Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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第12話「二人の龍虎、再び……」part 3

翌日 演習当日にて

 

備前(この日は雨も降らず快晴だが、波が高かった。それがどうかしたかと思う者も多いだろう……。だが、私は此処でこの言葉を敢えて言おう。『本日天気晴朗なれども波高し』。この言葉の通り、佐世保鎮守府の前にある防波堤には、波が打ちつけている。そして、既に演習開始40分後だが……どうしてこうなった……。私は、演習前の10分前から起こったとあるアクシデントに巻き込まれている……)

 

勇人「柏木!何黄昏てんだ!早くこの状況どうにかしないとまずいぞ!」

 

備前「……はっ!私は今までどこに……勇人「そんなことどうでもいいから早く手伝え!」……分かったよ」

 

勇人達が演習時に起きたアクシデントとは……深海棲艦が攻めて来たのだ

既に市民への避難命令は出したが、それもほんの10分前だ。しかも、敵の数が多い。ざっと50はいるであろう

そして、現状は非常にまずい状態であり佐世保の戦艦組は一昨日の訓練が意外と役に立っているのか……。

 

大和「武蔵!敵に接近するわ!」

 

武蔵「了解した!」

 

近接戦闘に特化した大和型二人ができた……柏木や勇人としても、これは由々しき事態である。緊急時の対処として近接戦闘を彼女達の身に叩きこんだが、やりすぎたようだ……

そして、吹瀬が死んではいないが負傷している。左腕の骨折。これだけで済んだのは凄い事だ。備前は所々、欠損した。

それはさて置き三笠元帥も現在戦線を離れている。その為現在は勇人と備前、大和型二人に空母が援護、そして大鯨といった状態だ。なぜこうなったのか、どうせだから話を6時間前まで戻そう。

 

 

 

08:00グラウンド

 

備前「おらぁ!さっさと走らんかぁ!」

 

比叡 柏木側吹雪「ヒエェェェ、またですかぁ!」

 

大和「まさか、今度は向こうの大和ではなくこの私が……」

 

柏木側長門「なに、メタ発言してる!少しは控えんか!」

 

柏木側陸奥「姉さん。仕方ないよ。向こうの吹雪みたいに死なない様に気をつけよう……」

 

吹雪「まだ、死んでません!」

 

勇人「そうだ!俺の方の吹雪を勝手に殺すな!」

 

備前(あれ?何かおかしい……)

 

備前「って、なんで吹雪が此処にいるんだよ!」

 

柏木側吹雪「なんでって、撫でてもらいに……ダメでしたか?」

 

備前(くそ、こいつ味占めやがった……)

 

備前は柏木側の吹雪に頭を抱えながら答えた

 

備前「どうやって、此処に来た」

 

柏木側吹雪「それは……その……」

 

備前「抜け出してきたな?」

 

柏木側吹雪「……はい……」

 

備前「はぁ……向こうは大慌てだと思うぞ。取りあえず電話するから待ってろ」

 

柏木側吹雪「はい!」

 

備前は、スマホを取りだし電話帳より呉鎮守府を選び電話をかける。

 

ガチャッ

 

菊月『はい、呉鎮守府ですが……』

 

備前「あぁ、俺だ。柏木だ」

 

菊月『司令!吹雪がいないんだが……』

 

備前「あぁ、それな。吹雪こっちに来てるわ。取り敢えずこっちで預かっとくから」

 

菊月『分かった。後、吹雪に伝えてくれ。お前、鎮守府に戻ってきたら覚えとけ。と頼んだぞ』

 

備前「分かった。伝えておこう」

 

そして、備前は電話を切る。

 

柏木側吹雪「あ、あの……なんと?」

 

備前「よかったな。菊月から伝言だ。『お前、鎮守府に帰ったら覚えとけ』だそうだ」

 

柏木側吹雪(……あ……私、鎮守府に帰ったら死ぬかも………)

 

吹雪(……自業自得です)

 

備前「さて……おら!お前らキリキリ走れぇ!そんな走りではいつまでたっても終わらんぞ!」

 

柏木側吹雪「司令官……。駆逐艦と同じ訓練やってるんですか?」

 

比叡「そうだが、どうした?」

 

柏木側吹雪「少し、緩いと思います。もう少しきつくしてもよかったのでは?」

 

備前「……分かった。なら、少し働いていけ。お前が砲雷撃戦の訓練をしろ。お前なら大丈夫だろ」

 

柏木側吹雪「……い、いや、でも私は……」

 

備前「自分を信じろ。やれば、菊月を落ち着かせるの手伝う事を考えてもいいかもしれない」

 

柏木側吹雪「本当ですか!!お願いしますね!」

 

柏木側の吹雪が備前に願いすると訓練を再開した

 

 

 

同時刻 執務室にて

 

