デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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いつの間にか半年経っていたことに気づいたのでそろそろ第二話を~。
タイトル思いつかないので、サブタイは今回の内容のとある発言です。もしかしたらサブタイは変わるかも?


2話「へいへーい、そこの彼女さーん」

少女は重い足取りで歩いていた。そして、慣れない力の使い過ぎで小さな公園で疲れ果てて気を失って倒れた。

 

「んん~」

「あっ、起きた。大丈夫?」

 

気を失っていた少女が次に目を覚ますと、なぜか同い年くらいの女の子に膝枕されていた。

 

「むっ!」

「わっ!」

 

誰かにここまで接近を許してしまったこと、少女は女の子に膝枕されていることを理解すると驚き、慌てて体を起こしてそのまま女の子から距離を取る。いきなり知らない人がいた為仕方がない反応ではあった。

女の子に対して警戒しつつ周囲を見渡すと、そこは公園の中にあるベンチのそばで、日は少し傾いていることから数時間寝ていたようだった。

そして、寝たことでだいぶ身体の調子はマシになっていた。

 

「大丈夫?そこで寝ていたのよ?最初は倒れていたんだと思ったけど、寝ているだけだったからここに運んだの」

 

女の子は近くの地面を指差してそう言うと、少女は指差した方を見る。少女が地面で倒れている、もとい寝ていることからベンチまで移動させ、硬いベンチの上だと寝難そうだったから膝枕をした感じだった。

 

「……ありがとう。起きるまで居てくれて」

 

女の子から敵意がないことを感じると起きるまで他の人に何かされないように居てくれたことに対してお礼を言う。一人ならば、もしかしたら変な人に何かされていたかもしれないから。

 

「どういたしまして。それで、どうしてこんなところで寝ていたの?」

「ちょっと無理しすぎて疲れちゃって」

「そう。大変だったのね。で、行くとこあるの?」

「ううん」

「そっか……」

 

少女は少し考える素振りをし、何か思いついたのかポンと手を打つ。

 

「ところで、私見てどう思う?」

「可愛いと思う?」

 

どうして急にそんなことを言うのか?という疑問を持ちながら、思ったことをそのまま口にする。

別段スタイルがいいとか、顔立ちが整っているというわけではないが、率直に可愛いと思った。

 

「そう。でも、お世辞じゃないの?とりあえずそう言っておけみたいな?」

「別にそういうつもりじゃ。率直に思ったこと……」

「そう。まぁ、嘘言ってる感じじゃないし、行く当て無いなら、私の隠れ家来る?」

 

そして、女の子からそういう提案がなされたのだった。

 

「ふむん。いいの?」

「よくなきゃ、言わないわよ」

 

これが少女と女の子の出会いだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

『士道、深追いは禁物よ。向こうに逃げられたのは痛いけど、相手の情報が少しでも得られた以上今日はここまでよ』

 

去って行く少女を士道は追いかけようとすると、その前に琴里に止められる。少女の移動速度は速く瞬く間に見えなくなったので、今から追いかけても追いつけるものでは無かった。その為士道は追いかけるのを諦める。

 

「ああ、そうだな」

『ええ。とりあえず、ASTの増援が向かっているから回収するわ』

 

琴里がそう言った直後、士道の身体がふわっと浮き、<フラクシナス>に回収された。

転送室にはなぜかシェルターに避難していたはずの精霊たちが士道の帰りを心配したのか、心配した表情で待っていた。

 

「シドー、無事だったか」

「ああ。問題ないよ。特に戦いに巻き込まれてないしな。でも、なんでみんなここに?」

「ああ、それなら新しい精霊さんが出たとかで情報を持っている人がいないかとか、謎が多いから情報共有しておきたいって言ってましたよ?」

「なるほどな。あれ?四糸乃と七罪は?」

「二人なら、マンションにおるぞ。さすがにマンションに行ってる余裕が無かったことと、霊力封印する前はそこまで積極的に誰かと会う性格じゃなかったから知らないだろうってさ。しかし、あやつは厄介だな。こちらの情報がばれているのだろう?」

「指摘。それに、こちらはあちらの情報が不足していますし」

「だな。とりあえず、その辺の話もしないとだし、琴里たちのもとに行かないとな」

「あ、そうですね~。だーりんが心配だから来ちゃいましたけど、艦橋で待っているべきでしたね」

「ありがとな、みんな。俺を心配してくれて」

 

