Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

87 / 168
第55話「タカオの決断」

1310 軍艦『高雄』内部の指令部にて

 

ハルナ「疾風、伊400と402の残骸回収が終わったぞ」

 

キリシマ「ったく、柏木(アンタ)といい、勇人といい、何で『この世界の人間』は『お人好し』な性格なんだ……みんな『恐ろしい異名』が付いているのに……」

 

ヒュウガ「そうそう、普通なら私達を『保護』するのではなくて『捕虜』として捕まえるのに……」

 

ハルナ「……全くだ」

 

三人は『この世界』に来て、勇人や柏木そして艦娘達が、見ず知らずの(群像)や、その仲間達、そして敵対している霧の艦隊(コンゴウ達)までもが勇人達に『保護』されている事に少なからず疑問を抱き、呟くと柏木は三人の呟きに答えた

 

柏木「俺達の『本来の敵』は平和を脅かす『深海棲艦』だ……お前達みたいに『パラレルワールドの未来』から来た連中が『第三勢力』として来たら色々と困るからな……なら敵対するより『保護』し、元の世界に返した方が『お互い』損失しないからな」

 

ハルナ「……確かに、この世界に『連れてこられた』私達は『どっちを味方』にすれば良いのか分からないからな……まぁ『連れてこられた』私達にとっては『大迷惑』な話だが……」

 

ヒュウガ「そうね……まぁ『平和的』に解決すれば『お互い』楽して『事を進める』からね……」

 

キリシマ「『敵の敵は味方』……という訳だな」

 

柏木「そう言う事だ」

 

三人は柏木の言葉に『それぞれの解釈』で答えると、柏木は概ね当たっているのか肯定するとタカオが伊401の様子を見て焦り出した

 

 

タカオ「ッ!?ちょっ……みんな!大変よ!サーモグラフティーで『急激に体温が低下をしている人』がいるわ!」

 

柏木「チッ……とうとう『最悪な状態』になりやがった」

 

金剛「最悪な状態?大将、一体……」

 

金剛は柏木の言葉について聞くと、柏木は顔を歪ませ、みんなに言った

 

柏木「……群像が『低体温症』になっている可能性がある」

 

蒼き鋼全員「ッ!?」

 

霧島「え!?司令じゃなくて群像君が!?何故ですか?」

 

榛名「そうです!提督は海の中を泳いでいたのです!何故、提督ではなく群像君が『低体温症』に?」

 

二人は柏木の言葉に疑問を唱えると、柏木は理由を答えた

 

柏木「確かに、低体温症になりやすい『条件』が揃っているのは勇人だ……だがアイツは自身の身体を『艤装の廃熱』を使って『本能的』に身体を暖めていたんだ、そしてメンタルモデルであるイオナに400、402は『コア』……まぁ『本体』の事だが、それが損傷しない限り平気なんだ……そして『消去法』で考えると……」

 

勇次「体力の無ぇ『甥っ子(群像)』が低体温症になった……という訳だな」

 

タカオ「ッ!?こうしちゃいられないわ!!」

 

勇次の言葉に柏木は肯定するかの様に頷くと、タカオは急いで軍艦を動かし始めた

 

柏木「ちょっ!?タカオ!何してる!!」

 

タカオ「だから助けるのよ!『これ』を使って!」

 

タカオは軍艦を前屈みにさせ、潜って伊401ごと救おうとしたのだ

 

柏木「バカ!軍艦が直接『潜って』救助する馬鹿がいるかぁ!!」

 

タカオ「だけど!柏木さんが『これ』を使って助けるって言ってたじゃない!!」

 

柏木はタカオに叱る様に説得するが、タカオは先程の柏木の言葉と『同じ事』を言うと、ヒュウガ、勇次そして三笠はタカオに怒鳴り付けた

 

ヒュウガ「アンタって本当に馬鹿ァ!?とうとう『頭の中』まで『お花畑』になった訳ぇ!?柏木さんは軍艦の錨をイオナ御姉様の潜水艦に『引っ掻けて』上げるつもりだったのよ!!直接潜ったら水圧に耐えきれず軍艦が『轟沈』してしまうわよ!!」

 

勇次「良くても『友鶴事件』みたいに『横転』し、俺達まで『御陀仏』しかけんぞ!無茶ぶりの専売特許は兄貴で十分だ!!」

 

三笠「そうだ!馬鹿な真似は止めろ!勇人みたいに『作戦』が無い状態では危険過ぎる!」

 

柏木達はタカオの暴走を止めようと説得していると、金剛はタカオの気持ちを察したのか、静かに、そして優しい口調で聞いた

 

金剛「……タカオ、一つ聞きたいネー……」

 

タカオ「ッ!?金剛さんも『止める』つもりなの!?」

 

