Admiral of Roughneck~From black to white~ 作:八意 颯人
勇人達が出発してから2時間後 1230 とある場所にて
艦長「……これは一体……」
昨日、勇人と加賀の演習を見ていた『艦長』と呼ばれた10代後半位の若い好青年が政治家であろうスーツの男に写真と書類を見て、焦ったかの様に言うと、男は上から目線で青年に言った
男「……今の日本は『この二人の男』のせいで深海棲艦が現れたり、自身の部下である艦娘を虐げているのだ……お前……いやお前達『蒼の艦隊』の力で倒して欲しいのだ……勿論、君たちが『元の世界』に帰るまで全面的にバックアップするつもりだ」
タカオ「……」
艦長「……分かった『佐世保の龍』の情報は掴んだが、『呉の虎』の情報は?」
男「何、慌てる事は無いさ……佐世保の龍さえ始末すれば呉の虎なんて恐るに足らんよ」
男は『何か』を隠しているかの様に鼻で笑い、青年とタカオに言うと青年は少し考え、答えた
艦長「……分かった」
男「では、吉報を待っているよ……千早群像君……」
男は艦長と呼ばれた青年『千早群像』に微笑みながら後にすると群像は顰めっ面になりタカオに言った
群像「……ちっ、何が『国家反逆者の男を殺せ』だ……情報が『違いすぎる』……」
タカオ「ええ……私も独自に調べたんだけど彼『上城勇人』は海軍の中でも類を見ない『問題児』そして呉の虎『柏木疾風』と同じく『軍生徒模範生最優秀賞』を授与する位の『優等生』でもあり『大本営襲撃事件』の功績者そして艦娘達を虐げていた鎮守府……通称『ブラック鎮守府』を救った軍医兼提督そして研修生時代も含め様々な任務、討伐戦において一度も失敗したことが無い『龍子の軍師』としか書かれていたわ……」
群像「しかも日本政府から、そんな彼を『抹消』してくれと……これは何かありそうだな」
タカオ「……ええ、先ずは佐世保の龍である上城勇人に接触しないと駄目ね」
群像「……それは分かっているが、どうやって接触すれば……」
タカオ「そこよね……う~ん……」
二人は考えると背後から鳥海に瓜二つの10代後半の女性が近付き、群像に報告し始めた
鳥海に瓜二つの女性「それなら一か月後に彼の『お見合いパーティー』が開催されるらしいよ」
群像「ッ!?それは本当か!?静!?」
タカオ「ってか『お見合いパーティー』って……」
群像は鳥海に瓜二つの女性『
静「はい、しかも、この世界の中でも群を抜いてトップの財閥『上城財閥』……言わば日本軍……いえ日本政府の『スポンサー』が主催するパーティーでもあり、彼もまた『上城財閥』の血縁者だから彼……というより『玉の輿』目当てで参加する女性が多いのよ……しかも法律上『結婚出来る年齢』に達した女性なら誰でも参加出来るらしいです」
群像「日本政府の!?何故政府のスポンサーの血縁者を……」
タカオ「……」
群像は勇人の家庭内情を聞いて驚き質問すると静は彼女自身の予想であるが群像の疑問に答えた
静「……ひょっとして上城財閥の『裏の顔』が問題になっているんじゃないのでしょうか?」
群像「裏の顔?」
タカオ「……ヤクザと同盟を組んでいたとか?」
タカオは静に質問すると静は頭を抱え、溜め息を出し答えた
静「いえ、それならまだマシです……上城財閥の裏の顔は……この世界の裏社会を統括する極道組織『神城会』言わば『反社会組織』のグループとして活動しているのです」
群像 タカオ「!?」
静「しかも全ての憲兵隊含めて警察機関は神城会には手を出せない……いえ出さないと言った方が正しいのです。神城会のシノギのメインはSPと警察機関の武器提供……VIP御用達の護衛稼業や制圧用の武器を販売をしていたらしいので……」
群像「ヤクザが用心棒……か」
静「どうします?あの男は政府の者……言わば神城会いえ上城財閥の『飼い犬』が
群像「……」
静の案に群像は思考を凝らせ、作戦を考え、考えが纏まり、答えた
群像「なら静、彼に接触するためにお見合いに参加してくれないか?」
タカオ「……成る程ね、二人っきりになれば捕獲する事が出来るからね」
静「分かりました……」
静は群像の案に了承すると場を後にした
だが、群像達は『ある人』に聞かれた事に気付いていなかった
その人物は……
柏木「……バーカ、バレバレなんだよ……勇人、今の聞いたか?」
呉の虎でもあり勇人の戦友でもある柏木に全て聞かれ、リアルタイムで勇人と電話で内通してた事に……
そして……
同時刻 名神高速道路 上がり線 勇人の愛車の車内にて
勇人「……ああ、全く龍光会の連中は相変わらず爪が甘いな、こんなクソガキ共に俺達を抹消する様に命令をするなんてな……舐められたモンだ」
勇人は助手席に座り、千早群像達に舐められたのか、少し不機嫌になりながら電話で柏木に言うと、柏木は勇人に同意するかの様に答えた
柏木「ああ!しかも俺が勇人より『弱い』ってどういうことだぁぁぁ!!後、お前も
勇人「ッ!?電話越しで怒鳴るな!見付かるだろ!気持ちは分かるけどさ……後、最後は余計だ」
柏木「あ……ごめん、見付かっちゃった♪ちょっと待ってろ……」
誰だ!!
