Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

9 / 168
第7話「勇人の過去 」中編

話は戻り、現在にて

 

勇人「……これが『あの事件(大本営襲撃事件)』の真相だ」

 

武蔵「………」

 

赤城「……」

 

大和「……そうでしたか……しかし提督、これは私個人の疑問なんですが、何故『この事件の真相』を『特別防衛機密』に指定された理由が分かりません……これは寧ろ『公開』すべきだと思います……そうすれば昔の赤城さんや私達みたいに『ブラック鎮守府』に所属している艦娘に対しての待遇改善やブラック鎮守府の提督に対しての取り締まりが出来るのではないのですか!何故『そんな事(特別防衛機密指定)』をするのですか!」

 

大和は、この事件に対して文字通り『身体を張って』戦った勇人に感謝の気持ちで一杯だが、それと同時に『この事件』を公開すれば自分達と同じ艦娘が、どれだけ救われたか、悔しい気持ちと入れ混じっていた

 

 

 

勇人「……確かに大和の言う通り、これを公開すれば大本営は此所みたいにブラック鎮守府に制裁や対策等がとれるが……これはあくまで『軍の内情』としての見方だ………一番の問題は内情『以外』の問題なんだ」

 

大和「内情以外……ですか」

 

武蔵「……つまり大本営は海軍としての面子と一般市民の理解、そして記者(マスメディア)の勝手な『でっち上げ』の報道による『軍隊叩き』を防ぐ為に隠したんだろ……まぁ私の『予想』だけどな」

 

大和(まさか……上層部は、こんな自分勝手な理由で!?だが……これはあくまで武蔵の予想……必ず当たるとは限らない!提督なら……否定してくれる!)

 

武蔵は勇人の言葉を察し答えると大和は武蔵の予想が間違って欲しいと願っていた

 

 

 

だが……

 

 

勇人「……そうだ」

 

大和「嘘………ですよね……提督!こんな時に冗談は止めてください!!私は本当の事を知りたいのです!!こんな悪ふざけ……私は許しませんよ!!いくら吹雪さんの新しい提督とは言え……」

 

勇人「………大和、俺がいつ『こんな時に冗談』を言ったんだ?残念ながら本当の話だ」

 

大和「……ッ!?」

 

 

 

 

 

勇人の発言で大和の願いが崩れさった

 

そう『上層部』が『自分勝手』な理由で隠していた事に……

 

勇人「……まずコレを公開することにより大和の言う通りブラック鎮守府に制裁や改善が出来るが、問題は赤城が元『深海棲艦』……いや『艦娘として死亡後、深海棲艦として生まれ変わった事』だと言うことだ……一般市民は艦娘と深海棲艦は『別物』という『認識』がある……これを聞いた一般市民や世界中の人たちは軍に反乱やデモ、激しいバッシングが起こる事態になり『海軍』いや『日本軍や同盟連合軍』の面子、そして『力』が失っていくんだ……簡単に言えば『この事件』は日本海軍で始末することで力や面子を失わずに済むって事だ……まぁ大和や武蔵の『気持ち』は分かるけどな……」

 

大和「!?」

 

 

 

 

 

 

バチーン!

 

 

 

 

勇人「ッ!?」

 

大和「何が『気持ちは分かる』のですか!!貴方達『人間』が私達『艦娘』の気持ちを知らないでよくも『こんな事』を言えるなんて!これじゃ……武蔵「オイ!」……ッ!?何をするの武蔵!!!その手を離しなさい!!」

 

勇人の言葉に大和は癪に障り、込み上げた感情(怒り)のまま勇人の顔をビンタし、感情のまま訴えると武蔵は大和を止める様に胸ぐらを掴み話した

 

 

 

そう勇人の気持ちを代弁するかの様に……

 

 

 

 

武蔵「いい加減にしろ!!今の提督の権力では『これ』が精一杯なんだ!提督が何故、軍法違反いや『処刑覚悟(命を捨てる覚悟)』までして私達に真相を話したか分かるか?私達の事を信頼をしているから真相を明かしたんだろ!それにまだ『刺青』や『三笠さん(育ての母親)を使って延命した経緯』については、まだ聞いていないだろ?それに提督も上官や同期達から酷い仕打ちを受けていたのにも関わらず片腕を失ってまで艦娘と前線で戦ったのを聞いてなかったのか!?私からすれば吹雪を失って意気消沈しているのにも関わらず大本営に滞在する艦娘達や人間を片腕を失ってまで守り通し、尚且つ私達に処刑覚悟で真相を明かしたのに貴様は提督の『覚悟』を『子供の我が儘染みた』理由で踏み弄っている事に気付いていないか!?何が『艦娘の気持ちを知らないで、こんな事言える』だと?フン!笑わせるな!知らなかったら、こんな『自殺行為』なんかしないだろ!!同じ『大和型戦艦(血の繋がった姉妹)』として、あまりにも情けないぞ!!提督の気持ちを察しろ!!このバカ姉!!」

