デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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6月が終わる前に投稿したかった。
なので、投稿しました。
一応週一ぐらい、二話ださないとは言っていない。というか、同時投稿何度かしてますし。

では、どうぞ



6話 聖戦終結

雲一つない綺麗な青空だった。

 

 

 

 

 

 

 

「って、うわぁぁぁ」

 

令音に<フラクシナス>の外に放り出され、一瞬綺麗な空に我を忘れていたが、ハッと気づき士道は大声を上げて叫んだ。

たしか、令音の話だと八舞が下にいるはずなので、手や足をバタバタさせてなんとか体勢を安定させて真下を見ると、そこには綺麗な青色が広がっていた。

見た限り全て青一色。

数キロ先に陸地が見えるが、今は関係無い。

 

「一面海かよー。てか、二人はどこ行ったー」

 

だからこそ士道は一人でツッコんでいた。

周りには誰もいなかったので。

どうやら、八舞と朱雀の戦いは高速戦闘なのか常に場所が移動しているようだった。

つまり、今現在落下中の士道を助けてくれる人はいない。

<フラクシナス>が空中で回収してくれる可能性も考えたが、令音の感じからして助けてくれる気がしていなかった。

つまり、この後の展開は……。

 

「いや、俺もう助からないじゃん!このままじゃ海に突っ込んで終了だぞ!いくら水でも、この高さじゃ凄まじい衝撃がきて、助からないじゃん!」

 

士道はガチな死の恐怖で謎のテンションになっていた。

 

「てか、二人はどこ行ったんだよ!なんでいないんだよ!」

 

落下している今も、あまりの恐怖にわめいていた。

 

「と言うか、なんで落下させるんだよ!せめてパラシュートぐらい無いのかよ!」

 

 

 

『士道、うるさいです!』

 

「あっ、ごめん」

 

で、鞠亜にガチトーンで怒られた。

まぁ、それで、士道は冷静に戻ったのだが。

結果的に冷静になったことで、だいぶ今後のことを考えられるようになり、そういえば高い所からの落下って結構あったなー、とか思い出していた。

 

『別に士道を見殺しにはしません。回収しないのは彼女たちが戦闘しながら戻ってくるかもしれないからです』

「あぁ、なるほど。よかったー、見捨てられてなかったんだな」

『当たり前です。私が士道を見捨てるわけがないじゃないですか。あっ、千花たちの方ですが、何故か相手の魔術師と世間話をしているようです』

「え?なんで、そんなことになっているんだ?」

『どうやら、真那がDEMに居た頃に仲が良かった方だったらしいです』

「あぁ、なるほど。うん、安心した。真那にも仲がいい友達がいたんだな」

 

真那は狂三を追いかける日々を続けていたから、仲がいい友人がいるのか知らなかったわけで、士道はそのことに安堵した。

 

『士道、安堵するのはいいのですが、これからどうしますか?モニタリングしている限りはこちらに来る気配が無いのですが……』

「だな、コンタクトを通して<フラクシナス>のモニターを表示してもらっているけど、どんだけ高速で戦闘しているのやら?」

 

士道もコンタクトを通して、八舞の位置を把握するが、数キロは離れてしまっている。

と思えばすぐに位置が変わったりと忙しない。

まぁ、そんな感じでモニタリングしているとインカムから鞠亜が疑問を持ったような声で聞く。

 

『……ところで士道。いつの間にか落下速度が落ちていませんか?だいぶ話している気がするんですが……』

「ん?まぁ、出来ることはしたいからな」

 

現在、絶賛落下中の士道であるが、鞠亜に怒られて冷静に戻った後、<贋造魔女>を顕現させて乗れば飛んでいられるのは?と思い決行した。

(まぁ、七罪は飛んでいた訳だし)

結果から言えば、うまく飛ぶことが出来ず、落下速度を緩めるまでが限界だった。

ちなみに、なんで鞠亜がそんなことを聞いたかと言えば、士道をカメラに捉えることが出来ず、士道の体内にある霊力の位置を把握していた為だったが、士道はそんなことを知らない。

 

『あの、士道。でしたら、七罪の<贋造魔女>で鳥になって飛べばいいのでは?あるいは上着を何か飛べるものにするとか』

「……」

『あっ、考えていなかったんですね』

「いや、意外と<贋造魔女>って扱いが難しいんだよな。ちゃんとイメージをしないといけないし、過去に行った時は元に戻るやり方が分からなかったし……」

 

