Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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第12話「二人の龍虎、再び……」part 2

次の日 0730 食堂にて

 

勇人は艦娘達全員を食堂に呼び、俯きながら喋った

 

勇人「……オメェラに集まってもらったのは他でもない……呉の提督が捕獲した前任である堤下が脱走したんだ」

 

艦娘達「!?」

 

長門「おい!貴様!?それはどう言うことだ!?」

 

陸奥「落ち着いて長門!ねぇ、アイツの居場所は分かるの?分かっているのなら私達が捕獲しに出撃するわよ」

 

蒼龍「そうそう!アンタは黙って椅子にふんぞり返っていれば良いのよ!木偶の坊!」

 

飛龍「ちょ!?蒼龍!?アンタ言い過ぎよ!提督、私達にも詳しい説明をお願いします」

 

鹿島「……やっばり貴方は使えませんね」

 

香取「コラッ!鹿島!彼はみんなを救うために命懸けでやっているのよ!提督を侮辱する事は、例え妹でも容赦しませんよ」

 

霧島「……司令、飛龍さんも言いましたが私達にも詳しい説明をお願いします」

 

勇人「分かった……実は……」

 

勇人は艦娘達に堤下を捕まえなければ勇人、赤城、柏木そして三笠元帥が処刑される事を伝えた

 

霧島「……そんな……」

 

香取「何故ですか!?何故貴方達が処刑されないと行けないのですか!?」

 

伊勢「酷い……命令だわ……」

 

長門「……貴様は『自分の為』に私達を使ってアイツを捕獲しろと言う訳だな……」

 

長門が軽蔑しながら言うと勇人は頭を横に振り、答えた

 

勇人「ちげぇよ!俺が直接、堤下を捕まえ、オメェらに『ケジメ』を着けさせる為だ!それにアイツの居場所位は目星は付いている……だが……」

 

長門「だが?」

 

勇人「……海外逃亡を図りやがった……オメェらの『給料』を使ってな」

 

艦娘達「!?」

 

勇人の発言に艦娘達はショックが大きかったのか俯き、黙った

 

勇人「まぁ『給料問題』に関してはケリ着けてあるから安心しろ♪後、呉の提督がお前らに稽古つけてもらうから安心して暴れて来い♪それじゃ……柏木「佐世保鎮守府よ!私は帰ってきたぁ!!」……早速かい!?」

 

長門「な……」

 

陸奥(……何なのアイツ)

 

川内(……頭可笑しい奴だけど……堤下を捕まえてくれたんだ!アイツだけは信用しよ!みんな!)

 

勇人を恨んでいる艦娘達(ああ……)

 

勇人と艦娘達は柏木の奇声に白い目で見つつ、柏木を歓迎した

 

一方 外では……

 

柏木「やめろ。これは一種の悪ふざけだ」

 

大鯨「度が過ぎてます!自重してください!」

 

柏木「はいはい。考えとくよ」

 

大鯨「全く……」

 

大鯨はそんな柏木に呆れ溜息を吐く。

 

勇人「柏木、急に叫ぶから気が狂ったかと思ったぜ」

 

柏木「お前までひどいなぁ。はい、酒ともみじ饅頭」

 

勇人「サンキュー♪相変わらずお前は気が利くな♪」

 

勇人は酒ともみじ饅頭を渡してきた柏木に掌を返

し礼を言う。

 

柏木「さて、行くか」

 

そして、柏木は鎮守府内を進む。そして、執務棟に入ると執務室に入り椅子に座る。

だが物影に武蔵と大和が柏木が不審な行動を起こさない様に隠れながら見張っていた

 

勇人「おい、何そこに座ってやがる」

 

柏木「あはは、すまん。つい、癖で……」

 

勇人「それより、よくここまで迷わず行けたな」

 

柏木「おい、誰がここの鎮守府から前任叩き出したと思ってる。それより、覗いてるやつは入って来いよ。そこにいても暑いだろ」

 

柏木が言うと大和は段ボールの中から、武蔵はクローゼットの中から出てきた

 

 

大和「……!?ば、バレてましたか……」

 

武蔵「くっ……。バレていたとは……」

 

大和型二人はそう言い柏木に近寄ってきた

 

勇人「柏木、よく気づいたな。俺は分からなかったぞ」

 

勇人(あの二人の名誉の為だ……察してくれれば……)

 

柏木「お前……本当にあの訓練全部したのか?」

 

勇人「したぞ!全部やったわ!あれ、滅茶苦茶しんどかったぞ!」

 

柏木「あれやれば、感知能力ぐらい俺並みになると思ったのにな……訓練足らなかったのか?」

 

勇人(……そうだった!こいつの辞書に『気遣い』なんて無いんだった!)

