Admiral of Roughneck~From black to white~   作:八意 颯人

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私です。

今回から『DepraviA~とある提督の悪夢奔走記(トラウマウォーカー)~』の一部を改正した状態でコピーしている部分があります。

理由に関しては、彼方の作品がR指定な為、それを健全化及び過激な表現を抑える為に改正しております。

それでは本編に移ります。


第105話「地上最悪の大異変、勃発」

忠実が呉に着任してから24時間後、1740 佐世保鎮守府 本部執務室にて……

 

「………それ本当なの間宮ちゃん、伊良湖ちゃん、大鯨ちゃん、迅鯨(じんげい)ちゃん?勇人君が()()()()()()()()()()()()()()()()って……」

 

「間宮さん、経緯を説明して頂戴」

 

「……あの提督の事だ。何かやらかしたんだろ?」

 

優花は普段、妖夢達に見せる優しく柔らかい雰囲気が消え、如何にも軍人らしく凛々しく、そして事の重大さを表しているかの様な真剣な表情で割烹着を着た3人の艦娘『間宮』『伊良湖』『大鯨』そして時代劇に出てくる峠の茶屋の看板娘に似た服装をした艦娘『迅鯨』に彼女の秘書艦である『伊勢型の2人(伊勢と日向)』と共に聞くと4人を代表として間宮が相当切羽詰まった表情で優花に事の経緯を説明し始めた。

 

「はい!それは魂魄少尉と提督そして本日の秘書艦である明石さんが『夕餉』兼『新作の主菜(オカズ)開発』をしている時に………」

 

 

 

 

今から30分前 1710 本部食堂にて……

 

 

ガツガツガツガツ………

 

 

 

 

もっもっもっ……

 

 

 

 

 

「……今回の料理は勇人さんの大好物である鶏もも肉を炭火焼きにし『鰹のたたき』と同じ調理法及び鰹以外の食材を使った料理『鶏肉のたたき』にしてみたのですが……これを鎮守府のメニューに取り入れてはどうでしょうか?」

 

妖夢は勇人と明石に『料理を振る舞った本来の目的』である『鎮守府の新作メニューの開発及び味』について聞くと、勇人と明石は腕を組み、右手を顎を優しく掴む様に添え、先程までの満面な笑みから一転し、眉をハの字にし、少し悩んでいるのか、首を傾げながら言った。

 

「旨いな……黒酢のお陰で鶏肉の旨味もバッチリ生かされているし、玉葱の噛み心地と風味、擦り下ろした生姜とニンニクの風味の良さが鶏肉の旨味を更に引き立て、非常にバランスが取れた味だ……だが、ニンニクが多いのか、この味付けは、どちらかと言うと『隼鷹(じゅんよう)』や『那智(なち)』みたいな『飲兵衛』向きな濃い味になっているぞ……妖夢」

 

「私は結構好きな味ですが……何か白米(ゴハン)じゃなくて日本酒が欲しくなる味ですね」

 

勇人と明石は妖夢に自身の感想を包み隠さず伝えると、妖夢は勇人と同じく腕を組み、少し思考を巡らせながら勇人に言った。

 

「ふむ……なら、これをニンニクを少な目にし、その分、玉葱と酢を多めに入れる事によりサッパリした味付けになった状態で御飯の上に乗せるとか?」

 

「成程……敢えて『サッパリ系』にするのか……よし、今度は俺が作ってみるか……モグモグ……ゴクン!味の評価を宜しく頼むぜ、妖夢に明石……出来れば厳し目にな。間宮、伊良湖、迅鯨、大鯨、今すぐ準備してくれ」

 

「「「「はい。分かりました」」」」

 

「ッ!?はい!!お任せを!!」

 

「ヤッター♪久々の提督の手料理だ♪」

 

勇人は妖夢が調理した『鶏肉のたたき』からヒントを得たのか、妖夢が調理した料理を綺麗サッパリ平らげ、口角を上げながら間宮、伊良湖、迅鯨そして大鯨に指示を出しながら調理場に向かおうと立ち上がった途端……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤッホー♪貴方には悪いけど()()()()()s()……ゲフンゲフン、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……隙間解放!」