通りすがりの憲兵デース!!ではサイナラ!!
待ちなさい!!
バイバイキーン♪
勇人「……今何処にいるんだ?」
柏木「あぁ?お前ん家の近くの廃船工場……」
勇人(……まさか蒼の艦隊のアジトが近所だったなんて……正しく『灯台もと暗し』だな…⋅…)
柏木は走っているのか、少し息が荒く答えると勇人は場所が分かったのか感づき、言った
勇人「彼処か……まさか龍鳳も居るのか?」
柏木「んな訳ねぇだろ、龍鳳は神城会の連中……というより上城会長に保護して貰っている」
勇人「……直ぐに掛け直す」
勇人は電話を切り、とある人に電話し始めた
勇人「……ジッチャン、俺だ」
俊夫「……オレオレ詐欺なら……勇人「勇人だって!」……フン♪冗談だ、一体どうしたんだ?」
勇人「……柏木が『例の連中』に見付かったから、柏木の逃亡を支援してくれないか?」
俊夫「……もう手配しているぞ、陸だけではなく『空』からもな」
勇人「ハヤッ!?」
勇人は俊夫の神対応に驚きつつ答えた
勇人「分かった!今何処に待機しているんだ?」
俊夫「……もうそろそろ虎の若造と接触するはずだ、ちなみに龍鳳ちゃんも無事だ、龍鳳ちゃん、勇人だ」
龍鳳「あ!?中将!?お久し振りです」
勇人「龍鳳!?無事やったん!?」
龍鳳「はい、提督は……」
勇人「安心しろ、ウチの組員がアイツの逃亡支援しているからな」
龍鳳「……良かった」
勇人「俺もオメェが無事で良かったぜ……んじゃジッチャンに変わってくれ」
勇人は龍鳳が無事保護されている事に安堵し俊夫に感謝した
勇人「サンキューなジッチャン!また後で掛け直すわ」
俊夫「おう!」
勇人は電話を切り、柏木に再び電話し始めた
勇人「柏木、聞こえているか?」
柏木「ああ、ありがとうな♪今お前の所のヤクザの連中が蒼の艦隊を妨害してくれたお陰で逃げ切ったが……流石に陸からだけではなく上空から
勇人「やり過ぎが丁度良いのさ♪ってか何故俺ん家にいるんだ?」
勇人の疑問に柏木は勇人に同意するかの様に笑いながら言った
柏木「ハハハハッ♪確かにな♪まぁ昨日お前の親父さんから連絡があってな……俺の艤装をお前ん家で開発するから来てくれと言われてな……そして龍鳳を会長に保護して貰って、ぶらついていたら偶々廃船工場に『高雄型重巡洋艦 高雄』が有ったのを見掛けたからな」
勇人「高雄型重巡洋艦!?マジモンの『軍艦』でか!?」
勇人は柏木の報告を聞いて驚くと柏木は肯定し答えた
柏木「……ああ、もしアレが
勇人「……泣けるぜ……」
勇人は柏木の例えの混じった説明をすると勇人は頭を抱えると、柏木もまた頭を抱え、報告し続けた
柏木「……更にアイツらは、それを高雄含め2つ所有している」
勇人「はぁ!?アイツら……この世界をぶっ壊すつもりか!?」
柏木「全くだ……もう一つは『伊401』……ガチの潜水艦を持っている……能力は『高雄』以上だ」
勇人「……無理ゲーじゃねぇか」
勇人は柏木の報告に悪態を付くと柏木は勇人の悪態に同感し、愚痴る様に言った
柏木「……だよな、せめて潜入して情報を手に入れればな……」
勇人「ん!?潜入……柏木、アイツらって『妖精』を認識出来るんだっけ?」
柏木「いや……それはないな、俺がお前と電話している時に『奴らの目の前』で動画に収めていたのにも関わらず、認識出来なかったからな……まぁ妖精を認識出来るのは艦娘と『それに準じた俺達』でしか……成る程、そういう訳か……」
勇人は柏木の言葉に『ある作戦』を思い付いたのか、柏木に聞くと、柏木もまた『勇人の作戦』の内容を察したのか鼻で笑い理解した
勇人「ああ……奴らの艦内に柏木の妖精を忍び来させてくれないか……」
柏木「……ったく!我が儘な兄弟なこった……分かった、あんまり期待すんなよ……さっき見付かった時に俺の正体までバレてしまったからな……んじゃ」
勇人「おう、任務が終わったら俺ん家で
柏木「それこそ無理ゲーだ♪じゃまた後でな♪」
Pi♪
勇人「全く……」
