サイカイのやりかた【38話完結】   作:あまやけ

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1.『あのがすす』のあらすじ
突然修一の前に現れたリサ・アヴェ・デュ・アンク。長馴染みという彼女に理子は慌てて対抗しようとする。

…天然な人は一人じゃなかった。


2.『なこだき。』

「リサ、実はお前に隠していることがあるんだ」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「実は俺()() なんだ」

 

「…へ?」

 

「だからホモだよホ、モ!!俺の好みは胸でも顔でもない…

 

男なんだ!筋肉質が大好きなんだっ!ムキムキな肉体を力を入れれば盛り上がるその上腕二頭筋を愛していると言ってもいいね!その男性ホルモン満載の体に、俺もなりたい!!」

 

「……………………………………………。」

 

 

 

無い筋肉を無理やり張ってアピールする俺とそれを見て黙り込むリサ。

 

 

…うん、意味がわからない人多数ですよね。

 

時間を前話の最後に戻すことにしよう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

「…はぁ?リサに嫌われたい?」

 

「おう。出来れば俺からじゃなくリサ自身から俺のことが嫌いになってくれると助かる」

 

リサとアホ三人娘(人の予定も聞かず勝手に集まってくるので命名)が初対面した後、俺はリサに飲み物を買いに行かせ、その間に3人に本音を打ち明けた。

 

「わざと私たちだけを残したと思えば…突然どうしたのよ?」

 

原稿を書きながらそう聞いてくる夾竹桃。…まあ、そうだよな。

 

「いやまあ…これには深いわけがありまして…ただこれはリサの家系の話になるからあまり他言するようなことじゃなくてだな…えっと、つまり…」

 

「つまり、手伝って欲しいけど理由は聞くなってこと?」

 

「おう」

 

理子の返しに俺は頷く。そう、今回俺がこうやって頼んでいるのはリサの家系に関する事柄の性だ。そんなことを俺がベラベラと話して良いわけがない。

 

…が、俺は信じてる。

こいつらはそんなこといちいち説明しなくても俺に協力してくれる優しいやつらだって。自分で言うのもなんだが、俺がお前らにどれほど体張ってやったと思ってる。快く首を縦に振るのが普通ーー

 

「…修兄、私『高級ブロッコリー』二つ」

 

「この前貴方が選んだ筆、壊れたからまた買ってきなさい」

 

「理子はこの前新メニューが出たカフェに行きたい!新商品のケーキが美味しそうだったんだよね」

 

「………おい、お前ら…?」

 

そう、思っていたのだが…アホ三人娘はそれぞれで…俺の金銭状況を知っていないはずがないのによくもまあそんなことを言えるもんだというかまさかそれ買ってやらないと俺の頼み聞いてくれないのかとか色々考えつつ3人の合計金額を瞬時に割り出す。

 

 

(……俺の、食費の、一ヶ月分の、二分の一ぃ…!?こ、こいつら…俺を殺す気か…!?)

 

驚愕のあまり、思わず断ってしまおうという考えが脳内を走った。…がしかし俺一人でいい案が出るとは思えない。それが出来れば高校生の今までリサを側に置いてなんていないはずだ。

 

「………わ、かっ、た。……要件を、飲もう……!」

 

「いよっし決定!理子いい案が一杯あるんだよね〜!紙に書いたげる〜♬」

 

言葉一つ一つを噛み締めながら頷く俺に満足した理子が紙とペンを持ち出して『リサちゃん嫌い嫌い作戦!』などと書き始める。セーラと夾竹桃もそれぞれ紙を取り出して案を書き始める。

 

「…くそぅ、もうヤケクソだっ!おいお前ら、俺が金を払う以上ちゃんと依頼こなしやがれよ!!」

 

俺はこの世で最も愛する福沢さんを投げ捨てながら、作戦を実行するために準備するのだった。

 

 

ーーーーー

 

作戦その1

 

「ーーはい、修くん。コーラ買ってきました、あとおやつも必要だと思ったので数点買ってきまし…」

 

「おっせーんだよ!何分かかってやがる!!」

 

「…!!も、申し訳ありません!」

 

買い出しに行かせたリサが戻って来た。コーラだけを頼んだだけなのだが、おやつまで買って来てくるこの親切メイド。袋を見るに近くのスーパーまで行って来たようだ。その間約40分。スーパーとの距離も考えるにむしろ早いくらいだ。

