ダンジョンに生きる目的を求めるのは間違っているだろうか   作:ユキシア

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リヴィラの街

「―――――――申し訳ありませんでした」

 

『遠征』帰りの【ロキ・ファミリア】から貸し与えられたテント内で【タケミカヅチ・ファミリア】である命がベル達に土下座していた。

18階層まで来るに至った最初の誘因である【タケミカヅチ・ファミリア】と助っ人として同行したリューと【ヘルメス・ファミリア】団長、アスフィ・アル・アンドロメダ。

それと神であるヘスティアとヘルメス達はベル達の捜索という冒険者依頼(クエスト)により、ベル達がいる18階層まで来ていた。

 

「・・・・・・いくら謝られても、簡単には許せません。リリ達は死にかけたのですから」

 

「まぁ、確かにそう割り切るものじゃないな」

 

リリとヴェルフは険のある声音を崩さなかった。

目の前で土下座している命達のせいで死にかけたのだからそれを簡単に許すことはリリとヴェルフには出来なかった。

だけど、それ以上に。

 

「あんたらのせいで桜は・・・俺たちの仲間はまだ目を覚ましてないんだぞ」

 

アイズと一緒にゴライアスを討伐後から桜はまだ目を覚ましていなかった。

 

桜・・・・・・。

 

ベルは桜が心配だった。いや、ベルだけじゃない。

リリもヴェルフも桜が心配でしかたなかった。

たった一人で18階層まで向かった桜はベル達を助ける為にゴライアスと戦った。

三人で何とか18階層まで来れたベル達と違い、桜はたったの一人。

それなのに自分達のせいで桜は死にかけていた。

ベルやアイズから全ての事情を聞いたヴェルフとリリは自分達の不甲斐無さに怒りさえ覚えた。いや、不甲斐無いとは自分も同じだとベルは思った。

自分達が死にかけたことよりもそれがベル達が許せなかった。

 

「あれは俺が出した指示だ。そして俺は、今でもあの指示が間違っていたとは思っていない」

 

【タケミカヅチ・ファミリア】団長である桜花は言い切った。

他人の命より仲間の命を天秤にかけてそう決断した桜花に後悔はなかった。

 

「・・・・それをよく俺達の前で口にできるな、大男?」

 

口を吊り上げたヴェルフが桜花と対峙する。

一触即発状態の雰囲気が流れるなかでベルはどうすればいいのかわからなかった。

困惑するなかでベルはこういう時桜だったらなんて言うのだろうかと。

自分の大切な家族であり、いつもベルを自分を助けてくれる桜にベルは情けなくも縋ってしまう。

 

『自分で考えろ』

 

ベルの心の中で桜は何食わぬ顔でこう答えた。

 

『ベルは【ヘスティア・ファミリア】団長なんだから自分の考えをハッキリ言え。私はそれに文句は言わないさ』

 

『愚痴は言うが』と小さく笑いながら桜ならこう言うだろう。

優しく、時には厳しくベル達のことを考えてくれる桜。

『なら、どうすればいいのかわかるだろう?』と心の中で桜がそう言った気がした。

 

「僕は・・・・・」

 

口を開くベルに視線が向けられる。

 

「僕は・・・ヴェルフやリリ、桜を助ける為に同じことをしていたかもしれません。だから、僕は貴方達を許します」

 

それがベルが考えた答え。

その答えにヴェルフ達はもちろん命達も目を見開く。

唯一、ヘスティアだけが満足そうに頷いていた。

 

「ベル!お前は・・・」

 

「ごめん、ヴェルフ。でも、もう決めたんだ」

 

ヴェルフはベルの言葉に反論しようとしたがベルの眼を見て諦めるように息を吐いた。

 

「今のベルに何を言っても無駄か。割り切ってはやる。だが、納得はしないからな」

 

「ああ・・・・それでいい」

 