 

 

 

 

 

 

クパァ………

 

 

 

 

 

 

 

「え?……………はぁぁぁぁぁぁぁ!!()()かよ!ってか、今さっき暇潰しって言わなかったかぁぁぁ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュゥゥゥ…………

 

 

 

 

 

 

「ッ!?勇人さぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 

「「「「「て………提督!?」」」」」

 

 

突然、紫が現れ、紫は勇人の有無を言わせない様に勇人の足下に隙間を具現化させると、勇人は突如現れた隙間に対処出来なかったのか、そのまま隙間に吸い込まれる様に落ちて行った。

 

紫は勇人が隙間に落ちていった事を確認すると颯爽と食堂を後にすると妖夢は突然起きた出来事に混乱し、焦りながら明石に聞いた。

 

「た……大変ですよ明石さん!!勇人さんが……勇人さんが……」

 

妖夢は混乱しながら明石に聞くと、明石は冷静になりながら妖夢、間宮、伊良湖、迅鯨そして大鯨に指示を出した。

 

「分かっています。間宮さん、伊良湖さん、大鯨ちゃん、そして迅鯨ちゃんは、すぐに『この事』を優花さんに!!少尉は提督の安否を確認すべく、すぐに電話して下さい!!これをスマホに繋げ、その電波を逆探知し、居場所を特定させます!!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

明石は自身が制作した『小型の電波逆探知装置』を妖夢のスマホに繋げながら指示を出すと間宮、伊良湖、大鯨そして迅鯨は急いで優花が居る本部執務室に走って向かった。

 

 

 

そして現在に至る……

 

「……と言う訳です。今、少尉と明石さんが提督の安否を確認している所です……ど……どうすれば……」

 

間宮は突然の出来事に焦りながら優花に経緯を説明すると優花は自身の、そして勇人の能力を完全に把握し、その事を踏まえて混乱している間宮達に優しく諭した。

 

「大丈夫。勇人君なら、すぐに帰って来るよ……だって私と同じ『隙間』が使えるから強制的に飛ばされたからって無駄な事よ」

 

「「……デスヨネー」」

 

「「「ッ!?そ……そうでしたね」」」

 

「隙間?」

 

間宮、伊良湖、伊勢型の2人そして大鯨は勇人の能力の一部であり、優花の能力である『隙間』が使える事を忘れていたのか、先程までの混乱状態が消え、安堵を溢し、新人である迅鯨は優花の発言に眉をハの字にし、首を傾げながら優花に聞くと大鯨が優花の代わりに簡潔に説明した。

 

「先程、提督を落とした穴の事ですよ迅鯨さん。あの『穴』……と言うより『空間』は色んな場所や国、未来や過去、更には異世界まで行ける便利な能力なんですよ。提督だけでは無く副提督も使えるんですよ」

 

「……へ?何その『どこ○もドア』と『タイムマシーン』を合体した様な能力は!?しかも副提督だけでは無く提督も使えるんですか!?」

 

迅鯨は大鯨の説明に『某タヌキ型の未来ロボット(ドラえ○ん)』の『移動道具(ど○でもドア)』に喩えながら目をパチクリと瞬きをしながら驚くと優花は迅鯨の質問に答えた。

 

「そうよ。私は隙間操作だけ使えるが、勇人君……いえ上城提督は隙間だけでは無く『時間』や『自然現象』等『ありとあらゆる全ての現象(モノ)』を『統括(操作)』出来たり、他人の心を読む事だって出来るのよ」

 

「……提督は神にでも成るつもりですか?」

 

迅鯨は一部ではあるが勇人の能力を聞き、思考が停止したかの様に呆気に取られながら聞き返すと伊良湖と日向は迅鯨の質問に答えた。

 

「『成るつもり』では無くて、もう()()()に、そして『()() ()()』の()()()()()()()()()()()

 

「私も最初、聞いて驚いたが受け入れるしか無いんだ迅鯨。提督は複数の意味で規格外な男だからな」

 