 

武蔵「ほう、椅子に座ってるのが新しい提督か。前の提督よりは怖くはなさそうだな」

 

大和「そうですね。明日から楽しみです♪」

 

勇人「おい、俺を勝手に前任にするな!こいつは呉の

提督やってんだぞ」

 

大和と武蔵の言葉に反応した勇人はツッコミをいれる。

柏木「勇人……」

 

勇人「なんだよ……」

 

柏木は懐から手錠を取りだし、勇人に近付いた

 

柏木「心苦しいがお前を脅迫罪で逮捕……勇人「なんでだよ!俺何もしてねぇぞ!」……する」

 

勇人「……おい、マジじゃねぇよな」

 

柏木「冗談だ。まぁ、これくらいにして……改めまして、呉鎮守府提督兼憲兵隊隊長の柏木疾風少将です。これから1週間ここの鎮守府に滞在します」

 

勇人「おい、初耳だぞ!先に滞在のことくらい言えよ!」

 

柏木「え、言わなかったか?まぁ、いいけど。取り敢えず戦艦組は艤装を装備し全員グラウンドに集合。体調不良は来なくてよし。ただし、後日訓練を行う。では、大和と武蔵。これ伝えてきてくれ」

 

武蔵「分かった」

 

大和「承知しました」

 

大和と武蔵は足早に提督室を後にして、戦艦の全

員にこの事を伝えに行く。

 

勇人「おい、柏木……まさかだとは思うが……」

 

柏木「ん?そのまさか♪あと、お前等は戦艦以外は自由。戦艦組はちょっと来い」

 

長門型姉妹 扶桑型姉妹 金剛型四姉妹「わ、分かった……」

 

大鯨(御愁傷様です……)

 

長門をはじめ戦艦の扶桑、山城、比叡、霧島、金

剛、榛名は全員死んだ目をしている。

 

柏木側赤城「加賀さん、早速ご飯を食べに行きましょう」

 

加賀「そうね。さすがに気分が高揚します」

 

柏木側の赤城と加賀はキラキラしながら食堂に向かっていく。

 

雲龍「私は提督と一緒にいます」

 

大鳳「私もです」

 

雲龍はそう言って柏木の右腕に抱き着いてくる。

それを見た大鳳も柏木の左腕に抱き着く。

 

大鯨「提督……見損ないました……」

 

勇人「柏木……それが趣味なのか……」

 

柏木「違う!断じて違う!知らぬ間にこうなってただけだ!俺は何もしていない!」

 

雲龍「提督が、あんなことするから……」

 

顔を赤く染めながら言う雲龍を見た者達に衝撃が

走る。

 

大鯨「提督何をしたんですか!」

 

長月「司令官、一緒に詰所に行こう」

 

大鯨は何をしたのか聞き、長月は何かしたのを前

提に詰所に自首しようと勧めてくる。

 

柏木「何もしてない!雲龍、お前は勝手に人の部屋に入ってきて布団の中に入るのやめろ!俺はあれの所為で、最近起きるの遅くなってんだぞ!」

 

柏木(主に気絶するから)

 

大鯨「……!……提……督……私の事なんかどうでもいいんですね?」

 

柏木「その言い回しはやめろ!執務室が修羅場と化してる!勇人いい加減に助けろ!」

 

勇人「プッ……ハハ、ハハハハハ……くっそ、腹いてぇ……骨は拾ってやるぞ♪ハハハハハハ♪」

 

勇人はこの状況がツボに入り笑っている。

 

柏木「はぁ……。グラウンド行こう……」

 

疲れたのか、雲龍と大鳳に抱き着かれている状況を脱するとグラウンドに向かう。

そして……。

 