ベルの言葉に不安な雲行きは晴れていったことに安堵するベル。

それからヘルメスにより今後の予定について話し合ってその場で解散するようになった。

それからベルとヘスティアは桜がいるテントへと足を運んだ。

 

「アイズさん。桜の容態はどうですか?」

 

「うん、大丈夫だよ。ぐっすり寝てる」

 

桜を看病しているアイズの言葉通りに桜は小さく寝息を立てながら寝ていた。

その寝顔に若干微笑ましくなるぐらいに。

 

「ヴァレン何某君。話は全部ベル君から聞いたよ。桜君を助けてくれてありがとう」

 

礼を告げるヘスティアにアイズは首を横に振る。

 

「妹を助けるのはお姉ちゃんの役目だから」

 

妙に自信満々に言うアイズにベルは苦笑するがヘスティアだけは神妙な顔をしていた。

 

「・・・ん・・・・ここは・・・・?」

 

「桜!?」

 

「桜」

 

「桜君!?」

 

目を覚ました桜にベル達は声を上げる。

 

「大丈夫?」

 

「・・・・・・まだ頭がふらつくけど大丈夫」

 

起き上がろうとする桜にアイズは桜を支える。

 

「桜、ごめん!」

 

起き上がる桜にベルは頭を下げた。

 

「僕が不甲斐無いせいで桜ばかりに負担をかけてばかりで桜を助けることもできなくて本当にごめん!やっぱり・・・僕なんかより桜の方が団長に・・・・」

 

不甲斐無い自分より桜の方が団長に相応しいとそう思ったベル。

 

「ベル・・・それは・・・」

 

違うとアイズは言いたかった。

ベルは桜を、仲間を助ける為にアイズに必死に懇願した。

自分じゃなくて仲間を優先にしたベルの気持ちはアイズは知っている。

頭を下げるベルを見て桜は溜息を出す。

 

「ベル。お前が姉さんを呼んでくれなかったら私は死んでいた。しっかりとお前は私を助けてくれた。そんなお前が不甲斐無い?冗談でも怒るぞ、私は」

 

「じょ、冗談なんかじゃないよ!?僕は、僕は・・・・ッ!」

 

ゴライアスとの時、桜を見捨てた自分がベルは許せなかった。

ヴェルフとリリを助ける為とはいえ、たった一人で階層主であるゴライアスと戦わせたことにベルは許せなかった。

 

「前にも言ったけどベルは私以上に団長に向いている。それに足りない所は私が何とかするって私は言ったはずだ。だから頭を上げろ、ベル。私は感謝こそして恨んではいない」

 

ゆっくりと頭を上げるベルに桜は微笑む。

 

「ありがとう、ベル。お前のおかげで助かった」

 

その微笑みにベルは耳まで顔が真っ赤になった。

 

「ヴェ、ヴェルフ達を呼んでくるッ!!」

 

ベルは脱兎の如くテントから出て行った。

それを見た桜は目を見開きながら怪訝した。

 

何で姉さんと会ったような反応するんだ?ベルは。

 

久々に見たベルの初々しい逃走に軽く困惑する桜にアイズは小さく笑みを浮かばせる。

 

「桜・・・変わったね」

 

「え?どこが?」

 

変わったと言われても心当たりがない桜はアイズに尋ねる。

 

「・・・・落ち着いたような気がする?」

 

「いや、私に聞かれても」

 

首を傾げて天然ぶりを発動させるアイズに桜は可笑しそうに笑みを浮かべる。

 

「・・・・・・すまない、ヴァレン何某君。少し間、桜君と二人きりにしてくれないか?」

 

神妙な顔で言うヘスティアにアイズは何も言わずテントを出る。桜は突然のヘスティアの変化に怪訝するもヘスティアは何も言わず桜の隣へと座る。

 

「いったいどうしたんですか?神ヘスティア。そんならしくない顔をして」

 

「・・・・・桜君。大事な話があるんだ」

 

いつもと変わらず話す桜にヘスティアは真剣な顔で桜に言う。

 

