デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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8話 転入生

幻武を倒したことで、周囲に張られていた結界と人々に干渉していた力が解かれ、士道たちがいた山に人が集まりだしたため、四人は場所を移した。本当は色々話したいところだったが、宿に集まる時間になっていたので士道と千花はいないことがばれると面倒なことになりそうだからと、二人に話すと

 

「明日の午前中はまだ京都なのだよな?」

「ああ、そうだな。なんで知ってるんだ?」

「では、明日の十時に清水寺で待つとしよう。その時にでも。行くぞ、狂三」

「では、わたくしも失礼しますわね」

 

十香はそう言ってその場を後にし、狂三も一礼すると十香を追いかけて行ったのだった。

 

「士道君、行くよぉ。多少なら騒ぎに巻き込まれてたことにでもすれば済むだろうしねぇ」

「ああ、わかった。急ぐか」

「そうすべき、宿に戻った生徒はまだ半分くらいらしい」

「うおっ、いつの間に」

 

二人が話していたら、いつの間にか現れた折紙も話に入って来た。そして、士道の反応が面白かったのか、ふふっ、と笑いが聞こえた。

 

「士道よ、少し驚き過ぎではないのか?」

「指摘。耶倶矢の言う通りです。気配的なものを感じてください」

 

振り向くと、耶倶矢と夕弦が立っており、その手にたくさんのお土産を持っていた。

耶倶矢の方はいくつかの箱(お土産)と袋から飛び出た木刀、夕弦の方はみんなへのお土産やらキーホルダー系の小物が入っていた。

 

「なんというか、俺らが大変な時にも楽しんでいたんだな」

「うむ、士道が十香とデートしている時にな。それに、今回の戦闘においては私たちが行くのは危険な風が吹いていたからな」

「補足。私たちも向こうの山に異変が起きているのには気づいていましたが、一人称ズに捕まっていて行くことが出来ませんでした」

「それに、行方を眩ました生徒がいたらしく探すのを手伝っていた」

 

三人は山に行かなかった理由を述べる。士道としては三人を責める気は無かったからそれ以上は言わなかった。それに、幻武戦にいたら幻覚をくらった可能性もあるので。

 

「さて、宿に戻るか。俺たちが捜索されちゃうし」

「だねぇ。レッツゴォー」

 

 

 

~☆~

 

 

 

宿に戻った士道たちは騒ぎに巻き込まれていたと言ったらすんなりと通り、御咎めは無かった。そして、その後は割と予定通りに進み、普通に過ごした。

翌日、クラス全体で予定通り清水寺に行き、一時間ほどの自由時間となった。士道が昨日のデートで清水寺は行くからとちゃっかり外したりしていた。

そして、士道たちは清水寺で十香たちを探すが一向に見つからなかった。制限時間もあるので途中手分けして探すと、士道は誰もいないような場所にまで来て、

 

「とーう」

 

背後からドロップキックを食らわされた。士道は急な攻撃に反応できず倒され、そのまま士道の身体に乗っかられた。目の前には、十香がいて士道は困惑した。

 

「んと、なんでいきなり蹴り?」

「ん?意外と驚かないのだな。ちなみになんとなくだ。では……」

「……ん」

 

十香は一切の説明も無く、なんのためらいもなく士道の唇にキスをした。すると、士道の中に十香の霊力が流れ込み無事封印が完了したが、いきなりすぎて理解が追い付いていなかった。

(なんで、いきなりキスされたんだ?昨日はそんな乗り気ではなかったのに?)

十香は十香で頭に手を当てて目を瞑っており、身体の前に手を出して、待て、のサインを出した。

 

「シドー、ちょっと待ってくれ。なんか、一気に記憶が流れ込んできて、頭の整理を一度させてくれ」

「ああ、分かった。待ってるから、よくなったら言ってくれ」

 

二、三分ほど経つと、十香は目を開き、頬をポンっと叩いた。ついで。士道の身体から退き、士道の手を掴み起こした。

 

「待たせたな。で、何処から話した方がよいのだ?」

「じゃぁ、一からで」

「そう。あれは、一年ほど前……」

「ごめん、なんで俺にキスしたかからで」

 

