デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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気付けば投稿し始めて一年が経ってた・・・正確には29日が初投稿だけども。

一周年記念に何か書こうかとも思ったけど、思いつかなかったので本編を投稿することにしました。
そして、やっと評価欄に色が付いた。

一年経ったし、そろそろ書き終えたいけど、まだ最終章が書き終わらない今日この頃。というか、オリジナル小説の設定が思いついて、昨日の夜中にちまちま書いてた・・・早く最終章書けよ!と今更思ったです。あと、投稿するかは別です。

そんな感じで、本編です。


6話 青龍

真那が加わったことで状況が進展するかと思われたが、実際にはうまくいかなかった。士道の行動範囲は真那の張る随意領域内のみで、真那も随意領域を張りながらのためやりにくい状況が続く。

いっそ地球に戻ろうとも思うが、もし青龍が地球で暴れたらどれだけの被害を生むかわからないので、実行に移すこともできない。

 

「千花さんはいつになったらこっちに来るんですかー」

「なんで<ガーデン>が私たちの戦艦に居るんですか?アルテミシア、ここは任せます。戦艦を落されたらアイクに怒られるので」

「ん、りょうかーい。まぁ、もう遅そうだけど……」

 

エレンは千花が戦艦で暴れていることを今更知ったようで、戦艦に向かおうとする。士道的にはエレンがいなくなれば、だいぶやり易くなりそうなのでありがたいが、千花に危険が及ぶことになるので素直には喜べない。

しかし、エレンに言われたアルテミシアは、遠くの方を見て若干困った顔をした。

 

『士道君、やっほぉ。戦艦奪取したよぉ』

 

二人が見ている方を向くと遠くから戦艦が来て、スピーカーを通して千花がそんなことを言う。千花が暴れていたのが戦艦奪取の為だとは思わず、声が出せない。そんな感じなのは士道だけでなく、エレンにアルテミシア、真那までポカーンとしていた。狂三に関しては、千花ならさもありなんみたいな顔をしながら最後のバンダースナッチを破壊する。

 

『さぁ、戦艦は私がもらった。返してほしかったら、地球に帰るんだぁ』

「なるほど、そっちがその気なら――」

 

ドーンッ

 

エレンが何か言おうとしたら、戦艦に光線が当たる。そもそも、青龍にとってはそんなことはどうでもよく、絶賛暴走中なため、なんの躊躇いもなく攻撃をしてしまう。

 

『えぇー、中にいる人見捨てるのかぁ。これだから最近のはぁ』

 

青龍のことを知らない千花は、DEMが非道だと罵る。罵っていないが。

煙を上げる戦艦は航行不能になったのか動かなくなり、このままだと青龍の攻撃の格好の的だった。

 

『六喰ちゃん、空間に穴開けてぇ。中の人全員放り込むからぁ』

「お主に使われるのは嫌なのじゃ(キッパリ)」

「六喰、俺からも頼む」

「わかったのじゃ」

「変わり身はえーですね」

 

千花に頼まれたら嫌そうな顔をした六喰が、士道に言われたらすぐに了承したため真那は呆れる。

 

「では、その間に邪魔されないように邪魔していますわね」

「エレン、私はみんなを連れ出してくるね」

「そっちは任せます。私はその間青龍が暴れないように止めておきます」

 

放り込む間に青龍に邪魔されると困るので狂三とエレンは青龍の邪魔をしに行き、アルテミシアは戦艦に居る乗員の救出に向かう。何故か敵味方関係なくなっているが、士道と真那はツッコまない。ツッコんだら負けだから。

二人も青龍の足止めに行こうかとも思うが、どっちかと言えば戦艦の中の人を送り返して、そのままの流れで地球に戻りたいところではあった。

行っても中途半端に邪魔になりそうでもあるので、士道と真那も戦艦の方に行く。千花とアルテミシアが戦ってしまう可能性も無きにしも非ずなので。

 

「むくはどうしてればいいのやら?……主様待つのじゃー」

 

そして、その場に残された六喰は首を傾げると士道を追いかけるのだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

