デート・ア・ライブ パラレルIF   作:猫犬

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鞠亜アフターをやったので鞠奈バージョンもということで。
と言っても鞠亜アフターを鞠奈に変えて少しいじっただけですけども。


鞠奈アフター

「待ち合わせよりも早く来過ぎたか?」

 

士道は駅前の植え込みの木に背を預けながらスマホの画面を見て呟く。今の時刻は九時五十分。待ち合わせ時間は十時だから少し早い感じだった。ちなみに士道が着いたのは四十分頃だったりする。

高校三年の二月十四日。本来なら受験生だから出歩くのもまずい気がするが、士道と待ち人は推薦ですでに受験は終わっていたから、一緒に出かけることになっていた。

街は受験の雰囲気とバレンタインの雰囲気に包まれており、士道はなんというか受験生が一層ピリピリしている気がしていた。受験が終わって一人駅前にいる士道も後でピリピリされる対象になるがそんなことは知らない。

 

「おはよ、士道。待たせた?」

「おはよ、鞠奈。俺も来たばっかだから問題ないよ」

「そう?ふーん。もう少し前からいたように見えたのは気のせいか」

「待て、一回ここに来てたのか?」

「ううん。私よりも十分以上早く家を出るのを見かけたからさ――」

 

鞠奈の言葉に士道がツッコめば鞠奈は笑みを浮かべ、

 

「だから、私も早めに出てきたんだから、感謝しなさい」

「はぁー。そりゃどうも」

 

何故か偉そうにそう言った。

士道としては鞠奈を待たせるようなことをしたくなかったから早めに出てきたわけで、こういわれるとなんというか腑に落ちない。

だから、腑に落ちないがとりあえず髪を掻くとお礼の言葉を雑に言う。

 

「じゃっ、少し早いけど行こっか……て、まだ十時じゃないからお店開いてないか」

 

鞠奈はそう言ってどうしたものかと困った顔をする。

鞠奈の服装は黒い厚手のコートに青色のデニム、黒のハイソックスに茶のブーツという恰好だった。いつも鞠奈は茶のコートを着ているから珍しく感じながら、とりあえず鞠奈の言葉に返答する。

 

「そうだな。でも、電車に乗って着く頃には開くだろ?」

「それもそっか」

「それと、コート新しくしたのか?似合ってるぞ」

「ありがと。受験も終わったからその一環で新調したのよ」

 

士道が率直な感想を言えば鞠奈がお礼を言い、二人は駅のホームに入って行く。

二人の目的地は電車で数駅行ったところにあるショッピングモール。今日の目的は進学に向けての買い物……ってことになっている。ちなみに今更ながらではあるが二人は付き合ってない。

 

「そう言えば、どうして待ち合わせ駅前だったんだ?家近いんだし精霊荘でもよかったんじゃないのか?」

 

士道と鞠奈は中学生の時からの付き合いだった。最初は席が離れていたからそこまで接点が無かったが、ある時席替えで席が隣同士になったことで話すようになった。その後は席が近かったり、クラス替えでも同じクラスだったりして関係は継続し、高校も近いからという理由で同じところに進学してからもずっと同じクラスになっていた。

鞠奈は士道の家の裏にある精霊荘というアパートに大家をしている千花と鞠奈の双子の妹の鞠亜の三人で住んでいる。最初は四人で行こうとしていたが、「その日予定あるので」と二人とも予定があるからと断られ、だったら日を改めようとしたら「二人で行って来なよぉ」とか言われて二人で出かけることになった。

家がそばならどっちかの家でいいのではと士道は思ったが、待ち合わせのやり取りをしてる時に「その方がぽいでしょ?」と言われた。士道は鞠奈の言葉の意味が分からなかったが、鞠奈がいいならいっかと思ったから駅前になったのだが。

 

「いいじゃない。それに、精霊荘の前で待ち合わせれば千花と鞠亜に何か言われるわよ?」

「あー。目に浮かぶな。あれ、二人とも予定があるからいないんじゃないのか?」

「まぁ……でも、私が出る時はまだいたから。だから、駅前にしたのよ」

 

鞠奈の言ってることに納得すると、それからもたわいのない話をしながら着くのを待つ。

そうして揺られて目的の駅に着くと二人は降りるのだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「士道、まずはここに入るわよ」

「ショッピングモールの中に水族館って珍しいような」

 

士道たちがまず入ったのは、ショッピングモール内にある水族館だった。ショッピングモールの中に水族館があるのはどうなのかと士道は思ったが、ビルの中や小さな建物が水族館って場所もあるからと鞠奈に言われたから納得?した。

パンフレットを見れば、水族館は大きなところのようにイルカショーやアシカショーの類は無いようだったが、この辺りだと割と多くの生物がいるようだった。

 

「さて、どう回る?」

「俺あまり水族館行かないから鞠奈の行きたいようにしてくれ」

「そう?確かに士道のところだとあまり行くイメージは無いか。じゃっ、私の好きにさせてもらうわ」

 

