Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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第57話「最終決戦 part 2」

同時刻 見知らぬ空間で……

 

蘭花「うっ……こ……ここは……ッ!?」

 

蘭花は目を覚ますと、真っ黒な背景に破壊された石像や花壇等が散乱した空間の中で気絶しているコンゴウとマヤを見つけた

 

蘭花「コンゴウ!マヤ!」

 

蘭花は気絶したコンゴウとマヤを見つけるとコンゴウとマヤは蘭花の声に反応したのか、辛そうに目が覚めた

 

コンゴウ「ウウッ……蘭花か……」

 

マヤ「ウウッ……ん?あれ?ここ何処?」

 

蘭花「良かった……怪我は無い?」

 

コンゴウ「『強い不快感』を感じる事以外は問題無いな……」

 

マヤ「一体何が起きたの?」

 

蘭花「……やっぱり怒っているんだね、ごめんなさいコンゴウ」

 

マヤ「無視しないでよ蘭花にコンゴウ!!」

 

蘭花はコンゴウに不快感を与えた事に謝罪すると、コンゴウは否定した

 

コンゴウ「何を誤解しているんだ?私が感じている『不快感』は『あの男』のせいだ」

 

蘭花「李の事ね……だけど、良かった……無事で……」

 

マヤ「へ?李って、あのムッツリ親父の?」

 

コンゴウ「ああ……しかも安心するのは早いぞ」

 

蘭花「……ええ」

 

蘭花はコンゴウとマヤが無事だと分かり、安堵するとコンゴウと蘭花は真剣な表情になり、マヤに説明した

 

コンゴウ「マヤ、お前は李に『操られた時の記憶』が無いから簡潔に説明するが……私達の『軍艦』が李に取られたのだ」

 

マヤ「……え?つまり私達は、またアイツの『捕虜』になっちゃった訳!?というより、此処どこ?」

 

マヤは驚きながらも、荒れ果てた瓦礫の場所について聞くと、コンゴウは少し俯きながら答えた

 

コンゴウ「『私の情報共有ネットワーク』の中だ」

 

マヤ「え……えぇぇぇぇ!?あの『お茶会』が!?」

 

蘭花「情報共有ネットワーク?」

 

蘭花はコンゴウの言葉に首を傾げるとコンゴウは簡潔に説明した

 

コンゴウ「簡単に言えば『メンタルモデル専用の2〇h』みたいなものだ……まぁメンタルモデルによっては『内装』が異なるが……」

 

蘭花「2〇hって……貴女、完全に『此方の世界』に染まったわね……」

 

コンゴウ「郷に入れば郷に従え……って言うからな」

 

蘭花「……まぁ良いわ、取り敢えず、此処から出るわよ!」

 

蘭花はコンゴウの説明に呆れつつ、散乱した瓦礫から離れる様に歩いて行くと……

 

 

 

 

ゴン!!

 

 

 

 

蘭花「ブッ!?」

 

蘭花は『見えない壁』に強く当たり、鼻を押さえ、痛そうにしゃがみこんだ

 

蘭花「イタタ……何これ……『クラインフィールド』?」

 

コンゴウ「いや……『ATフィールド』だ」

 

マヤ「あ……そういえば勇人の指示で『深海棲艦』だっけ?『それ』から守る為に『壊れたクラインフィールド』の『代用品』として装着して貰ったんだった……」

 

蘭花「あの馬鹿……『余計な物』を……ってかATフィールドってエヴァ〇ゲリ〇ンじゃないの……イタタ……」

 

蘭花はATフィールドにぶつけた鼻を押さえつつ、勇人に悪態を付くとコンゴウは「そうだな……」と蘭花の悪態に同意し、言った

 

コンゴウ「こればかりは勇人に疾風、優花そして伊401に解除して貰わないと出られないな……」

 

蘭花「疾風って……柏木君!?何で勇人と一緒に行動しているの!?ってか優花って誰?」

 

蘭花はコンゴウの口から柏木の名前が出てきた事に驚くとコンゴウは簡潔に説明した 

 

コンゴウ「ああ、アイツもまた『私達』を保護するために勇人と手を組んだんだ、ちなみに優花は勇人の部下だ」

 

蘭花「……私が『死んで』から色々と変わりすぎよ……ってか柏木君は兎も角、勇人達って、戦えるの!?」

 

