サイカイのやりかた【38話完結】   作:あまやけ

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「3話のあらすじ」
射撃場で修一に話しかける金髪ギャル。ギャルの元々の整った顔にどぎまぎするコミュ障修一。
その初めての会話の中で、なにか気になりアホなりに色々と考えてしまうが、とりあえず家に帰ることにする。お金は潤った。



2章 VS武偵殺し
(4)任務前の下準備


夕飯はそれはそれは豪華だった。

ご飯に味噌汁、さらにはしゃぶしゃぶの高級お肉!そして普通のポン酢ではなくおろしポン酢まで!完全な栄養バランス!

 

そして野菜もキチンととれるこの瞬間、ああ、俺は生きている!!

 

男子寮に帰る前にコンビニに寄り口座を確認してみるとちゃんと指定した金額が振り込まれていた。俺は急遽入った臨時収入にコンビニの中でガッツポーズしてしまったほどである。

 

素晴らしきかな理子様!これで俺はあと一ヶ月は普通の食事にありつけそうだぜ。

 

俺は新しくできた友達(神?)に感謝しながら久々の豪華な食事を楽しんだ。

 

――――

 

至福の時間を過ごしたあと、今日の戦闘での被害状況を確認することにした。久々の戦闘で出来た傷などを治療しつつ傷ついたものを並べていく。

 

「ひっさびさにボロボロだな」

 

まずは竹刀だが、弾丸を二発も受けてしまっていた。

 

空いた2つの穴があまりにも大きくこれでは使い物にならないようだ。金銭的問題で竹刀を防弾仕様にしていなかったのがあだになったか…。まぁ日頃使ってなかったからボロくなってたってのも1つの原因だろうが。

 

もちろん袋も同じくダメだ。同じく穴が開いてしまっている。この2つは処分するしかないだろう。

 

自転車は使ったのがサドルだけだったから被害的に少ない。

 

小型銃は整備していただけあってまだまだ現役だ。弾は補給しないといけないが。

 

以上より、補充すべきは竹刀、袋、弾、サドルということになる。意外とかかりそうだな…。

 

(仕方ない…久しぶりにあいつに電話してみるか)

 

地味に俺の金を喰いそうな気がしたため、俺は最終兵器として一人の女に電話かけることにした。

 

俺の幼馴染で、今はオランダかどっかで海外留学をしているやつがいる。

 

そいつは俺称『最強の会計』だ。

 

『はいリサです、修くんですか?』

 

「おう」

 

リサ・アヴェ・デュ・アンク。金の長髪が特徴的な女の子だ。

 

先ほども言ったが幼馴染の腐れ縁ってやつで、今も頻繁に電話している。

 

リサの家系は何か事情があるらしく今も留学しながらなにかしているようだ。…内容はあまり教えてくれないのだが危ないことではないらしい。

 

っと、そんなことよりだ。このリサには特技がある、俺が『最強の会計』と呼んでいる理由はこれだ。

 

『なるほど、竹刀が壊れてしまったのですね』

 

「ああ、できれば次はもっと固くしてほしい。鉄も切れるくらい」

 

こいつはいい素材を集めるスペシャリストだ。

 

基本俺のもつ資材などの調達はリサが行っている。俺のほしいものをなんでも格安で手に入れてくるというある意味一番すごいやつとも言えよう。

 

この俺の持っている小型銃も定価の半額の値段で持ってきやがったときは驚いた。俺のこのセコイ性格もリサが近くにいたからというのも一つだろう。

 

 

『て、鉄ですか…?そうなると本物の刀とかになりますけど』

 

「それは無理。刀なんて重たくてずっと持ってられるか。竹刀くらい軽くて、鉄も切れるやつよろ」

 

『あ、はい!わかりました!できる限り探してみますね!明日のこの時間には結果を持ってきます!』

 

かなり無茶を言っているはずなのだがリサの電話先の声はなぜか弾んだように明るい。これは昔からよくわからないのだが本人が気にしていないようなので俺ももう気にしないようにしている。

 

それからサドルと弾も送るように頼み、できる限り格安になるように念を押しておく。

 

 

『わかりました!…ところで修くん、学校はどうですか?』

 

「あーそうだな…あ、一人友達が増えたぞ」

 

『やりましたね!どんなお友達なんですか??』

 

「ああ、俺なんかと気軽に話してくれたいいやつだ。これからも仲良くできそうだよ」

 

『そうですか、それはよかったです!リサが日本に帰ってきたら紹介してくださいね!』

 

「おう、女子同士気が合いそうだしな。仲良くしてくれ」

 

理子もリサもコミュ力高いし、すぐに仲良くなれるだろう。

 

そう思っていたのだがリサの「え?」と意味深な反応をした。…え?

