デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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5話 耶倶矢&夕弦と四糸乃&琴里

「前回のデート・ア・ライブ

遂に始まったシドーデレさせ作戦。トップバッターは七罪で、無計画なプランだったが、七罪の可愛い仕草でデレたな。あんな方法があるのか・・・これは使えそうだな。

続いて折紙の番になったが、折紙は・・・まぁいつもの調子だったな。薬の力ではあったが、普段とのギャップでデレさせたわけだから、これもありだな。

その頃、真那は真那で狂三と戦っているが、分身に遅れを取るわけがないから問題ないな。

それで、私の番はまだなのか?えっ?まだなのか・・・では、それまでぶらつくとするか」

 

 

 

~~~~~

 

 

「ふはは、よくぞ逃げずに来たな士道よ!」

「覚悟。私たちにメロメロになってもらいます!」

 

折紙がバーで寝てしまい、狙ったかのようなタイミングで現れた七罪に折紙のことを任せて、次に指定された場所、イベントスペースに行くと、二人がすでに待っていてそう言った。イベントスペースはその時期によって様々な催しをしているらしく、今はホラーハウスだった。需要があるのかは謎だが、おそらくはこういうイベントをして客を集めようという考えなのだと判断した。

 

「それで、なんでここなんだ?俺がデレる要素無さそうだけど……」

「それはまぁ、士道がどうしたらデレるのかわからないから、手あたり次第にやろうかなぁって思ったのだ」

「確認。士道的には嫌でしたか?」

「いや、別にそんなこと無いよ。ただ気になったから聞いただけだ」

 

二人がホラーハウスに行きたがる理由に、特に深い理由がなくて脱力するが、逆に士道の状態を重く受け止めず軽い気持ちでいてくれているため、気持ち的に楽だった。

(終始心配されるのは、嫌だしな。それにしてもホラーハウスって狙ってるのかな?)

 

「士道、とりあえず行くぞ。後にもまだ皆が控えているからな」

「誘導。士道行きますよ。善は急げです」

 

二人は士道の手を引くと、そのまま三人でホラーハウスに入って行く。

ホラーハウスの中は真っ暗という訳では無く、うっすらと灯りは点いていた。その為、天宮祭でのお化け屋敷に比べれば歩きやすそうだなと士道は思い、二人も興味津々だった。

 

「てか、二人って、こういうの好きなのか?クラスの展示もお化け屋敷だったけど」

「疑問。どうしてそう思うんですか?クラスのは多数決の結果なだけですよ」

「そうなのか」

「それより士道よ、警戒は怠るなよ。何処から来るのか分からないのだから」

 

始まってすぐには特に何も起こらないと思ったから、士道がそう聞くと耶倶矢は周囲を警戒しながら士道にも警戒するように促す。

(なんで耶倶矢はこんなに警戒してるんだ?もしかして怖いのかな?……いや無いか)

そんな耶倶矢の行動に疑問を持つも、それより早く事態は動き始める。

三人が歩いていると、目の前の通路を赤い光が横切る。

 

「ひっ!」

 

そして、耶倶矢は声を上げる。士道と夕弦はそんなことは無く、ああ怖いんだなぁ、と思うのだった。耶倶矢は二人の視線に気付くとハッとして、何事も無かったかのように顔の半分に手を当てる。

 

「どうかしたのか?二人はあんまり驚くことも無いから、我が雰囲気を作ろうとしたまでだ」

「いや、怖かったら怖いって言っていいんだぞ」

「首肯。耶倶矢が怖がりなのは夕弦が知っていますよ」

「怖くなんてないわよっ!いきなりだったから驚いただけ!」

 

耶倶矢が顔を真っ赤にしてそう言うと、また前の通路から赤い光が横切るのだった。今回は耶倶矢も驚かなかったが、少し顔は引きつっていた。

そうして、何度か耶倶矢が驚きながら進むと、二手に分かれる道があり、わざわざ別れるのもどうかと思い、三人は左の方に進み、少し歩いたところでいきなり後ろからゴトッという音がした。三人が振り返るとそこには長いぼさぼさの髪で顔が隠れたお化けが立っていた。

 

「……さっきまでいなかったよな?」

「同意。いなかったと思いますよ」