 

…が、今はキレる。こいつに理不尽なことでキレまくってやる。

 

「しかもこれ、2lじゃねーか!俺が飲みたかったのは150mの方なんですけどぉ?何でこんなの買って来たわけ!?」

 

「申し訳ありません…皆様で飲まれるものだと…!今から買い直しに行ってーー」

 

「あぁ!?まだ俺を待たせるのか!?」

 

「す、すみません…!!」

 

ドンッ!と机を叩く俺にリサはただただ頭を下げる。その様子はさながら悪役とヒロイン。物語であればこの後ヒーローが登場してリサを救出、恋愛に発展していくだろう。

 

『…人間のクズね』

 

『あれ、演技だよね?なんか本気に見えるんですけど、りこりんも、流石に引くんですけど』

 

『……馬鹿馬鹿しい』

 

目の前のソファに並んで座る観覧者三名がコソコソと俺を罵ってくれている…お前らが考えた案だろうがこれ…!!

 

しかし今はいい!罪悪感を殺して、ただひたすらにリサを理不尽にキレることに集中するんだ!

 

「…修くん」

 

「あ?なんだ、文句あんのか?」

 

嫌な雰囲気になる俺の部屋。しかしいい感じに進んでいるな。もしかしたらこれでもう終わるんじゃないか?これで泣いて出て行くもよしだし、怒ってくるのもよしだ。

 

とにかく俺に対して嫌な気持ちになってくれるなら…。

 

 

そう思う俺の前で顔を上げたリサは俺に対して「嫌い!」と一言…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「修くん、超素敵(ヘルモーイ)です!!」

 

 

 

 

 

 

 

「……へ?」

 

 

言うと、思っていた。

 

 

キラキラキラキラッッッ!!

 

顔を上げたリサは目を輝かせて俺を見ている。その顔には涙もなく、それとは真逆の嬉しそうな笑顔だった。

 

…え、なに…え??

 

「修くんがリサにワガママを言ってくれるなんて…!今まで何をしてもありがとうや嬉しいとしか言われず本当にそう思っていただけているのか心配してました…!!それがついにリサにご命令とご指摘を…!!ありがとうございます修くん!どうぞこれからも遠慮なくリサにご命令を!!」

 

「………あ、あれ?い、いや…ちがくて…」

 

どうやら、俺がちゃんとリサに命令したことがかなり嬉しかったらしい。俺に顔をぐいっと近づけ早口で話し始める。ぴょこぴょこ跳ねながら話すリサは大変可愛らしかったが…

 

こ、こいつ…俺への好感度全く落ちてねぇ…!?

 

「ではご主人様!コーラ150mlを買ってまいります!申し訳ありませんがもうしばらくお待ちください!!」

 

「え、あ、おい…!」

 

リサは俺の返事も聞かず、颯爽と外へ飛び出して行ってしまった。

 

あまりの速さに俺も他3人もぽかんとしてしまっている。

 

 

「…さ、さっすがだね〜!あのしゅーちゃんに引くどころか喜んでたよ!…ちっ」

 

「あの子、多分好きになった相手を心の底から愛するタイプよ。それが例え他人から見たらひどい性格でもね。…普通にいい子じゃない」

 

「…あれくらいなら私も大丈夫。修兄、怒り方下手くそ」

 

「くそっ、次だ次!!」

 

「うっう〜!次は理子の案だよ!…しゅーちゃんを超嫌な奴にして、リサから絶対に取り返すから!!」

 

「…は?なにを??」

 

作戦その1『理不尽にキレる男なんて嫌い!』作戦…失敗。

 

ーーーーー

 

 

 

作戦その2

 

 

 

「ぬふん、ちょ〜かっこいいじゃないか俺よ…!!」

 

鏡に映る自分にうっとりする俺。あはん…なんて言いながらあまりついてもいない筋肉をグイッと持ち上げ前髪を上げながら息をはく俺。

 

…むしろ吐きそうなのをなんとか堪えつつ、律儀にもコーラを人数分買って戻って来たリサの前でカッコつけている俺を見せる。

 

それだけでもキツイのにさらにその服装はチェックのシャツをジーパンの中に入れ、赤いバンダナを巻いているという…その姿はまさしくオタク。

 

そんなオタクな俺が自分大好き…気持ち悪すぎる。

 

そう思っているのは俺だけじゃないようで…

 

 

「あはははは!!しゅーちゃんやっば、似合わなっあはははは!お、お腹痛いぃぃ!!」

 

「似合ってるわよ…くす、あなたいつもそうしてたらいいじゃない…!」

 

「…気持ち悪い」

 

リサの後ろから写メを撮りまくりの理子さんは大爆笑しながら転げ回っている。その後ろで黒白コンビが笑いを必死にこらえようとしているのを見つつ、俺は涙をグッと堪える。

 

 

これも、これもリサから嫌われるためなんや…!!

