デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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今回から第九章~
タイトルでネタバレな気もしますが、気にしない。


九章 :六喰ストップ
1話 空降る少女


「なぁ、狂三。この後、俺とどこかいかないか?」

「いえ、結構ですわ。誘うのならもう少し捻った誘い方にしてくださいまし。それと、わたくしは霊力を封印されるつもりはないですわ」

 

狂三が転入してきた放課後、士道は狂三を誘い一蹴されていた。狂三が転入してきたことを琴里に連絡したら放課後にでも誘いなさいという感じのことを言われたから。

(というか、狂三に関しては霊力の封印の必要あるのか?空間震で現界してきたの見たこと無いし、割と霊力も安定しているよな?それに、こっちじゃ人襲ってないって話だし・・・)

士道はそんな疑問があったが、やらなければ後で文句を言われるので、もう少し粘ってみる。

 

「でも、霊力封印しておかないと、DEMとかに襲われるだろ?」

「それに関しては、影を移動すれば造作もないことですわ」

「ですよねー」

「それに、わたくしの<刻々帝(ザフキエル)>をもってすれば大抵のことはなんとかなりますわ」

「たしかに、狂三なら平気だろうな。何度も魔術師を返り討ちにしていたのだし」

「ん?そんなに襲われていたのか?もしかして十香も?」

「私も最初の頃は襲われたけど、狂三に静粛現界の仕方を教わったからな。でも、狂三の場合は執拗に襲ってくる魔術師がいたからな」

「それって、真那のことだよな……」

 

十香が話した内容に真那が出てきたので、そんなことを言うと狂三は、確かに襲われていたなー、みたいなことを考えていた。しかし、真那も半年前には士道と合流したため、ここ最近は魔術師に襲われることも少なく戦闘自体も十香の時ぐらいで平和だったとのことだった。

 

「って、襲われてるんなら、やっぱ封印し方がいいんじゃ?」

「士道さんはわたくしに自衛手段を手放せと言うんですの?」

「いや、そうしないとまた襲われるだろ?」

 

士道が封印することを促し続けると、狂三はため息をつき、

 

「はぁ、ではこう言っておきましょう。これ以上その話を続けるのと、わたくしの攻略に乗り出した場合は、この学校の生徒の時間を全ていただきますわ」

 

そう忠告をしてきた。背筋にぞっとする感覚がして、狂三の目には一切の嘘を言っている気配も無く、本気のようだった。この世界で何度も狂三に助けられていたこともあって忘れていたが、狂三はこうだったと思い出した。

 

「まぁ、デートでなく遊びに行くだけのつもりなのでしたら、私はいいのですけども」

 

気分屋なのだと。

 

 

 

~☆~

 

 

 

あれから、一ヶ月ほど経ったある日。美九からメールがあって、放課後暇だったら行きたい場所があると言って、士道と十香は駅前を歩いていた。他のメンバーも誘われていたのだが都合が合わず、行けるのは士道と十香だけだった。

 

「だーりん、十香さーん。こっちですよ、こっちー」

 

待ち合わせ場所に着くと、先についていた美九は大声で二人を呼び、周囲の人を集めてしまう。そして、美九がいるということで人だかりができる・・・ということは無く、どちらかというと関わりたくない感じだった。で、美九のそばまで着くと声を掛ける。

 

「よう、美九。早いんだな。で、その恰好は?」

「うむ、完全に不審者だな」

「二人ともー、そんなこと言わないでくださいよー。これでもスキャンダルには気を付けているんですよ」

 

紺のコートに黒のキャップ、サングラスにマスクという不審者装備の美九に二人はどういう反応をすべきか悩む。が、とりあえず、その場を後にすることにした。警官が来そうだから。

美九の格好(サングラスとマスク)をなんとかしつつ歩いて、今日行く場所を聞く。

 

「今日はですね、プラネタリウムに行きますよー」

「なんでプラネタリウムなのだ?」

「それはですね、マネージャーさんにチケットが余ったから友達でも誘えばと言われたんですよー。それで、誘いました!」

「ふーん、それで、美九は星詳しいのか?」

 

美九は理由を言うと、士道はふと思う。星に興味が無いとマネージャーも美九に渡すとは思えなかったからそんな疑問を口にした。

十香も士道が言ったことで気になったようで美九を見る。

 

「一応、人並みにはですねー。これでも、一人暮らししていますし、冬は暗い時間に帰ることもあって見ることは多々ありましたから。十香さんもだーりんに会う前なんかはいろんな場所を見て回っていたのでしたら、星が綺麗に見える場所にも行ったんじゃないんですか?」