真那と千花が宇宙に居たのは士道が聞いた通り、<ヴァナルガンド>を今の真那でも扱えるように改造したのでそのテストだったのだが、宇宙でやっていた理由はもし誤作動して暴走しても周囲に被害を出さない為だった。一応誤作動による暴走をしても、すぐに止められるように準備はしてあったとか無かったとか。

そんな話を、戦艦内の千花が片っ端から気絶させた乗員を六喰が開けた穴に放り込んでいる間に聞いた。そして早いもので、全員送り届けて、戦艦の外に出ると戦闘が仕切り直されようとしていた。ちなみに効率よく乗員を送るために六喰にもインカムを渡してあった。

 

「乗員の救出をしてもらったことにはお礼を言いますが、あなた方を捕縛させてもらいます」

「やっぱ、そうなるのかよ……このまま流れてくれたら楽だったのにな」

「無理ですよ、DEMはそういうとこですから」

「そうそう、仕事はきっちりやんないと怒られるから。それと真那ー、こっちに戻ってこない?」

 

真那とアルテミシアの発言がかみ合っておらず、挙句に真那にそんなことを言う。アルテミシアは冗談の類では無く、本当にそう思っているような感じだった。

 

「嫌ですよ。知らないうちに魔力処理するような会社なんかには戻らねーですよ。戻ったらまた魔力処理されますよ」

「なるほど、なるほど。じゃぁ、魔力処理させないから。たぶん、魔力処理しなくても経験的に一ケタには入れると思うよ」

「だとしても兄様と離れる気はねーですよ。やっと会えたんですから。あなたも知っているでしょう」

「おお、五河君が真那のお兄さんだったのか。確かに似ているや」

 

すると、アルテミシアは真那と士道の顔を見比べて、手をポンッと打ち、まるで今気づいたかのような反応をする。

 

「たしかに色々あったね。事あるごとに行った場所で見かけなかったか聞かれたし……。よし、じゃぁ、五河君もDEM に入らない?」

 

そして、士道までスカウトし始めた。

(なんでこの人、俺までスカウトし始めるんだ?俺行く気ないんだけど。てか、本当にこの人なんでDEMに居るんだろ?あんまり精霊に悪い印象持って無さそうだけど)

 

「なに兄様まで勧誘していやがるんですか!私たちはDEMには行かねーですよ」

「ああ、そうゆうことだから諦めてくれ」

「なんだ、乗ってくれれば楽できそうだと思ったのに……じゃぁ、気絶させて連れて行こうかな?」

「結局どう転んでも、士道さんは連れて行かれるのですね。まぁ、連れて行かせる気は無いのですけど」

「主様は連れて行かせんのじゃ」

 

なにがなんでも、士道も連れて行く気のアルテミシアに対して、狂三と六喰は士道を護るように移動する。六喰はまだしも、狂三まで士道を護ろうとすることに士道は意外だと思う。

そして、両陣営がぶつかろうとしたその時、

 

「よいしょぉ!」

 

全く話に参加していなかった千花がエレンの背後からドーンと押し、

 

「そこなのじゃ!」

 

押された先に六喰が穴を開けたことで、吸い込まれるようにエレンは穴に入り、即座に穴が閉じられた。

 

「え?」

「ん?」

「あら?」

「あれ?」

 

ポンッ、ポンッと流れるように事が進んだため、士道と真那と狂三は唖然とし、アルテミシアは驚いていた。

(と言うか、こんな幕切れでいいのか?不意打ちで無効化しちゃったけど……。あと、なんでこの二人息ぴったりなんだ?)

二人は初対面だとばかり思われていたが、何度か六喰は千花のことを知っているような節もあったことを思い出す。

 

「いやぁ、こうも見事に地球に送り返せるとは思わなかったよぉ。タイミングは完ぺきだったよぉ」

「千花も見事なまでのステルスっぷりなのじゃ。皆完全に千花のことを忘れていたのじゃ」

「それほどでもぉ……あれ?これって喜ぶところなのかなぁ?」

 

それから、二人はそんな会話を繰り広げる。エレンは地球に戻され、戦艦は宇宙にあるため宇宙に戻って来ることはほぼ不可能となった。ついでに、イギリスの辺りに座標が合わされたため、地球に残っている精霊達が襲われる心配も無かったりする。

