Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

53 / 168
第31話「920事件 後編」

数分後 エントランスにて

 

勇人「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

 

長門「はぁぁぁぁ!!」

 

他部隊のアイオワ「you're going down!!」

 

他部隊の金剛「scum!!」

 

他部隊の鈴谷「ウザい!!」

 

他部隊の日向「全主砲!発射!!」

 

勇人達はテロリスト達に主砲、副砲、更には刀等を使って倒していたが……

 

ガチッ!

 

勇人「……チッ!!CIWSもか……長門!!予備の弾持っているか!!」

 

長門「……すまない……さっき渡したヤツで最後だ……フン!!」

 

勇人「……泣けるぜ」

 

テロリスト「今だ!!死ねぇ!!」

 

勇人「ッ!?しまった!?」

 

勇人は長時間の戦闘で全ての弾が尽き、ムラマサブレードのみで戦っており、疲労が溜まり隙が出来た所をテロリストが勇人に攻撃しようとした途端……

 

優花「はぁぁぁぁ!!」

 

ズシャ!

 

テロリスト「グハッ!!」

 

勇人「優花!?お前、この姿……まさか!?」

 

優花「ごめん勇人君……ウップ!!」

 

勇人「チッ!!無茶しやがって……ここは、お前が来るような場所じゃねぇ!!さっさと……優花「嫌よ!!私だって勇人君を助けたいの!!それに勇人君だって弾切れで日本刀のみで戦っていたじゃないの!!私も勇人君や柏木中将と同じ『半艦娘』だから、みんなを守る為に戦いたいのよ!!」……分かった、優花、予備の弾持っているか?」

 

勇人は優花の決意に負けたのか参戦を許し、予備の弾の在庫を確認すると優花は認めてくれた嬉さなのか、微笑みながら言った

 

ちなみにまだ、柏木は『この事件』の後、大将に昇任した為、中将とさせて頂きます

 

優花「勿論!たんまりと持ってきたわ!」

 

勇人「なら少しくれ!!」

 

優花「了解!」

 

優花は弾を勇人に渡すと勇人は弾を装填し優花に気合いの入った口調で言った

 

勇人「さぁ!!最終ラウンドだ!行くぞ優花ァ!!」

 

優花「うん!!伊勢型特殊航空戦艦『日向』……」

 

勇人「金剛型特殊戦艦『三笠』……」

 

勇人 優花「……カチ込むぜ(出ます)!!」

 

二人は互いに気合いを入れるかの様に叫び、テロリスト集団に向けて突撃した

 

 

 

 

一方 研修生指導相談室にて

 

沖田「はぁ……はぁ……上城チャン!!無事かいな!?」

 

一馬「うるさい、腹に響く」

 

沖田側の龍讓「ん!?チョイ待ち!!何で桜花連合の孫娘が戦っているんや!?しかもウチらと同じ艤装をして……」

 

沖田「あ、ホンマや」

 

高町「え………あの娘は半年前の………生きていたの!?」

 

三笠「実は……」

 

三笠は援軍で来た沖田や高町達に優花について説明すると沖田、龍讓は半年前の事件を思い出したのか懐かしむ様に言った

 

三笠「……と言うわけよ」

 

沖田「ニッヒヒッヒ!半年前が懐かしいな……ホンマあの時は冷や汗が出たな……」

 

沖田側の龍讓「そうやな……あの再起不能だった研修生が今は佐世保鎮守府総司令やもんな……凄い出世したんやな……しかも優花はんは、女性提督や艦娘達に人気な勇人に惚れているなんて……って三笠はん!?アンタ大丈夫なん!?勇人と融合してたんじゃ!?」

 

沖田「あ!?そういえば!?」

 

三笠「今更か……ん?高町、お前大丈夫か?」

 

三笠は二人の言葉に呆れつつ、不機嫌になった高町の様子を見て、聞くと高町は不機嫌な口調で答えた

 

高町「……大丈夫です三笠教官……」

 

高町(……あの女……勇人君を……階級は同じだけど先輩として『お話』しないと……)

 

三笠「……そうか」

 

三笠 (……高町、お前もか……)

 

沖田 沖田側の龍讓(……シュラバヤ海戦待ったなしやな……同情するで……勇人)

 

明石(あはは……こりゃ勇人さんを射止めるのに苦労するよ……佐世保鎮守府の私……)

 

一馬(ん?何だ……この昼ドラみたいな空気は……)

 

高町側の長門(……元帥、私の提督が貴方の息子に惚れているのですよ)

 

一馬(……あの天然スケコマシが……)

 

三笠(……アンタが言うな……射止めるのに苦労したんだから……)

 

一馬(……)

 

ジジジ……

 

三笠「ん?無線が反応しているわね……はい、こちら三笠……応答お願いします」

 

三笠達は高町の心情を察していると無線が受信し、三笠が応答した

 