「うむ。我もそう思うぞ」

 

一応二人に確認するも、お化けは突然現れたようだった。そして、お化けは……いきなり走り出した。

走り出したことで、髪が振り乱れ、髪から覗いた顔は血に染まったような色をしていた。

 

「「きゃあー」」

 

それを見た二人は一目散に走りだし、お化けから逃げる。士道も出遅れながら二人を追いかけるが、ガチダッシュしている二人に追いつける気がしなかったが、そこは不安定になっている霊力によって身体強化されたのか追いつくことが出来た。

しかしいくら走っても、出口に着く気配が無かった。

三人のいる場所は円のようになっており、同じような場所をグルグルする形になっているのだが、辺りが薄暗いせいで誰もそれに気付かなかったので同じ場所をグルグルしていた。

何周かした頃、士道は走っている時に何度か見た、模様かと思っていた壁のドアが本物だと気づく。そして、同じ場夜をグルグルしていることにも気付く。

 

「二人とも……」

「「……」」

 

士道が気付いたことを二人に伝えようとするも、聞こえていないようで反応が無かった。仕方がないので、士道は一周目で扉を開けて、二週目で脱出することにする。

そう決めて、扉に手をかけて押すとすんなり開き、開けっ放しにして二人を追いかける。ここで出ても二人が気付かない可能性があるので。

無事?二人に追いつくと、扉の近くに戻って来たタイミングで二人の肩を叩くことで、二人はハッとしてその場に止まる。

 

「しまった。驚き過ぎて走っていた」

「動揺。夕弦もです。お恥ずかしい」

「とりあえず、そこの扉から出るぞ」

 

恥ずかしがっている(暗くてよく顔が見えない)二人に士道は手を引いて扉を出て、追いかけてこないように背中で扉を押してちゃんと閉める。

扉を通った先は割と明るめだが、二人とも顔は伏せて士道の腕に抱きつくようにしていて、どんな顔をしているのかはわからなかった。とりあえず、早くホラーハウスを出ようと思い、

 

「とりあえず、手離さないか?この状態歩きづらいんだけど……」

「「やだ」」

 

そう言ったが、二人は顔を上げてそう即答して士道の提案を拒んだ。耶倶矢が素になるのは珍しくないが、夕弦までいつもの二字熟語が外れるのは珍しかった。

そして、二人ともよっぽど怖かったのか、目元は潤んでいて、いつも違う姿に士道はドキッとした。そして、

 

パンパカパーン

「ふっ、予想通り我らにドキッとしたな」

「成功。夕弦たちの計画通りですね」

 

インカムから鳴り響くと、二人にも聞こえたようで、ハッとすると、士道の腕から離れていつもの調子に戻ってそう言う。無理がある気がするが、ここで言うのもあれなのでそのことは言わないでおくが、それだと面白くないので、

 

「なんだ、計画的だったのか。じゃぁ、ここから先は手を引かなくていいな」

 

そんなことを言ってつないでいた手を離す。このままだと二人の掌の上だと思ったから。二人はここから先のことを考えて一気に顔色が暗くなり、ワタワタする。

 

「いや、それとこれとは……」

「狼狽。別にそう言う訳では……」

「じゃぁ、どうするんだ?」

「……手を繋ぎたいです」

「請願。手を繋いでほしいです」

「そっか」

 

そう言って士道は二人と手をつなぐと、そのまま出口を目指すのだった。

 

~☆~

 

 

 

無事、ホラーハウスから出ると、二人は精神的に疲れたのか、そばの喫茶店で休むと言ってふらーと歩いて行ったので、士道は次に指定された場所、洋服店に着くとそこには四糸乃と琴里がいた。

 

「あ、士道さん来ましたね」

「遅かったわね。さっさか来なさいよ」

「これでも、急いだつもりなだんだけどな。一階にいたから、吹き抜けからジャンプしてきたわけだし……」

『ここ三階だよね?』

 

琴里に遅いと言われたので、士道はそうぼやくと、よしのんが士道の発言に首を傾げた。

士道は言った通り、吹き抜けに着いたら周囲に風を起こして三階まで上がってきていた。理由としては何故かエスカレーターが動いていなかったから。

そのことを言うと、琴里はため息をつく。

 

「客はいないんだから、動かす必要も無いでしょ。歩いて登ればいいんだから」