「君はボクとロキ。どっちが頼りになる?」

 

「神ロキですね」

 

一秒もかからずに即答する桜にヘスティアは俯く。

 

「ですけど、私は神ロキより、貴女の方を信用しています」

 

え?と驚き顔を上げるヘスティア。

 

「そりゃ、神ヘスティアは基本怠け者だし散財癖はあるし」

 

「うぐ」

 

「いつもいつも仕事の愚痴を聞かされるし、嫉妬深いし」

 

「ぬぅぅ」

 

「勝手に多額の借金を作るし」

 

「うぃ」

 

「ハッキリ言ってこいつ本当に女神なのかと疑ったこともあるし」

 

「がはっ」

 

「もう神というよりそこらの子供の相手をしている気分」

 

「もう・・・・許しておくれ」

 

今までに溜まった鬱憤を晴らすかのように言いまくる桜にヘスティアはダウンした。

自覚あるなら直せよ。と心で思った桜は言いたいこと言ってスッキリした顔でヘスティアに言った。

 

「それでも貴女は私の主神だ。どこにも行ったりはしませんよ」

 

嘘じゃないその言葉にヘスティアは心の底から嬉しかった。

だけど、ロキの言葉を思い出した。

何もできない自分にいったい何ができるのかと。

桜に何かあったとき助けてあげることができるのかと。

桜の為にヘスティアは桜をロキのところに改宗(コンバージョン)した方がいいのではないかと。

 

「神ロキに何を言われたかはわかりませんけど、だいたいは察しはつきます」

 

桜はヘスティアの手を握る。

 

「私が危なくなったその時は私の手を握って助けてください。無茶をしようとした時もこうやって私の手を握って無理矢理でも私の動きを止めてください」

 

続けて桜は言った。

 

「私は貴女とベルのことを誰よりも信用し、信頼しています。困ったとき、助けてほしいときは必ず助けてくれると信じてもいいですか?」

 

ぐすりとすすりながら涙を浮かばせるヘスティアは両手で桜の手を握る。

 

「もちろんさ。君はこれからもボクの家族だ!」

 

嬉しそうに手を握りしめるヘスティアに桜も微笑む。

 

「桜!?」

 

「桜様!?」

 

そんな時、勢いよくヴェルフとリリがテントの中へと入って来た。

 

「無事でなりよりだ。ヴェルフ、リリ」

 

「「それはこっちのセリフだ(です)!?」」

 

仲が悪い二人が初めて息があった瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水晶と岩に囲まれた宿場町・・・・『リヴィラの街』

目を覚ました桜達とアイズ達は18階層にある街へと来ていた。

この街で経営しているのは他ならない冒険者。

街に来た他の冒険者から地上の通常価格より何倍もの値段で販売している。

『安く仕入れて高く売る』

それがリヴィラの街の買い取り所を営む、彼等の合言葉(モットー)

 

「それだとしても高すぎるだろう」

 

「それがリヴィラの街の特徴だからね」

 

品物を見ながら言う桜にアイズが答える。

 

「信じられません!バックパックが二万だなんて・・・・法外もいいところです!」

 

「砥石がこの値段はありえねえ・・・・」

 

桜の近くで嘆き声をあげるリリとヴェルフに桜はあることを思い出した。

 

「ティオナさん。一ついいですか?」

 

「なーにー?桜」

 

桜は同行しているティオナにあることを耳打ちするとティオナは笑顔で親指を立てた。

 

「うん!OKだよ!私から言っておくからじゃんじゃん使って!」

 

「ありがとうございます。おーい、ヴェルフ、リリ。金は【ロキ・ファミリア】が出してくれるから遠慮くなく買い物していいぞ」

 

その言葉にティオナ以外驚き、ティオネが何か桜に言おうとしたがティオナの言葉により納得したように頷いた。

 

「いいわよ。でも、少しは遠慮しなさいよ。こっちも今回の遠征でお金がないんだから」

 