タカオは金剛に強い口調で聞くと金剛は頭を横に振り、落ち着いた表情ではあるものの『芯の通った』重い口調で質問した

 

金剛「No……私はyouにquestion(聞きたい事)がありマース……タカオ……youが絶対に沈まない『保証』がありマスカ?」

 

タカオ「ええ!」

 

金剛「それは何故デスか?」

 

金剛はタカオに聞くとタカオは一呼吸を置いて、金剛に……いや艦内にいる全員に強く、決意のある口調で答えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タカオ「それは簡単よ!『愛は沈まない』!!!ただ、それだけよ!!」

 

タカオは自信に満ち溢れた表情で答えると勇次は某御祭り男みたいに怒鳴り、三笠とヒュウガは呆れ返っていた

 

勇次「アカーン!!つーか、フラグ立てんなや!」

 

三笠「……メンタルモデルって、そこまで『馬鹿』だったの?」

 

ヒュウガ「いえ、彼女だけよ……」

 

三笠「……泣けるわね」

 

柏木「……俺達が止めても行くんだな?」

 

柏木は『根性論(愛の力)』で助けようとするタカオに聞くとタカオは真剣な表情で答えた

 

タカオ「ええ!」

 

柏木「……分かった」

 

三笠元帥「疾風!?正気なの!?こんな事をしたら……」

 

龍鳳「そうですよ提督!こんな無謀とも言える作戦に……」

 

柏木はタカオの行動を了承すると三笠元帥と龍鳳が柏木を説得するが、柏木は呆れながら答えた

 

柏木「……三笠に龍鳳、もし俺が『群像と同じ立場』なら、お前はどうする?」

 

龍鳳 三笠元帥「……多分、タカオさんと『同じ事』をすると思います(思うわ)」

 

二人は俯きながら答えると、柏木はタカオに『ある条件』を言い渡した

 

柏木「タカオ、条件がある」

 

タカオ「何よ?」

 

柏木「……金剛や俺を含め『艦娘全員』の錨をお前に付けさせる!お前が『轟沈』しない為の『保険』としてな!」

 

タカオ「ッ!?」

 

金剛「成程ネー♪タカオの命綱として私達の錨を使うのデスのネー♪」

 

柏木「そうだ、もし危険と判断したら即『引き上げる』からな!」

 

タカオ「ええ!ありがとう!」

 

そう、柏木の条件とは、艦娘達の錨を使ってタカオの『命綱』として救助を補佐する事だったのだ

 

勇次「……はぁ~……海軍の連中って、何で『無茶する』のが好きなんだろうな……仕方ない!俺も『付き合って』やらぁ!!」

 

瑞鶴「全く……ごめんねユージン」

 

勇次「気にすんな」

 

いおり「伯父様に伯母様、私達も付き合いますよ!」

 

瑞鶴「ありがとう……って、オバサン言うな!」

 

杏平「あー!もう!仕方無ぇ!!こうなったらヤケだ!付き合ってやらぁ!!」

 

タカオ「みんな……ありがとう!」

 

ヒュウガ「……仕方無いわね……ん?通信?」

 

勇次や艦娘達そして蒼き鋼全員が柏木の案に乗り、答えるとタカオに『通信』が入り、ヒュウガがタカオの代わりに出た

 

ヒュウガ「はい、此方『蒼き鋼の艦隊』所属のヒュウガ……応答を……」

 

ヒュウガは通信に出るとモニターにはジャミングが入っているものの、通信相手が表示された

その『通信相手』は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇人「……やっと繋がったか、俺だ!」

 

群像「うぅ……寒い………みんな……待たせたな……」

 

佐世保の艦娘達「提督(司令)!?それに群像君!?」

 

そう、モニターには汗を掻いている勇人と低体温症の症状である『身体を震えている』群像か映されていた

 

柏木「お前、何故『汗掻いている』んだ?内部は寒い筈だが……」

 

柏木は寒そうに震えている群像に対して、サウナに入っている様に汗を掻いている勇人を見て疑問を抱き、聞くと、勇人は暑いのか、少し疲れた表情で答えた

 

勇人「……艤装をフル回転しているせいで『廃熱』が……」

 

群像 イオナ 伊400 伊402「はぁ~♪暖かい~♪」

 

勇人「泣けるぜ……」

 

勇人が暑そうに呟くのは『無理もなかった』のだ、何故ならば、勇人は艤装を展開し、艤装の上に耐熱性の高い布を置き、群像達は炬燵に入る様に布の中に入っていたのだ

そんな奇妙な状態を見て、高雄は……

 

高雄「……泣けるわね」

 

三笠「それ、私の台詞だが……」

 

と呆れ返っていた

 

榛名「あ!?そう言えば提督は加賀さんと同じく『筋金入りの暑がり』だったわね……」

 