 

『…修くん、その友達って女の子なんですか?』

 

「ん?そうだけど…それがどうした?」

 

お前に男子を紹介しないだろうと当たり前のことを言ったはずなのだがサラが意外な反応をした。…?

 

『……。いえ、別に。ところでその子可愛かったですか?』

 

「え?まあ…可愛かったな。正直あんな子と付き合えたら人生勝ち組だろうなぁ」

 

『…………。』

 

理子ほどの美人と付き合えたらもう天国だろうな…俺だったら毎日プレゼントあげたりとかして頑張るだろうな。なんて妄想をしながら返答するが、リサからの返答がない。

 

…??

 

『修くん、リサ近々日本に帰ります。まだ忙しくて先にはなりそうですが、できる限り早めに帰りますね。あと修くん、美人な人ほど性格が気難しい場合がありますから、顔だけで好き嫌いを分けてはいけませんよ?』

 

「あ、ああ。わかった…。てかそれだとお前も気難しい性格になるんじゃねーの?」

 

『え?……そ、そうですか?修くんはリサは気難しいと思います?』

 

なぜか怒ったような口調のリサだったのだが、急に()()()()()()()()で俺の返答に質問で返しやがった。こいつ今日テンションの上げ下げが異常すぎてついてけねーんだけど。

 

「あ、ああ?そりゃお前顔可愛いし、お前の理論だとお前もそうなるんじゃ…?」

 

『…。よっし』

 

「…??」

 

俺の返答にまた怒ってくるかと思ったがそれとは真逆の反応が電話越しに聞こえた。もうわけがわからん。

 

『修くん、リサはもう満足したので寝ます。修くんも早めに寝てくださいね!』

 

「ん、あ、ああ。おやすみ」

 

 

『はい、またかけます!!』

 

 

そうして勝手に切りやがったリサ。最後までよくわからなかったが、本人が満足していたようだし、依頼はちゃんとこなしてくれるだろうし。いいか。

 

そうして通話を終えた俺は昨日からまた始めたトレーニングを行った。

もちろん自分に武偵の才能がないのは理解している。だがだからと言ってそれを言い訳にして逃げるつもりは一切ない。

無理だ、ダメだで逃げていた自分はもう捨てたんだ。俺自身が今できることを精一杯やるしかないだろ。

 

そうして、ある程度のトレーニングをし終わると、特にすることもがなかったので寝ることにした。なんせ起きてたら電気使うからな。電気代の節約節約。

 

―――――

 

朝、潤った金で卵とベーコン、パンを買っていた俺は、また久々の贅沢な朝食にありつけていた。しかも飲み物はコーヒーときた。これはもうーー

 

「天国だ。間違いない」

 

『やだ!逃がすもんか!キンジはあたしの奴隷だあ!!』

 

『はーなーせ!!』

 

「……ちっ」

 

久々にカチンときましたよ私もね。隣の部屋がうるさい。なんだってこんな朝っぱらから、しかも俺の至福タイムで声をはりあげる。

 

……ん?というか今の声ってアリアじゃないか?あの声を聞き間違うわけないし。なんだって男子寮に。というか、キンジって言ってたな。もしかして隣の部屋キンジが使ってるのか?などと色々と考えて、まあアリアだし。の一言で片付けることにした。

 

…後で会ったらとりあえずうるさいとだけは言っておくか。

 

そう思って時間を確認すると、そろそろ出ないとバスに遅れる時間だった。

 

「さてと、あいつらも乗るだろうし、そん時にでも一言ーー」

 

そう思って立ち上がった時だった。俺の携帯が着信を知らせて震えていた。おお、一瞬気づくのが遅れたぞ。リサ以外から電話って一年ぶりじゃないか?