「まぁ、そうなんだけど。こっちの方が早そうだったからな」

「あなたねぇ……まぁいいわ」

 

言うだけ無駄と判断したのか琴里はそれ以上言わずに諦めると、琴里は洋服店の中に歩を進める。それに続いて二人も入る。

 

「さて、士道にここに来てもらったのには理由があるわ」

「ああ、俺をデレさせるんだよな」

「マネキンに着せる服の構成がまだ決まってないから、それを決めるのよ」

「ん?」

 

何故だか士道と琴里の会話はかみ合わず、士道は首を傾げる。四糸乃も士道をデレさせるモノだと思っていたので首を傾げていた。

 

「まぁ、言いたいことは分かるわ。でも、士道をデレさせる方法を考えたけど、正直よくわかんなかったのよ。士道の守備範囲広いし」

『あぁ、確かにそうだね。四糸乃たち妹キャラから美九ちゃんや二亜ちゃんみたいなお姉さんキャラまでいるしねー』

「さらに言えば、士道さん、先生も口説いていましたっけ?」

「別に普通だろ。それと、こっちじゃ先生口説いてないから、ノーカンな」

 

いつの間にか士道の守備範囲の話になり、士道は慌てて止める。

(前の世界だと訓練とか言ってタマちゃんを口説く羽目になったけど、こっちじゃ先手を打って訓練しなかったからな……)

 

「って、そんなことはどうでもよくて」

「いいのか?」

「とにかくいい感じのコーデを決めるのよ」

 

そう言って、琴里と四糸乃をコーデすることになった。といっても、二人が持って来た服を見るだけだが……。

そうして、二人は服を選びに行き、士道はその場に残された。

 

『それで、士道君的にはどんな服が好みなの?』

「そうだな……二人に似合っていればそれでいいけど」

『なるほどねぇ。たしかにそうかもだけど、士道君はもうちょっと自分の好みを言ってもいいんだよー』

「そう言われてもなー……」

 

士道とよしのんは喋りながら二人が戻って来るのを待つ。なんでよしのんは四糸乃について行かなかったかは謎。そうしているうちに二人が気にいった服を何着か持って戻って来る。

 

「というわけで、これから私たちが持って来た服を着るから、士道はいいと思った服を言ってちょうだい」

「ん、分かった。本当にコーデ決めをするんだな」

「じゃぁ、着替えて来ますね」

 

二人が服を持って試着室に入って行くと、士道ははぁ、とため息をつく。

 

「もしかして、あまり俺の状態って心配されてないのか?」

『ん?急にどうしたの~?』

「いや、俺をデレさせるわけでもなく、コーデ決めをやる羽目になったから気になって……」

『あ~、それはねぇ――』

「よしのん、余計なことは言わなくていいの!」

 

士道がそんなことを心配すると、よしのんは納得し何か言おうとしたが、二人の会話が聞こえていたようで、琴里が試着室からそう言って止めたのだった。結果、よしのんが言おうとしたことが何だったのか分からなかった。なので、琴里に聞こえないように小声で聞く。

 

『琴里ちゃんに口止めされちゃったから、言えないかな?それとも無理やり聞くかい?』

「……いいや。俺にとって不都合なことじゃないんだろ?」

『ああ、うん。それは保証するよ』

「そっか。じゃぁ聞かなくていいかな?それでよしのんたちの関係がこじれるのは嫌だしな」

「士道、着替え終わったわよ」

「私もです」

 

とりあえず、士道に何らかの被害を及ぼさないということが分かったので、士道はそれ以上問うことを止めると、タイミングよく二人の着替えが終わったようだった。

 

『さぁ、両者の準備は万端なようです!ではいきましょう!』

「え?よしのん急にどうしたんだ?DJ みたいなテンションになって」

『エントリーナンバー1、五河琴里の登場です!』

「だからそのテンションは?」

 

唐突によしのんがそう言い、士道は困惑するが、よしのんは気にせず琴里の名を呼んだ。すると、琴里の方のカーテンが開き、琴里が出てくる。

琴里が着ているのは、紺のコートにチェックのスカートといった感じだった。

 

「あれ?でも、これは普通な感じがするんだけど……新しいの探すんじゃなかったっけ?」

『おおーと、これはいきなりすごいのが来ました!』

 