柏木「えっと、1,2,3……18人か。意外と多いな」

 

長門「柏木少将。これから何をするのだ?」

 

柏木「そうだねぇ。じゃぁ、艤装着けたままグラウンド外周30周」

 

参加した艦娘達「無理だろ!!」

 

柏木「は?無理じゃなくて早くしましょうねぇ。その分飯にありつくのが遅くなるぞ♪」

 

柏木……いや備前の言葉により、地獄の稽古が始まった

 

数分後……

 

備前「オラ!どうした?バテんじゃねぇ!」

 

訓練で性格が豹変している備前の訓練の厳しさは

増していく。

 

勇人「何やってんだ、あいつら?」

 

大鯨「上城中佐、あれはいつもの事ですよ。提督は、訓練ではあれですから。神通さんより厳しいですからね」

 

勇人「大鯨……お前もあんなことやってるのか?」

 

大鯨「えぇ、偶にやってますが、あれは倒れそうになりましたね。上城中佐もやってみればわかりますよ……」

 

勇人「いつか、やってみるか……。取り敢えず、三笠元帥達が来るのを待たないと……」

 

そう、執務室からグラウンドを見つつ言った勇人と大鯨だった。

 

30周目

 

備前「いやぁ、意外と楽だった。お前等!まだ終わってねぇのか!」

 

山城「無理です!私達はまだ15週目です……!」

 

未だ走っている戦艦組は体力の限界をすでに通り越していた。

 

戦艦組28周目

 

備前「はよ走れぇ!5分以内に走りきらんと5分経つ毎に1周追加だ!」

 

参加した戦艦組「不幸だァァァァァァ!!」

 

山城「それ私の台詞よォォォ!」

 

某魔術の主人公みたいに、不幸と叫ぶ戦艦組だった。

 

走りこみ終了後

 

備前「はい、お疲れ。じゃぁ、3分後に俺と砲撃戦な」

 

戦艦組「最近の柏木少将、怖いや……」

 

訓練後に生きているか不安になった戦艦組だった。

 

3分後

 

備前「じゃぁ、始めるぞぉ!演習……始め!」

 

ドドーン!ドドドーン!

 

戦艦組の砲撃が備前に降り注ぐ。しかし……。

 

バーン!

 

備前「あっはっはっは♪これくらい軽い軽い♪」

 

戦艦組「なっ!?」

 

戦艦の砲撃を、刀一本で簡単に防ぐ柏木にただただ驚くことしかできない。

 

金剛「まだデース!どんどん撃つネー!」

 

ドーン!ドドドーン!ドドーン!

ドドーン!

 

もう一度、大量の砲弾を柏木の頭上に降り注ぐが……。

 

ドドドーン!ドドドーン!ドーン!

 

備前「甘い!だからこうやって近寄られるんだ!」

 

バァアン!

 

柏木側比叡「カハッ!」

 

ブン!バーン!

 

比叡「ガッ!」

 

柏木側比叡が蹴られ、そして勇人側比叡が殴られる。

 

武蔵「くッ……だが……!」

 

ドーン!カン!

バァァアン!

 

武蔵「ぐッ!……だ、だが……まだ終わらん!」

 

ドドドーン!

バァアン!

 

武蔵「……どうだ!……なっ?!」

 

備前は武蔵の攻撃を防ぎ蹴る。しかし、それを耐え備前に砲撃を行なった。だが……武蔵が見たもの

は……。

 

備前「その程度かぁ?それでは、56cm対応のこの装甲は破れんぞぉ!」

 

武蔵(化け物だ!56cm対応では……。だが、装填速度では……!)

 

備前「邪魔だ。どけ……」

 

ドドドーン!ドドドーン!