無線の相手『この声は三笠!?私よ!三笠よ!!』

 

沖田「三笠!!」

 

そう、無線の相手はテロリストに人質として捕まってた三笠元帥だったのだ

 

三笠「ッ!?三笠!!無事だったのね!!」

 

三笠元帥『うん!今、疾風に助けてもらって保護してもらっているの……そっちは?』

 

三笠「……旦那が撃たれたが、応急手当をしたから問題は無いわ」

 

三笠元帥『……そっか、私の所はテロリスト殲滅に成功したから、そっちに援軍するけど……』

 

三笠「なぁに、私の所は大丈夫さ……今は身体を休めておきなさい」

 

三笠元帥『うん……分かった、ありがとう、お姉ちゃん』

 

三笠「……姉貴ではないのだが……では柏木によろしくな、馬鹿な妹よ」

 

三笠元帥『だれが馬鹿な妹よ!!馬鹿姉ぇ!!』

 

三笠「あぁ?轟沈させてぇのか?」

 

三笠元帥『上等じゃないの!』

 

一馬「無線越しで喧嘩すんな!!馬鹿垂れ!!」

 

W三笠「すみません……」

 

一馬「まぁ無事で良かったな、後の事は俺達に任せておけ」

 

三笠元帥『うん……後はお願いします上城元帥……馬鹿姉ぇ……じゃなかった三笠を宜しくお願いします』

 

三笠元帥は一馬にお願いをすると無線を切った

 

三笠「……全く、私の事を『お姉ちゃん』とはね……」

 

沖田側の龍讓「まぁ同艦やからしゃーないけど……今は、この状況をなんとかせなアカンな」

 

一馬「同感だな」

 

沖田「上城チャン……そのダシャレは受けへんで……」

 

一馬「洒落で言ったつもりでは無いんだが……」

 

三笠「……とにかく、今は勇人達を信じるしか無いわね」

 

高町「……長門、直ぐに……」

 

高町側の長門「分かりました!では今から行きましょう!」

 

三笠「待ちなさい!人の話を聞いてたの!!長門は兎も角、貴女まで行くの!?」

 

三笠は長門と共に出撃しようとした高町を止めると高町もまた、優花と同じく決意のある口調で答えた

 

高町「分かっています!ですが、あの女と同じく私も勇人君……いえ上城中将に助けて貰いました!だから少しでも恩を返したいのです!どうかお願いです!私も出撃させて下さい!!」

 

高町側の長門「私からもお願いします!!提督を出してくれないか!!」

 

高町と高町側の長門は三笠に懇願する様に頭を下げたが……

 

三笠「駄目だ!!お前は柏木や勇人、優花さんみたいに『深海棲艦を倒す力』や『戦況判断』そして『武術を取得』して無いじゃないか!!出撃許可を出せるのは長門だけだ!!」

 

高町「しかし……」

 

沖田「まぁ、そりゃそうやな……悪いが高町は負傷者達を安全な場所まで避難させてくれへんか?」

 

三笠の一喝に高町は悔しいのか握り拳を作り、歯を食い縛った表情で答えた

 

高町「……分かりました……」

 

高町側の長門「クッ……では柏島拍地、第2前線基地所属、長門型戦艦、長門……出撃します」

 

二人は三笠の指示により、悔しいのか顰めっ面で長門は戦場に、高町は負傷者達を避難しに向かった

 

 

 

 

 

数分後 エントランスにて

 

勇人「はぁ……はぁ……」

 

優花「はぁ……はぁ……後は貴方だけよ……観念しなさい」

 

テロリストのリーダー格「この化物風情が!!何故貴様らは艦娘と同じく艤装を所有しているんだ!!」

 

勇人、優花そして他部隊の艦娘達によって、テロリスト達はリーダー格を残して殲滅したのだ

 

勇人「……これは特別防衛機密だから言えねぇんだよな……まぁこれから死ぬ貴様には関係無いが……」

 

リーダー格「クソッタレが!!」

 

テロリストのリーダー格は懐から拳銃を取り出し、勇人に向けて照準を定めた

 

勇人「……92式拳銃か……粗悪品を……」

 

優花「……これで分かったわ、貴方達のバックにC国……いえ龍光会がいることをね」

 

リーダー格「ッ!?何故分かったんだ!!」

 

リーダー格は勇人と優花の推理が当たったのか狼狽えた

 

長門「92式拳銃?提督に優花さん、何故拳銃だけで分かったんだ?」

 

勇人「あの拳銃はC国の粗悪品……というより劣化コピー品で裏社会で密輸され、主に弱小の極道組織の下っぱが使っている拳銃だ……しかも……」

 

優花「……拳銃として致命的な欠点があるのよ……それは……」

 

勇人「悪い事は言わん、その銃は止めておけ」

 

二人は実家がヤクザ組織である為、裏社会に精通しており、長門の疑問に簡潔に説明するとテロリストのリーダー格は自棄になったのか……

 

リーダー格「どいつもこいつも!!舐めやがって!!死ねぇ!!蒼白龍!!」

 

リーダー格は勇人に向けて発砲したが……

 

バン!!