まさかのティオネまでも了承して驚く一方でアイズが桜に尋ねる。

 

「こういう時こそ使わないとね」

 

黒い笑みを浮かばせる桜に少し引くアイズとベル。

 

「お金持ちのワンちゃんを」

 

悪代官顔負けの黒い笑みにアイズを含めて多くがベート(奴隷)に同情した。

しかし、状況が状況の為、最低限の備えだけを購入した。

一人の小人族(パルゥム)は容赦なく買い物しようとしたがベルに止められた。

その時、ヴェルフは思った。

リリと桜がここで店を開いたらとんでもないことになると。

そして、数日後に多額な請求書が送られてくることをベートはまだ知らなかった。

 

「あぁん?」

 

「あ・・・・す、すみません!?」

 

擦れ違おうとした他の冒険者とベルは肩をぶつけるとその冒険者に見覚えがあった。

 

「てめぇ、まさか・・・・・!」

 

「間違いねえ!モルド、こいつ、あの酒場の時のガキだ!?・・・・ということは」

 

『豊穣の女主人』で桜にボロボロに叩きのめされたモルドと他仲間二人は周りを見ると桜と目が合った。

大量の汗が流れるモルド達に桜は優しく笑みを浮かばせる。

 

「「「ご、ごめんなさいぃぃぃいいいいいいいいいいいいいっ!!」」」

 

全速力で桜達から離れて行った。

 

「うわぁ、桜君、君はあの子たちに何をしたんだい?」

 

「冒険者の矜持を教えてもらっただけですよ」

 

先程のモルド達の反応に引くヘスティアに桜は嘘偽りなく答える。

 

「アハハハハ!なんか桜って私達みたいな反応されるね!」

 

「そうね。ねぇ、やっぱりうちにこない?そしたら私は団長に褒めてもらえるから」

 

勧誘される桜にベルは慌てふためくが桜は首を横に振る。

 

「遠慮しますよ。私は【ヘスティア・ファミリア】の一員ですから」

 

きっぱりと断る桜にベルは安堵する。

 

「え~~どうして?うちは楽しいよ?」

 

「そうでしょうけど。私にも【ファミリア】としての誇りがありますから」

 

そう言う桜にティオナはう~と唸るだけでそれ以上は言ってこなかった。

それからも皆で楽しく18階層を探索する。

 

「ねぇねぇ、みんなで水浴びしに行こう!」

 

明るくそう呼びかけたのはティオナだ。

 

「またぁ?あんた何回行けば気が済むのよ?」

 

「いいじゃ~ん、暇なんだしさ~。ここの清水すごい気持ちいいし~」

 

「そもそも、神ヘスティアの胸なんか見たら、あんた発狂するんじゃないの?」

 

「し、しないしっ!?す、するわけないじゃん!?」

 

アマゾネス姉妹の漫才を見ながら桜も行きたいと思った。

中層ではずっと動きぱなっしで18階層に来てからもまともに体を洗っていなかった。

結局のところ、ここにいる女性陣全員で水浴びをすることになった。

森の奥へと進むと滝の下にある大きな泉があった。

さっそく水浴びをしようと服に手をかける桜の背後でアイズがずっと凝視していた。

 

「・・・・・・・」

 

凝視すれている桜は試しにアイズと向かい合うが桜が動くにつれてアイズも動く。

 

「・・・・・何?姉さん」

 

「・・・・私に気にしないで」

 

そんなに凝視されながら脱げれるかと言いたかったがアイズの企みがわかった桜は溜息が出た。

 

「【ステイタス】を覗き見するのと姉さんの妹を止めるの。どっちがいい?」

 

【ステイタス】を見たら桜はアイズの妹を止める。

逆に【ステイタス】を見なかったら妹は継続。

二者択一を選択させる桜にアイズは落ち込みながらも後者を選んだ。

諦めたアイズに桜はようやく服を脱いで泉で体を洗う。

 

「ふんっ!ボクの圧勝だな!」

 