 

武蔵「なっ?!ガハッ!」

 

武蔵は、備前の砲撃を至近距離で食らい約50m先まで吹き飛ぶ。その後、砲撃訓練は地獄絵図だった。戦艦組は『訓練』ではなく、『一方的な蹂躙』をされているような気分だったとのちに語っている……。

 

30分後

 

柏木「今日の訓練はこれで終了。気が向いたら後日またやるわ」

 

柏木はそう言い残し、その場を後にする。

 

戦艦組「し、死ぬかと思った(デース)………」

 

1300

 

柏木は昼食を食べ終え、執務室に向かった。

 

コンコンコンコン

 

柏木は既に到着しているであろうと思い一応ノッ

クをする。

 

勇人「入れ」

 

柏木「柏木疾風少将。入ります」

 

勇人の声が聞こえた為室内に入る。

 

某極道の六代目会長似の男『吹瀬』「うむ、ご苦労だった」

 

柏木「いえ、大丈夫です」

 

吹瀬「では、柏木少将も来たところだ。本題に入ろ

う」

 

副司令の吹瀬誠元帥が今回の一件の話を進める。

 

柏木(……って、三笠が総司令だろ!お前は話を進めないのか!ってか勇人の親父って……どう見ても堂〇の龍(桐〇一馬)に瓜二つだな……声も……)

 

柏木はそう思い、三笠元帥の方を見るが、柏木が見ているのに微笑むだけで、何も違和感がないようだ。

 

吹瀬「今回の三笠元帥と三笠教官の演習だが、明後日1400より始める。その間に双方の三笠殿は訓練、演習を行なってください」

 

無言で頷く二人。と言っても、片方は勇人だ

が……。

 

吹瀬「それと、柏木少将」

 

柏木「何でしょうか?」

 

吹瀬「貴官には、ここら一体のヤクザの事務所の掃討を命ずる。だが、神城会には手を出すな」

 

勇人(よし!順調だ♪)

 

柏木「はっ、謹んでお受けいたします」

 

高町元帥「うむ。では、議題は以上だ。他に何かあるか?」

 

スッと三笠元帥が手を挙げる。

 

高町元帥「総司令、どうしました?」

 

三笠元帥「訓練って誰に受ければいいの?それと、なん

で私の役目を取ったの?」

 

柏木(あぁ!やっぱり、気にしてたのか……。最初から、つっこんでろよ!)

 

勇人(……聞いていなかったのかよ)

 

吹瀬「総司令が話をすると話が逸れるじゃないですか。だからです!」

 

三笠元帥「むぅ……。何か気に食わない……」

 

ぷくぅっと顔を膨らませる三笠元帥。それに対し

て……。

 

吹瀬「無理な事を言わないでください。そうですね?柏木少将」

 

吹瀬が話しを柏木にする。しかし……。

 

柏木「………可愛い……」

 

みんな「!?」

 

柏木(あ、しまった!つい、やってしまった……)

 

吹瀬「ま、まさか……柏木少将!熱でもあるのですか!」

 

吹瀬が柏木が風邪を引いているんじゃないかと心配する。

 

柏木「吹瀬!俺は風邪を引いてはいない!問題はない!つい、可愛いと思ってしまっただけだ!」

 

三笠元帥「ふふふ、疾風ったら……」

 

高町元帥「……!?た、大変だ!早く柏木少将を病院に連れて行け!」

 

某ゴリス似の憲兵『常田』「メディック!メディック!」

 

一馬「……オメェラ……少しは落ち着け!!」

 

勇人、高町元帥以外全員「アッハイ……」

 

柏木の言葉に顔をほんのり赤くする三笠と、本気で心配してくる高町元帥に鳥島、そしてカオスな情況に一喝し、鎮圧させた一馬だが、柏木は……。

 

柏木「俺は、問題ない!それより、そちらこそ仕事しなくていいんですか!」

 

三笠元帥 吹瀬 鳥島「大丈夫だ!全部秘書に投げてきた!」

 

柏木「自分の仕事を済ませてから来い!お前ら、少しは仕事の事を考えろ!その仕事が偶に俺に回って

きてんだ!程々にせんと、憲兵に職務怠慢を言って拘束させに行くぞ!」

 

三人「誠に、申し訳御座いませんでした!」

 

上城親子 高町元帥(こいつら、本当に元帥かよ……。どう見ても、柏木の方が元帥に見えるぞ)

 

三笠元帥、吹瀬副司令、そして憲兵司令官の

常田一登の三人は本気で柏木に謝っている。その

光景を見て、高町、上城元帥、勇人は内心こう思っていた。

 

そして、刻は動き出す。深海も人間の刻も同時

に……。そして、これから起こる事件が柏木と勇人

を突き動かす。

 


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