 

などと悲しいことを思い出しつつ、番号を確認するが、番号だけで誰かは分からなかった。…とりあえず出てみることにする。

 

「はい?」

 

『お、はよー!!しゅーちゃーん!!』

 

「おお、理子か。おはよう」

 

『あれ?もっと驚くと思ったんだけどなぁ。な、なんで俺の電話番号しってんだよ!?みたいな?』

 

「お前、前に俺の個人情報調べたって言ってただろうが。いまさらそれくらいじゃ驚かんよ」

 

『そっかそっか!あ、そうそう!口座にちゃんと振り込んでたけど確認した??』

 

「おお!それならマジで感謝だ。サンキュな理子」

 

『うぃーっす!理子は約束だけはきちんと守るからね!というわけで、約束ついでに依頼も持ってきたよ!』

 

「あ?依頼?」

 

『そそ!ほーらぁ、理子が帰る時言ったでしょ?依頼があったら持ってくるって』

 

あれってその場限りの口約束じゃなかったのか

 

『でねでね!しゅーちゃんの性格にどハマりのいい依頼持ってきたんだー!興味あるでしょ!?』

 

電話でもグイグイくるなこの金髪ギャル。というか朝からテンション高い高い。…だが

 

「ない」

 

『え?』

 

「興味ないわその依頼」

 

『な、なんでー!?まだ内容も聞いてないじゃん!』

 

「ーーあるし」

 

『なに?聞こえなーい??』

 

俺は、聞こえなかったらしい理子にドンと胸を張って答えてやった。

 

「今は金があるんだ、お前のお陰でな!いいか、俺が任務をやるのは金がないときだけだ!ある時は絶対しないって決めてんだよ!怖いし!!」

 

まあそのない時にする任務もEランク向けの簡単な任務なんだけど。小遣い程度の。

 

 

電話越しで理子がうわぁと引いているのを実感しつつ、もう切ろうと電話を耳から離そうとしたとき

 

『でもさー理子が1.5倍で買い取らなかったらもっとお金減ってたよね?これって〜貸し1ってやつじゃないかな〜??』

 

「なっ!?おま、金で貸しなんて汚ねぇぞ!!」

 

『一番お金に汚いのはしゅーちゃんだよー!!』

 

ガルルルル……!とお互いに電話越しに威嚇し合う。が、確かに落ち着いて考えてみれば理子の言っていることも少しだけ理解出来なくもない。

 

『それにこれ、例の武偵殺しが関わってる可能性があるからって報酬はたぶん30まーー』

 

「引き受けよう」

 

即答だった。なんでそんな重要なことを早く言わないんだ。なんだなんだ今週は俺のゴールデンタイムだったりするのか!?金の話が次から次へと!

 

『…なるほど、しゅーちゃんにはまずお金の話を振ればいいのか』

 

理子が俺の扱い方を理解し始めたところで、俺はその依頼内容を聞くことにした。ワクワク、ドキドキ

 

………ん?

というかそもそもどうしてこいつは俺なんかにわざわざ依頼なんて持ってきたんだ?俺よりランクが高いやつなんて、というかランクの高いやつらしかいないと思うんだが??

 

『依頼内容は「建物調査」。町外れのある倉庫で武偵殺しが秘密裏に作業してるみたいなんだよね。まぁどっちかっていうと嘘情報に近いみたいだけど、一応調べてちょっていう感じ』

 

「おいおい、それ絶対Eランクじゃねーだろ。なんでそんな依頼なんて…」

 

『もー!ぶーすか言わないー!!今日中に行って結果だけ報告してくれればそれだけでいいから。あ、ドア開けてチラッと見て帰るとかしちゃダメだよ!』

 

「あーはいはい。あんま期待すんなよ」

 

『はーい!資料は後でメールで送るから確認してね!じゃ!』

 

そう言ってすぐに切った理子。うっし、なら準備するかね。

 

俺は任務のための持ち物を確認する。…が

 

「ありゃ」

 

俺の手元にあるのは

 

小型銃 弾 四発

携帯

ティッシュ

 

以上。

 

無理だな。無理。これじゃ昨日のセグウェイでもいたら即死だ。

 

 

『私は嫌いな言葉が三つあるわ。無理、つかれた、めんどくさい。この三つは人間のもつ可能性ーー

 

「いやでもこれは無理だろ」

 

またあのピンクツインテの言葉が頭を過ぎったがこれは無理だろうが。

 

「……はぁ、しょうがないか。あいつ金にうるさくて嫌なんだけどなあ」

 

行く場所が決まった俺は電話である天才にアポを取りつつ、部屋を出た。

 

 

今日は学校サボることになりそうだ。

 

 

 

 

 

俺は装備科のある一室の前にいた。アポは取ってあるからノックしてすぐにドアを開ける。

 