「何と張り合っているんですか、ヘスティア様・・・・」

 

「みっともないですよ、神ヘスティア」

 

アイズの胸と自分の胸と比べていたヘスティアは誇らしげに胸を張っていたことに呆れていた。

 

「そういう桜君も立派なものを持っているじゃないか!?」

 

桜の胸に視線を向けるヘスティアに桜は再び呆れる。

 

「まぁ、それでもボクの勝ちだけどね!」

 

はぁとげんなりした視線を送る桜とリリ。

 

「ちなみにこの髪飾りはベル君にもらったものなんだぜ!あの子の真心こもった贈物(プレゼント)さ!」

 

「ちょ、ヘスティア様その話を詳しく・・・・!」

 

二つに結わえられていた髪を解き、小鐘の髪飾りを見せつけるヘスティアに桜は肩を震わせた。

桜がつけているカチューシャはベルから【ランクアップ】の祝いで貰ったもの。

それがバレたら嫉妬深い女神と小人族(パルゥム)に何を言われるかわからなかった。

 

まぁ、心配はないか・・・・。

 

基本的子供のヘスティアとヘスティアの髪飾りに夢中になっているリリがそのことに気付くわけがないと思っていた。

 

「そういえば桜もカチューシャをつけていたよね」

 

杞憂に終わると思っていた矢先に突然アイズがそんなことを口走った。

 

「前に会った時、つけてなかったよね?」

 

意外に抜け目がないアイズに桜は思わず目線を明後日の方向へと向けると苛烈なまでに反応する二人がいた。

 

「どういうことだい!?桜君、ま、まさか君までもベル君から・・・・!?」

 

「説明してください!桜様!どうなのですか!?」

 

切羽詰まったかのような気迫を纏いながら詰め寄ってくるヘスティアとリリに桜は溜息を吐きながら答えた。

 

「・・・・・ベルから【ランクアップ】のプレゼントで貰った。私もベルにブレスレットを送ったし」

 

「な、何だと!?まさか桜君までもがベル君を!?いや、ベル君が桜君を!?」

 

「ベル様がつけていらしたブレスレットは桜様が送ったものだったのですか!?道理でベル様にしてはセンスがあると思いました!ベル様!どうしてリリには何も下さらないのですか!?」

 

深読みするヘスティアと嘆くリリに桜の口からまた息が出た。

少し離れたところでティオナが笑い、面白そうに桜達を眺めているティオネや命達。

首を傾げるアイズに同情するような目線を桜に向けるアスフィ。

助けてくれよと思っていると。

 

「―――――――――いいいいいいいいいいいいいいいっ!?」

 

空から、正確には木の枝の上からベルが落ちてきた。

 

「げほっ、ごほっ、ごふっ!?」

 

肺に水が入ったのかせき込むベル。

 

「・・・・・アルゴノゥト君?」

 

体を震わせながらおそるおそる視線を上げるベル。

 

「なになにっ、君も水浴びしに来たの?」

 

「大人しそうな顔をして・・・・やるわねぇ、あんたも」

 

隠すことなく肌を晒すティオネとティオナ。

命と千草は勢いよく水中に浸かって身を隠して、アスフィは木の上を睨みつける。

 

「ベル君、君ってやつは・・・・・・!」

 

「な、何をなさっているんですかベル様ぁ!?」

 

赤く呻くヘスティアと甲高い悲鳴をあげるリリ。

 

「何をやってるんだ、ベル・・・・」

 

呆れるように息を吐きながら肌を隠すことなく近づく桜。

 

「・・・・・・・ぁ」

 

ベルはしっかりと見てしまった。

アイズの裸を。

 

「ご――――――ごめんなさぁああああああああああああああああいっ!?」

 

ベルは最高速度でその場から逃げ出した。

 

「何をやっているのやら・・・・・」

 

呆れながら水浴びを再開する桜はあとで一応説教でもしておこうと考えていた。

 

 


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