十香がこの世界に初めて現れた時の話をし始めそうだったので、士道は慌てて話を振った。時間も割とないので。

 

「そうか、では話そう。といっても、単に約束を果たしただけだ。私がシドーを信用したら封印することに同意すると言っただろう」

「たしかにそうだったけど。よかったのか?京都タワーじゃ渋々みたいな感じだったし」

「ああ、あの時か。でも、その後にシドーは幻覚に掛けられた私を放っておかなかっただろう?それに、普通は自分の命がかかっていたら他者を切り捨てるのに、一度として私に攻撃していなかった。故にシドーをあの時?いや、正確には終わった後には完全に信用することにしたんだ」

 

これで、十香が士道に封印した理由は分かったが、疑問が一つあったりした。

 

「で、なんで、こんなところに居たんだ?探し回ったんだけど」

「ああ、士道が一人になるのを待っていたんだ。清水寺に着いてからずっと士道のそばに居たぞ」

「じゃぁ、なんですぐに出ていてくれなか――」

「そのだな……キスするのを誰かに見られたくなかった」

 

士道が言い切る前に十香は顔を真っ赤にして恥ずかしそうにそう言った。それで、士道も理解した。

 

「悪い。そうだよな。俺も気が回らなかった」

「いや、いい。シドーも私が封印することを知らなかったわけだから」

「そっか……で、いつまで隠れて見てるんだ?千花、狂三」

 

士道は十香の後ろにある木の陰に半眼を向けながら声を掛けた。顔を真っ赤にしていた十香は、肩をビクッとさせながら振り向いた。

すると、

 

「あらぁ、千花さん、何気に一歩前に出ましたわよね?」

「ありゃ?ばれてたぁ?二人の会話聞きたかったんだもーん」

「はぁー、それでばれちゃダメじゃないですか」

 

そんなことを言いながら、二人は木の陰から出てくる。十香は見られたことで一気に顔を青くし、直後に見られたことで恥ずかしくなり顔をまた赤くした。

 

「狂三ちゃんが邪魔したせいで決定的瞬間を見逃したじゃーん」

「いえ、流石に見られるのは酷だと思いますわよ」

「んと、いつからいたんだ?俺が気付いたのは十香と話してた途中なんだけど……」

「ええ、おそらくその前後ですわ。ですので、わたくしも千花さんも封印の瞬間は見ておりませんわ。それに、木の陰からじゃ見えませんし……」

「おお、そうだったか。良かったー」

 

十香の顔色が元に戻り、見られていないことに安堵していた。この数分間で十香の表情がころころ変わり忙しかった。

 

「ところで、十香はこの後どうするんだ?俺たちと一緒の新幹線に乗っていくか?令音さん辺りに頼めば、なんとかなるけど」

「それですけど、結局十香さんと観光できなかったので、天宮市に行くのはわたくしとではだめでしょうか?」

「と言ってるけどどうする?俺は十香の意見を尊重するよ。十香の霊力は安定してると思うし」

「だねぇ。十香ちゃんの霊力は私が見る限りでも安定してるし、狂三ちゃんと一緒なら道中で襲われても安全だと思うよぉ」

 

狂三の提案に士道も千花も反対する気は無く、十香の意思を尊重しようと思った。

(なんだかんだで、こっちの世界じゃ二人は仲が良かったみたいだしな。それに、今後は好きな時に会うことは……まぁ狂三は神出鬼没だから関係ないか)

十香は士道たちと一緒に行くか、狂三と行くか悩み、そして答えを出した。

 

「私は狂三と一緒に天宮市に行くことにしよう。結局この三日間あまり狂三と回っていないからな。士道も昨日は私といたから、少しは修学旅行の思い出を作らないとな」

「そっか、じゃぁ狂三。十香のことは任せた。また、後で」

「ええ、そうしますわ。ちゃんと十香さんは責任を持ってお連れしますので」

「じゃぁねぇ……って、士道君。もう時間だよぉ。行くよぉ」

 

千花は腕時計を見て、自由時間の終了が迫っていることに気付くと、士道の腕を掴み走り出し、士道も引っ張られながら、二人に手を振ると走っていった。

二人が見えなくなるのを見届けると、

 