精霊たちが士道のことを心配してくれていることに対してお礼を言うと、とりあえず艦橋へ向かう。

艦橋に着くと、クルーたちも安堵の表情をしていた。いろいろと情報を持っていることと、魔術師をいとも簡単にあしらったことからも狂三と同列にまで危険レベルを引き上げたことから、心配はあったようだった。

 

「ご苦労様、士道」

「ああ。それで、あの後あの子はどこ行ったんだ?」

「残念ながら、途中であの機械を使ったのんか霊力の探知が阻害されて見失ったわ」

 

琴里はため息交じりに士道の問いに返す。何か目的があるようなことを言っていたから、その目的を知れれば何か進展があると思ったが、そんな簡単には行かないようだった。

 

「まぁ、過ぎたことはいつまでも引きずらずに次に活かすわよ」

「分かってる。といっても、会っても謎は多いけどな」

「天使は謎ね。能力はよくわからないし」

「だな。顕現装置(リアライザー)に触れた瞬間使えなくしてたみたいだし、機械に干渉する能力か?」

「うーん。天使がそんな限定的とは思えないのよね。はぁ、能力もまだ現段階では不明ってところね。まずはこの情報不足をなんとかしないことにはね。みんなはあの子のことで何か知ってることか、気づいたことは無い?」

 

謎が謎を呼び、現状では情報が少なすぎてこれといった対策を打つことができなかった。それ故に、他の精霊たちが何か知らないかと聞いてみた。

 

「我らは特に会ったこともないからな」

「謝罪。夕弦たちは現界しても耶倶矢と戦ってばかりだったのでお力にはなれませんね」

「私も知らないな。こっちに来た時は大体消失(ロスト)するまでASTたちと戦っていたし」

 

精霊たちも以前に会ったことは無かったようで申し訳なさそうな顔をする。しかし、精霊同士でコンタクトを取るようなことはそうそうないことだから仕方のないことではあった。

その後も少女について話し合われたがこれといった成果もなく終わってしまい、士道たちは解散した。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「はぁー、ここにもいない。一体どこにいるのやら?」

 

少女はとある人物を探していた。そのため、こうして地道に道をうろうろと歩く。

 

「うーん、せめてもう少し範囲が絞れればいいんだけど」

「あれ、君一人?」

「俺たちと遊ばない?」

「……」

 

少女がフラフラと探し人を探していると、五人の人間に囲まれ話しかけられた。少女は元居た世界でも度々こういったナンパに絡まれている為慣れてはいるが、どうでもいいので無視して歩を進める。知らない人より探し人。

 

「ちょっと、無視はなくない?」

 

無視されたことでナンパ男の一人がそう言いながら少女の肩に触れる。それで、少女は無視してもしつこく付きまとわれそうだと判断する。だから、男たちの方を見る。

 

「なんですか?忙しいので」

「別にいいでしょ?俺たちと遊ぼうよ。暇はさせないよ」

「そうですか。どうでもいいので、では」

 

しかし、やはり興味がないのできびを返すと歩き出す。そんな素っ気ない反応にナンパ男たちは少女の前に移動すると進行を邪魔する。少女は邪魔だなぁと思いながらもう一度立ち止ると、ゴミを見るような目を向ける。

 

「退いてくださいなぁ。邪魔ですよ」

「いやいや、君が俺たちについてくればいいんだよ」

「もういいや。無理やり連れてこうぜ」

「はぁー。なんで人間ってこういうのがいるんだろ?あっ、人じゃないか」

 

ナンパ男たちは少女を無理やり連れて行こうと近づき、少女は飽き飽きした様子でため息をつく。

ナンパ男たちは少女がなぜため息をついたのかよくわからず首をかしげるが、さして気にすることもなく行動に移す。

 

「この人数を相手にどうにかなるわけないよ」

 

しかし、それ故に完全に油断しており、少女の次の動きにはついていけなかった。

まず手近な一人に近づくと首筋に手を当て、一人目の意識を奪う。次いで一人目を放置して二人目に移る。それを繰り返し瞬く間に四人を無力化し、残り一人は転ばせるとそのまま馬乗りになって首筋に手を近づける。

瞬く間に制圧したことで残り一人は怯える。

 

「ゆ、許してくれ。俺たちが悪かった」

「あっそ。どうでもいいよ。許すも何もどうでもいいし」

「そうか……なら」

「でも、私に敵意を向いた時点で末路は決まってるよ。それに、ゴミはちゃんと処分しないとね?」

 