「……へ!?そんなの聞いてないですよ!!ってか規格外とか、そう言うレベルじゃないですよ!!そもそも何ですか!?提督が『戦艦 三笠の付喪神』であり『現人神』って!!」

 

迅鯨は2人の説明に脳内の処理が追い付かず、それを表しているかの様に大混乱しながら答えると勇人の安否を確認しに終えた明石が、間宮達が締め忘れてた『ナノマテリアルと炭素繊維(カーボンセラミック)を化合した特別仕様の執務室の扉』を軽くノックし、呆れながら優花に言った。

 

「優花さん、扉が開きっぱなし。外まで丸聞こえですよ」

 

「それ私じゃないよ」

 

「……ごめんなさい。私です」

 

間宮は明石の注意を受け、申し訳無さそうにそそくさと扉を閉めると優花は明石に勇人の安否について聞いた。

 

「……んで、勇人君は無事だったの?」

 

優花は真剣な表情で明石に聞くと、明石は顔を俯かせ、『勇人の安否』について答えた。

 

「……提督は無事です」

 

「「「「「……デスヨネー。提督はゴキブリ並の生命力(しぶとさ)を持っていますからね……」」」」」

 

「ホッ……良かった。御無事で……」

 

「………」

 

間宮、伊良湖、伊勢型の2人そして大鯨は明石の報告聞いて予想通りの結果だったのか然程、心配せず、苦笑しながら答え、迅鯨は勇人が無事だった事に胸を撫で下ろし、安堵した表情で呟くと優花は俯いている明石の表情を見て、相当嫌な予感を感じ、明石を睨み付ける様な鋭い目つきで彼女に聞いた。

 

「……だが『別の問題』が発生したのね?」

 

「「「「ッ!?」」」」

 

「「……そっちのパターンか……」」

 

優花は明石に問い質すと伊勢型の2人は「やっぱり」と言わんばかりに頭を抱え、間宮達は優花の質問に動揺すると明石は俯いた表情で『別の問題』について報告し始めた。

 

そう、勇人の身に起きた『別の問題』とは……

 

「はい………提督は何かしらの原因で能力が『弱体化』し、()()()()()()()()()

 

「「「「なっ!?」」」」

 

「「………泣ける()」」

 

「………やっぱりね」

 

………勇人が自身の能力が弱体化したせいで帰還不可能になっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして場所は変わり『ドイツ ベルリン市内』の『上城病院』の『特別病棟』にて……

 

「……何か嫌な予感がするな」

 

勇人と永琳の手によって九死に一生を得た柏木が優花と同じく『相当嫌な予感』を軍人としての本能的に感じ取り、その事を独り言の様に呟くと、お見舞いに来た『ドイツの軍服を着た凛々しい顔付きの金髪の若い女性』と柏木のメイド『オク』が柏木の独り言を聞いて柏木と同感なのか俯き、金髪の女性が不安そうに言った。

 

「……ああ。勇人が『何かしらの厄介事』に巻き込まれた気が……」

 

金髪の女性は勇人と顔見知りなのか、彼を呼び捨てで自身の予感を流暢な日本語で柏木に伝えると、柏木は金髪の女性の正体を交えながら答えた。

 

彼女の正体は……

 

「十中八九そうだろうな……しかし『白銀の女龍』と言われている『キール鎮守府の若き総司令官』の正体が『独裁者(ヒトラー)の隠し子の子孫』であり『勇人(アイツ)の母方の又従兄妹』だったとはな……『ターニャ·フォン·ヒトラー海軍少将』さんよ」

 

……現在のドイツでは禁句(タブー)になっている嘗ての独裁者『アドルフ·ヒトラー』の『子孫』であり『勇人の母方の又従兄妹』である女性こと『ターニャ·フォン·ヒトラー(以後 ターニャ)』だったのだ。

 

柏木はターニャを誂うかの様に軽い口調で言うとターニャは少し嫌な表情をし、柏木に言った。

 

「……出来れば日本籍での名前である『上坂 (あおい)』と言って欲しいな。この事は公にしてないんでな……でないと政府が煩いんだよ

 