「あぁ、確かに綺麗に見える場所はあったな。特に山奥はよく見えたし、ペンギンと一緒に星空を見上げたこともあったな」

「「南極(ですかー)?」」

 

十香は昔を思い出したのか遠い目をして思い出す。対して、二人は十香の行動範囲の広さが南極にまで及んでいるとは思わなかったので驚いた。

(十香はどんだけ旅してたんだろ?まぁ、いいか。それにしても、二人とも星には興味あるみたいだな)

喋りながら歩き、目的地のプラネタリウムに着くと、受付でチケットを見せて三人で入るのだった。中にはだいぶ人が入っていて、それなりに混んでいて、三人は適当に空いている席に座ると、プラネタリウムが始まるのを待つ。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「なかなか良かったな。この辺りは電灯が多いせいであまり星が見れないから、久々に綺麗な星を見た気がするぞ」

「ですねー。それに、星について知らなかったことが多かったですし」

「ああ、確かに知らないことが多かったからためになったな」

 

プラネタリウムを出ると、三人はそんな感想を離しながら、精霊荘の方に向かって歩いていた。美九は自分の家に帰っても一人で寂しいとか言って精霊荘に行くようだった。なら、精霊荘に住めばいいとも思うが、長い間住んでいただけに離れたくないらしい。

 

「ところでシドー、美九。この時間に流れ星って降ってくるものだろうか?」

 

すると、唐突に空を見上げていた十香が足を止め、そう溢した。急になんだろう?と思い、士道と美九も足を止め、空を見上げるが、特に何も見えなかった。

 

「ん?暗ければ見えるとは思うけど?で、流れ星なんて見えないけど・・・」

「ですねー、どこですかー?」

「二人とも、私の勘違いだった。流れ星では無かったな」

 

十香は空の一点を見つめたままそう言い、十香にははっきりとそれが見えているのか、

 

「確かこういう時はこう言うのだったな。親方ー、空から少女が~」

 

なんてことを言った。

ああ、流れ星じゃなかったんだなー、なんてことを一瞬思ったが、三人はハッとした。

 

「ちょっ、空から少女が降ってくるってなんだよ。あ、まじだ」

「私がキャッチしますよー」

「いや、あの高さからじゃキャッチ無理だと思うぞ。それと、完全にこっちに向かってきてるな」

 

三人はどうしたものかと思いながら考える。何故少女が降ってきているのか等のことは、今は考えない。そんなことは後でいいので。

(あの高さからじゃ、普通キャッチは無理だよな。普通は。となると、ちょいと危険を冒すか)

 

「美九、<破軍歌姫(ガブリエル)>で俺たちを強化してくれるか?」

「仕方ないですね。ここは、だーりんにお任せします~」

「で、どうするつもりなのだ?強化しただけでは地面抉るぞ?」

「ああ、空中でキャッチすりゃいいだろ?」

「「あぁー」」

 

士道がやろうとしていることを察した二人は、呆れ半分、士道らしい半分な反応をした。二人は限定霊装を纏うと、美九は士道が言った通り<破軍歌姫>を顕現させ、十香は何故かその場でピョンピョンする。

 

「では、いきますよー。<破軍歌姫(ガブリエル)>――【行進曲(マーチ)】」

「士道、本当にいいのだな?」

「ああ、思いっきり頼む」

 

美九の演奏が始まると、十香は士道を持ち上げ、一気に投げた。

限定霊装を纏った十香の力は【行進曲】によって各段に上昇したため、士道は一直線に少女のもとに飛んで行く。空中で体勢を安定させると、八舞の風を周囲に起こし、少女のそばまで移動するとキャッチする。勢いがあり過ぎて、腕を痛めたり、だいぶ高度が下がったりしたが、なんとか地面に激突することも無く済んだ。金髪で士道よりも年下に見える小柄の少女は気を失っているようで反応が無かった。

とりあえず、地面に下りると、美九と十香は駆け寄って来た。

 

「ふむ、金髪少女でしたか……ありですね」

「どうやら気を失っていたのだな。それにしても何があったのやら?」

「さぁな。とりあえずどこか安全な場所に運ぶか。この場合は病院か?」

 

さしあたっての搬入先に悩む。病院に連れて行ったらどう説明すればいいのかもわからない為に困る訳で。

 

「ん?精霊を病院に連れて行くのか?精霊荘か<フラクシナス>の方がいいと思うぞ」

「え?この子、精霊なのか?降って来た時点で、その可能性はあったけど」

「はい!完全に精霊さんですねー。霊力も感じますし~」

「じゃ、精霊荘に連れて行くか。医療用のも置いてあるし」

「?<フラクシナス>でなくていいのか?」

「勘だけど、精霊荘の方がいい気がする。二人ともこの子を見たこと無いんだろ?」

 