士道は水族館をどう回ろうかと言う問題点に直面して鞠奈に任せる。

士道の場合は仮に行ったとしても、一緒に行った人に合わせるタイプだが、鞠奈は逆に生きたいところにどんどん行くタイプだった。

 

「ああ、たのむ……ん?どうかしたか?」

「あっ、なんでもないわ」

 

士道が歩き出そうとすると、鞠奈はその場を動かず腕を空でうろうろさせていた。どうしたのかわからず聞けば鞠奈はハッとして誤魔化す。

水族館の入り口周辺は高校生やら大学生、家族連れなど人が意外と多く、中途半端に混んでいた。

(意外と混んでるな。あっ、もしかして)

 

「鞠奈、行くぞ」

「別に手なんか繋ぎたいとは思ってないわよ」

「こう人が多いとはぐれそうだしいいだろ?」

「あっ、そういうこと」

 

士道は鞠奈の手を握ると歩き出し、鞠奈は呆れた表情でついて行く。

鞠奈が立ち止っていたのは、混んでいるからはぐれるかもということを心配しているのだと思ったから士道は手を握った。

ちなみに、鞠奈の立ち止っていた理由は別の所にあるが士道は知らない。

 

「綺麗な魚が多いわね」

「だな。そう言えば、どうして水族館ってあるんだろうな」

「何言ってるの?急に」

「いや、鯵とか鰯って普通に食べるだろ?」

「あんた。その考えはどうかと思うわよ」

 

士道が問題発言を言いかけると鞠奈ははっきりと止めてまた呆れた表情をする。どうして急にそんなことを思ったのか鞠奈は疑問に思うも、すぐに当りを付ける。

 

「いくら料理をしているからって、すぐに料理に結び付けるのはね。今日は純粋に水族館の魚たちを見よ?」

「それもそうだな。普通に楽しむことにするよ」

 

鞠奈に言われてすんなりと従うと、二人はその後ものんびりと見て回る。トンネルのようになった水槽の中を通れば真上を魚が通り、ライトアップされた水槽ではクラゲが光でその色になっていたりと、二人は楽しめていた。

 

「士道、サメよ、サメ」

「ああ、サメだな」

 

そして、鮫の居る巨大な水槽の前に着くと何故か鞠奈がサメに興奮していた。鞠奈の変化に士道は戸惑っていると、鞠奈はガラスギリギリまで近づいてサメを見る。

 

「鞠奈ってそんなにサメ好きだったのか?」

「んー。普通よ。でも、水族館だと一番好きかもしれないわね。かっこいいじゃないですか」

「……それはそうかもな」

 

鞠奈は鮫から視線を移さずにそう言い、士道は楽しそうにサメを見ている鞠奈の表情にドキッとしていた。しかし、それがばれれば鞠奈にからかわれるからと表に出さないようにし、鞠奈もサメの方を見ているため気が付かないのだった。

 

 

 

~☆~

 

 

 

「綺麗な夜景だな」

「士道。私と夜景、どっちが綺麗?」

「ん、鞠奈だな」

「あれ?即答するんだ?」

「なんで聞いといて驚いてるんだ?」

 

最後は二人とも展望台に上って展望スペースで街の夜景を見ていた。鞠奈は士道を困らせようと思って言ったが、まさかの即答に驚く。

そんな鞠奈の様子に士道は笑みを浮かべると、まっすぐに鞠奈を見る。

 

「鞠奈。俺は鞠奈の事が好きだ。付き合ってくれ」

「ふーん……え!?」

 

士道がはっきりと言葉にすれば、鞠奈は驚くと共に信じられないといった様子で口元に手を当てる。士道の言葉を信じたいけど未だに信じられず、

 

「冗談?」

「冗談じゃない。本心だ」

「……あはは。あれ?どうして涙なんか出てるんだろ?」

「鞠奈!?」

 

狼狽していて涙を流し始める鞠奈に士道は焦る。まさかこんな反応が帰って来るとは思っていなかったから。

すると、鞠奈は首を横に振る。

 

「士道は悪くないわ。悲しいわけじゃなくて、うれしくて……私も士道のことが好き。だから、こっちこそ」

「よかった。急に泣くから泣くほど嫌なのかと思って焦ったよ」

「流石にそんな理由で泣いたりしないわよ。それだったらそもそも今日一緒に出掛けてないし」

 

そして、鞠奈もはっきりと士道に答えを返して笑顔を作る。

こうして、二人は付き合うことになった。

士道は安堵すると、「そうだ」という言葉と共にコートのポケットから小さな箱を取り出す。そして、

 

「流石に結婚指輪は無理だったから安いやつで悪いけど」

 

箱を開けると中には二つの黒い指輪が入っており、そのうち片方を取り出す。いわゆるペアリングで、鞠奈に告白して渡そうと思って事前に買っていた物だった。

鞠奈はそれを見ると士道の方に左手を差し出す。差し出された左手に指輪を通すとすんなりと入りサイズはぴったりだった。士道は鞠奈の指にはめ終えると、自分の指にももう一個をはめる。その間、鞠奈はシンプルなデザインを気に入り、じーっと指輪を見ていた。

