言われ、士道は頬を掻いて苦笑いを浮かべる。一応パスの確保の一因ではあるので否定できない。

しかし、どちらかと言えば六喰の行動に対して慌てていた感覚の方が強かったので確認をする。

 

「一応ちゃんとできたはずよ。そうよね、鞠亜?」

『ええ、確かにパスが確保されたのを確認しましたよ。これで、全員完了ですね』

「ん?千花はいいのか?」

「はい、問題ないですよ。だって、千花のパスに関しては無事なのですから」

「え?なんで千花だけ?」

「それに関しては追々ですね」

 

何故か千花のパスは平気なのかと言う疑問に首を傾げると、向こうから精霊たちが来る。しかし、そこにも千花の姿は無かった。

そして、

 

ドーッン

 

突然爆発音がしたと思ったら、ショッピングモールの天井が吹っ飛び、開いた穴にはたくさんの人影が見えたのだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「もぐもぐ、皆のパスはちゃんと確保できたっぽいし、あとは士道君にキスして霊力を流し直すだけだねぇ。って言っても邪魔なお客さんが来ちゃったみたいだけどぉ」

「だけってねー。というか、あんたは士道とのパスを接続し直さなくていい訳?」

「ん?私の場合は接続し直す必要ないよぉ。だって、そもそもパスはちゃんと接続できてるしね」

「はいはい、あんたは番外だからね。それで<ラタトスク>はどうすんの?場合によっては士道の存在を抹消する気なんでしょ?あの組織」

「どうせ二人以外は使わない約束だしぃ、あの二人は使わないから平気でしょぉ。もし、あの二人以外が使ったら終わるだけだよぉ。<ラタトスク>がねぇ」




今回の話で、この士道デレさせ計画は終わりです。次回からは久々の戦闘に入ります。たぶん、次回の話は人によってはあれかもです。キャラ改変的な意味で・・・。

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