大鯨「上城中佐、これから何をするんですか?」

 

勇人「第三次大戦だ!」

 

赤城「提督、真面目にやってくださいね?」

 

勇人「……悪い」

 

赤城「それで、実際は何をするんですか?」

 

勇人「駆逐艦と組手」

 

大鯨「あ、そうですか……。では、どうぞ行ってきてください。私達はここで楽しく話してますから。ですよね、赤城さん」

 

赤城「そうですね。どうせなので三笠元帥も混ぜて楽しく話しますか……あ!?そういえば提督がクッキーつくったから皆で食べていいって言ってました」

 

大鯨「本当ですか!?なら、皆で食べましょうか」

 

勇人「じゃぁ、俺行ってくるわ」

 

赤城「はい、気を付けて」

 

大鯨「では上城中佐憲兵に気を付けてください」

 

勇人が出て行ったあと、部屋には寝ている三笠元帥に赤城と大鯨が残った。すると、電話が鳴る。

 

ガチャッ

 

赤城「はい、こちら佐世保鎮守府ですが……」

 

永木『あ、赤城さんですか?お久し振りです♪呉の憲兵の永木ですが、後35分程でそちらに着くので隊長に言っておいてください』

 

赤城「分かりました♪お待ちしてます♪」

 

赤城『それでは、失礼しました』

 

電話は終わり、赤城は……。

 

赤城「大鯨さん、憲兵の永木さんが35分程でこちらに着くそうです。それと、柏木少将の電話番号分かりますか?」

 

大鯨「私は……知りませんが、三笠元帥なら知ってるんじゃないですか?」

 

赤城はハッとして、三笠元帥を起こす。

 

赤城「三笠元帥、起きてください」

 

三笠元帥「Zzz……ダメよ疾風……ここは………ムニャ……」

 

赤城「三笠元帥、柏木少将が居ますよ」

 

三笠元帥「……ハッ!どこどこ、疾風どこ?!」

 

大鯨「やっと、起きました。三笠元帥、提督の電話番号知ってますか?」

 

大鯨は三笠元帥が起きたので電話番号を聞き出そうとする。

 

三笠元帥「騙したのね……それで、疾風の電話番号だったよね。私も知らないよ」

 

赤城「それって完全に彼女(笑)ですね……」

 

三笠元帥「仕方ないじゃない!疾風電話番号教えてくれないんだもの!それに、半年に一回スマホ買い替えるのよ!尚更分からないわ!」

 

子供の様に机を叩いて大鯨達に教える。

 

赤城「それは……どうなんでしょうね」

 

大鯨「私には分かりませんよ……それより、提督探して伝えないと……!」

 

三笠元帥「あ、待って疾風探すなら私も行くわ」

 

赤城「えぇ!?じゃ、じゃぁ私は何をすれば……」

 

大鯨「そのクッキー食べていいですから!」

 

赤城「分かりました。待ってます!」

 

大鯨、三笠の二人で柏木を探しに行く。

 

08:30 グラウンド

 

三笠元帥「あれ……いない……次!」

 

08:40 食堂

 

三笠元帥「さすがに、赤城じゃないのでいませんね……」

 

大鯨「でも、提督と上城中佐って赤城さん以上に食べますよ……」

 

一馬「アイツら何しているんだ?」←遅めの朝食

 

08:50 工廠

 

大鯨「う~ん。此処にもいない」

 

三笠元帥「大鯨、なんで此処来ようと思ったの?」

 

大鯨「よく此処で開発をしているのでもしかしたらと思いましたけど……」

 

一方 海上訓練場にて

 

備前「クシュン」

 

磯風「疾風、風邪か?」

 

備前「だから、司令官か提督って呼べよ。姉さん……」

 

備前(相変わらず、磯風が姉と呼ばせてくる……助けてくれ……)

 

09:00 海上訓練場

 

大鯨「あ、見つけました。提督ー!!」

 

備前「あ?あぁ、誰かと思えば大鯨か。どうした?」

 

大鯨「永木さん達が後5分程で着くそうです」

 

大鯨は逆算した時間を備前に伝える。

 

備前「マジか!?早いな。分かった。吹雪!」

 

柏木側吹雪「何でしょう?司令官!」

 

備前「俺、ちょっと此処離れるから訓練よろしく!」

 

柏木側吹雪「分かりました!お気をつけて!」

 

柏木側吹雪(ヤッター♪やっとサボれる♪)

 

備前「おう!」

 

備前は吹雪に訓練を続けるよう伝えた。

 

備前「さて、行くか。どうせだから、あいつらの訓練もしないとな♪」

 

大鯨 磯風 (ご愁傷様です。死なない事を祈っています(る))

 

大鯨と磯風は柏木隊の隊員を訓練すると聞きこんな事を思っていた。

 

1040 執務室にて

 