 

長門「なッ!?」

 

勇人「言わんこっちゃ無ぇな……この銃は……」

 

リーダー格「う……ウワァァァァ!!手がァァァ!手がァァァ!!」

 

長門「拳銃が……これは一体……」

 

優花「簡単な理由よ、この拳銃の致命的な欠点は……」

 

勇人 優花「……暴発し易いのよ(直ぐに壊れるんだ)

 

二人は暴発し、右手が無くなり狼狽えてたリーダー格を哀れな目で見ていた

 

勇人「……俺の所でも使わないのにな……馬鹿な野郎だ」

 

優花「そうそう……これは常識なのに……」

 

他部隊の艦娘達「いやいやいや!普通の人は拳銃の知識なんか知りませんよ!」

 

長門「……まぁ無事制圧完了したから良いじゃないか」

 

吹雪「そうですね」

 

長門と吹雪は勇人達の様子を見て、少し呆れつつ、艤装を解除すると……

 

リーダー格「……まだだ!まだ終わってない!!」

 

リーダー格は勇人に突進し、勇人の艤装に座り、そして勇人の背中にしがみついた

 

勇人「チッ!!離せ!!」

 

優花「ッ!?それは……」

 

勇人は、しがみつかれたテロリストのリーダー格を離そうと暴れると、リーダー格は左手に『ある物』を持っていた

 

長門「手榴弾!?貴様!提督と心中するつもりか!!」

 

そう、テロリストのリーダー格は左手に手榴弾を持っていたのだ

 

リーダー格「どうせ死ぬのなら貴様共々だ!!日本解放g……勇人「……そんなに死にたいのなら天国までの片道切符代位は奢ってやる!シースパロー発射!サルボ!!」……なっ!?」

 

パシュ!!

 

ドゴッ!!

 

リーダー格「グハッ!!ま……まさか!?」

 

勇人「言った筈だ、死ぬのは貴様だとな」

 

勇人は艤装の上に乗っているテロリストのリーダー格をシースパローごと上空に飛ばし、そして……

 

リーダー格「や……やめろォォォォ!」

 

ドカーン!!

 

エントランスの天井でシースパローごとテロリストのリーダー格を爆破させた

 

勇人「……殲滅完了だ」

 

優花「うん……ッ!!」

 

バタッ!

 

勇人「おい!!優花!!大丈夫か!?」

 

長門「ッ!?優花さん!!」

 

勇人と長門は倒れた優花に近付き、容態を確認した

 

優花「……ウップ……気持ち悪い……」

 

勇人(……薬のお陰でD-cellの拒絶反応は出てないが、大量の死体が転がっている状態や緊張状態からの解放で心労が祟ったんだ……)

 

長門「提督!優花さんは拒絶反応を……」

 

勇人「……いや、ついこの間まで戦場の前線に立った事の無い一般人が極度の緊張状態から解放したことにより、溜まったストレスが一気に来たんだ」

 

長門「……すまない、もう少し分かりやすく教えてくれないか?」

 

勇人「……簡単に言えば安心して一気に疲れが出たんだよ……ただ『疲れが出てきた』だけなら、まだマシさ」

 

長門「……マシって……どういうことだ?」

 

勇人「精神面での後遺症が発生しているかもしれない……『心的外傷(トラウマ)』……下手したら『心的外傷後ストレス障害(PTSD)』になりかねん……長門、彼女を安全な場所に避難させてくれ」

 

長門「分かりました、では至急向かいます……優花さん行きますよ」

 

優花「うん……後はお願いね、勇人君……」

 

勇人「おう、助かったぞ……ありがとうな」

 

長門「先程の戦う姿、お見事でした……そして、お疲れ様です」

 

優花「ッ!?うん!!長門もお疲れ様……」

 

勇人は長門に指示を出すと、長門は勇人に褒められ微笑んだ優花を抱き抱え、走って避難場所に向かった

そして、擦れ違いに高町側の長門がエントランスに入ってきた

 

高町側の長門「上城中将!テロリスト共は?」

 

勇人「今丁度、殲滅完了したから……後は負傷者達を安全な場所で避難しないとな……何処の鎮守府の長門かは知らないが手伝え」

 

高町側の長門「……分かりました」

 

高町側の長門は勇人の指示により、勇人が前線で戦っていた艦娘達を治療する為、艦娘達を安全な場所に避難させた

 

こうして、艦娘含む海軍関係者の死亡者『495人』、負傷者『293人』が発生した海軍創設以来の悪夢の事件『920事件』は幕をおろした

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。