コンゴウ「ああ……佐世保の連中から聞いた話では勇人は『半艦息』、優花は『半艦娘』になっているが……」

 

蘭花「え……えぇぇぇぇ!?半艦息!?どうしてまた!?」

 

蘭花は驚くとコンゴウとマヤは蘭花の絶叫に耳を当て、顔を歪めながら言った

 

コンゴウ「クッ!ATフィールの中で叫ぶな!声が響く!!何も知らない『お前の気持ち』も分かるが……」

 

マヤ「うるさい……」

 

蘭花「あ!?ごめん……そう言えば、そうだったわね」

 

蘭花は二人に謝罪するとコンゴウは呆れながら言った

 

コンゴウ「ったく……話は戻るが、『これ』を解除するには勇人、優花、疾風そして401に解除して貰うしか方法が無いな……」

 

マヤ「軍艦はアイツに取られているわ……もう『お手上げ』だね……」

 

蘭花「そうね……」

 

蘭花(勇人……お願い……こんな馬鹿な姉の願いだけど、みんなを助けて……)

 

コンゴウ(勇人……疾風……優花……)

 

マヤ(何でこうなるの……もう嫌だ……勇人、助けて……)

 

蘭花達は勇人達に願いを寄せながら助けを求めた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方 李の船の周辺の上空にて

 

勇人「ちっ!?イオナぁ!!テメェ何で無茶するんや!!」

 

イオナ「……これしか方法が無かったから……勇人!後ろ!」

 

勇人「無駄ァ!!」

 

ドカン!

 

勇人「ったく!無茶しやがって……ほら!後ろに乗れ!『侵食弾道ミサイル(そんな危なっかしい物)』の上よりかはマシだろ!」

 

イオナ「うん!!ありがとう!」

 

勇人は空中でイオナに迫ってくる侵食弾道ミサイルを殴ったり、蹴ったり、更には愛刀『ムラマサブレード』と慧音が作ったナノマテリアル製の紫色の刀『毘沙門剣』で侵食弾道ミサイルを破壊、無力化しながらイオナに艤装の上に乗る様、指示を出すと、イオナは直ぐに勇人の艤装の上に乗った

 

備前「イオナを乗せながらミサイルを捌くなんてな……セイッ!」

 

優花「本当……無茶する上官だわ……ヤァ!!」

 

イオナ「ごめんなさい……ん?あれは……」

 

二人もまた、愚痴りつつ弾道ミサイルを破壊、無力化して行くとイオナは『ある物』を見つけたのか、勇人達に言った

 

イオナ「勇人!疾風!優花!右の内側を見て!」

 

勇人「アァ!?今度は何だ……なっ!?」

 

備前「嘘だろ!?」

 

優花「え!?」

 

三人はイオナの指示で李の球体の右の内側を見ると驚いた

何故なら……

 

勇人「マジで姉貴が……」

 

備前「……李の野郎……本当に死者を冒涜する様な真似を……」

 

優花「コンゴウさん!マヤちゃん!蘭花さん!!」

 

そう、そこには極太の鎖で縛られ、気を失っているコンゴウ、マヤそして蘭花が居たのだ

 

勇人「チッ……柏木!優花!イオナ!あの三人の救助を頼んで良いか?イオナ!これを使って鎖を斬れ!」

 

勇人はイオナにムラマサブレードを託し、指示を出すと、三人は勇人に託す様に答えた

 

備前「おう!」

 

優花「……分かった!イオナちゃんは私の方に乗って!」

 

イオナ「うん!李の事は、お願い!」

 

イオナは優花の艤装の上に飛び乗り、優花、柏木そしてイオナは三人を救助しに向かった

 

勇人「『李 花郎(リー ファラン)』……テメェだけは……此処で殺す!!」

 

勇人は自身の姉と仲間が『こんな仕打ち』をされた事に激怒し、殺意剥き出しのまま、李に特攻するように突撃しながら毘沙門剣を振りかざすと……

 

李「それは此方の台詞だぁぁぁぁ!上城勇人ォ!」

 

カキーン!