士道は鞠亜と話しながら、なんとか<贋造魔女>を制御できないものかと頑張っていると、百メートルほど離れた場所で戦闘している八舞のもとに着き、両者は空中で戦っていた。

八舞の手には【穿つ者(エル・レーム)】と【縛める者(エル・ナハシュ)】が握られており、朱雀の装甲は所々へこんでいたりしていた。

だいぶ近づくと、士道の存在に気付いたのか八舞が朱雀に【穿つ者】を振るい、朱雀が随意領域を張るが押し飛ばされ、距離が離れたことで士道の方に顔を向け、口を開いた。

 

「士道よ、何故こんなところで飛んでおる。危険であるぞ」

「あぁ、知ってるよ。でも、心配だったからな」

「驚嘆。まさか、心配されているなんて。それに、飛んでくるとは……」

「まぁな。とりあえず、話はあれを片付けてからだな」

「確かにそうだな。では、我は行くがお主はどうする?」

「俺も行くよ。その為に来たんだし」

「了承。ですが、戦えるのですか?見た感じ、飛んでいるのがやっとのように見えるのですが」

「あぁ……」

 

士道がなんとも言えない表情をして言葉を濁していると、朱雀が二人に向かって突っ込んでくる。

八舞は普通に回避し、士道もだいぶ慣れてきたこともあって危なげ無く回避する。

そのまま八舞は追撃するために追い、士道も追う。

が、八舞は速かった。

みるみる士道との距離が開いていき、朱雀との距離が詰まっていくと、【縛める者】を振るい攻撃をする。

その攻撃によって一瞬怯み、速度が低下したところに連撃を加える八舞。

対して、朱雀も応戦しようと、その場で翼を羽ばたかせ、翼から羽根型のユニットが二十個放たれる。

そして、そのユニットが自動的に八舞を敵と認識したのか包囲すると、砲門から二十の光線が八舞目掛けて放たれる。

風と自らの機動力で回避すると、続けて放たれていき、朱雀が熱線をチャージし始める。

その間に士道が追い付くが、羽に包囲されて行動範囲を制限された状態で八舞に向けて熱線と二十の光線が放たれる。

(さっきは熱線を風でガードできていたが、光線を付加されても耐え切れるのだろうか?)

そんなことを考えつつ、士道は<贋造魔女>から飛び降りながら<贋造魔女>を羽(主に八舞の下にあるやつ)の方に向けて振るい、そのままの勢いで再び<贋造魔女>に乗る。

八舞は自らの周りに風を巻き起こしてそれらの攻撃をガードする。

熱線と光線は風に流されて別の方向に流れていき、士道の心配は杞憂に終わったようで問題ないようだった。

そして、<贋造魔女>から放たれた光が五つの羽に当たると、羽がチュッパチャプスに変化し、それらを空中でキャッチする。

 

「ふー、どうやら大丈夫みたいだな」

 

そう言いながら、服のポケットに入れる。

朱雀は熱線が効かないと判断したのか、熱線を止めると体の各所から炎を出して纏い、その状態で八舞に向かって突進する。

風と朱雀がぶつかり合う。

さっきまでの攻撃と違い、物理攻撃であるため風邪で受け流すことが出来ないのか、じわじわと八舞の風が押されていく。

 

「くッ!まさかここまでとは――」

「――困惑。これは……」

 

風のシールドを強めるが、焼け石に水のごとく意味が無く、

 

「下に回避しろ!」

 

士道は思わず叫んでいた。

何故だかわからないが、このままだといけない気がしたから。

士道の声を聴くと同時に八舞は風を一瞬強め、朱雀の速度を遅めた隙に羽が無くなっているところから出て回避すると、八舞がいた場所を朱雀が通り過ぎた。

そして、飛ばしていた羽に触れると、羽が炎上し、十秒ほどで灰となり風に流されていった。

もし、八舞が当たっていたらと考えると恐ろしかった。

 

「……これは、危なかった、か」

 

八舞も目を丸くして驚いていたが、朱雀は旋回すると再び八舞に襲い掛かる。

今度はガードしようとは考えず、羽に対して風を起こして光線の起動を逸らし、朱雀の突進を回避する。

その際に二つの羽を巻き込み、灰と化す。

 

「うわぁ、どんどん自らの装備を減らしているような気がするんだが……おっと!」

 

で、さっき八舞を助けた士道に向かって突っ込んできた。

琴里の炎の回復速度と炎上の速度のどちらが速いのか分からないので、<贋造魔女>に飛び降りて自由落下するという形で無理やり回避して、その際に振るっておく。

まだ、完全に制御できていないので、高速回避もできないという判断で、この方法を取っていた。

ちなみに、光は不発に終わった。

 

「やっぱり、こう速いと変身能力を当てられないよな。と言っても【千変万化鏡(カリドスクーペ)】は使えないし、他の天使だと飛んでいられないからなー」

 

士道は<贋造魔女>に乗ってそう呟いていた。

(飛ぶことが出来そうな天使は<贋造魔女>と<颶風騎士>しか知らないのだが……あっ、<絶滅天使>に乗れば行けるか?)