加賀「提t……勇人「加賀、鎮守府の中じゃないんだから気楽に行こうぜ」……そうやね、勇人さん先ほどの電話なんやけど……相手は柏木大将やったんけ?」
加賀は運転に馴れたのか、昨日みたいに素の口調である『石川弁』で喋ると勇人もまた『石川弁』で答えた
勇人「ああ、全くダラな事を……」
金剛「あの……テートクに加賀、石川弁で言うの止めてくれまセンか?何か仲間外れになった様な気がしマース……」
加賀「なら貴女も石川弁を喋れば良いじゃないですか?」
加賀は悪意があるのか少しニヤけながら言うと金剛は焦った表情で答えた
金剛「無理デース!!」
勇人「金剛、無理して喋んな……後、加賀も苛めんな」
ジジジ……
勇人「ん?もう休憩時間……ッ!?」
金剛「unknown!?テートク……」
勇人「ああ、お前らは少し黙っとけよ……」
勇人は二人を宥めると車内の小物入れに入れてあったトランシーバーが無線を捕まえたのか、無線特有の砂嵐みたいな音を発していた
だが、トランシーバーの画面表示には『
勇人「……誰だ!」
勇人はトランシーバーを持ち、無線を受信している事に警戒をしているのか、相手を脅すかの様に送信者に聞くと相手は勇人のドスの低い声に臆したのか震えながら答えた
送信者「ヒッ!?お……怒っているの……」
勇人(……声が高い、それにお転婆娘……いやサバサバした口調……俺の知り合いに、そんな女性は……あ!?ウチの鎮守府に結構居るわ……んじゃ、ちょっとカマ掛けてみるか……)
勇人「いや悪かったな、アンタの登録していなかったからな♪番号と名前の漢字、教えてくれないか?」
勇人は送信者が警戒しない様に、優しく温和な口調で謝罪すると送信者は安心したのか素の口調なのか、お転婆で元気が溢れている様な口調で答えた
送信者改め『いおり』「『いおり』よ!四月一日と書いて『わたぬき』よ……ってか杏平どうしたの?声が変よ?風邪引いたの?」
送信者『
勇人「ああ、寒かったからな」
いおり「そうね……全く、艦長は何故金沢港の近くの廃船工場を拠点にしたのか……先ほどの憲兵オタク……いえ柏木疾風の件といい、反社会組織である『神城会』に邪魔されるは……」
加賀 金剛「ッ!?」
勇人(ッ!?これは『棚から牡丹餅』って奴だな……よりによって
金剛(understand!!)
勇人は、いおり達に聞こえない様にトランシーバーのマイク部を親指で押さえ、金剛に指示を出すと金剛は勇人のスマホを操作し、ボイスレコーダーをオンにし、スピーカー側にスマホを近付けるのを確認すると、親指をマイク部から離し、しおいに同情するかの様に答えた
勇人「全くだ、ここの憲兵も暇なモンだな……いい加減仕事しろってな」
いおり「杏平にしては最もな言葉だわ……だが……」
勇人(ヤバッ!?バレたか……)
勇人は、いおりの言葉に感付かれたのか冷や汗を流すと、いおりは……
いおり「さっきの憲兵オタクが呉の虎……柏木疾風だったから良かったけど……まぁ、さっきの男が佐世保の龍である上城勇人じゃ無かったのは不幸中の幸いだったが……どうしよう……霧の艦隊の攻撃で『イオナ』『タカオ』の機関部やシールド、超重力砲……あらゆる機関がオジャンになっているわ……これじゃ霧の艦隊おろか『龍虎の艦隊』さえ太刀打ち出来ないじゃないの……しかも浸食魚雷や予備のナノマテリアル等、私達の『全ての物資や武器』が神城会の連中や憲兵オタク……柏木疾風に盗まれたりと……もう!!最悪!!」
加賀 金剛(ホッ……)
勇人(霧の艦隊……どうやら奴らは元々『敵対』していたんだな……ってか仕事早いな……もう終わったのかよ……無茶するぜ……)
いおり「ねぇ!ちょっと!聞いているの!?」
いおりは勇人に気が付いていないのか、先ほどの柏木の件で焦ったのか愚痴を溢すと……
勇人「……ああ、聞いt……男の声「おーい、いおり!誰と連絡を取っているんだ?」……ん?いおり……誰だ?」
いおり「え!?杏平!?」
勇人(ッ!?本人か……仕方ねぇ!)