 

「ぴったり……私の指のサイズなんて何処で知ったの?勘と言う訳ではないでしょ?」

 

しかしながら、サイズがぴったりだったことに鞠奈は気になった。勘でサイズを決めた、手を繋いだ時に感覚で測ったなど考えられるが、それだけでぴったりになるとは思えない。

 

「鞠亜に聞いた。双子だし身長もほとんど同じだからサイズも合うと思ってな」

「なるほど。ってことは、鞠亜は告白のことを知ってたわけ?」

「まぁな。指のサイズを聞いた時に鞠奈に告白するのか聞かれたし」

 

隠す必要も無いから士道が白状すると鞠奈はそれで納得した。正直なところどうして鞠亜は士道が自分に告白しようとしているのか分かったのか気になるが、それは士道が知っている訳がないから後で本人に聞こうと決める。

 

「ところで、私のどこがいいわけ?」

「うーん。はっきり言えば全部だけど、あえて言えばとにかく明るくて、こっちまで励まされるってとこかな?」

「ふーん。そう言われるとうれしいわね。はぁー、それにしてもまさか士道から告白してさらにこんなプレゼントまで貰えるとは思ってなかったわ。私からしようと考えてたのに」

「鞠奈から?」

 

鞠奈の言葉に首を傾げると、鞠奈は肩にかけていたバックから箱を取り出す。

 

「今日が何の日か覚えてるでしょ?」

「んと、バレンタインだな」

「はい。だから、士道にチョコのプレゼント。本当はこのタイミングで告白しようと考えてたのに、私の考えてたプランが無駄になったわ」

「そっか。ありがと。でも、こういうのは男の方から告白した方がいいかなって」

「まっ、結果は変わらないからどっちでもいいけど」

 

鞠奈からチョコを受け取る。ここで開けて食べた方がいいのかと思うと「帰ってからでいいわよ」と言われ、本人からの申し出なのでそれに従う。

ちなみにハート型のチョコで“大好き”と書かれており、本来ならそのチョコを士道が見た直後に告白するつもりだったが、順番が逆になった手前今更ながらあんなことを書いたことが恥ずかしくなっていたりする。

二人はそれからいざ付き合い始めたが、これからどうすればいいのだろうと沈黙する。実際問題、いつも一緒に居ることが多いから付き合っても今までの生活が急に劇的に変わる訳ではない。二人の時間が増えはするだろうけど。

 

「士道」

「ん?」

「彼女って何をすればいいんだろ?」

「さぁ?俺鞠奈と付き合うのが初めてだからな」

「知ってるわよ。付き合いは長いんだから。あっ、浮気はダメよ?」

「付き合ってすぐに浮気の心配かよ!」

「士道の近くには千花と鞠亜、それに真那と澪までいるんだから」

「おいおい。真那と澪姉は血縁だぞ。それに、浮気なんてしないよ。俺は鞠奈一筋だ」

 

妙なことを言う鞠奈に士道ははっきりと言葉にする。鞠奈はそれを聞いて安心する。

 

「なら安心ね。もし浮気をしたら刺すからね?で、私も後を追おうかしら」

「おいおい。刺されるのはヤダな。それに鞠奈に死なれるのは困る。鞠奈も浮気は無しだからな」

「はいはい。じゃぁ、私を死なせないようにね。浮気に関しては士道以上のがいればもしかしたらね」

「冗談だよな?」

「さぁ、どうだか?」

「「ぷっ」」

 

そして、二人同時に噴き出す。

互いにそんなことをするとは一切思わない。

互いにそんなことをする気は一切無い。

互いを信頼しているからこんなことも言える。

それが二人の今までの関係。

そして、これからも続く関係。

 

「士道」

 

鞠奈は目を瞑って士道の方に顔を向ける。周りには偶然人がおらず、鞠奈の欲していることをすることができる状況。

士道は鞠奈に顔を近づけ、鞠奈の唇にキスをしてすぐ離す。

 

「目を瞑って顔を近づけただけでキスするって飢えてんの?」

「はいはい。可愛い彼女ですから」

「ちょっ、急にそう言うこと言わないでよね」

 

鞠奈は恥ずかしくなったのかそそくさと奥の方に行き、士道はそれを追いかける。鞠奈はさっきまでいた場所とは逆側が見える位置で止まるとそこからの景色を見る。士道は鞠奈の隣で止まると、鞠奈は士道の身体に身を寄せる。

 

「どうしたんだ?急に」

「士道に寄り添いたくなったの。いいでしょ?」

「もちろん」

 

二人はそれだけ言葉を交わすと夜景を眺める。しばらくすると鞠奈は士道の身体から離れ、

 

「さて、帰ろっか」

「だな」

 

二人はそう言って手を繋ぐと出口の方に出て行くのだった。




さて、次はどうしようかな?
万由里アフター?凜緒アフター?千花アフター?アフターIF?他の何かしら?それともなにもしない?
まぁ、とりあえず、ラブライブの方を書き終えてから考えよっと。

では、ノシ

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