活動報告にも書きましたが、政治関係が全く分からなくて詰まっておりました。
ので、もうわからないとこや書けないとこ、書きたくないとこは全部飛ばしていきます!
エタってたまるかですので、とにかく完結最優先で!
細かいとこは、後で外伝でも書けばいいですし(書けるとは言ってない)。
その怪異は自身の姿形を体積すら変化させてヒト種の幼体に擬態し、ヒト種のコミュニティに潜り込んだ後で凶暴な本性を露わにして暴れ回るという生態を持つ。
怪異使い達はその生態を利用し、基本的に弱者の保護を行っている自衛隊に擬態している怪異を保護させ、しかる後にヒトには聞こえない特殊な周波数の音を発する笛の音の合図で暴れさせ損害を与えようと画策していた。
しかし。
ある怪異は自衛隊が近づいた時点で恐慌に陥り、本性を曝して暴走しこちらに損害を出した。
ある怪異はアルヌスの街に保護させたはいいが、その後の足取りがわからなくなった。
ある怪異は自衛隊に保護させた直後に暴走させて本隊撤退の時間を稼ごうとしたが、なにかに怯えきっており指示を無視して擬態したままだった。
あまりにも運用がうまくいかず、なおかつその原因が異界の神にある可能性が高いことから早々に怪異を用いた『埋伏の毒』作戦は頓挫することとなる。
そうして彼等は単純な正面戦力として運用されることとなったが、自衛隊やアルヌスの街に送り込んだ怪異達は今。
アルヌスの街の外周付近に小さな集落のようなモノを築き、比較的理性をもつ他の怪異達と一緒に自衛隊の現地外部協力戦力として働いていた。
ほとんどの怪異は所属を示すために揃いの簡易装備を身に纏い、街の最外周を警備、防衛する戦力として。
ヒトや無害な動物に擬態可能な一部怪異達は、伏せられた戦力としてアルヌスの街にとけ込んでいる。
なお一時期心霊現象が多く目撃されていたアルヌスの街では、実体を持つだけマシとある程度受け入れられている模様。
「あの子達、あれで擬態なんですよね? 想像できないなぁ」
「いやホントやばいからね? あの時も何度も死ぬかと思ったし。 でもなんで私の指示を聞くようになってんだろ?」
「そりゃあれですよ、正面から圧倒してたし擬態した同族なんじゃないかって勘違いされボっふぉ!?」
そんななか、久々に休暇を与えられた第三偵察隊の面々はアルヌスの街の食堂にて昼食中である。
とにかくあちこち引っ張りだこな伊丹はともかく、彼等はちょくちょくこうして集まり、食事をとっていた。
そんな彼等がよく話題にあげるのはやはり、彼等の隊長である伊丹のことについてである。
というより、話題になるようなことを伊丹が多くやっているだけともいえるのだが。
「隊長、今度は学者先生達を連れて調査でしたっけ。 かなり辺境まで行くらしいですけど、連邦のトップがそれについていくってどうなんでしょうね……」
「世界を繋げ続けるのはヤバいってお告げの裏付け調査らしいし、建国されたばっかりの連邦のトップが箔付けのために直接査察するって名目らしいっすよ。 まぁ、ピニャさんの息抜きが主目的じゃねぇかなぁ」
「『門』の閉鎖、
なお彼らは一応声を潜めているが、店内にいる亜人などの耳のよい者達は彼等の話に聞き耳を立てていたりする。
だが日本とは常識の違う特地の彼等には、なぜここまで深刻そうな話になっているのかがよくわかっていなかった。
彼等にとって、気まぐれとはいえ神は神。 例外こそあれ、基本的に神は信徒に恩恵を授けてくれる存在なのだ。
恩恵の種類や大小に違いはあれど、信仰を捧げることで恩恵を授けてくれるという点については八眼童もかわらないと彼等は認識している。
慈悲深い神である八眼童であれば、特地の信徒を見捨てることはないだろうと。
そして信徒というのは、基本的に奉ずる神に従属するものである。 故に自衛隊もまた、この地に残るのであろうと考えていた。
まぁ実際には自衛隊を含む特地派遣陣は、本国からの帰還命令があればすべて帰還してしまい。
八眼童もまた、特地に地球の人間がいなくなればその力の大半を構成する地球の神霊妖仏からのバックアップや亡霊、英霊達の協力が失われるため大幅に弱体化してしまうのだが。
さらにその場合。 特地における畏れや信仰が未だ完全には定着していないため、冥府の押さえにその残った特地の神としては僅かな力の大半を使わざるを得ないのだ。
彼等が期待しているような規模での力の行使が可能になるには、それなりの時間が必要になるので肝心要の時には間に合わない可能性が非常に高かったりする。
そんな彼らは今日もまた、それぞれの信仰する神々に祈りを捧げる。
よき日々に感謝を捧げながら。
「殿下、昼餉をとられてから少し休憩をなされてはどうでしょう? 朝からずっと執務を続けておられていますし、御身を損ないかねません」
「そうか? そうだな。 うむ、少しだけ休むとしよう」
イタリカに置かれた、『連邦首脳部(仮設)』にて。
帝国の正統政府の解体と、その連邦への再編に当たって発生する膨大な執務に忙殺されていたピニャは椅子に座り直すと大きく延びをする。
全身から響くポキポキという音にずいぶんと疲労がたまっていることを自覚し、しかしこの程度では止まっていられないと首を振った。
「しかし、思ったよりも妾に従ってくれる諸侯が多いな。 帝国を解体し、あまつさえ政治形態が異なる連邦への再編。 相当な反発や反乱を覚悟していたのだが……」
ふと、机上に並べられた諸侯からの臣従を申し出る手紙の束をみたピニャがつぶやく。
彼女としては、執政をとれぬほど憔悴した父王に許可を得たとはいえ。 諸侯は帝国を解体して終わらせようとする自分よりも未だ行方しれずの兄ディアボや、帝国第二の都市テルタに皇太子府を移したゾルザルに臣従を誓う者が大半だと考えていたのだ。
故に説得の為の文面を頭をひねって考え、なんとか書面に起こしてさぁ諸侯へ発送しようと言う段階になって諸侯から送られてきた臣従を申し出る手紙に、腑に落ちないものを感じていた。
「おそらく、ヤツメワラシ様とニホン、そしてピニャ殿下がおわすことの影響が大きいのでしょう。 現時点でニホンとの友好を結べている数少ない勢力の一つであり、なおかつ連邦は帝国を元にして作られる国家。
ニホンと完全に敵対してしまった帝国よりも。 帝国の負債を償い、その上でニホンと友好を結ぶと宣言されたピニャ殿下の率いる連邦へと恭順を示すのは道理かと」
「うぅむ、そういうものか。 妾自身には国を率いるのに威厳も力も足りぬゆえ、帝国皇女という肩書きをなくせば貴族どもはついてこないであろうと考えていたのだがなぁ」
控えていたボーゼスの意見にピニャは納得の声を上げる。
とはいえ、査問会などで酷く自信を傷つけられていた彼女にはどうしても自分が一国の盟主にふさわしいとは思えず。
されど護られ、託された自身にしかできぬからと執務で無理をしがちになっていた。
そんなピニャを支え、無理をしすぎないよう時に強制的に休ませているボーゼス達は願う。
連邦が国家として確立し、軍を纏められるようになるまで帝国が大きな動きを見せないことを。
まぁ、無理な願いだったのだが。