Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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第20話「母としての誇り、優しき蛇の激励」

勇人が優花を抱え込み、鎮守府に飛び立ってから1時間後 佐世保鎮守府 出撃用格納庫にて

 

桜花優花 D-cellによる感染死まで残り『8時間30分』

 

桜花「……龍の若造……優花……」

 

桜花は格納庫の扉が開き、静かな海が見える展望台を勇人の任務の成功そして孫娘である優花の無事を願う様に海を見ていると勇人の祖父、俊夫が葉巻を吸いながら近付いて来た

 

俊夫「……孫娘の事が心配か?桜花のじいさんや」

 

桜花「……神城会会長か……相変わらず『若々しい』顔や体じゃな……羨ましい限りじゃな……」

 

俊夫「ふん♪日頃のトレーニングの賜物だ♪まだまだ若い衆には負けんからな♪」

 

桜花「……儂には『到底出来ない』賜物じゃな……」

 

俊夫「伊達に会長と名乗ってないからな♪んで話は戻すが……やっぱり孫娘の事が……」

 

俊夫は桜花の横に胡座をかき、吸いきった葉巻を海水に浸け消火をし、それを缶タイプの携帯灰皿に入れ桜花に聞くと、桜花は俯きながら言った

 

桜花「当たり前じゃ……儂の一人息子の夫婦の『忘れ形見』なんじゃ」

 

俊夫「ッ!?忘れ形見……か、なら『心配するな』とは言えないな……」

 

桜花「お前は、どうなんじゃ?孫である龍の若造の事が心配じゃないのか?」

 

桜花は俊夫に質問すると、俊夫は笑いながら答えた

 

俊夫「フン♪俺の孫達は『この位』のアクシデントは屁でもない!むしろ『何倍』になって返してくる始末さ♪」

 

桜花「……強く育て上げたんじゃな……」

 

俊夫「まぁ……こればかしは三笠さんのお陰だな♪『あの女の問題』も片付けてくれたからな♪」

 

俊夫は笑いながら言うと堤下達を捕獲し終えて鎮守府に戻ってきた三笠達が堤下達を放り投げ、微笑みながら言った

 

三笠「そう思ってくれているのなら早く勇人の緊急着陸用の緩縮ゴムの設置の手配をしてください♪『お義父さん』」

 

俊夫「フン♪そうだ……な!?三笠さん!?いつ復活したんだ!?」

 

桜花「な!?誰じゃ!?この別嬪さんは!?」

 

三笠「ついさっき復活しました♪あ、お初目にかかれます、私は貴方が言ってた『龍の若造』の母の『三笠』と言います♪以後お見知り置きを♪」

 

桜花「なぬ!?この別嬪さんがアンタの息子の嫁さんか!?儂は『桜花連合会長』の桜花繁じゃ♪まぁ龍の若造達に壊滅されたが……」

 

桜花は三笠に笑顔で自己紹介すると三笠は温厚な雰囲気から一転し、ドスの低い声……いや殺意の篭った声で言った

 

三笠「貴方が勇人や赤城達を処刑しようとしたヤクザの会長ですか……いくら孫娘が人質になっているからって…俊夫「まぁまぁまぁ三笠さん……もう捕まえたから良いだろ?今さっき勇人が優花ちゃんの保護に成功したと連絡があったぞ♪しかもK国の将軍を仕留めたらしいぞ♪」……ほぅ♪流石勇人だわ♪ってか、お義父さん!それを早く言ってください!」

 

桜花「なんじゃと!?優花が……」

 

桜花は俊夫の言葉に驚愕し、そして踞った

 

桜花「ウグッ………ヒック………優花ぁ……」

 

そう孫娘が保護された事に嬉しく泣いていた……だが俊夫は少し俯いた表情で言った

 

俊夫「……だが『無事』では無いらしいぞ……D-cellというウイルスに感染していたんだ」

 

桜花「ッ!?そんな……なぁ三笠さん!どうすれば優花は助かるんじゃ!」

 

三笠「……昔、勇人がD-cellに感染していたんだ……だが勇人は『とある治療法』で治したんだ……まぁそのお陰で私も復活したんだけどね」

 

桜花「なんじゃと!?それは……どういう治療法なんじゃ!?」

 

桜花は自分の孫娘がD-cellに感染していた事に絶望していたが三笠が半年前、勇人と三笠が融合した治療法を言うと桜花は三笠に懇願するように言うと三笠は桜花に警告を発する様に重い口調で答えた

 

 

三笠「……はっきり言って『人として』禁忌な治療法だけど……覚悟は出来ているよね?戻れなくなるよ?」

 

桜花「……そんなもん、『この世界』に入ってから覚悟は出来ている!」

 

桜花の決意のある言葉に三笠は「分かった」と言い、その治療法を伝えた

 

三笠「……瀕死の艦娘と融合するのよ……」

 

桜花「な!?艦娘と……だど!?そんな非人道的な……」

 

桜花が三笠の言葉に絶句すると……

 

ゴオォォォォォ!