 

大和「……ッ!?武蔵!貴女は悔しくないの!?私達の気持ちを知らないで……自分達の都合で『この真相』を握り潰された事にッ!?」

 

大和は余程怒り、悔しかったのか泣きながら武蔵に聞いた……上層部の身勝手な理由で親友達が救われなかった事に……

 

勇人(大和………チッ!?確かに俺は結局、親父の『力』を借りずに自分の『力』では……どうしようも出来なかった!!さらには俺の言葉で大和だけではなく今まで世話になった艦娘達を仇と返す様な事を……クソッタレ!!)

 

武蔵もまた悔しかったのか涙目になり、処刑覚悟までして話してくれた勇人を庇う様に答えた

自分も大和と同じく上層部の判断で仲間達が救われなかった怒りを押し殺して……

 

武蔵「ああ!悔しいさ!腹が煮っくり反る位にな!!だが『それ』を提督にぶつけるのは『お門違い』だ!寧ろ提督は『被害者』だから提督が姉さんみたいに怒るのは当然だが姉さんが怒r……勇人「もういい……武蔵ありがとう……そして大和……お前、いや『お前達』の癪に障る事をしてしまって……そして俺が力が無かったせいで……悪かった!」……な!?提督!?何故『頭を下げる』んだ!?寧ろ礼を言いたい位だ!!だから頭を上げてくれ!!!」

 

赤城「そうです!!この事件は提督が一番の被害者でもあり事件を解決した『功績者(M V P)』ですよ!!いくら提督が大和さんを怒らせたからって頭を下げるのは武蔵さんの言葉をお借りしますが『お門違い』です!!大和さんも気が済みましたか?怒りたい気持ちは分かります!だが提督に怒りをぶつけるのは間違っています!」

 

勇人は大和型戦艦の姉妹喧嘩を止める様に入り、自分の不甲斐無さが原因だと判断し、大和に頭を下げると武蔵と赤城に頭を上げる様、説得し始めた

 

大和「ッ!?それは分かっています!!ただこの怒り……そして吹雪さんの無念を……」

 

大和もまた、この『怒り』を勇人にぶつけるのは間違っている事位は分かっていた

 

 

ただ親友の……吹雪の無念を晴らしたかった……彼女はそう思い勇人に親友の無念をぶつけたのだ

 

 

勇人「……そうか……フッ……吹雪、お前は『提督』には恵まれなかったが大和みたいな艦娘(仲間達)に恵まれていて良かったな……」

 

大和 武蔵「……ッ!?」

 

武蔵(抜かった!?そう言えば提督は………)

 

大和(……上官だけではなく同期達(仲間達)さえ……酷い仕打ちをされて……)

 

勇人が安心したかの様に呟くと大和と武蔵は勇人の待遇や酷い扱いを受けていたのを思い出し、自分の発言に対して酷く後悔した

 

大和「……提督、先程は感情的になり過ぎて、こんな粗相をしてしまい……スミマセンでした!!」

 

武蔵「私もだ……いくら分かっていたとは言え、見苦しい物を見せてしまったな……すまない!!」

 

勇人「気にすんな、二人の……特に大和の言い分は分かった……所で次の話をしても良いのか?無理なら、また日を改めて話すが……」

 

 

勇人は今の二人の状態を心配しながら聞くと、勇人の呟きで落ち着きを取り戻した二人は、勇人の質問に答えた

 

武蔵「もう『この事件の真相(特別防衛機密)』を知ってしまったんだ!行くとこまで行くさ!」

 

大和「……愚問ですね!」

 

二人は自分の決意を勇人に示すと勇人は酷く重い口調で答えた

 

そう、これが二人に対しての『最終警告』を発している様だった

 

勇人「そこまで言うのなら分かった……ただ、この話は、さっきの比じゃない位のキツい内容だ……それでも良いんだな?」

 

大和 武蔵「はい!」

 

だが勇人の最終警告を無視をし、自分達の決意を発した

 

勇人「……分かった、じゃ話すぞ」

 

勇人は重い口調で『あの事件』の後、一体何があったか答え始めた

 

そう、まるで彼自身が『十字架(覚悟と後悔)』を背負っていくかの様だった


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。