 

「それで、二人は知り合いだったのか?」

「まぁねぇ。でも話はこの辺で切り上げて、あれをなんとかしよっかぁ」

 

千花が指差した方には無事?戦艦を破壊し終えた青龍が六人のもとに突進して来ていた。

 

「士道君これあげとくねぇ」

 

青龍の突進を回避しようとすると、千花は士道の服の襟を掴んで引っ張るようにして移動しながら小型の顕現装置(霊力を電気に転換することが可能となり、霊力がある限りはバッテリ切れも無い完成バージョン)を渡した。これにより、真那が士道の周囲に随意領域を張り続ける必要も無くなった為、だいぶ戦闘がしやすくなった。

 

「では、真那はアルテミシアの相手をしますね。青龍は真那と相性が悪そうですし」

「大丈夫なのか?魔力処理を除去したからもう前みたいな力は出せないんじゃ……」

「その点はそうだけどぉ、向こうもこんな場所での戦闘は初めてだろうから、なんとかなるかもよぉ。それに一人じゃないしぃ」

「なんでわたくしを見るのですか?」

 

真那が一人でアルテミシアと戦おうとすると、千花はそんなことを言って狂三に視線を向ける。

千花は狂三も一緒に戦ってほしいと思っているようで、狂三もそれについてはわかっているが、一応聞き返す。千花の考えていることは、今まで何度も戦ってきた真那と共闘するということになるので、狂三はあまり乗り気にはなれない。

 

「はぁ、まぁいいでしょう。私も行きますわよ。どうせ、私の攻撃も装甲に阻まれそうですし」

 

そして、狂三はため息をつくと仕方なく了承する。このままだともっと面倒なことが起きるような予感がしたのと、青龍との相性が悪そうだからという理由で。それに、あまり霊力は使いたくなかったりもする。

 

「じゃぁ、そう言う感じでぇ。青龍をさくっと壊しちゃおぉ」

「作戦会議は終わったかな?そろそろ始めないと、こっちから始めちゃうよー」

 

今までずっと静観していたアルテミシアがそろそろ暇なのかそんなことを言う。わざわざ士道たちの会話が一区切りするまで待つ辺りが律儀だった。

 

「待たせたな。ちなみに戦わないって選択肢は無いのか?」

「うん、ないよ。悲しいけどこれは仕事だからね。まぁ、抵抗しないでくれれば戦闘にはならないけど……」

「じゃぁ、決裂ですね。こちらとしても捕まる訳にはいかねーので」

 

真那はスラスターを一気に噴かせるとアルテミシアに突っ込み、アルテミシアは随意領域を張るが、真那も随意領域を張ってそのままアルテミシアを押し出して、士道たちから引き離す。

 

「ではわたくしも行きますわね。三人ともご武運を」

『士道、随意領域(テリトリー)は私が制御するので、ガンガンやっちゃってください!』

「ん、分かった。狂三も気を付けてな」

 

狂三は一礼するとスカートを翻して、真那たちが飛んで行った方に空を蹴るようにして向かって行った。こうして三人で青龍の相手をすることになった訳だが、どうやって倒すか悩む。

(てか、今までに白虎、朱雀、玄武って感じに四神の名を冠したのがいたわけで、これでこの手のやつは終わりなのかな?実は裏ボスがいましたってオチは無いよな?)

 

「たぶんないと思うよぉ。四神からの派生は思いつかないしねぇ。まぁ、もしいても壊すだけだから考える必要も無いけどねぇ」

「また、いつもの心聴きか。だからむくは千花が嫌いなのじゃ。何度むくの考えていることを聴かれたことか……」

「心聴き?読心術のことか?」

「主様、何を言ってるのじゃ?むくに言わせれば、あんなもの読心術なんてモノじゃないのじゃ。もっとやばいモノなのじゃ」

「え?」

「二人ともいつまで喋ってるのぉ。来るよぉ」

 