解放されると思ったのか安堵の表情を浮かべたが、少女は躊躇うことなく手を当てて意識を奪った。

こうして五人はあっという間に昏睡状態になり、少女は何事も無かったかのように立ち上がると、そのままこの場を後にする。

少女はそれなりの距離を歩くと、誰も来なさそうな路地に入り立ち止る。

 

「で、私に何か用?時崎狂三」

「あらあら、わたくしの存在に気付いていらしたのですね。ごきげんようですわ、招かれざれる精霊さん」

 

 

~☆~

 

 

「んー、いねーですね」

 

天宮市から離れた場所にある街を一人の少女が歩いていた。青の髪をポニーテールに括った中学生くらいの見た目の少女――嵩宮真那。狂三を追って今は<フラクシナス>から離れている。といっても、<フラクシナス>から離れているのは、琴里に口うるさく魔力処理の除去を勧められていて面倒くさかったのもあるのだが。

真那としては狂三をどうにかするまでは戦う力を失うわけにはいかない。まぁ、狂三をどうにかしたら手術を受けるのかは不明だが。

 

そして、今日もまた真那は狂三探しに精を出しつつ、令音から聞いていたDEMにつかまっている精霊の所在も探していた。真那がDEMにいた時にエレンが捕まえてきたという話は聞いていたが、あの時は精霊のことを全く知らず全員狂三のような感じだと思っていたからさして関心がなかった。しかし、今となっては十香たちを見たことでその認識も変わり、DEMにいた時に情報収集しておけばよかったと後悔していたり。

 

「へいへーい、そこの彼女さーん」

「ん?」

 

真那は唐突に聞こえてきたナンパのテンプレ台詞に首を傾げつつ反応した。しかし、女の声であったこともあり、それもまた疑問でしかなかった。もしかしたら、美九のような性癖の人なのかもしれない。

そして、声の主が声をかけたのは真那ではなく近くにいた別の人かもしれず、真那は気にせず歩く。

 

「ちょっとぉ。そこのポニテの女の子だよぉ」

「ん?真那のことでしたか」

 

もう一度呼ばれて足を止めて声の方を向くと、そこには真那よりも二、三歳年上の見た目の茶髪をポニーテールにした少女が立っていた。

 

「うんうん。やっと反応してくれたぁ」

「どこかでお会いしましたか?」

「ううん。初めましてだよぉ」

「そうですか。何の御用ですか?ナンパでしたら遠慮しますけど?」

「んー。ナンパは魅力的だけど、今はいいかなぁ。それよりもお話ししたくてねぇ」

「お話?というか、名乗ってください」

 

一向に話が見えず、真那はこのまま話の主導権を持たせておくと進まなそうなのでそう問う。それを受けて少女はポンと手を打つと納得したような反応をし、自己紹介を始める。

 

「私は木野千花。のんびりとDEMに囚われてる精霊の二亜ちゃんを探しながら、宇宙に行く準備を進めている精霊だよぉ」

「……ッ!」

 

真那同様にDEMに囚われている精霊を探し、なおかつ自らを精霊と名乗ったことで真那は警戒して後ろに飛び退いて距離を取る。

一切の情報がないので狂三のようなタイプの可能性を考慮しての選択だった。もしも、狂三のようなタイプならば倒さなくてはならないのだが。

 

「普通はそういう反応だよねぇ。まぁ、そのままでいいから話の続きねぇ」

 

しかし、そんな真那の反応は予想通りだったようで千花はさして気にした様子もなく、話を続ける。

 

「まず、私は真那ちゃんの敵じゃないよぉ」

「なんで真那の名前を知ってやがるんですか?」

「そんなの簡単!私だからぁ!」

「答えになってねーです!」

 

ひょうひょうとした態度でつかみどころがなく真那はだんだん会話するのも面倒になりそうだった。

真那的にはもう会話をやめてこの場を去りたい気分だった。見た限りでは狂三のような危険性は感じられないから。

しかし、情報は重要なので本当に去るようなことはしない。

 

「あれぇ?このままだと行っちゃう感じぃ?本当はスペックの高い魔術師(ウィザード)だから知ってただけだよぉ。まともに戦いたくないのはエレンとアルテミシアと真那ちゃん。あとはオリちゃんかなぁ。オリちゃんはこっちじゃもう魔術師(ウィザード)辞めてるけどぉ」

 