「ナラ中間を取ッテ『ターニャ·ウエサカ』と名乗レバ?」

 

オクは皆が感じている『嫌な予感』のせいで暗くなった雰囲気を明るくする為、わざと明るく、そして軽い口調で『ターニャ』こと『碧』に言うと(ターニャ)は「ッ!?その手が合ったか!!」と驚愕しながら手をポンと打つと柏木は2人の会話を聞いて呆れながら『碧』こと『ターニャ』に頭を下げながら言った。

 

「……今は『そんな事』をしている場合じゃねぇだろ。ターニャ、スマンが『勇人達が不法入国した事』を消してくれないか?アイツは俺の為に自身の首を絞めてまで助けて貰ったからな。無理な事を言ってんのは分かる……だが……」

 

「……私からモ御願い……疾風の要望に答エテあげて……」

 

柏木とオクはターニャを呼んだ理由である『勇人達が不法入国した事』を隠滅して欲しい事を頭を下げ、懇願するとターニャは、そんな無理難題な要望を……

 

「別に良いぞ。勇人(アイツ)が何か悪さをする時は大半が人助けだからな」

 

……呆気羅漢に答え、了承したのだ。

 

柏木とオクは軽い口調で了承したターニャに動揺し、狼狽えながら言った。

 

「え!?ちょ!?そんな簡単に了承して良いのか!?」

 

「結構ヤバイ依頼よ!下手すれば貴女の首が飛ぶワヨ!!本当に大丈夫ナノ!?」

 

2人は狼狽えながら言うとターニャは2人を見て苦笑し、ラフな口調で答えた。

 

「大丈夫よ。こう見て私、嘗ては『勇人の婚約者候補の1人』だったから財閥や政府にも少なからず『コネ』があるのよ。まぁ結局は早苗に取られてしまったが……」

 

「イヤイヤ……コネって……何か異名と言い、豪快な性格と言い、やり方と言い……まんま『女版の勇人』だな……アンタ……」

 

「……ソウネ。なら御願いするわターニャ……くれぐれも……」

 

「分かっている。それじゃ隠滅しに行ってくる……」

 

柏木とオクはターニャの常行手段と言い、性格と言い、更には異名までもが勇人に極似している事に呆れながらターニャを見送るとターニャは何か忘れていたのか、ドアノブを触る手前で止まり、柏木に『ある事』について聞いた。

 

「そう言えば柏木さん。貴方、勇人と仲良いんだよね?」

 

「ああ。兄弟の盃まで交わした程だ……それがどうしたんだ?」

 

「……勇人って独身なの?それに早苗と別れたって本当?」

 

ターニャは個人的な質問である『勇人が独身か否か』と聞くと柏木は首を傾げながらも呆気羅漢に答えた。

 

「ああ。全て『本当』だ。アイツから聞いたから間違い無い……それがどうしたんだ?」

 

「ッ!!!」

 

あ……そう言う事ね。ってか諦めて無かったのね

 

ターニャは柏木の返答に先程までの軍人らしい凛々しい表情から一転し、恋する乙女の様に顔を赤く染め、顔を綻ばせつつも再度、気合いを入れるかの様に……

 

「……それ聞いて安心したわ……さて!!『未来の旦那様』の為に人肌脱ぐわよ!!それじゃ!!ビスマルク!!行くわよ!!」

 

え!?ちょ!?待ちなさいよ!!

 

ガチャン!!!

 

……躍起になり、自身の情熱を表すかの様に颯爽と、そして豪快に扉に手を掛け、廊下に待機していたターニャ側のビスマルクと共に病棟を後にしたのだ。

 

そして、それを見ていた柏木とオクは……

 

「前言撤回。アレは『女版の勇人』ではなく『ドイツ版の優花』だ」

 

「……どちらかと言ウト『ドイツ版の早苗』ダナ……」

 

……彼女が勇人の為に躍起になっている所を見て、呆れながら訂正しなざるを得なかった。

 

だが、柏木達は知らなかった……

 

この一手が更に混乱を招き入れる事に……


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