士道が琴里の服装を見るも、いつも外に出る時のような恰好な気がしたので、あまり驚きが無かったが、隣にいるよしのんは何故か絶賛していた。

 

「えと、何がすごいんだ?」

『おや?これは審査員には響いていないというのか~!?このコーデのテーマはノーマルなのだが、まず見てもらいたいのはここっ!』

 

よしのんはピョンッと琴里のもとに飛んで行くと、琴里のコートを指(前足)で示す。

 

『まず、この一回り大きいコートにすることでダボッとした感じになり、本人の身体の小ささがより一層引き立ち、護りたい雰囲気を出している』

「あ、ああ」

『そして次に、足元を見ていただきたい。スカート+ニーソによって、絶対領域が生まれ、これが男心をくすぐるぅ!』

「は、はぁ」

 

途中から、よしのんのテンションがDJとは違う何かになっており、士道は勢いに押されていて、なんとも曖昧な反応になっていた。

すると、よしのんが士道のそばに戻って来る。そんでもって、琴里はその場にとどまっていた。

 

『では、続いてエントリーナンバー2、四糸乃!』

 

よしのんが四糸乃の名前を呼ぶと、四糸乃が入っていた試着室のカーテンが開き四糸乃が出て来る。

四糸乃の格好は、モコモコした白いコートにモコモコした黒のスカートで、耳には白い耳当てをしていた。琴里に比べれば暖かそうに見えるが、琴里とは違って二―ハイソックスは履いておらず、素足だった。

 

「ふむ、やっぱり、いつも四糸乃が外に出てる時の格好に似ているような?」

『おおっと、またしても審査員には響いていないのか!?』

 

よしのんはそう言って再び跳躍し、四糸乃のそばに着地すると、前足でまたコートの辺りを示す。

 

『まず、先ほどと同様一回り大きい物を選ぶことで、身体の小ささからの護りたくなる。そして、全体的にモコモコした装いなので暖かさも確保している!』

「うん、まぁそうだな」

『そして、脚フェチの人にはたまらないこの素足!』

「いや、俺脚フェチじゃないからな」

 

そうして、四糸乃の番も終わったが、結局これといったことも無く、二人も士道のもとに来た。

 

「で、どうだった?」

「どうでした?」

「うん、二人とも似合ってるぞ」

 

二人は着くや否や、そう聞くが士道としてはそれぐらいしか言えなかった。そんん士道の反応に二人はまぁ褒められたことで頬を染めるが、

 

『と言う訳で、二人ともやっちゃおー』

 

よしのんが言った言葉で、二人の顔が赤くなる。何をする気なのかと身構えると、

 

「本当にやらなきゃダメなの?」

「……私は頑張ります!」

「……わかったわ」

 

二人は数言言葉を交わすと、決心が付いたようで士道の方を向き、士道のそばに寄ると、その状態で、

 

「「お兄ちゃん、私可愛い(ですか)?」」

 

同時にそう言った。四糸乃にお兄ちゃんと呼ばれたことと、黒いリボン状態で甘えられたことで士道は二人にドキッとした。

 

パンパカパーン

 

そして、いつも通りインカムから鳴り響くと、二人は無事士道をドキッとさせられたことで、ホッとしたのか顔が綻ぶ。

 

「本当に予想通りになりましたね」

「ええ、そうね」

「ん?予想通り?」

「「あっ」」

 

そして、気持ちが緩んだことで二人はそんなことを言い、しまったみたいな顔をする。士道はその意味を追求しようとすると、

 

「かか、次はこの店に入るとするかな?」

「同意。いいかもですね」

「ねぇ、まだ四糸乃と琴里がやってるんじゃないの?」

「でも、音は鳴ったから終わったでしょ?」

 

士道をデレさせた組が何故かこのタイミングで現れたのだった。

四人は士道たちに気付くも、すでに終わった後なのでさして気にしている様子は無かった。

 

「あっ、二亜から伝言。ゲーセンで待ってるだってさ」

「そうなのか。わかった。それで、さっきのだけど」

「士道、時間は有限だからすぐに行くべき」

「……ん、わかった。じゃぁ、行って来る」

 

二亜からの伝言を聞き、再びさっきのことを聞こうとすると、折紙に催促され、渋々洋服店を後にするのだった。


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