Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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第26話「ケジメ」

運命の時間 1600 体育館改め屋内演習場にて

 

堤下「ちっ!放せ!」

 

優香里「……」

 

堤下と優香里は身体を椅子に縛り付け、堤下は悪足掻きしているように、鎖を引きちぎろうと身体を動かし、優香里は諦めたのか静かに待っていた

 

そして二人の目の前には佐世保鎮守府の艦娘達や勇人、勇次、蘭、沙耶、優花そして赤城が立っていた

 

勇人「……これから堤下、そして上坂優香里の処罰を発表する」

 

堤下「処罰だ?俺を処罰したら龍光会の連中が黙ってn……勇人「龍光会?ああ……あの豚の連中か……あの豚なら殺したぞ」……な!?」

 

勇人「まぁ……仮に龍光会を敵に回しても、何も痛くも無いからな」

 

堤下「………クッソーーーーーー!大体、何故貴様みたいな新米や玩具みたいな連中が俺を処罰しないといけないんだ!?」

 

勇人「!?」

 

堤下の怒鳴り声が屋内訓練場に響き渡ると金剛が堤下の前に立ち、英語で怒鳴り返した

 

金剛「shout up(黙って)!!You don't even know how we feel!!(私達の気持ちを知らないくせに!!)

 

堤下「うるせぇ!!艦娘なんて『兵器』であり玩具だろうが!!そんな兵器に気持ちなんて考えていられるか!!」

 

金剛「What's(何ですって)!?You!!」

 

金剛が堤下の胸蔵を掴み、殴ろうとした途端………

 

 

 

 

 

 

ドカッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

堤下「グハッ!!!!」

 

金剛が堤下を殴る前に、堤下を殴り飛ばした人がいたのだ

その殴り飛ばした人とは……

 

勇人「………」

 

金剛「て……テートク……」

 

そう、堤下の発言で怒りを露にしている勇人が殴り飛ばしたのだ

 

勇人「……テメェ……いい加減にしろ!お前は俺の『家族』に手を出したんだ!そんな『ゲスの極み』に立ったテメェが俺の家族を『玩具』だと!?調子こいてんじゃねぇ!!!」

 

 

 

ドカッ!!

 

バキッ!!

 

ドゴッ!!

 

ガン!!

 

堤下「グハッ!!!!ブッ!!!ガハッ!!!!イッ!!」

 

勇人は仲間であり家族の一部である金剛達が堤下に侮辱された事に激怒し、堤下を殴り、蹴り飛ばし続けたのだ

その姿は海軍としての姿ではなく『極道』としての姿だった

 

勇人「オイコラ、誰がオチて良いと言ったんだ?コラァ!!!」

 

長門(なっ!?これが……提督の……)

 

蒼龍(ひっ!?こ……怖ぁ……)

 

不知火(流石、本場仕込みの……チビりそう……というより……チビりました……)

 

伊勢(ひっ!?)

 

比叡 榛名 霧島「ヒェェェ……」

 

勇人は堤下の頭を掴み、堤下に怒鳴り散らす勇人を見て艦娘達は勇人の迫力に臆し、縮こまった……

 

だが……

 

ガバッ!!

 

金剛「……stopデース!!テートク!!これ以上やったら死にマース!!」

 

勇人「あぁ?何しやがる!?離せ!」

 

金剛は勇人の行き過ぎた行為を止める様に後ろから抱き付くと勇人は、余程『家族』に対して馬鹿にされた事に激怒しつつ金剛に命令すると金剛は首を横に振り泣きながら答えた

 

金剛「Noデース!!確かに堤下に馬鹿にされて悔しいデース……ですが、それ以上にテートクが私達の事を……『家族』と言ってくれた事に嬉しいデース……私は……いえ私達はテートクの『こんな姿』だけは見たくない……Mafia(極道者)としてはなくAdmiral(提督)として……そして私達のLover(最愛の人)として……」

 

勇人「金剛……オイ」

 

堤下「ヒッ………」

 

勇人は頭が冷えたのか、はたまた金剛の言葉に響いたのか堤下を投げ捨て、ドスの効いた口調で喋った

 

勇人「……お前は『玩具』と言ってた彼女達が『お前の為』に止めたんだぞ……お前も男なら、それなりのケジメ……付けさせろよな」

 

堤下「!?」

 

勇人は堤下に言うと堤下は艦娘達の方向に身体を向けて泣きながら言った

 

堤下「俺の身勝手な行為に……お前達を傷つけてしまって………すみませんでした!!!!謝っても許されないのは分かっている!だが!今の俺には、これが精一杯のケジメだ!だから……」

 

堤下は泣きながら頭を下げると長門は勇人の行為に臆しつつ堤下に言った

 

長門「……確かに謝罪しても許す事は出来ない……」

 

勇人「長門……」

 