 

 

 

「修くん、どこかに行くんですか?」

 

 

「………お、おう。この服でな!お前も横で歩けよ?」

 

「はい、もちろん。修くんがいる場所ならリサがどこまでもお付き合いします!」

 

「……。」

 

満面の笑みで俺を見るリサさん。…普通に近づいて来たリサさんは首を傾げながらそんなことを言った。

 

…どうやら、この姿を見てもなんの躊躇も疑問もないらしい…。これだけ可笑しな格好をしていても俺の顔しか見ていない。

 

「…峰理子、リサ全然引いてない」

 

「ちっ。本当、邪魔だな…。あれで引かないとかマジかよ…」

 

「これぐらいで引くのなら先輩と幼馴染なんてやってないわよね。…思ってたより難しそうねこの依頼」

 

後ろで3人がそれぞれの感想を述べる中、俺はただただ落胆することしかできなかった。

 

 

こいつ、ちょっと頭変なんじゃないのか?

 

 

作戦その2『オタク服着てナルシストな男なんて嫌い!』作戦…失敗。

 

 

「よし、ちょっと外に行くぞリサ。付き合え」

 

「はい、かしこまりました、修くん」

 

「…の前に服着替えるわ」

 

「え?着替えたのにまた着替えるのですか??」

 

「………。」

 

 

 

ーーーーー

 

 

作戦その3

 

「リサ!無駄遣いは嫌いだな!?」

 

「へ?…あ、はい。無駄遣いだと本人が思うようなものを買うのは勿体無いとは思いますけど…?」

 

場所はアメ横。

この辺りは沢山の商品が大安売りで売られている。

もちろんちゃんとした商品を安く販売している店が多いのだが、その中の店には安売りと言って高値で販売しているお店も数点存在する。

 

もちろんセコさで有名な俺はその定価より高い店を知っているのだが。

 

…今回はその店でバカ買いするという作戦だ。

 

俺は勝てると確信し、その店で飾られている最もニセモノ臭のする財布を取り出した。

 

「ふむん…いい素材だ。買おう」

 

「修くん、これニセモノですよ?」

 

「うっせーな。ニセモノでも俺はこれが欲しいんだよ!文句あっか!?」

 

「いえ、ありません。では修くん、そちらをリサに貸してはいただけませんか?」

 

「…え、いいけど…?」

 

…買ってはいいらしい…?ニセモノを高価で買っていいの?

 

リサのOKの意味がわからなかったのだがとりあえず手に持った財布を渡すと、リサは俺に感謝しながら店の奥へと入っていく。

 

…??

 

『…どう、修兄?』

 

「俺の言葉にリサ困った顔してたから効果はあったと思うけど…ちょっとわからんな」

 

『…話変わるけど、理子がすごい勢いで案を増やしてる。…ちょっと怖いんだけど、修兄何かしたの?』

 

「いや、なにもしてないんだけど…俺にもよくわからん。とりあえず案を出してくれるんならそれでいいからほっとけ」

 

『…わかった。一つ案書く度にケーキ頼んでるけどそっとしとく』

 

「それは全力で止めろ!多分領収書が飛んでくるから!!」

 

右耳につけたインカム越しにセーラと適当に暇をつぶす。あの3人は一緒に行くより離れていた方が作戦を考えやすいと判断し別行動をとっているのだが…理子が心配すぎる…後でどんな請求が来るのか怖すぎるな…。

 

「お待たせしました修くん」

 

後々さらに吹き飛ぶかもしれない諭吉さんを惜しんでいると、リサが戻ってきた。手にはおそらく財布の入っているであろう袋を持っている。

 

「買ってきてくれたのか?別に俺が払うからいいよ。3000円だろ?いいか、俺はニセモノでもこんな代金を払うような…」

 

「いえ、100円です」

 

「クソな男…って、は?ひゃ、100円?」

 

目が…点になった。

 

「はい。こちらのお店で扱われてる財布の材質などから定価を割り出しました。それをお伝えし、()()()()の結果こちらの金額で購入出来ました」

 

………しまったぁぁあああ忘れていたぁぁああ!!

