亡霊、彼の地にて斯く祟れり   作:餓龍

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あけましておめでとうございます。
本年もまた、完結目指してのんびり楽しんで書いて行きたいと思います。
皆様にもお付き合いいただければ幸いです。

ronjin さま、アカギ さま。
誤字報告ありがとうございます!

いよいよ書きたいところです!

※天使を変更しました。


日本代表と薔薇騎士と守護霊

 とあるチャットソフトのパスワード付きルームにて。

 

 

 

アナウンス:K さんが入室しました。

  K  :くそったれがぁぁぁああああああああああああああ

  J  :おいおいおいどうしたのいきなり。

  O  :お、特地でもつながるって本当だったんだな

  M  :ふふふ、いい感じにフットーしてるわね!

     :いいわね、そうこなくっちゃ!

     :流石はKね!

アナウンス:S さんが入室しました。

  K  :てめぇM!

     :知ってたな!? この惨状知ってたな!?

  S  :うp@tb4うzqqr:w6h;

  M  :っっっっっっっっっっっっっっw

  O  :おー、じいちゃんまたかー

     :電話するからそっちでねー

  J  :これは酷い。

アナウンス:T さんが入室しました。

  T  :あぁ、やっぱりここにいたか。

  T  :その様子だと押さえるために同じ部屋にいるのか?

  M  :同じ部屋!ツインよね!?

  K  :ザッケンな石投げっぞコラァ!

     :二段だよ!

     :あ、Tはスマン

     :コイツ常に見張ってないとなにやらかすかわかったもんじゃないんでな

  O  :あぁ、例の信仰が深すぎる子?

     :なにごとも行き過ぎはよくないんだけどなぁ

  J  :にしても上も思い切ったね?

     :いくら信仰が存在しない世界に最少人数で天使送り込むだけの信仰を捧げるためとはいえ、

     :アレはないでしょう。

  M  :フフフ大丈夫よ隠さなくても!

     :今夜はどこにも行かさないゼなのね!

  T  :いや、それなら仕方あるまい。

     :座の降臨を成功させるのだ、並大抵の信仰心ではないだろうからな。

  J  :うわぁ。

  O  :おぅふ

  S  :なおった

  M  :道理でウチの子がピリピリしてたのね!

     :最近ゲームで素材ヨコセって想念が満ちてたでしょ?

     :怯え気味だったからなだめるの大変だったのよ!

  K  :マジかそんなの呼ぶなんて聞いてねぇよっていうか!

     :やっぱあのやたら完成度高いガンプラの中身アンタの使い魔か!

     :てかあんなレベルのをホイホイ送り込むな! アホ押さえるの大変だったんだぞ!?

  M  :違うわ、メタルキャストしたからいわばガンメタ! 超合金よ!!

     :フレーム再現に装甲着脱にメイス振り回しても違和感のない可動範囲!

     :自信作よ!

  K  :そこじゃない!!!1

  T  :妖精達がおびえていた、自重させてくれ。

  M  :はーい

  O  :さすT

  S  :さすt

  J  :さすT。

  K  :おま ば

  O  :じいwちゃんwww

  M  :あ、そうそうそっちに強い塔の暗示が出たわ!

     :Kは気をつけときなさい

  K  :

  J  :

  T  :警告感謝しよう。

  S  :斬っていいのか

  O  :じいちゃんまtwwwってwww

 

 

 

 

 

「ねぇ、これは相当な軍事技術じゃないのかしら。 それをこうして使わせていただけているということは、やはりニホンの支援は期待してもいいのよね?」

「今すぐは無理っていってたけど、ニホンの使節団の救出作戦は実行される予定らしいからそのときになるんじゃないか?」

 

 会話をするボーゼスとヴィフィータの眼前では、机の上に広げられた翡翠宮周辺の地図上にて親指サイズの精巧な人形達が歩き回っていた。

 人形達は現実の兵士達の位置を表しているらしく。

 翡翠宮の敷地を包囲し、正門方向から近づいている人形達は敵を表す赤の帽子を被り。 翡翠宮正面にて布陣している青の帽子をかぶっている人形達は自分達を表しているそうだ。