「あややー。本当に来たのだ!」

 

「おう。本当に来たぞガキンチョ。今回も安めで頼む」

 

「岡崎くんは本当にセコいんだなー!やる気が起きないのだー!」

 

「いや男子高校生から何十万も取る方がおかしい」

 

平賀 文(ひらが あや)。東京武偵高校2年のおこちゃま体系のランクAだ。皆が言うにはSランクの実力があるというが、違法改造や相場無視の吹っかけ価格の改造などでAランク止まりになっているらしい。

まあつまり俺みたいな平凡学生の天敵である。

ショートカットの髪を左右の耳の脇でまとめた髪型をしている。正直可愛い。平賀源内の子孫であり、機械工作の天才とよく呼ばれている。まあ、やる気と価格は紙一重らしく、こちらの提示資金が低いとかなりいい加減に作りやがるから、ときどき(俺の場合はほぼ)不良が起きることもある。

 

だがこいつのいいところは不良があることがあってもEランクである俺の道具を作成してくれる点だ。

 

装備科での成績の上げ方として、コンテストに提出して成績を残すことなどのほかに、ほかの武偵に良い成績を上げるための武器を制作するというのがある。

 

簡単に言うとアリアなどのSランク武偵が装備科の生徒の作った武器で良い成績を残すと、その装備科の生徒の成績にも反映される仕組みだ。

 

だからこそ俺のようなEランク武偵の装備なんか作ってもどうせ活躍しないことが分かっている以上、作らないという生徒がほとんどなのだ。だからこそ、こんなことを言いつつも平賀にはかなり感謝していたりもする。

 

「まあ、今日もあややの思い付きで造った商品を買ってもらうのだ!!」

 

「おう、ほとんどそれ目当てできたからじゃんじゃん出してくれ」

 

だが俺には違法改造するほどの武器も相場無視の吹っ掛け改造もするものがない。よって、平賀の勝手に作ったものを適当に買っていくことにしている。時々不良を起こすものの、やはり使い勝手がいいんだ。この天才様の作ったものは。

 

「まずはこれなのだ!!シュワワワーン!『冷却弾ーー』!!」

 

「いやわざわざダミ声で言わんでも…」

 

どっかに怒られないか心配しつつ、平賀の出した弾を持ってみる。ひんやりと冷たい

 

「これは弾の中に液体窒素を混ぜてあるのだ!これでーー」

 

「これで??」

 

「150mlの水を弾を撃つだけで氷にすることが可能なのだ!…逆に言うと、それだけなのだ」

 

なるほど

 

「つまり冷やすってこったな」

 

「まあ簡単に言うとそうなのだ!これはまあ失敗作だから300円でいいのだ」

 

「買おうじゃないか」

 

アリアよお前の金、使わせてもらうぞ。

 

「次にこれなのだ!シュワワワーン!『絶対温か毛布 コンパクト』!!」

 

「いやもうその声いいから」

 

この子のいまハマっているアニメがわかった。俺は見た感じ普通の毛布を小さめにしたようなものを触ってみる。

 

「これは冬にかなり使える商品なのだ!これを体に巻くだけで外との温度差を比較して毛布の内側を人間のくつろげる最適な温度に瞬時に変換してくれるのだ!これなら寒い中でも巻いた瞬間に温か毛布に包まれることが可能なのだ!!」

 

「ほうほう」

 

いいね。電気代かからなそうだし。

 

「さらにさらにコンパクトとだけあって、ボタン一つでこの通り!!携帯サイズまで小さくすることが可能なのだ!持ち運びが便利なのだ!!」

 

「おお!すげえ」

 

平賀に言われた通り、一つだけあった小さな赤いボタンを押すと、みるみる小さくなっていき、手のひらサイズになった。す、すげぇ、どうなってんだこれ…。

 

「これは5000円なのだ」

 

「んー高いが、たしかに高性能だ。買おうじゃないか」

 

「おお!今日の岡崎くんは気前がいいのだ!」

 

「まあな!臨時収入で意外と財布が潤ってんだよ」

 

どやっとする俺におおー!と拍手する平賀。この子のノリも俺の好きなタイプである。

 

それからいくつか見せてもらってそのうちいくつかを購入する。

 

冷却弾とは逆に火を出す火炎弾(なんかロマンがあったのだ)

 

女子の制服が透ける眼鏡(これが一番高かった!でも決めるのは一番早かった!)