 

こいつ、こういう仕事が超得意なのすっかり忘れてた!!こいつに頼んだ物ってなぜか半額近くまで落ちた金額で買って来るんだよ!昔それでだいぶ金を浮かせてたのすっかり忘れてたっ!!

 

「なのでお金は大丈夫です」

 

「お、おう、そうか…サンキュな…」

 

俺はその使いもしない財布を受け取った。

 

「修くん、昔の様に買うときはリサにご相談ください。修くんの欲しいものに何か言うつもりは微塵もありません。しかし、その購入金額に関しては安く仕入れて見せましょう。修くんのお金を少しでも無駄にしないよう、リサが全力でお手伝いします!」

 

「あ、ありがとうございま〜す…」

 

ニコニコと微笑むリサ。ニセモノとかは関係ないのねこの子。俺が欲しいって言えばやってくれるのか…。前提が間違ってた…のか。

 

作戦その3『多額のお金を無駄に使う男なんて嫌い!』作戦…失敗。

 

だが、まだまだだ!

 

俺はここから弾打ちゃ当たる作戦に変更し、数で勝負することにした!

 

ーーーーー

作戦その4

ズルルルルルルルル…!!

 

「修くん、音を立てて食べるとお行儀が悪いですよ?」

 

「いいんだよ。この食べ方が一番旨いんだ」

 

昼飯時。訪れたのはうどん屋。

 

普段より二倍の音を立てすする。これはウザいはず…!

 

『『ズ、ズルルルルルルルル…!!』』

 

「え、お、おいリサ、なんでお前まで音立てたんだよ?」

 

「修くんだけだとみなさんの目線が修くんだけに向いちゃいますし。どうせ見られるのでしたらお互いに変に見られる方がリサはいいです。…でも、この食べ方疲れますね」

 

うん、ダメだこれ。こいついい奴すぎ。

 

「…。普通に食べる。お前も俺のこと気にせずに食え」

 

「え?あ、はい」

 

作戦その4『食べ方が汚い人なんて嫌い!』作戦…失敗。

 

『…リサ、いい子ね』

 

「良い子だけどそれじゃダメなんだよ…!桃、次!」

 

『はいはい』

 

――――――

作戦その5

「おぉ!?こ、これは俺の見ている『魔法少女 幕末志士!』のヒロイン『西郷』フィギア!!完成度高っけぇなオイ!?」

 

まずやって来たのは秋葉原。

俺は着いてすぐ目についたフィギア店に入り知っているキャラを見つけるとすぐさまウィンドウに頬をくっつけるほどに近づいてガン見する。

 

「このフィギア…素晴らしい!!色ぬり…?もなんか凄いし、なんか、こう、凄い!形も顔もアニメ通りだし最高だこれ!!うん、最高だ!!…えっと…ペロペロしたい!そう、ペロペロしたいんだ!!」

 

周りからの目線も気にせずフィギアに食い入る俺その姿はまさしくオタク。気持ち悪い。

 

「可愛らしいお人形ですね。修くんが好みならリサの髪色も青にしましょうか?」

 

「……。だ、大丈夫です」

 

…ダメでした。

 

作戦その5『フィギアを愛する男なんて嫌い!』作戦…失敗。

 

「おい理子、ダメじゃねーかよ」

 

『…ちっ。オタク耐性持ちかよ…』

 

「お、おい理子さん?なんかキレてる?」

 

『うっさい。今次の案考えてるから黙ってて』

 

「…意味がわからん…」

 

―――ーーー

作戦その6

 

「う~ん、やっぱうんまいなぁブロッコリー!あ、お前にやる分はないからねぇ!ああこんな酷い男ほかにはいな――」

 

「え?修くんブロッコリーが好きになったんですか?じゃあ今日のご飯はリサの研究したブロッコリー料理を沢山作りますよ!」

 

「…うん、これは嫌われないよねやっぱ…」

 

作戦その6『ブロッコリーを1人だけ食べるなんて嫌い!』作戦…失敗。

 