六喰の発言に士道は疑問を持つが、千花が言った通り青龍が三人に向かって動き出したので、疑問は後で聞くことにして、今は戦闘に気持ちを切り替える。

突っ込んできた青龍を三人はひらりとかわすと、各々天使を顕現させる。士道は顕現させた<鏖殺公>を青龍の攻撃を回避しながら振るうが、装甲は固いようで弾かれてしまう。ちゃんと踏み込むなりして十全な力でもって振るえばダメージを与えられそうだが、場所が場所なだけに無理そうだった。

 

「うにゃぁー、宇宙だから植物があんま使えないよぉ」

「ふむん、<封解主(ミカエル)>で閉じてしまいたいのじゃ。でも、止まらないからうまく閉じれないのじゃー」

 

苦戦しているのは二人も同様でそんな声を漏らす。

(最近千花の植物が戦闘で役立ってるのを見てないような?まぁ、最後の戦闘も十香の時だし、植物は弱点も多いから仕方ないか。六喰の方はまだ能力が完全にはわからないからなんとも言えないし……まぁ、千花の方も完全には知らないけど……)

 

「士道君、手っ取り早く済まそっかぁ。あれとまともにやりあうのは時間の無駄だしねぇ」

『私も同意見です。早く地球の時間を戻さないと、やばくなりそうですし』

「あぁ、そうだな。六喰に確認しないといけないか」

 

千花が宇宙を泳ぐようにして士道のもとに来ると開口一番ぼやき、鞠亜が予測を口にする。タイムリミットが近いようで、そろそろなんとかしないといけない訳で、時間を止めた本人に言う必要がありそうだった。

 

「んじゃ、聞いといてぇ。その間私が相手をしておくからぁ」

「平気か?ただでさえこんな場所なのに」

「平気、平気ぃ。ちょっとぐらいならなんとかなるよぉ」

 

で、軽いノリで千花はそう言うと、青龍に突撃していった。千花の犠牲を無駄にしない為にも、士道は急いで六喰に連絡を取ろうとすると、

 

「士道君、私は犠牲になる気ないよぉー」

「主様に呼ばれた気がしたのじゃ」

 

移動しながら千花は大声でそう言い、何処からともなくひょこっと六喰が穴から現れる。

(千花なんか叫んでいたな。あと、六喰はまだ呼んでいないから気のせいだ。というかインカムの通信で済まそうと思ったんだけどな)

来てしまったものは仕方ないのでそのまま話し始めることにする。

 

「なぁ、六喰。地球にかけたロックを開けて、元の時間の流れた状態に戻してくれないか?」

「ふむん?何故じゃ?あそこには主様を襲った奴もおるのじゃ。だからむくはロックしたのじゃ」

「確かに襲われたわけだけど、あそこには大切な皆もいるんだ。このまま止めとくとやばいらしいんだ」

「むん……主様がそう言うのならやるのじゃが、やるならせめてあれを壊して主様の安全を確保してからじゃ。これは譲らぬぞ」

「あぁ、わかった。それでいいよ」

 

とりあえず、六喰は士道の頼みを了承したので、これで青龍さえ倒せれば皆を元に戻せることになった。千花一人で相手をしているわけで、負担が大きいので、助けに行こうと青龍の方を見ると、何故か千花が見当たらず、青龍は二人に向かって飛んできた。

 

「主様!」

 

六喰は言うや否や空に穴を開け、士道を引っ張りながら穴に飛び込み、青龍の後ろに飛んで回避する。穴を出て青龍は士道たちを見失ったのか辺りを見回し、その間に二人も千花を探すがやはりどこにもいなかった。

そして、インカムから鞠亜がとても言いにくそうにして言うのだった。

 

『実は、千花は……』

「まさか……」

『青龍に吹っ飛ばされて何処かに飛んで行ってしまいました……』

「え?」

「むん?」




そう言えば、今まで千花のこと全く言及していなかったので、ちょっとずつ千花の秘密?とかも触れていきますね。まぁ、まだまだ引っ張りますけども・・・

とりあえず、三月中には最終章を書き終えたいなぁと思ってます。四月からバタバタしそうだし・・・。
書き終わったら、週一投稿を続けるか、週二投稿に切り替えるか悩み中。

では、また土曜と日曜の中間に。

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