そして、これまでにもちょくちょく天使の能力をどれほど使えるのか調べてみているが、二、三割程度の出力しか出ないようで、【千変万化鏡】とかの必殺技みたいのは使えなかった。

<灼爛殲鬼>の【砲】に関してはだいぶ前から琴里の霊力を持っていたから使えたのだと考えている。

もう何度目かの突進を回避し、だいぶ朱雀の羽が灰と化してきていた

 

「要請。士道、そろそろあれの相手をするのも面倒になって来たので、一気にケリを付けます」

「だから、お主には少しの間、奴の気を引いておいてくれ。少々準備があるのでな」

「なるほどな、了解。まぁ、なんとかやってみるけど……どんくらい持つかわからないからなッ!」

 

八舞の提案に了承すると、士道は<贋造魔女>を消して、<絶滅天使>の羽を今出せる限りの四つ出し、そのうちの一つに乗る。

といっても、乗っている羽は浮いているのが限界なのか、動けなかったので、仕方なく残り三つを制御して二つは朱雀の周りを動き回って翻弄させ、一つは残りの羽の相手をさせる。

羽からの光線では少し押される程度で壊れる気配はないみたいなので。

 

「<颶風騎士(ラファエル)>――」

「――【天を駆ける者(エル・カナフ)】」

 

朱雀の相手をしていると、そんな声が周囲に響き、八舞の翼と弦、槍が一つになり弓となる。

そして、朱雀は八舞を危険と判断したのか、<絶滅天使>を無視して八舞に向かって飛びだす。

 

「させるかッ!」

 

士道はギリギリまで時間を稼ぐために、<絶滅天使>から光線を放つ。

が、纏っていた炎によって一瞬で消える。

 

「謝辞。ありがとうございます、士道。無事準備が完了しました」

「いくぞ!<颶風騎士(ラファエル)>」

 

そう言って弓を引くと、突っ込んでくる朱雀に向けて一直線に放つ。

朱雀と矢がぶつかると、朱雀の装甲が柔らかいかのように簡単に矢が触れた箇所から穴が開いて穿たれる。

穴が開いた朱雀は機能が停止したのか纏っていた炎が消え、突進していた時の勢いを持ったまま前進しつつ墜落していく。

 

「ふっ、ずいぶんとやわな物であったな」

「疑問。ギリギリに見えましたが?」

「ギリギリじゃないし、余裕だしー」

 

八舞は独りでにそう言い合い、士道は墜落していく朱雀を眺めていて気付いた。

 

「って、このまま行ったら、水族館の何処かに突っ込まないか?」

 

視界には陸地が広がっており、戦っている間にだいぶ近づいていたようだった。

 

「ふむ、確かにそうだな。さすがに被害を出すのもあれであるし……行くぞ、士道よ!」

 

言い合いを止めた八舞がそう言うと、士道の周囲に風が渦巻きそのまま運ばれていく。

その際に<絶滅天使>は消しておいた。

墜落していく朱雀が遊園地エリアの真上に来ると、そのまま地面にぶつかり止まる。

 

「うわぁ、何か降って来たぁ」

「これは……兵器でしょうか?」

 

朱雀のそばには千花たちがいて、突然のことに驚いていた。

 

「なるほどね。これが彼女たちを倒すための本命って訳ね」

「たしかに、この大きさならばASTが行くよりは成果が期待できたかもしれない」

「まぁ、意味は無かったみたいですねー」

 

で、その中に見知らぬ金髪のワイヤリングスーツを纏った少女が混ざっていることに士道が気付く。

見た目の年齢は七罪よりも下のような感じだった。

 

「……あの、どちら様?」

「んと、私たちが戦っていた相手?」

「そうなんですよー、なんでこんなことにー」

 

七罪がそう言うと、少女は憤慨していた。

 