『…リサ、いい子。修兄メイドに雇おう』

 

「お前が買収されてんじゃねぇ」

 

―――――

作戦その7

 

「ああもうリサ!!」

 

「はい、修くん」

 

「服を脱げ!ここで全部!!」

 

「…え?でもここ、街中…」

 

「ああここで脱げ!全部脱げ!!なんだ?ご主人様の命令が聞けねぇのか!?ははっ!俺がご主人様になったらお前は一日中下着生活なんだぜ!?こんなことで恥ずかしがってるんじゃ俺のメイドは務まらん!出来ないなら諦めて普通にーー」

 

「……っ!はい、わかりました。修くんがそれを望むのなら…ッ!!」

 

「ごめんなさい!脱がなくていいから本気でボタンを外し始めないでっ!!」

 

作戦その7『本気で嫌な男なんて嫌い!』作戦…失敗。

 

ーーーーー

8.9.10.11.12...

 

それからも数々の作戦を考え、実行したがどんな作戦を立てようが、失敗がどんどん積み重なるのみだった。

 

そして冒頭の作戦、実はホモでした宣言も…

 

「ーーだから、俺はホモなんだよ!だいっすきなんだ!!」

 

その言葉にポカンとするまではよかったが…

 

「ごめんなさい修くん。リサは頭が悪くて『ホモ』と言う言葉を知りません。えっと…『男性の方が好き』という人のことを指すのでしょうか?」

 

「え、あ、うん…だから俺はお前をーー」

 

「リサも男子になれれば良かったのですが…性別を変えることはできません…なので外見だけでも男らしくします。

髪を切って短くすればよろしいでしょうか?体も鍛えればなんとか男らしく…それは時間をかけて行っていきますのでとりあえず髪を…」

 

なんて言い出し、女の魂とまでされる髪を簡単に切ろうとする始末。

 

…全く効果なし。

 

ーーーーー

 

「無理だ無理!無理無理無理無理無理無理無理むっり!流石の俺も罪悪感ハンパないよ!つーか俺のメンタルが死にそうだよ!!」

 

時刻は17時。もう日も暮れはじめた頃、俺たちはリサにまたお使いを頼み、その間に集まっていた。

 

「凄いよね。今日だけでしゅーちゃんのこと嫌いになってもおかしくないのに…。…ここまでの強敵初めてだよ…これじゃ、理子の立場が…」

 

「先輩、あの子、本気で貴方のメイドになりたいと思ってるわよ。今日見た限りじゃ落ち度なんてないし、あの子は昔から別に断る理由なんてないじゃない?」

 

「…まぁ、リサが完璧女子ってのは同感だけど…やっぱダメだ。俺はあいつに嫌われたい」

 

「そう…あの子も大変ね」

 

 

夾竹桃の言うことは何も間違っていない。リサは理想的な女の子だ。俺のことを第一に考えてくれるし、他人の目を気にしないし、家事も出来る。

 

 

…だけど、()()()()()ダメなんだ。俺のメイドにはなって欲しくない。

 

 

 

だって俺は…

 

 

 

「…ねぇ、あの金髪、遅くない?」

 

「そういやもう出てだいぶ経つな」

 

セーラがぽつりと呟いた。そういえば確かに、もうリサにお使いを頼んでから40分は経っている。あいつならもう帰ってきていてもおかしくない。

 

「…よし『遅かったことを激しくキレてくる男なんて嫌い!』作戦やるぞ。とりあえず今日はこれで終了。また今度再チャレンジってことで」

 

俺は失敗覚悟で次の作戦を立てることにした。

 

 

 

 

 

 

 

このとき、もっと早く気づいてばよかったと思う。

 

 

リサという女性は、時間に厳しい。だからこそ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

実際のところ、彼女は男子寮のすぐ傍にいた。

 

 

 

 

 

では、どうして彼女はすぐに帰って来ないのか?

 

 

 

それは簡単。

 

 

 

 

 

だって

 

 

 

 

 

 

リサは今数人の男女に囲まれ、身動きが取れなくなっているのだから…。

 

 

 

 

 




次の話でリサのピンチを修一が見事に救って見せるんだろうなぁ。


かっこいいなぁ。


#15話の内容を少し変更しました。ご覧いただけると嬉しいです。


次でリサ編終わります。

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