勇人「金剛!今すぐ録音を止めろ!バレた!」
金剛「oh my god……分かったデース!」
勇人は、いおり以外の男の声の主『杏平』の声を聞くと金剛に慌ててスマホでの録音を停止させる様に命令すると、勇人は右手に持っていたトランシーバーを………
勇人「これを……ふん!!!」
グシャ!!
加賀 金剛「握り潰した(デース)!?」
逆探知防止の為にトランシーバーを握り潰したのだ
勇人「フゥ……これなら逆探知されても大丈夫だ」
加賀「ってか何故トランシーバーを持っていたのですか?」
勇人「……これを使えばレーダー探知機……まぁ警察の『鼠取り』やオービス、更には警察だけではなく救急車やトラック等の無線まで拾ってしまう優れモンの探知機の事だけど、これが無線を拾って、勇次、赤城そして母さん達に指示を出せるからな……まぁ向こうは必死に逆探知しても俺と同じ周波数を使ったトラックの運ちゃんを受信したり、レーダー探知機に引っ掛かったりするからな♪まぁトランシーバーがオシャカになった時点で実質『逆探知不可能』なんだけどな♪」
金剛「つまり相手はテートクのトランシーバーの周波数を逆探知し、その逆探知された周波数を使って来れば、このレーダー探知機で更に蒼の艦隊の無線を逆探知する……って事デスか?」
勇人「ああ♪更に細かく言えば周波数やタイムラグ等を計算し、発信した場所までもが分かり、その場所をナビに反映する事が出来るって訳だ♪よくストリートレースで活用していたが、まさか『こんな形』で役に立つとはな♪勿論、このシステムは警察機関しか装備されてないシステムさ」
金剛「oh……えげつないデース……」
加賀「相当ヤンチャしてたんですね……悪い人ですね」
Pi♪warning!catch the police radio♪
勇人「お!?早速引っ掛かったな♪」
勇人の説明に金剛は引き、加賀は勇人の罠に掛かった蒼の艦隊を想像したのか、ニヤけると勇人の車に搭載されたレーダー探知機が無線を拾ったのか、レーダー探知機のスピーカーから蒼き艦隊のメンバーである四月一日いおりと男の声の主である杏平が無線で怒鳴り付けた
杏平「おい!テメェ!!さっきはよくも俺に成り済ましやがって!!」
いおり「そうよ!!いい加減名乗れ!!ヘタレ野郎!!」
ギャーギャー!!
勇人「ハハハ♪勢いがあって若いな♪オジサンには真似出来ないぜ♪」
金剛「……テートク、消してくれまセンか?とても不愉快デース……」
加賀「……いえ、これはこれで面白いです、もう少し聞きましょ……アイツらの『負け犬の遠吠え』を……ね♪」
勇人「フッ♪それもそうだな……まだ逆探知が終わって無いからな……」
金剛「……」
勇人達は二人の威勢の良い言葉を聞いて逆探知が終わるまで余裕綽々の表情で待っていると……
群像「いおり!!杏平!!今すぐ無線機を壊せ!!逆探知されているぞ!!」
杏平「嘘!?なら……オラァ!!」
キィィィン!!
金剛 加賀「ウグッ!!」
勇人「チッ……感付かれたか……只のクソガキの連中じゃ無さそうだな……だが……」
勇人は蒼の艦隊の連中に無線機を壊されたのか甲高い音が車内に響くと加賀と金剛は五月蝿かったのか耳を押さえ顔を歪め、勇人は舌打ちをし悪態をついたがナビの様子を見てニヤついた
勇人「感付くのが遅ぇよ……クソガキ♪さて、後は『のんびり』と行こうぜ♪」
ナビには、こう記載されていた
『逆探知完了 これよりナビに表示します』と……