 これにより相手の動きに対する迅速な対応ができており、予想よりも遙かに小さな被害で翡翠宮へ攻め込む帝国軍兵士達を撃退できていた。

 また、翡翠宮敷地内の森も正面をのぞいて異界の神により封鎖されているらしく。

 正面のみに兵力を集中できているため兵力差による力押しも防ぐことができていた。

 しかし。

 

「それでも、やはり食料や装備の不足は急を要するわ。 もう限界近いのでしょう?」

「あぁ。 それに負傷者もだいぶ出ちまってる。 幸い医薬品はまだ少し余裕があるし水も翡翠宮の井戸を使わせてもらってるが、いかんせん相手が悪すぎる。 奴らは膨大な数をそろえる帝国軍からかなりの数を動員してきてる。 このままじゃヤスリで削るみたいにすりつぶされちまうぞ」

 

 完全に包囲されている為補給も増援も望めず、相手は帝国正規軍からいくらでも補充ができるのだ。

 こうして抵抗を続けるのも、もはや意地でしかないようなものだった。

 そうして頭を抱えて悩むボーゼスの下へ一体のやたら露出度の高い服装をした人形が近寄ると、オレンジ色の液体で満たされたコップを差し出す。

 しゃがんでコップを受け取ったボーゼスが礼を言えば、人形はボーゼスの腹に耳を押し当て、数回なでるときびすを返して天幕から出て行った。

 

「そういやあのすごい格好してる人形からいつも受け取ってるソレ、なんなんだ? 色からして野菜をすりつぶしたのっぽいけど」

「なんでも野菜と果物をすりつぶして、味を調えたものらしいわ。 おいしいし健康にいいんですって。 一人だけ受け取るのも気が引けたけど、なんか受け取らないと大変なことになるような気がして……」

「なんだそりゃ? ならさっさと飲んじまえよ。 もうすぐ交代の時間だろ?」

 

 それもそうねとボーゼスはコップの中身を飲み干すと、机の端に置く。

 その様子を天幕の入り口から覗いていた影がひとつ。

 おかあさんと呟き、姿を消した。

 

 

 

 

 

  第27次偵察隊予定の行程を終了 帰還中

 

 翡翠宮の前庭、八眼童の祠前にて。

 

  第28次偵察隊発進完了 翡翠宮外周の偵察開始

 

 器を変えた『彼等』は、かつてのように己の職分を果たしていく。

 

  誰彼時より入電 誘引敵部隊の処理を終了 待機に移行

 

 ある兵士人形達は霧に満たされた翡翠宮敷地内の森を、幾多の影を引き連れて行進し続ける。

 

  第29次偵察隊整備行程予定通り 残存整備部品及び燃料は第34次偵察隊までで枯渇

 

 ある兵士人形達は、銀長髪の人形の指揮の下帰還したラジコン飛行機達を整備・補給してゆく。

 

  第28次偵察隊より入電 敵集団依然翡翠宮を包囲中 攻勢及び侵入は正門方向のみ

 

 空舞う彼等は、死霊犇めく煉獄を眼下に翼を翻す。

 そして。

 

  本霊より入電 本国が邦人救出作戦への実行許可を承認

 

 二つ結びの人形は空の彼方を振り仰ぐ。

 その方角にあるのはアルヌスの丘、このときを手ぐすね引いて待っていた自衛隊基地のある場所。

 彼等の故郷へ繋がる場所。

 彼等に護るための力と立場を与えた神のある場所。

 

  大日本帝国臣民の生命この一戦にあり 各員より一層奮起努力せよ

 

 弓を引き絞り、空へ向け。 鏑矢を放つ。

 鋭く空間を引き裂く高音が鳴り響き、一帯を強い意志が支配した。




なお日本代表な方々にはモデルとなったキャラがおりまする。
ちなMはカワカミンたっぷりな魔女なんですがあまり似ませんでした……。

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