桜セイバー in Fate/EXTRA   作:日向辰巳

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もうすぐアストルフォ実装ですね、欲しいんですけど石がなくて回せないのが辛いです...


十五話

俺たちは今、電子手帳に連絡が届いたので三回戦の相手を見に行っていた。

 

「すれ違う魔術師の数もだいぶ減りましたね…仕方のないこととはいえ少し寂しいです」

 

たしかに一、二回戦を終えてからはすれ違う人数は減ってきている。自分もそうならないように気を引き締めてかからないと。

…ふと、今自分の隣を何かが横切ったような感じがした。

 

「あれ?セイバー、今何か横切らなかった?」

 

「本当ですか?私は何も見ませんでしたが…」

 

すると背中を叩く音が聞こえた。

何だろう、と思って後ろを見てみると…

「お兄ちゃん、遊ぼ!」

 

???

初めて見る顔だが…俺はこの子に会ったことがあるだろうか?

 

「あ、ごめんね自己紹介してなかったね。わたし、ありす!ねえ遊ぼうよお兄ちゃん、お姉ちゃん、いいでしょ?」

 

ということはやはり初めましてだったか、それにしても…

 

「なんでこんな所に女の子が…?」

 

そしてその女の子はセイバーが気に入ったらしく、セイバーの背中に張り付いたまま自己紹介をしてくれた。

 

「ご、ごめんねありすちゃん…私達三回戦の相手を見に行かないと…」

 

「えー、そんなのつまんない…えい!こちょこちょ!」

 

「え?あっははははははははは!!や、やめてええええええ!!」

 

あ、セイバーがくすぐられている、というかセイバーんあんなに小さい子にもいじられるなんて…ぷぷぷ

 

「ぎ、ぎぶです!ぎぶあっぷ!遊びますからあ!」

 

「やった!じゃあオニごっこしましょ?最初はお兄ちゃん達が怖ーいオニね?」

 

はあ、仕方がない。三回戦の相手を見るのは後にして今はあの子を捕まえに行くとしよう。

 

「はあ…はあ…ゼェ…ゼェ…この私がこんなにコケにされるとは…もう許しません!絶対捕まえますよ!マスター!」

 

そして自分達はありすが逃げた方向へ追っていく、するといつの間にか辺りの雰囲気が変わっていることに気がついた。

 

「セイバー、これ…」

 

(はい、この辺りの雰囲気が変わっていますね...これは、アリーナのような...)

でもここはアリーナではないはずだ、アリーナならエネミーが徘徊しているはずなのにここには一体もいない。

まあどちらにしてもあの子を捕まえてここから脱出する方が先決か

 

「あはは!お兄ちゃん、こっちだよー!」

 

「隙を見せましたね!」

 

セイバーがありすの前に回りこみ、挟み撃ちの形になる、というかセイバー、鬼ごっこに本気になるってどうなの?

 

「よーし、捕まえた!ほら、一緒に学園へ帰ろう?」

 

「あーあ、捕まっちゃった」

「捕まっちゃったねー」

 

……え?

ありすが…二人?

 

「ねえねえ今度はありすのお話聞いてくれる?あたらしい遊び場に招待するね」

 

「「ようこそありすのお茶会へ!」」

 

な、なんだ?さっきまで自分はアリーナへいたはずなのに...ここは...どこかの庭園だろうか?

 

「わたしはありす」

 

「あたしもアリス」

 

「「ありすたちずっとお兄ちゃんたちをみていたの」」

 

「だってお兄ちゃんありすたちといっしょ」

 

「きっと遊んでくれると思ったの」

 

もう何が何やらわからない、いきなりアリーナのような所を抜け出して…わからない…?ワカラナイ…ワカラナイ…?

 

「ねえ アリス?お兄ちゃんはちゃんと覚えているかしら?」

 

「お兄ちゃんに聞いてみましょう?ありす」

 

「マスター!体が…透けて…」

 

「「お兄ちゃんあなたのお名前なあに?」」

 

…………………アレ? えっと…なんだっけ?

おかしいな…思い出せない。

……いや、そもそも初めから自分に名前なんてなかったんじゃないか?

 

「マスター!これは固有結界です!敵の攻撃を受けています!」

 

「ふふ、おもしろいでしょ?わたしが考えた遊び、最後にはお兄ちゃんもサーヴァントも無くなっちゃうんだから」

 

「ここはみんな平等なの、いちいち名前なんてみーんなすぐに思い出せなくなっちゃうの。 お兄ちゃんもすぐにそうなるわ」

 

「マスター!お気を確かに!ここは一時撤退しましょう」

 

オレを担いでいるコイツは…誰?