勇人「……遅い!もうそろそろ勇次から連絡が……」

 

吹雪(うわー……凄く機嫌が悪いですね……夕立ちゃんが居なくてよかった……)

 

翔鶴「提督、お茶を持ってきました♪ん?さっきから何を焦っているのですか?折角のイケメンが台無しですよ」

 

瑞鶴「まぁ翔鶴姉ぇの男の好みは置いといて……提督さん、顔が怖いんだけど……ひょっとしてトイレに行きたいの?」

 

吹雪「……瑞鶴さん、それは無いと思いまs……勇人「ぶっちゃけ食い過ぎて腹痛いが、今回は違うぞ」……早くトイレに行ってください!」

 

勇人は苛立っているのか、はたまた我慢しているのか、しかめっ面でタバコを吸っていると……

 

ブーン!ブーン!ブーン!

 

勇人「……やっとか」

 

Pi♪

 

勇人は電話が鳴ったのを確認すると直ぐに電話に出た

 

勇人「おい勇次、どうだった?」

 

吹雪「あ!?勇次さん♪お久し振りです♪」

 

勇人のスマホのモニターには茶髪だが某悪魔狩りの主人公に瓜二つの男が映っていた

ちなみに勇人の外見もまた黒髪だが某悪魔狩りの主人公の双子の兄に瓜二つだと言っておこう

 

瑞鶴(うわー♪イケメンだ♪しかも提督さんに似ているけと何か優しそう♪)

 

翔鶴(……提督そっくりのイケメンだけどチャラそうだわ……私は苦手だわ)

 

勇次「よぉブッキー♪久しぶりだな♪兄貴にマワされたって……吹雪「マワッ!?犯されていません!昼間から何を言っているのですか!?」……フン♪冗談だ♪」

 

勇人「それ冗談に聞こえないぞ、ここは『元ブラ鎮』だって事を忘れてねぇか?後、俺をロリコン扱いにするな」

 

勇次「……すまん、忘れてた……ん?後ろの可愛い子は?」

 

翔鶴「お初目にかかります、五航戦の翔鶴です」

 

瑞鶴「同じく瑞鶴です♪提督さんの双子の弟と聞いて怖い人だと思っていましたが……凄いブランクがありますね」

 

勇次「ハハハ♪それよく言われるんだ瑞鶴ちゃん♪後、俺に対してはタメ口で構わないから……勇人「ダラブチ(馬鹿野郎)!ナンパなら後でやりまっし!!」……ゴホン!兄貴、良いニュースと悪いニュースがあるんだけど、どっちを聞くんだ?」

 

吹雪(今、司令官……素で石川弁を喋りましたね……)

 

翔鶴(これが本当の提督の素の性格なんだ……)

 

勇人「……両方だ」

 

勇人はタバコを灰皿に押し付けて言うと勇次はチャラい雰囲気から一転し真面目な表情で答えた

 

勇次「良いニュースは捕獲任務期間の一ヶ月間の延長と堤下の居場所が分かったんだ……」

 

吹雪「ッ!?本当ですか!?場所は何処ですか!?」

 

勇次「……K国近くの深海棲艦の拠点に隠れている事が分かった……そして悪いニュースはK国の御偉いさん達が裏で、その深海棲艦を全面支援をし、堤下を兄貴や黒虎徹……いや柏木と同じ様に改造手術をしていた事だ……一ヶ月前に無断外出した佐世保鎮守府にいた『青葉』を拉致して、改造手術の素材として使ってな」

 

勇人 吹雪「ッ!?」

 

勇次「……まぁお互い無傷で融合したから捕獲後、直ぐに解体すれば元通りになるが……報告は以上だ」

 

勇人「……ああ、ありがとう、お前まで危ない橋を渡らせてしまってな」

 

勇人は礼を言うと勇次は笑いながら言った

 

勇次「気にすんなって♪危ない橋なんか日常茶飯事なんだからさ♪頑張れよ兄貴にブッキー♪赤城ちゃんに宜しく言っといてくれ♪それじゃ……勇人「待った!もう1つお願いがあるんだが……」……何だ?」

 

勇人「新しいボクサーエンジン1基送ってくれ……」

 

勇次「分かった……これで何度目だ……全く……後、ズイちゃん♪面倒事が終わったら連絡先交換しようぜ♪」

 

瑞鶴「ズイちゃん!?……分かったわユージン♪」

 

勇次は笑いながら言うと電話を切った

 

瑞鶴「……ヤッター♪提督さん!早く堤下を捕まえに行こう!」

 

瑞鶴(そして………キャー♪提督さんが来てから毎日が幸せだよ♪)

 

翔鶴 勇人 吹雪「……完全に恋する乙女の顔だ……こりゃ……」

 

勇人達は呆れつつ柏木の所に向かった

三笠元帥と演習を行うために……


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