 

李は即席で精製した空色の大剣『ナノマテリアルブレード』で勇人の攻撃を止め、お互い剣を交えた状態『鍔迫り合い』になった

 

勇人「テメェだけは……ゼッテー許さねぇ!」

 

李「フン!こんな『粗悪な剣』で私を倒せるのかな?」

 

勇人「その言葉……そのまま返すぜ!チョン野郎!」

 

李「ッ!?小日本(劣化民族)の分際で……嘗めるな!」

 

ドカッ!

 

ドカン!

 

勇人は李を蹴飛ばし、李もまた勇人を蹴飛ばし、互いが互いを蹴飛ばされた弾みで間合いを空ける様に離れつつ互いの主砲、副砲で攻撃しつつ、体制を立て直す様に構えた

 

勇人「ほぅ……やるじゃねぇか……」

 

李「貴様もな……」

 

勇人「……では始めるか……」

 

李「……ああ」

 

勇人 李「テメェの処刑をな!チョン野郎!(我是你的执行!日本鬼子!)

 

勇人は日本語で、李は母国語で怒鳴り叫び、お互い剣を振りかざしながら突進し始めた

 

そして蘭花達が拘束されている台座付近では……

 

備前「……アイツ、上手い様に李を挑発しているな」

 

優花「……アイツの目的は勇人君を殺す事ですからね……さて!私達も救助しますか!」

 

イオナ「ッ!?優花!近付いちゃダメ!」

 

優花「え……」

 

二人は台座付近に着地し、優花は蘭花達を助ける為に近付くと……

 

 

 

 

 

ゴン!!

 

 

 

 

優花「ブッ!イタタ……こ……これ『ATフィールド』!?」

 

優花はATフィールドにぶつかり、蘭花同様、鼻を押さえながら言うとイオナは呆れながら言った

  

イオナ「……言わんこっちゃ無い」

 

備前「敵も、そう簡単に渡してくれないらしいな……ってかイオナ、それ勇人の刀だよな?何故持っているんだ?」

 

備前はイオナが抱えている勇人の愛刀『ムラマサブレード』について聞くとイオナは淡々に答えた

 

イオナ「あの極太の鎖を斬る為に勇人から借りた」

 

備前「あの馬鹿……改造済みとは言え、日本刀の中でも『トップクラスのヤバイ妖刀』を貸すなんて……」

 

イオナ「そんなにヤバイの?」

 

イオナは備前の言葉に質問すると備前の代わりに優花が答えた

 

優花「ヤバ過ぎるわよ……それ『人の血を吸い続ける妖刀』よ……昔、その刀に殺された人の『怨霊』までもが憑いている『曰く付き』よ」

 

イオナ「うわ~……」

 

備前「しかも、その刀が『()()()()()()()()()()()』が使うと、使った奴は刀に魅せられ、そのまま取り憑かれ……ジェ〇ソンや〇レデターも腰を抜かす程の殺戮兵器(キリングマシーン)となってしまうんだ」

 

イオナ「……泣けるね」

 

優花「あ、それ勇人君の口癖……」

 

備前「そりゃ今、伊401の制御権はアイツが持っているからな……それなりの影響は出る筈だ」

 

二人の説明にイオナは顔を引き吊り、ドン引きしつつ刀を抜いた

 

イオナ「だけど、ATフィールドを斬らなければ……コンゴウ達は助からない」

 

優花「ちょ!?イオナちゃん!?話聞いていたの!?」

 

優花はイオナが刀を抜いた事に怒鳴ると、イオナは何故、刀を抜いた理由を答えた

 

イオナ「……私は人間ではなく『メンタルモデル』……刀の効力は効かない」

 

備前「……成程な、効力が聞くのは『持ち主として認められていない人間』だけだからな、メンタルモデルや俺達『艦娘』には『効かない』……という訳か……なら!」

 

優花「……勇次君の気持ちが分かった気がするわ、本当にイカれているよ」

 

備前「一応お前も、その『部類』に入るんだが?」

 

優花「……後で『御話し』ですね、なら!早く終わらせましょ!」

 

優花は勇人が優花用に改造した聖剣『エクスカリバー』を構えると備前も優花に合わせて構えた

 

備前「おう!」

 

備前(……エクスカリバーって、色々ツッコミたい所はあるが、時間が欲しい!さっさと始めるか!)

 

三人もまた、全てを終わらせるかの様に艤装や刀を構え、ATフィールドを攻撃し始めた

 

そう『全ての因果』を断ち切るかの様に……


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