「本当に忙しない方たちですわね。では、わたくしたちも行きましょうか」

「だな。まずは……清水寺を見て回るか」

 

そう言って、二人は士道たちとは逆方向に歩き出した。

ちなみに、十香の封印シーンは狂三の分身体たちがしっかり見ていて、後で十香にそれがばれて一悶着あったとか。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「さすが、だーりんですね。まさか、修学旅行中に十香さんに会うなんてー」

「美九、苦しいぞ~」

「美九さん、暇ならお皿運んじゃってくださーい」

「ふむ、美少女二人のイチャイチャ。これは今後使えるかも」

「美九はアイドルなんだから、もう少し落ち着けー」

 

精霊荘の共有スペースのソファーに座った美九は十香に抱きついて、十香はジタバタしてなんとか脱出しようと頑張っていた。そんな美九に真那はそう言いながらテーブルに料理を置き、二亜は二亜で観察しているのだった。で、士道は美九に抱きつかれている十香を救出する。

美九はつい最近、シークレットアイドルから普通のアイドルになり、今現在テレビに引っ張りだこになっている・・・はずなのだが、暇さえあれば精霊荘に遊びに来ている。二亜も二亜で締め切りが近くない間は、ネタ探しという名目で入り浸っている。

士道たちが帰ってきた一時間後ぐらいに十香も天宮市に来て、そのまま精霊荘にやってきた。狂三は<ラタトスク>に付けられたくないからと途中で別れたとのことだった。

そして、突然現れた霊力封印を無事終えた十香に琴里は困惑し、士道に修学旅行中にあったことを問い詰めた。

士道は夕食の時に話そうと思ったら、すでに真那たちが調理をしていた為、士道はすることが無かった。なので、その料理ができるまでの間に修学旅行であったことの説明をし、無事し終えると、琴里は渋々納得してこの話は終わった。

 

「というか、なんで真那たちは知ってるのよ!」

「いや、琴里が<フラクシナス>に行ってる時に連絡があったんで知っただけですよ。そう、サプライズパーティです」

 

で、怒りの矛先を、十香が来ることを事前に聞いていた真那に向けるが、真那は特に気にすることも無く、いつもの調子で答えて調理をしていた。

ちなみにその時に一緒に居た七罪と四糸乃も知っていたりするが、言わないでおいた。美九は仕事中だったので伝えられなかったが、仕事終わりにメールを見たのかすぐにやってきて今の状態になった。二亜もそんな感じで、フラーと訪れた感じだった。

そうして、料理が完成し運び終えると、精霊荘の皆+折紙+美九+二亜で十香の歓迎会をしたのだった。

 

それから、十香は<フラクシナス>で検査を受け、来禅高校への転入手続きやらをした。振替休日になった二日間は各々普段通り?に過ごしていき、あっという間に登校日になったのだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「みなさーん、今日は転入生がこのクラスに来ますよー」

 

修学旅行から戻って来て振替休日を挟んだ登校日、タマちゃんは挨拶をした後にそう言い、クラス内はテンションが上がっていた。

十香は士道たちのクラスに転入することになっているので、士道と千花と折紙は驚かなかった。

 

「そして、なんと二人もいますよー」

「ん?」

 

が、二人と言われて首を傾げた。このタイミングで本当に転校してきた生徒がもう一人いたのかとも思うが、それならば他のクラスになるのでは?とも思った。

そして、二人の生徒が入って来た。

 

「では自己紹介してくださいね。まずは夜刀神さんから」

「うむ、私は夜刀神十香だ。よろしく頼む」

 

一人は予定通り転入してきた十香で、もう一人は……

 

「はい。わたくしは時崎狂三ですわ。よろしくおねがいします」

 

何故かこのタイミングで狂三だった。




これで八章は終わりです。
この十香の性格は原作と同じですけど、ある程度知識は持っている感じです。だから、折紙と喧嘩することは・・・あるのか?尺的にどんどん進むから、描かないかもです。
次回からは九章に入ります。次のメイン精霊は誰なのか?

あと、なう前後一週間はバタバタしてるので執筆できない・・・まあ、書きためがあるのでちゃんと更新はしますけども。

と言うわけで、また来週

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