長門「だが!今の貴様は、それが精一杯のケジメ……ここは貴様……いや元提督の顔を立てて……貴方のケジメ……認めるよ……みんな!それで良いか?」

 

長門が艦娘達に言うと艦娘達は頷くと堤下は泣きながら言った

 

堤下「本当に………ごめんなさい……」

 

勇人「……さて、次は上坂優香里……お前の処罰……そして『あんたの息子』として言いたい事がある」

 

勇人は真剣な表情で優香里の前に立ち、そして……

 

 

 

スッ………

 

 

 

比叡「な!?」

 

香取「え!?」

 

睦月「にゃしぃ!?」

 

夕立「ポイ!?」

 

長門「フッ……成る程な……」

 

陸奥「あらあら……」

 

鳳翔「司令!?何故あの女に『頭を下げる』のですか!?」

 

そう、勇人は優香里の前で頭を下げたのだ

鳳翔は勇人の行動に頭に来たのか怒鳴りながら近付くと龍飛が鳳翔の前に立ち、真剣な表情で言った

 

龍飛「……お前は馬鹿か?若が何故『頭を下げた』か分かるか?」

 

鳳翔「……あの女に『負け』を認めt……」

 

バチン!

 

鳳翔「ッ!?」

 

龍飛は鳳翔の答えに間違っていると言わんばかりに鳳翔の顔を叩いた

 

龍飛「違うだろ、若が頭を下げるのは……あの女の息子としてのお願いでもありケジメなんだよ!!」

 

鳳翔「お願い……ですか……」

 

龍飛「まぁ長門さんと陸奥さん、鹿島さん、吹雪さん、優花さんに勇次お坊ちゃん、お嬢達は分かっていたけどね」

 

勇人「上坂優香里……いや『お袋』……」

 

優香里「ッ!?アンタ……顔を上げなさい!頼むから……私はアンタの口から……『それ』を聞く権利は……勇人「黙って聞け!俺……いや俺達兄妹として言いてぇんだ!」……ッ!?」

 

龍飛は鳳翔に言うと勇人は優香里に頭を下げつつ、言葉を発した

 

そう……

 

 

 

 

勇人「こんな形ではあるが……俺達を産んでありがとう……でなければ俺達はこんな素晴らしい家族に出会えなかった……そして……上坂優香里の息子として言う……『生きて罪を滅ぼして、また綺麗さっぱり片付けたら、また会いに来てくれ……』」

 

優香里「ッ!?」

 

勇人は兄妹達を代表に優香里に感謝し、それと同時に息子として『生きて罪を償ってほしい』との事だったのだ

 

そう、勇人は『提督』としてはなく、『上坂優香里の息子』としてのケジメを選んだのだ

 

優香里「アンタ……よくも……私に『そんな』……言葉を……しかも……ヒック……私みたいな『母親失格』な親に……」

 

勇人「だからこそだ……お袋にはムショの中で確り罪を償い、心を入れ替わって欲しいからな」

 

勇人は嬉し泣きしている優香里を優しく言うと沙耶は優香里に近付き、言った

 

沙耶「それに母さんは、あの男の父親に『弱味』を握られてたんでしょ?まぁ一昨日、パパと飲みに行っている時に捕まえたんだけどね」

 

勇人「マジで!?」

 

沙耶「マジ」

 

赤城「本当です……私も昨日、優香里……いえ元副提督から聞きました」

 

勇人「……なら、死罪や無期懲役は、まず『無い』が……最低でも20年近くはムショ生活になるから……きちんと反省してくれよ……お袋……」

 

沙耶は一昨日の強盗の正体は堤下の父親で、現役時代から彼に『弱味』を握られた事を勇人に伝えると勇人は優香里に優しく言った

 

優香里「うん……本当にごめんなさい……そして『ありがとう』……ハヤチャン……」

 

勇人「お袋の口から、それを聞くのは20年ぶりだな……永木、いるんだろ?」

 

勇人は艦娘達の中から『呉鎮守府所属 柏木隊』と書かれていた腕章をした永木を呼び、永木は呆れながら近づいた

 

永木「……良かった……此所で殺したら怒鳴り散らそうとしたが……問題なかったな」

 

勇人「……今の話を聞いていたが、お袋は……」

 

永木「分かっている、隊長に助言してもらって死罪や無期懲役にならない様にしてもらうから……後は任せろ」

 

勇人「頼む……」

 

勇次 沙耶 蘭「お願いします……」

 

永木「フッ……後で隊長宛にサヤちゃんのサイン送ってくれよ……あの人、サヤちゃんのファンだからな……名前は兄貴から聞いてくれよ」

 

沙耶「フフッ……分かりました」

 

永木は安堵した表情で二人を連れて、大本営に連れて行った

 

二人の感謝と謝罪が入り交じった涙声を響きかせながら……


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