少女を抱っこしたまま士道がそう問う。すると、二人は見たことが無いからと頷く。

 

「それじゃ、精霊荘でいいな。二人が知らないってことはたぶん未確認の子だと思うし、<ラタトスク>に見つかれば面倒なことになりそうだしな」

「なるほどな。では、私が背負うとしよう。シドー、キャッチした時に腕痛めろ?」

「だーりん、そうなんですか?どうなんですか?」

 

少女をそのまま連れて行こうとすると、十香は士道の腕を見ながらそう指摘し、美九はその言葉を聞いて詰め寄る。

士道としては少し痛い程度なのでこのまま言わないでおきたかった。二人が心配することは目に見えていたから。

しかし、ばれてしまったからにはもう隠しておくこともできず、十香は有無を言わさずに少女を背負ってしまう。

 

「これくらいは私にもさせてくれ。正直、シドーを投げただけだから、何かした感も無かったしな。それに、抱っこしていたら目立ってしまうぞ」

 

言うだけ言うと、十香は歩き出す。士道は、ここは十香に甘えることにして任せると、十香を追いかける。

 

「十香さん、ずるいですよ~。私がおぶりますよ~」

 

で、少女と密着したいがために、美九はそんなことを言っていた。

 

 

 

~☆~

 

 

 

少女を精霊荘に運びこみ、幸いこれといった大きな外傷もなく、多少あった切り傷等も七罪の<贋造魔女>で塞いだため、起きるのを待っているのが現状だった。

 

「入るぞー」

 

そして、翌日の午前中に精霊荘に行くと、ちょうど少女が起きたらしく、さっそく少女のいる部屋の前に着くと、ドアをノックして声を掛けた。ノックせずに入ったら着替えていたパターンのラッキースケベを防ぐ為に。第一印象は重要であって、そんなことをすれば今後がややこしくなる。

しかし、特に反応は無く、返って来る様子も無かった。その為仕方なく、ドアを開け中に入る。

また寝たのかな?と思いベッドに目を向けると、そこはもぬけの殻になっていた。もしかしたらベッドの向こう側に転がったか?とか思ってベッドのそばに寄るが、やはりいなかった。

(あれ?あの子どこ行った?窓も閉まっているから出て行ったわけでもないし・・・手洗いにでも言ったのかな?)

少女の行方が分からず、仕方がないので共有スペースに戻ろうと振り返ろうとすると、いきなり士道は押し倒された。

 

「ここはどこで、お主は誰じゃ?」

 

探し人だった少女はドアの裏に隠れていたらしく、ベッドの上に倒された士道の背に乗るといつでも首を締められるように手をかけてそう問う。突然のことに、士道は驚いて無言でいると、

 

「沈黙するのじゃな」

「あ、いや、突然のことに驚いたんだ。ちゃんと話すから、退いてくれないか?」

「まずは、お主が何者なのか話すのじゃ」

 

少女は士道が話す気が無いのだと判断したようで、手に力を入れようとしたので、慌てて士道は話したが、士道の要求は聞かないようだった。

このままでは首を絞められてしまうので、質問に答えることにする。

 

「俺は五河士道。で、君が空から降ってきて、怪我してたから運んだ感じだ。特に危害を加える気もないし、ここは俺の友達の家だ」

「ふむふむ、なるほどなのじゃ。つまり、気を失っていたむくをお主が助けて、ここに運んでくれたのじゃな」

 

士道が答えたことで少女の警戒が若干緩み、とりあえず士道の上から退くと思ったが何故か退くことは無かった。

士道はまだ信用はされないと分かってはいるが、この体勢のまま会話をするというのも違和感があるため困る。と言うか、未だに互いが顔を見て話せていない。

 

「あのー、そろそろ退いてくれないか?」

「ん?むくはそこまで重くないはずじゃぞ」

「重くはないけど、このままの状態で話していくのか?」

「仕方ないのう、退いてやるのじゃ」

 

士道が何度も言っていたせいか少女は妥協し、士道の上から退いてベッドのそばに立つと、士道は身体を起こして少女の方を向いた。

 

「ふむ、むくはとんでもないことに気付いてしまったのじゃ」

 

すると、少女は士道の顔を見るやそんなことを言い、士道は不用意なことを言って機嫌を損ねられたら嫌なので少女の言葉を待つ。

 

「むくはお主――士道に一目惚れをしてしまったようなのじゃ」

「……へ?」




正直、何パターンもやっていると似てくるので、今回はいきなり好感度が高い?状態スタートにしました。原作と同じにするのもあれですし・・・

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