加賀「暑がりは認めますが……そこまでは……」

 

柏木「……逆に言えば『寒さに強い体質』いや『基礎代謝が相当高い体質』だと言う訳か……通りで低体温症にならなかった訳だ」

 

勇次「まぁ無事で成りよりだな♪んで、救助の件だが……」

 

勇次は勇人に軍艦を使って伊401を引き上げる事を言うと勇人は「成程な」と理解し、答えた

 

勇人「んじゃ俺は下からファイヤーミラーを使って押し出すから」

 

柏木「押し出すのは良いが、さっきの戦いでファイヤーミラーが溜め込んでいた力が無くなった筈だが?」

 

柏木は先程の戦いで溜め込んでいた超重力砲が尽きた事を勇人に言うと、勇人は「あぁ……その事か……」と納得し、答えた

 

勇人「それなら救助する時にファイヤーミラーを使って水圧を『吸収』したから問題無ぇ」

 

柏木「あ、通りで海底の中を泳いでいたのか……」

 

高雄「無茶する割には『計画性』がありますね……」

 

勇人「流石に俺でも『特攻』はしないぞ……」

 

三笠「……色々言いたい事があるが……勇人、出来るか?」

 

三笠は勇人に聞くと、勇人は笑いながら答えた

 

勇人「OK、余裕♪」

 

柏木「こんだけ余裕があれば大丈夫だな♪んじゃ始めるか♪」

 

柏木の号令により、艦娘全員は船から降り、錨を軍艦に巻き付かせて、勇人は伊401の船底に移動した

 

そして数分後……

 

備前「んじゃ!タカオ!」

 

タカオ「分かった!」

 

タカオは軍艦を海中に沈めさせ、伊401に向けて、水圧で徐々に壊れながらも、沈みながら向かった

 

そして……

 

タカオ(……見えた!だけど……機体が……仕方無い!伊401と……)

 

勇人(お!来た来た……って!?轟沈寸前じゃねぇか!?仕方無い!構造上『可能』だが『大博打』だ……伊401とタカオを……合体させるしか無ぇ……)

 

タカオは伊401を発見したが、機体は水圧が掛かったせいで『轟沈寸前』まで破壊されており、勇人は錨を伊401に引っ掛けながらもタカオを発見し、ファイヤーミラーを構え、そして……

 

タカオ(……船底開放!お爺様!今です!)

 

勇人(今だ!ファイヤーミラー転射!フルパワーだ!)

 

勇人は左手を伊401の船底に触れ、突き押す様にファイヤーミラーを起動させ、軍艦『高雄』に向けて『溜め込んだ水圧』を使って伊401を発射させた

だが、此処で『問題』が発生した

それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボキッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

勇人(ッ!?)

 

勇人の左腕から『何かが折れた音』が聞こえると、勇人は左腕を押さえ付け、『強烈な痛み』に苦しんでいるのか顔を歪め、もがき始めた

そう……

 

タカオ(お爺様の左肘が『変な方向』に……まさか!?ファイヤーミラーを酷使したせいで左腕が『耐えきれず』折れたの!?)

 

そう、勇人はファイヤーミラーを酷使したせいで、左腕が耐えきれず『緊縮材』としての役割だった左肘が『骨折』し、変な方向に曲がったのだ

端から見れば『絶体絶命な状態』ではあるが、勇人は伊401に『ある保険』を掛けていたのだ

それは………

 

 

 

 

 

グイッ!!

 

 

 

 

 

 

勇人(イッ!?しかし良かった……錨を引っ掛けておいて……)

 

勇人はファイヤーミラーを展開する前に、伊401に自身の錨を引っ掛けていた為、吹き飛ばした伊401に引っ張られる状態になり、『勇人ごと』タカオに向けて急上昇し始めたのだ

そして……

 

 

 

 

 

 

タカオ(今だ!合体!モード……『Ars nova』!)

 

タカオは自身の軍艦を展開させ、所々『欠落した』伊401に補う様に合体し、潜水艦でありながら軍艦の『良さ』である機動性と対空性を兼ね備えられた伊401の新たな戦闘体勢『Ars nova』になり、そのまま海面に上昇し始めた

 

 

 

 

勇人(馬鹿野郎!!俺を艦内に入れろぉぉぉぉぉ!息が持たねぇぇぇ!)

 

 

 

伊401に錨を引っ掛けたせいで艦内に入れず、外で溺れかけている勇人を引き上げるかの様に……




此処で大事なお知らせがありますf(^_^)
次の章は『ラムネのお兄さん』様の作品『お袋の味が鎮守府に到着しました。これより、調理場の指揮を執ります』とコラボする事になりました\(^^)/
この場をお借りして厚く御礼を申し上げますm(_ _)m

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。