 

 

母さん!今すぐワイヤー張ってくれぇぇぇぇぇ!!

キャーー!速すぎるよォォォォォ!

 

三笠「……どうやら時間が無いみたいだね……扶桑!山城!第6駆逐隊!今すぐ錨付きの鎖を使って勇人を止めるわよ!」

 

扶桑 山城 第6駆逐隊「はい!」

 

電「なのです!」

 

ジャラララ……

 

ガシッ!

 

二人は三笠の指示で錨付きの鎖を山城、響、雷は扶桑、暁、電に、扶桑、暁、電は山城、響、雷に投げ、即席の緩縮装置を作ると海上に物凄い速度で低空飛行している勇人の錨に引っ掛け、強制的に停めようとしたが……

 

グイッ!

 

扶桑「ウグッ!何なの!?この……」

 

山城「馬鹿力は……引っ張られる!」

 

第6駆逐隊「キャーーー!止まらないーーー!」

 

勇人「チッ!間に合え!逆噴射!」

 

ゴオォォォォォ!

 

勇人は扶桑姉妹と第6駆逐隊を引きずりながらジェットエンジンを逆噴射をし停めようとしたが……

 

ゴオォォォォォ!

 

ブチッ!!

 

扶桑姉妹 第6駆逐隊「鎖が切れたぁぁぁ!!」

 

勇人 優花 「嘘!?止まらないぃぃ!ジッチャン(おじいちゃん)!退いてぇぇぇ!」

 

扶桑姉妹そして第6駆逐隊は勇人のスピードに耐えきれず鎖が切れ、二人はそのまま俊夫達がいる所に突っ込んで来たのだ

俊夫は呆れながら立ち上がり……

 

俊夫「……全く、三笠さんに似て爪が甘いな……」

 

パサッ……

 

俊夫は呟き、上半身を脱ぎ捨てると……

 

明石「な!?」

 

球磨「クマァァァァァ!?」

 

多摩「ニ"ヤ"ァ!?」

 

龍田「あら~立派な『蛇の和掘り』だわ~」

 

羽黒「ひっ!?」

 

那智「なっ!?」

 

妙高「……まぁ現役のヤクザだから予想はついてましたが……凄い肉体ですね♪流石、提督のお祖父ちゃんですね♪」

 

俊夫「ハハハ♪まだまだ若い者には負けんよ♪さぁ勇人!そのまま『ぶつかって』来い!俺を信じろ!」

 

勇人「……どうなっても知らんぞ!!」

 

俊夫「構わんッッ!!バッチコーイ!」

 

そう俊夫の背中には日本最強の毒蛇『ヤマカガシ』の和掘りが施されていたのだ

そして俊夫は勇人達を受け取りる様に『大の字』になるように構え、そして……

 

俊夫「はいだらーーーー!!」

 

ガシッ!!

 

三笠「なっ!?」

 

明石「え!?」

 

扶桑姉妹「嘘でしよ!?」

 

暁 響 雷 電「……司令官達を……」

 

ビスマルク「『受け止めた』……」

 

夕張「……完全に『ビック〇ス』だわ……眼帯と蛇関係な意味で……」

 

そう、俊夫は逆噴射で速度を落としているものの時速100㎞を出していた勇人達を止めたのだ

 

勇人「ふぅ……サンキュー♪ジッチャ……俊夫「こんのバカタレ!!」」

 

ゴン!!

 

勇人「痛っ!?」

 

勇人は俊夫に拳骨を貰い、勇人に渇を入れる様に言った

 

俊夫「お前は作戦や何事にもおいて『完璧』だ……だか『爪が甘い』所が目立つぞ!」

 

勇人「しかし……俊夫「しかしもヘチマも無い!現に、その爪の甘さで優花ちゃんを危険な目にあったんだろうが!!」……ッ!?」

 

勇人は反論をしたが俊夫は正論を言うと勇人は自分の非を認めたのか黙った

 

俊夫「……だが今は説教している場合じゃないな……早く行け!時間が無いだろ!もし優花ちゃんを救えなかったら本道無用の『絶縁』だからな!」

 

俊夫は勇人に強い口調で言うと勇人は気合いが再び入ったのか鼻で笑いながら答えた

 

勇人「……当たり前だ!彼女は俺の『患者』だからよ!!明石!夕張!至急手術開始だ!」

 

明石 夕張「分かりました!!」

 

優花「……後は任せたよ……勇人さん」

 

桜花「……宜しく頼むぞ……龍の若造」

 

俊夫「フン♪あの生意気なクチは若い時の一馬に似ているな……いや基を糺せば若い時の俺に似ているな♪」

 

勇人は二人を連れ、医務室に併設されている『手術兼改装室』へ急いで向かった

 

桜花優花 D-cellによる感染死まで残り『8時間』


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