 

「キミハ...ダレ?」

 

「………ッ!」

 

そしてなんとかあの空間から脱出する

 

「マスター!無事ですか!名前を思い出せますか!?」

 

「…………………。」

 

「…あなたの剣を覚えてますか?」

 

「…ああ、ちゃんと覚えてるよ、セイバー」

 

「よかった…本当によかった…です」

 

そして三回戦の掲示板を確認する。次の対戦相手は…

 

岸波白野vsありす

 

〜〜〜〜

 

今回の相手はありす…まさかあんな子が聖杯戦争に参加しているなんて…

 

「あの攻撃… 固有結界ですね。 固有結界は魔術の最高奥義、それを使えるのはある領域に到達した魔術師だけ。 しかもあの子達が使ったのは自我を薄めて存在を消そうとする凶悪なもののようですね」

 

その通りだ、自分は一時はセイバーの事さえ忘れてしまっていた…決戦場であれを使われたら厄介だ、なんとか打開策を見つけないと…

 

「うん?ポケットに何か…」

 

What is your name?

(あなたの名前はなに?)

 

「セイバー、ちょっとこれを見てくれ」

 

「いつの間にかポケットに入ってたんだ。ありすの固有結界の中で最後に問いかけられた言葉だ…これってありすからの伝言かな?」

 

「伝言ですか、私にはよく分かりませんがあの結界の中以外で名前を聞く理由も分かりませんしそんな必要あるんでしょうか?」

 

仮にこれがヒントになるとしてもあの結界に入った途端名前をかき消されてしまう、自分の名前を忘れない方法…

 

「リンさんに聞いてはどうでしょう、あの人はこういう魔術に詳しそうですよ?」

 

たしかに遠坂なら分かるかもしれない、分からなかったとしても何らかのヒントを掴めるかもしれない。

 

〜〜〜〜

 

「自分の名前を忘れない方法をはないかって?岸波くん、そこまで記憶喪失が進行してるの?」

 

「そ、それとこれとは話が別なんだ話を聞いてくれないか?奢るよ…焼きそばパン」

 

「し、仕方ないわね…少しだけよ」

 

(ふっ、相変わらずのチョロインぶりですね、リンさんは)

 

(しっ、セイバー、静かに)

 

「聞こえたわよ!アンタいつも失礼ね!このアホ毛抜いてあげましょうか!」

 

「や、やめてください!痛いです!謝ります!謝りますからぁ!」

 

はっはっは、相変わらず二人は仲がいいなあ

 

〜〜〜〜

 

「はあ!?記憶を消される固有結界ですって…しかもアリーナ全体をそんな長い時間書き換えるなんて…何か反則じみた特例とみたわ」

 

「そんな得体のしれないマスターなんて私も相手したくないわ、マスターが二人いることもありえない話よ…三回戦でつぶれてくれないかしら」

 

「そんなわけで結界の中で名前を思い出す方法を探してるんだけど…遠坂、何か思いつかない?」

 

「へ、そっちの方の悩み?そんなの簡単じゃない、そんなの手にでも書いとけばいいのよ」

 

……あ。そうか、そんな簡単なことに気づかなかったなんて…

 

「そういうこと、子供騙しには子供騙しよ。 メモを残すのも結界を作るのに必要な条件なんでしょ、 遊びには遊びのルールが必要ってことね。 ま、健闘を祈るわ。焼きそばパンありがとね」

 

遠坂に礼をいって別れようとする、その時背中を叩く音がした

 

「「お兄ちゃん見つけたー!」」

 

「岸波くん、この子たちが?」

 

「ああ、この子たちが…」

 

「ねっお兄ちゃん、秘密の抜け穴みつけたの」

 

「ここから遊び場に出入りできるの」

 

そこはユリウスがハッキングしてた場所じゃないか、まさか…

 

「まずいわ白野くん!逃げ…」

 

そして俺たちはアリーナに引き込まれた、自分でやったことではないとはいえ、遠坂を巻き込んでしまったことには罪悪感がある。

 

「遠坂…無事か?すまない、巻き込んでしまって…」

 

「本当よ、焼きそばパンじゃ割に合わなかったわね」

 

「ねっねっ、アリス!あの子も呼ばない?」

 

「そうねありす、いい考えだわ」

 

「「一緒に遊びましょう!ジャバウォック!」」

 

「…サーヴァント!?」

 

その二人が呼び出したのは身の丈数メートルはあるバーサーカーの様な巨人だった。

 

「お兄ちゃんとは遊びたいけどそっちの赤い人はいらなーい、潰しちゃえ!ジャバウォック!」

 

「遠坂を守るんだ!セイバー!」

 

「ふん、じゃあこっちも容赦しないわよ!アーチャー!」

 

「共闘することになるとはな…ふっ、焼きそばパンは美味かったか?リン」

 

巻き込んだのは俺の責任だ、何が何でも遠坂は守らないと!

 

 

 

 

 


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