千花は真那の考えを読んだかのようにそう言い、真那は自分の思考を読まれたのかと思うも、ただ単に表情に出ただけだろうと判断する。

そして、エレンやアルテミシアを知っていることからそれなりに調べていることも理解し、それなりにこの世界に順応していることもわかった。

 

「警戒している魔術師(ウィザード)の情報は調べていたと。名前を知った理由はわかりましたけど、それで目的は?」

「二亜ちゃんの奪取だよぉ」

「二亜?そういえば先ほどもDEMに囚われている精霊をそう呼びましたね」

「うん。真那ちゃんならDEM抜けたとはいえ何か知ってるかなぁって。あと、真那ちゃんの目的も同じだったら一緒にいたいなぁって」

「残念ながら、真那も知りません。というか、精霊の名前も今知りましたし。奪取してどうするつもりで?時崎狂三のように霊力目当てですか?それがわかんねーことには協力も何もねーですよ」

 

千花の真那に接触してきた目的はわかったが、そのうえで何をしようとしているのかはわからずそう問う。

もしもそうなら、真那は千花を敵とみなして倒す必要が出るので、すぐに装備をまとえるようにポケットのドッグタグに触れる。

 

「ううん。確かにちょっと手伝ってほしいことはあるけど、霊力を奪う気はないよぉ」

「そうなのですか?」

 

しかし、そんな真那の思考を知ってか知らずかのんびりとした調子で真那の言葉を否定する。

 

「うん。だって、私は今も昔も精霊の味方だしねぇ」

「精霊の味方?変わった精霊ですね。ですが、真那にはあなたの言葉を簡単に信用できる材料がないので協力するかも判断しかねますね。もしかしたら嘘をついているかもしれねーですし」

「だよねぇ。私だって、逆の立場ならそうだもーん。だから、どうしたら信じてくるぅ?エレンの首持ってきたらいい?」

「ッ!ずいぶん簡単に言ってくれますね。エレンは残念ながらつえーですよ」

「知ってるぅ。でも、私的には脅威度はアルテミシアの方が上かなぁ?CR-ユニット無力化したら、エレン最強じゃなくなるしねぇ」

「魔術師でない時のエレンのことまで知っているんですね。で、真那が断ったらどうする気で?無理やりにでも聞きやがりますか?」

「ううん。その時はその時だねぇ。協力するメリットは真那ちゃんにもあるよぉ」

 

真那は千花が言う協力するメリットに首をかしげる。

確かに目的が同じならば囚われの精霊を助け出すのは容易になるかもしれない。さすがにエレンやアルテミシアと戦えば真那自身も危うく、リスクもある。もしも千花が協力すればある程度リスクは減る。千花が本当に味方ならばの話だが。

 

「私が一緒のメリットは、謎の精霊である私がそばにいることで監視できることぉ。せっかく会えたのに、このまま放置ってわけにもいかないでしょ?もしかしたら、私が狂三ちゃんと同じことをしないって保障あるぅ?」

「それは……」

「まぁ、流石に一般人を襲う気ないけどぉ。で、こっちが真那ちゃん的に魅力的なメリットぉ。私、狂三ちゃんの居場所知ってるんだぁ」

「なっ!」

 

千花が口にしたもう一つのメリットは確かに真那にとってはメリットだった。狂三は基本影に潜み、見つけても分身体でなかなか本体の居場所がつかめない精霊。故に真那も狂三を見つけるのは面倒ではあった。もしも狂三の居場所がわかるのならば、確かにメリットではある

 

……のだが。

 

「今さっき、精霊の味方って言いましたよね?居場所言ったら矛盾しません?」

 

千花は自己紹介で“精霊を護る精霊”と言っていたことに引っ掛かりがあった。

もしも狂三の居場所を言えば狂三に危険があるわけで、言わないことが守ることになるはずだから。

 

「まぁ、そうだねぇ。でも、知ってるだけで教えるとは言ってないよぉ。それにその<ヴァナルガンド>じゃ狂三ちゃんは倒せないしぃ」

「そんなのやってみねーことにはわかりませんよ。……はぁ。面倒なので、あなたを倒しておきましょうか。真那が勝ったら時崎狂三の居場所を話してもらいやがります」

「えー、なんでそうなるのぉ!?」

 

そして、真那は千花の行動が一切読めないので唐突に無力化しようとするのだった。




今後の展開が固まってないので、次はいつになるのか?今三話書いているところなので、そのうちまた投稿はできるはずです。

ではでは~ノシ

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