 

跳ねるたびに大きくなるスーパーボール(超やってみたい!)などを購入

 

「最後にこれなのだー!シュワワワーン!『防弾シュート』!!」

 

「防弾シュート??」

 

もうパンパンのバックに道具を押しこみつつそう聞き返す。前までのは名前でなんとなく用途がわかったがこれはさっぱりだ。

 

渡されたのは普通の防弾チョッキ。だがその背中の部分が少し盛り上がっている。

 

「それは簡単に言うと防弾チョッキにパラシュートを付けた物なのだ。理由は特にないのだ。たまたま余った素材がその二つだけだっただけなのだ」

 

「なるほど、いらん」

 

パラシュートなんてどこで使うんだ。防弾チョッキは着ているがそんな追加機能があっても使わないだろう。

 

「そうなのだ?これはいらないものでつくったからタダでもよかっーー

 

「いただきましょう」

 

俺はタダの一言で即購入を決意した。逆に言うとパラシュートがついてくるんだぞ!いいじゃないか!!

 

もうバックに入りきらなかったので防弾チョッキは着替えることにする。持っていた防弾チョッキをお礼に平賀にあげようとーー

 

「いらないのだ」

 

ーーしたが、いらないらしいのでそのままゴミ箱にぶち込んだ。なんか、あげようとしたのいらないって言われたら傷つくよね。

 

「それにしてもこんなに買ってくれるとは思ってなかったのだ!」

 

「ま、いまから依頼だし。死んだら余らした金がもったいないだろ?」

 

「え?そんな危険なのに行くのだ??」

 

そういうと平賀は少し心配したような目をした。………何だかんだ言いながらきちんと俺の事見ててくれてんのな。

 

俺は平賀をやさしくなでー

 

「やめてほしいのだ」

 

ようとしたができなかったのでそのまま話す。

 

「ま、つってもあれだ。デマだったらそんなに難しくはないらしいから、終わったらまたここにくるよ」

 

「わかったのだ!!その時のためにまた岡崎くんが買ってくれそうな安物商品作っておくのだ!!…暇なときに!!」

 

「おう、でもあんま不良品ばっか作るんじゃねーぞ!」

 

「あや!岡崎くんがもっとお金くれたら考えてあげるのだ!」

 

それは無理だ。

 

「んじゃ、またな平賀」

 

「なのだ!岡崎くんは話してるだけでおもしろいから、買う予定がなくても来てくれていいのだ!!…あ、そうなのだ!ちょっと待っててほしいのだ!」

 

俺に手を振っていたと思ったら何かを思いだしたようにガサゴソと段ボールの中をあさり始めた。そしてひとつの小さなボタンを取り出した。

 

「これを実験として使ってみてほしいのだ」

 

「なにこれ?」

 

「ふっふっふ!これはあややが趣味で制作中のボタン型ーーあ、シュワワワーン!『ボタン型監視カメラ―』なのだ!」

 

わざわざ言い直さんでもいいと思うが

 

「これには小さなカメラが搭載されているのだ。これで撮ったものがそのまま接続した携帯やパソコンに自動送信されるものなのだ!でもまだ試作中なのだ。だから、試験として使ってみてほしいのだ!他にも色々とできるけど、とりあえず撮影だけでいいのだ」

 

「…試験っていうならアリアとかのSランクに頼んだ方がいいんじゃないか?俺なんかよりよっぽどいいデータ取れると思うが」

 

「んー、お得意様に不良品を試験として使わせるのも難しいのだ。信頼は命、なのだ!」

 

「あーなるほど」

 

お得意様以下の俺にはもってこいだわな。

 

「ちゃんと岡崎くんの携帯も登録したから役には立つと思うのだ!使ったら感想を言いに来てほしいのだ!」

 

「わーった。サンキュな。んじゃ、もう行くわ」

 

「なのだ!」

 

ボタン型監視カメラをもらった俺は平賀の部屋を後にした。

 

 

さて、久々の任務、頑張ってみますかね。

 

 

そうして理子が送ってくれてた倉庫へと向かった。

 

 

 

改めて冷静になって考えると、おれ武器ほっとんど調達してなくね?…あり?

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『くふ、そろそろ来るかな岡崎修一。本当に実力があるか、あたしが見極めてやるよ。ないなら…ここで死ぬかもね、くふふ!』

 

 

 

 

 

 




長馴染みという設定だけで修一がご主人様という設定ではないのでご安心を。

原作順守でいきます。

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