「私のDEMに居た頃に仲が良かったミリィです。今は七罪の力で姿が幼くなっていますが……」

「とりあえず、私たちの勝利ぃ」

「そう言うこと。士道たちも無事でよかった」

 

そんな感じで喋っていると、

 

「まぁ、いいです。私の任務は四人の足止めでしたから」

 

ミリィはそう言いながら、いつの間にか朱雀に触れてそう言うと、壊れたはずの朱雀の目が光る。

そして、ミリィが自身の周囲に随意領域を張ると。元の姿に戻る。

 

「完全状態でない精霊の霊力なら随意領域(テリトリー)で洗浄すれば取り除けるんですよねー。では、さらば」

 

言い終えると、朱雀から凄まじい光が放出され、その場にいた全員が目を瞑ってしまう。

そして、光が収まりその場を見ると、朱雀とミリィはいなかった。

 

「あぁ、逃げられちゃったかぁ」

「って言っても、逃がした、だよね」

 

千花そんなことを言うと、七罪は半眼を向ける。

 

「ありぃ、ばれてたぁ?」

「ついでに言えば、ちゃっかり発信器を付けていた」

「まぁ、いいですよ。それよりもそろそろここを離れねーといけねーですね。誰かに見つかるのも面倒ですし」

 

そう言うと、四人が出口の方に歩き始めた。

士道も歩き出そうとすると、

 

「待て!士道よ」

 

八舞に呼び止められた。

四人にも聞こえていたはずだが、気を聞かせたのかそのまま歩いて行き、二人だけになる。

 

「んと、なんだ?」

「うむ、なんか私たちが巻き込んだせいで、何か大変な目に遭わせちゃったから……」

「謝罪。いろいろと面倒ごとに巻き込んでしまいすいませんでした」

「いや、いいよ。二人と遊びに行ったのも楽しかったし。まぁ、力になれたかはわからないけど……」

 

八舞の謝罪に、士道は楽しかったことを伝えつつ頭を掻く。

 

「結局。最後の勝負が終わる前に時間が来てしまいましたしね」

「そうであるぞ。ちなみにお主はどちらを選ぶ気だったんだ?」

「ん……それは……」

 

(魅了対決は俺が裁定官になったわけだしなー。それに、耶倶矢には夕弦を選ぶように言われている。でも、夕弦には耶倶矢を選ぶように頼まれている。さて、どうしたものか……下手な答えは納得してくれないだろうし)

士道が答えを言い淀んでいると、

 

「……まぁ、いい。なんとなく答えはわかっているし」

「え?」

 

(もしかして、俺が二人を選ぼうとしてるのばれてた?)

 

「確認。どうせ、『俺には選べない。お前たち二人だ!』とか言うつもりだったのでしょう?」

 

何故だか、士道の考えていたことを読まれてしまっていた。

 

「まぁ、もう済んだことだし、私たちは私たちで予想外ではあったけど、このまま生きていくかな?まぁ、私たち二人の人格が残ったのも、もしかしたら士道のおかげかもね。だから、ありがとね」

「謝辞。いろいろとありがとうございました。では、さようなら。と言いたいところですが、お礼をしたいので、目を瞑ってくれませんか?」

「ん?よくわかんないけど、分かった」

 

二人が士道にお礼を告げると、唐突に目を瞑るように頼まれ、士道は言われた通り目を瞑る。

すると、士道の口元に柔らかい感触が生まれ、驚きながら目を開くと目の前には八舞の顔があった。

 

「ふっ、まさかそんなに驚くとはな――」

「――疑問。嫌でしたか?って、これは……」

 

八舞が疑問顔になると、身体が光り出した。

 

「これは一体?いつもとなんか違うし……」

「まさか、今更どちらかの人格が消えんの?」

「脅威。もしそうなら困ります。具体的に士道のせいにします」

「おい!」

 

そうこう言っているうちに、どんどん光が強まり、目も開けていられないほどの光に包まれたのだった。




これで、第四章は終了です。

八舞姉妹がどうなったかは次回ってことで。
あ、一話日常回を挟んで、次の章に入ります。


さて、前回の話でお気に入りが一日で3人も増えた謎?珍しいこともあるものですね。
まさか、ミリィを出したから?
八舞姉妹が一つになったから?
それとも、千花の【速樹】による触手プレイを望まれてるってこと?
もしかして、これは書けってことなのか?


( ゚д゚)ハッ!

ムーンチャイルドさん、その手にバーバラさんを持って振りかぶらないでー!?

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